みなさんおはようございます、IR&コーポレートストラテジー部長の田原です。
一昨日から昨晩にかけて、当社提携先であるニューロクライン社、ファイザー社が2024年3Qの決算を発表しました。その内容について以下ご紹介します。
ニューロクライン社(説明資料:リンク)
当社に関連するニューロクライン社のプレゼン・質疑のポイントは以下です。
- M4(NBI-1117568)はFDAとのミーティングの準備に向けて順調に進捗。ミーティングが終われば試験デザインなど詳細を話す予定
- その他のムスカリンポートフォリオは来年からデータが出てくるため、それをもって適応症を判断していく
M4作動薬(NBI-1117568)についてはFDAとのミーティングの準備を進めており、順調に進捗している様子が報告されました。プレゼン資料については、2Q決算(以前の
ブログ参考)やM4のPh2試験結果発表のプレゼン(以前の
ブログ参考)から大きなアップデートはありませんでした。
質疑応答の中では、M4を含めたムスカリンポートフォリオに関する質問がいくつかあがりましたので、その概要を記載しておきます。
Q:M4作動薬のPh2試験結果の分析をうけた、ムスカリンポートフォリオの今後の展望は?
A:M4作動薬の良好な結果から、開発を急ピッチで進めている。M4のPh3試験のデザインは、FDAとのミーティング後にもう少し詳細を話せると思う。また、M4以外のムスカリンポートフォリオは来年あたりにデータが出てくる。その結果をもとに、認知機能障害や精神疾患のなかで、どの適応症が適切かを見極めていきたい。
Q:競合他社の進捗に関して感触を教えてほしい
A:BMS/KarunaのCobenfyが承認されたことは喜ばしいことだが、まだ選択性の観点からアンメットニーズが多く残る。AbbVie/Cerevelが開発しているEmraclidineについては、Cobenfyや当社のM4でいい結果を出していることから、M4作動薬が効くことはわかっているためいい結果が出ると思っている。
当社の化合物はOrthosteric agonistであり、その高い選択性に加え、患者が受けている治療や内因性のリガンドの有無に依存しないことが特徴。M4については、Ph3試験その価値を示したいと思っている。また、当社のアプローチが医師から幅広く受け入れられると確信している。
Q:M1/M4デュアル(NBI-1117570)について、BMS・Karunaが開発したCobenfyと比較してどのような特徴があるのか?
A:M1とM4のみに作用することに加え、中枢神経に移行しやすいように設計されているため、Cobenfyと異なり末梢神経への副作用を抑える薬剤を加える必要がない。現在のPh1試験については2025年中にデータがわかる予定なので、そのデータを分析して適応症を考えていく予定。
なお、決算資料(
リンク)には、「2025年上期に予定されているM4作動薬(NBI-1117568)のPh3開始時に、ネクセラに15百万ドルのマイルストンを支払う見込み」である旨が記載されています。先日受領したPh2成功のマイルストン35百万ドルと合わせて、Ph2試験終了からPh3試験開始までの間に、当社は合計50百万ドル(約75億円)のマイルストンを受領することになります。
ファイザー社(説明資料:リンク)
ファイザー社の発表の中では、当社が関連するGLP-1作動薬(PF-6954522)に関して言及がありました。
"In our broader obesity portfolio, we continue to advance our early-stage candidates, including our oral small molecule GIPR antagonist, which is advancing to Phase 2 in 2024 this year and an additional once-daily oral GLP-1 receptor agonist in Phase 1"
当社の肥満症ポートフォリオ全体では、2024年にPh2に進む予定の経口低分子GIPRアンタゴニストや、Ph1にある1日1回経口投与GLP-1受容体作動薬など、初期段階の候補薬の開発を継続している。
"...we always like to bring in this huge segment in drugs and have more options as we advance. And you've heard there are so many applications for GLP-1s and that's why we have a second once-a-day agent."医薬品市場における巨大な市場に製品を投入し、進捗に合わせより多くの選択肢を用意したいと考えています。GLP-1作動薬には多くの用途があります。それが、当社が1日1回投与の治療薬候補を2つも持っている理由です。
なお、2024年10月29日付の最新パイプライン(
リンク)では、臨床開発段階にある当社との提携プログラムが引き続き掲載されています。
- GLP-1作動薬(PF-06954522/糖尿病・肥満
現在2型糖尿病患者を対象としたPh1bが進行中です。(リンク)
- MC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)
以前は一つ目のPh1試験の結果が公開されていましたが(リンク)、今年10月には2つ目のPh1(複数回漸増試験)の結果がClinicaltrials.govで公開されています(リンク)。
- CCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)
2Qの時からのアップデートはありません。既存のPh1b試験(リンク)に加え、現在日本人を対象としたPh1(リンク)が進行中です。
今後とも、よろしくお願いします!