2024年5月30日木曜日

Centessaからのマイルストン受領とPresicionLife社との提携拡大

皆さまこんにちは、IR&コーポレートストラテジー部長の田原です。

本日2件のリリースを発表させていただきました。


1件目はCentessa社からのマイルストン受領です。

Centessa社が開発中のORX750がP1試験を開始したことに関連し、当社は724万円(4.6百万ドル)のマイルストンを受領しました。

ORX750はオレキシン2受容体に作用する作動薬で、主にナルコレプシー1型(NT1)の治療を目的として開発されています。今回のP1試験では健常人を対象とし、安全性や忍容性などの項目だけでなく、有効性のシグナルを確認するProof-of-Concept(PoC)の試験も行う予定です。(詳しくは4/22のCentessa社からの発表をご覧ください)

Centessa社は今年の後半にはPoCのデータを得られるとしており、かなり迅速に開発を進めていることがわかるかと思います。以前のブログでも申し上げたように、この領域は注目度が高まってきており武田をはじめとし市場としても盛り上がってきています。Centessa社がORX750を力強く推進していることは、当社としても心強く感じています。

なお、今回の進捗について発表が遅れている旨のご指摘をいくつかいただきました。進捗を逐次発表することも可能ではありますが、小さいイベントも含めすべて発表するとかえって混乱を招くことから、当社は東証の基準に従い適時開示を実施しております。提携先のHPやClinincal trial.govなどのデータをご覧になられている方からすると、情報公開が遅いと感じられてしまうかもしれませんが、重要な情報は当ブログからの発信により補足もさせていただきますので、ご理解いただけますと幸いです。


もう1件はPresicionLife社との提携拡大です。

PresicionLife社とは神経科学分野での研究を目的とし2022年に共同研究契約を締結していました。今回は神経科学分野に加え、自己免疫疾患へ対象疾患を広げることを決定しました。

PresicionLife社は慢性疾患の研究を行う企業で、DiseaseBank™と呼ばれるゲノム情報などのオミックス情報を含む慢性疾患の研究結果をまとめたデータバンクを活用し、病気の原因特定や治療の個別化を目指している会社です。(詳しくはPresicionLife社HPの説明をご覧ください)

多くの疾患は複数の要因の組み合わせで発症することがわかってきており、PresicionLife社はDiseaseBank™のデータを分析することで、原因となる組み合わせを見つける技術を持っています。また、その要因によって患者をグループ化することで、より最適な治療薬を見つける手助けもできるようになります。

PresicionLife社との提携を強化したことで創薬や早期開発を加速させ、より早くいい薬を患者さまに届けられるよう引き続き一同頑張っていきます。


これからも、よろしくお願いします!

2024年5月9日木曜日

1Q決算とM1作動薬NBI-1117567のP1開始を発表しました

 みなさんこんばんは、IR&コーポレートストラテジー部長の田原です。

本日5月9日(木)に2024年期第1四半期の決算を発表いたしました。また、ニューロクライン社が進めるM1作動薬のNBI-1117567のP1臨床試験開始も発表いたしました。


決算ハイライト

決算短信

ご参考:最新版のコーポレートプレゼンテーション

M1作動薬のプレスリリース


以下それぞれポイントを絞ってご説明いたします。

Q1決算

詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高46.1億円(昨年は9.4億円)、営業赤字30.8億円(昨年は19.6億円の赤字)となりました。ベーリンガーインゲルハイム社との新規提携や、ピヴラッツの売上により昨年に比べ収益は大幅に増えましたが、費用面でもNPJ/NPK事業関連を含め費用増となりました。


【セグメント別の売上高、営業損益・コア営業損益(決算短信:P7、コーポレートプレゼンテーション:P30)】

【ピヴラッツの薬価ベースの売上推移(コーポレートプレゼンテーション:P32)】


【1Q決算のブレークダウン(コーポレートプレゼンテーション:P31)】


対象疾患であるくも膜下出血は冬に多くなること、病院では一定の備蓄をするため使用時期と購入時期にずれがあることから、昨年と同様4Qから1Qにかけてピヴラッツの売り上げは減少しています。ただし、昨年1Qと比較すると約19%売り上げが伸びており、順調に市場に浸透していることがわかっていただけるかと思います。

また、3月にベーリンガーインゲルハイム社(BI社)との提携を発表し、契約一時金が入ったことで収益が増加しました。なお、BI社との契約一時金の総額は約41億円ですが、その一部のみを1Qの売上として計上しています。

コスト面では、NPJ/NPK(旧IPJ/旧IPK)の統合関連の一時的もしくは非現金の支出が引き続き発生しているため、コア営業損益と営業損益の差が大きくなっています。

研究開発ではFormosa社のクロベタゾールプロピ オン酸エステル点眼液 0.05%のFDA承認取得、IBD治療薬候補のGPR35作動薬の権利再取得完了、IBD治療薬候補のEP4受容体作動薬のP1開始など、収益に対する貢献は大きくはないもののいくつかの重要な進捗がありました。

M1作動薬のP1開始
昨日提携先のニューロクライン社がM1作動薬(M1 preferring agonist)であるNBI-1117567のP1開始を発表しました(ニューロクライン社のリリースはこちら)。NBI-1117567はM1/M4受容体双方に作用するものの、M1の方への選択性が高い分子であり、精神・神経疾患における認知症状の治療を目的とした化合物です。

これで当社が創出し、ニューロクライン社が臨床試験を行うムスカリン作動薬は以下の4つとなりました。

  ● NBI-1117568:M4作動薬Phase2試験中(24年3Qデータ発表予定)
  ● NBI-1117570:M1/M4作動薬Phase1試験中
  ● NBI-1117569:M4作動薬(M4-Preferring)Phase1試験中
  ● NBI-1117567:M1作動薬(M1-Preferring)Phase1試験開始

なお、以前のブログでもご説明した通り、NBI-1117567について、我々は日本での開発販売権を持っています。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

2024年5月2日木曜日

ニューロクライン社が1Q決算を発表

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

昨晩、我々の提携先のニューロクライン社とファイザー社が24年1Q決算を発表しました。大きなアップデートはありませんでしたが、ニューロクライン社のM4作動薬(NBI-1117568)について、今年の3Q(7-9月)に現在進行中のフェーズ2試験の結果が発表されることになりました。従来の予定だった下期(7-12月)や、ClinicalTrials.gov(臨床試験のデータベース)の12月よりもやや前倒しの進捗となり、順調な進捗を我々も嬉しく思っています。詳細は以下をご覧ください。

●ニューロクライン社説明資料
当社がライセンスしているM4作動薬(NBI-1117568)をはじめとしたムスカリン作動薬シリーズ(以下、黄色マーカー)について、いずれも順調に進捗しているとの説明がありました。



説明会の中でも、M4作動薬の患者組入れを含めたプログラム全体の順調な進捗に対して、いくつかのコメントがありました。

"We are really happy with the progress we've made with 568 and happy to be able to share that. In the third quarter we'll be coming forward with data."
(NBI-1117568の進展とそれを皆さんとシェアできることにとても満足しています。今年の3Q(7-9月)にデータを発表する予定です)

"One last comment, just a big shout out to the muscarinic team. This is an example at Neurocrine, it's a very important program. We're able to really push forward the timing of when we'd expect top line data, I think by a couple of quarters."
(最後にムスカリンチームにエールを送りたいと思います。これは非常に重要なプログラムですが、(NBI-1117568の)データ発表時期を数四半期、前倒しすることができました)


●ファイザー社パイプライン
大きなアップデートはありませんでしたが、当社との提携から生まれた3つのパイプラインについては、いずれもパイプライン表やClinicalTrials.govで順調に進んでいることが確認されました。

GLP-1作動薬(PF-06954522/糖尿病・肥満)
今年2月に健康な方に対するフェーズ1a試験が終了した直後に、患者さまを対象としたフェーズ1b試験が開始され、現在進行中です。また、4月末にはいくつかの剤形をテストする新たなフェーズ1試験の開始が登録されました。

MC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)
昨年7月に2つ目のフェーズ1試験が完了しており、 今年2月には最初のフェーズ1試験の結果がデータベースに登録されました。今後の開発進展に期待したいと思います。

CCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)
現在進行中の、患者さまを対象としたフェーズ1b試験について、今年の4月に、終了時期の前倒し(今年10月→7月)がデータベースに登録されました。また、同じく今年の4月に、新たに日本人を対象としたフェーズ1試験の開始が登録されました。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!