みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
2/10(木)に開催した2021年12月期オンライン決算説明会について、最終的に528名という多くの皆様にご参加いただきました。夕方のお忙しい中にも関わらず本当にありがとうございました。説明会中やその前後も含めて、口頭、テキスト、メールなどでいただいていた合計188件のご質問、ご意見、激励などのうち、重複を整理した以下の100件についてお答え致します。(※カッコ内の数字は同様の主旨の質問の件数です) また、普段よりも多くの質問を頂戴し、回答までに時間をいただきまして大変恐縮です。この場を借りてお詫び申し上げます。
・決算短信
・説明会資料
・説明会動画
●目標や今後の成長戦略について(22)
Q1:
中期経営計画などの中長期ビジョンを発表する可能性や時期は?数値が無くてもビジョンを見える形にできないか?(5)
A1:
A2のような背景から、売上高など財務指標を含む中期ビジョンを公表することは、かえって混乱を招くことになりかねず、時期尚早だと考えています。一方で、開発品の数や進展については何等かお示しできる方法が無いかについては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
Q2:
2022年12月期について、費用だけではなく売上高を含めた業績予想を開示できないのか?(3)
A2:
売上高はイベントによる変動要因が大きく、正確な予想が困難であることから当面の間は開示することは考えていません。例えば、2021年の売上高は11月のニューロクライン社との契約による一時金114億円を含めて約177億円でしたが、仮に契約が先方都合などで1か月半後ろ倒しになっていれば、2021年の売上高は約63億円だった可能性がありました。また、契約一時金が114億円というのも、当初の社内の想定を大きく上回っており、予想は困難でした。業績予想を出した上でこれらを都度修正することも物理的には考えられますが、そもそも予想の精度が低い状況で予想を出すことの是非や、その後の修正の振れ幅の大きさを踏まえると、投資家の皆様を逆に混乱させる可能性が高いと、現時点で判断しています。将来的にロイヤルティ等の予想可能な売上高の占める割合が増えた際には、予想を開示することを検討したいと思います。
Q3:
クリス新CEOの成長プランや今後の注力点は?以前あったCOO職は、新経営体制下では復活するのか?(2)
A3:
より大型なディールを行うための自社でのPOC獲得(Ph1b/Ph2a試験)と、M&A/新開発品導入を通じた非連続的な成長に注力していきます。また、ヘプタレス社に社長のポジションを設けることで、当面はグループとしてのCOO職を設ける予定はありません。
Q4:
今後の人員計画の目途は?増強した人員を使って、主にどの分野に注力していきたいと考えているのか?(2)
A4:
従業員数として今後1~2年で約230名を目指しており(2021年12月末:198名)、主には基礎研究と開発を強化する予定です。基礎研究の人員強化は我々の創薬プラットフォームをより強化すると同時に、創薬提携をより活発に行うためです。開発の人員強化は、ディールの規模拡大のためPh1試験までを自社で進めるために、必要な人材を確保するためです。
Q5:
パイプラインについて以前のように「今後12~18か月以内に進捗予定」の表記はしないのか?自社品だけでも予定を開示できないか?(2)
A5:
ご意見ありがとうございました。自社品については、進展時期の目安を定期的にアップデートしお示ししたいと思います。導出済みの開発品のスケジュールは、パートナーの開示内容以外は当社からは開示できませんが、自社品の開発スケジュールは開示可能ですし、また開示姿勢としてもそうあるべきだと私も考えます。主な自社品に対する現時点での想定としては、以下のタイミングでの臨床試験入りを目指しています。また、英国から日本への渡航がよりスムーズになることを前提に、2022年後半にR&D説明会の日本での開催を検討しており、ヘプタレス社社長のマット・バーンズからより詳細な戦略などをご説明できればと思っています。(感染状況などによって、変更になる可能性がある点についてご了承ください)
GPR52作動薬 2023年上半期
EP4拮抗薬 2023年上半期
H4拮抗薬 2023年上半期
EP4作動薬 2023年年末
Q6:
今期以降も黒字を維持する方針を堅持するか?開発を進めるためにある程度の赤字になるのは、日本の株主も全否定はしないのでは?(2)
A6:
基本的には黒字を維持する方針ですが、A2の通り変動要因も大きいため不確実性があるのが実態です。研究開発発費を大きく増やすことによる赤字拡大は今の所は考えていませんが、開発品のポテンシャルが大きく収益時期が比較的近い場合には市場からも高く評価される可能性があると理解していますので、将来的にそのような機会があれば思い切った投資を検討します。
Q7:
JPM資料のP7(参考)やPar2ペプチド、Mpro阻害薬、OX作動薬などを踏まえると、前臨床候補品の創出が1つ以上は少なすぎないか?(2)
A7:
「1つ以上」ですので1つを目指している訳ではありませんが、目標の見せ方については今後の検討課題としたいと思います。勿論、可能な限り多くの前臨床候補品を、今年も得ることを目指しています。
Q8:
2021年はM1とM1/M4の前臨床入りで2つの前臨床の目標達成とされているが、M1はステージ後退に伴うものなので他には何があるか?
A8:
その他にはGPR52作動薬があります。前臨床候補品について、今回はスペースの都合上「~等」としてGPR52の名前が出せませんでしたが、今後はスペースと相談しつつ、何が該当したかを皆様にお示しできればと思います。尚、前臨床候補品の創出の数は、創薬プラットフォーム技術の強さの目安の一つと考えており、バックアップ化合物を含めてカウントしています。
Q9:
M&A/新開発品導入よりも、へプタレス社への投資を行うことが最も今後の成長に資するのでは?
A9:
ヘプタレス社には今後も十分に投資して成長を最大限加速していく方針ですが、新たな成長ドライバーの獲得も同時に模索していきます。ヘプタレス社の技術は現時点で非常に競争力がありますが、全ての技術が例外なくいずれは陳腐化する通り、10年後にも現在と同じ競争力がある保証はありません(勿論、我々は競争力を高められるよう最大限の努力はします)。既存ビジネスに陰りが見えてからM&Aなどの戦略的なアクションを検討しても遅く、またM&Aでのシナジーによって既存ビジネスをより強化していくことも含めて、先手を打って成長に投資していく考えです。
Q10:
2022年は新規のPh2試験をいくつスタート出来そうか?
A10:
1つ以上になると考えています。ニューロクライン社が既に発表の通り、M4作動薬(HTL16878)のPh2試験は2022年に開始予定です。また、現在Ph1試験段階にある開発品のうちいくつかのものは、試験開始からある程度の時間が経過していますので、Ph2試験に進む可能性があると考えています。一方で、これらは全てパートナーに導出済みの開発品ですので、開発が進むか否かはパートナーの決定次第になります。
Q11:
御社の5年後/10年後の展望は?
A11:
安定的な収益基盤を確保しつつ、イノベーションによる強力な成長ドライバーを持つ企業を目指しています。安定的な収益基盤の確保については、現在目標としているM&Aでも大きなテーマとなっており、これを達成することで確保していく所存です。イノベーションについては当面、ヘプタレス社が強力な成長ドライバーになっていますが、収益基盤が安定すればその資金を活用した次のM&Aを通じて、第二のヘプタレス社となりうるイノベーションの獲得を検討していきます。
●M&Aについて(18)
Q12:
世界的に株安が進行しているが適正価格のM&A先候補は見つかりそうか?時期、規模、ターゲット、実現可能性の目安はあるか?(8)
A12:
M&A候補先については鋭意検討を行っています。世界的には依然として2020年の資金調達時よりは割高(例:Nasdaqは+30%の水準)ですが、ご指摘の通り昨年末からは株安も進行しており、若干の追い風を感じつつ状況を注視しています。交渉事かつ相手もいますので時期、規模、実現可能性については、申し訳ないですが言及できません。ターゲットは売上・利益の規模の拡大だけでなく、当社グループとのシナジーがあり、一体となって事業を行うことで、双方の事業にとってプラスアルファを生み出していくことができる相手を考えています。
Q13:
東証プライム上場のための安定収益確保という意味では、M&Aを2022年の早いうちに行う必要があるのでは?(3)
A13:
2022年内でのM&Aの時期は、プライム上場という意味ではそこまで重要ではないと考えます。我々はA32にも記載の通り、既に2021年12月期の業績でプライム上場の形式要件を基本的に満たしています。一方で実質要件である安定的な収益基盤については、2022年12月期の業績というよりは、より中長期的目線での判断になります。当社としては、パートナーである大手製薬企業との間で既に1兆円を超えるマイルストンの未受領残高があるため、既に安定的な収益基盤は確保されていると考えていますが、仮にM&Aでこれをより強化する場合でも、2022年12月期の業績に焦点を当てた審査が行われるわけではないと理解しています。
Q14:
M&A/新開発品導入の進捗状況はどうか?唯一Ph2試験中だったA2aが止まっているのであれば、M&Aで時間を買うべきではないか?(2)
A14:
基本的に我々もそのように理解しています。ご指摘の通り、M&Aは一般的にも自社で事業を構築するのに必要な時間を買うことが大きな目的の1つですので、M&A/新開発品導入により収益基盤を強化することを検討しています。
Q15:
M&Aについて株式取得による子会社化より、株式交換、株式移転などでM&Aコストを抑える考えはあるか?
A15:
M&Aの手法として活用する可能性はあります。一方でM&Aはいい相手先を確保することが第一優先ですので、実施にどのような手法になるかは、あくまでも相手先企業の意向などによります。
Q16:
M&A後にM&A先の役員を経営陣に入れる可能性について言及があったが、執行役なのか、株主総会決議が必要な取締役なのか?
A16:
具体的な相手次第ですので、現時点でのコメントは控えさせていただきます。
Q17:
POCまで候補品を進捗させて、かつM&Aもすることは現状で可能なのか?
A17:
可能だと考えています。POC獲得までの開発資金はそれほど大きくないため、既存の収入の中で十分賄うことが可能です。一方でM&Aについては、別途行った資金調達やこれまでの収益の積み重ねで約600億円の資金を確保しています。
Q18:
今後M&Aをしないまま時間が進んだ場合、調達した資金はどうするのか?資金使途変更はあり得るか?
A18:
資金使途変更は考えておらず、M&Aを含めた戦略的成長のために投資する予定です。予定はありませんが、仮に資金使途を変更する場合には速やかに開示する必要がありますので、アナウンスが無い限りは、使途の変更も無いとお考えいただければと思います。
Q19:
M&A候補としてインドのジェネリック薬企業などは考えられるか?成長性は非常に成長が高いと思うが?
A19:
現時点でその可能性はありません。ジェネリック薬のAPIを製造する事業は薄利多売で競争も激しく、当社が参入すべき事業だとは考えていません。
●ライセンスについて(17)
Q20:
年末にもブログで言及していた2021年の目標だった2-3件の提携のその後の進展と達成できなかった要因は?今期目標には含まれるのか?(8)
A20:
やや時間がかかっており恐縮ですが、交渉は順調に進展していますので今しばらくお待ちいただければと思います。既に2021年12月期は決算説明会が終了しており、2021年の提携は残念ながら1件のみの達成となりましたので、それ以降の提携は2022年に含まれます。一方、2022年の提携の目標は1件以上ですので、ディールの価値を向上させながらも提携の件数を増やすべく、事業を進めてまいります。
Q21:
現在の自社パイプラインは、原則Ph1までは自社で行うという認識でよいか?いつごろまでにPh1試験を開始する予定か?(2)
A21:
原則はPh1を行い、POCを取得する段階まで自社で開発し、付加価値をつけた後に導出する方針です。Ph1試験の開始時期の目途はA5もご参照下さい。一方で、前臨床段階の4つの自社プログラムの全てを必ず自社でPh1試験まで進めるというわけではなく、好条件であればそれ以前の段階で、1~2本のプログラムを導出する可能性もあります。
Q22:
SSTR5作動薬など自社開発しない開発品の交渉の展望は?HTL6641(デュアルオレキシン拮抗薬)などの提携募集開始が遅いのはなぜか?(2)
A22:
交渉は絶えず行っていますが、導出に至るか否かは現時点では不透明です。これらの自社開発品は、決算説明会資料ではここ1年以内で登場したり、位置づけが変更されましたが、導出交渉自体は実際にはかなり以前より進めています。これだけの期間、導出交渉をしながらもそれが進まないことからも明らかなように、そこまで引き合いの強い開発品ではありませんが、研究開発のトレンドから再注目されることも考えられますので、引き続き交渉を行っていきます。
Q23:
Ph1試験以降での導出がアデノシンA2a拮抗薬やムスカリン作動薬シリーズしかなく、それ以外の創薬段階での提携が多かった理由はなぜか?
A23:
業績安定化のため早期導出を優先したことが主因です。一方、ニューロクライン社へのムスカリン作動薬シリーズの導出が達成されたことで、今後は業績がこれまで以上に安定化すると期待されますので、Ph1試験までを自社で開発後に導出することで、ディール規模を拡大していく予定です。尚、アデノシンA2a拮抗薬は前臨床段階で導出しており、臨床まで進めてから導出したのはご指摘のムスカリン作動薬シリーズとmGlu5 NAMの2つになります。
Q24:
臨床入りした方が導出時の価値が上がるため提携の目標を年平均2から1つに変更したとしているが、それは以前から分かっていたのでは?
A24:
はい、以前から分かっていたことですが、業績安定化をより優先して早期導出に取り組んできました。A23の通り、ニューロクライン社への導出で一定の目途が立ったことから、戦略をシフトさせている途中です。
Q25:
2022年度の導出は一旦ペンディングとし、自社でのP1実施を優先した方が利益の最大化という観点ではよいのではないか?
A25:
概ねその方針で考えていますが、好条件でのオファーがあれば全く検討しないということもありません。A21もご参考下さい。加えて、より基礎段階から行う創薬提携については、2022年も引き続き提携交渉を進めていきます。
Q26:
プライム上場への形式要件と関連し、売上高100億円を生み出すドライバーが自社品のPOC獲得とそれによるライセンス規模の拡大なのか?
A26:
プライムの形式要件である売上高100億円は、2021年12月期に既にクリアしています。一方で、実質要件の安定的な収益基盤については、ご指摘のPOC獲得とそれによるライセンス規模の拡大、またそれに加えてM&A/新開発品導入などを通じて構築していく考えです。
Q27:
前臨床化合物の一部の導出や創薬提携の拡大などが、今後、POC獲得までの短期的なライセンス候補になるのか?
A27:
ご認識の通りです。自社開発品であるGPR52作動薬、H4拮抗薬、EP4拮抗薬、EP4作動薬の4つのうち、多くは自社でのPh1試験後に価値を高めて導出することを目指しますが、好条件であればそれ以前の段階で導出するプログラムが1~2本程度ある可能性もあります。また、創薬提携については引き続き積極的に進めていく予定で、短期的な新規契約の候補になると考えています。
●東証プライムなど上場市場変更の可能性について(16)
Q28:
プライム上場に向けた申請、移行の時期は?申請時のIRや、それ前までの段階でプライムについて明確な宣言などは出来ないのか?(8)
A28:
2021年12月期の業績で上場する場合、上場自体や当社の発表はいずれも2022年末から2023年頭となる見込みです。2021年12月期にはプライム市場上場の形式要件を基本的に満たすことができましたので、プライム市場上場に向けて取り組みを進めて参ります。一方で、プライム市場への上場には形式基準に加えて東証による実質基準の審査があり、その判断は東証次第ですので、上場が確定しない段階で当社から明確な宣言などを行うのは控えさせていただいています。
Q29:
ナスダックや欧州市場など、海外市場への上場も検討しているのか?(3)
A29:
現段階では検討していません。ナスダック上場などは過去に検討しましたが、現時点では上場/維持のコスト、さらにバリュエーションの違いなどから、合理的ではないと判断しています。ナスダックの評価では基本的に臨床後期(モダリティによるが一般的にはPh2b以降)の有望な自社開発品が重要で、黒字・赤字など業績は問われません。一方で、日本での評価はプライム市場も含めて、一定の安定した業績が企業評価に対して重要と認識しています。そのため、2つの市場間の企業評価が連動しにくく、例えばデュアルリスティングなどを想定した場合、どうタイミングを合わせるかに難しさもあります。我々は日本で設立され、日本の株主の皆様から多くのご支援を頂いて成長したと自負しており、引き続き事業自体の進展と、日本を主とした投資家様への説明を尽くすことで、企業価値を向上させていく方針です。
Q30:
プライムについて以前よりも説明がトーンダウンしていると感じたが、その理由は何か?(2)
A30:
プライム上場に向けたトーンに変更はなく、21年12期の業績でのプライム市場への上場を目指します。ただし、繰り返しご説明している通り、プライム市場上場の可否は東証の判断であるため、我々から確定的な情報発信などは控えていることに加え、我々が成長ドライバーとして目指しているM&Aにおいても、特に大型のM&Aが成立した場合には審査のやり直しなどでプライム上場の時期が延期されることも想定されるため、やや保守的な印象を持たれるご説明になったものと考えられます。
Q31:
東証プライムへの移行は2022年末頃とのコメントが以前あったが、申請が早まる可能性はあるか?
A31:
現時点でその可能性はありません。21年12月期の業績でプライム市場への移行を目指す場合、プライム市場への上場時期は各種準備や審査を経た2022年末から2023年頭が想定されます。
Q32:
2021年12月期の結果で東証プライムへの上場要件を満たしたと考えているか?
A32:
2021年12月期の業績で東証プライムへの上場要件を基本的に満たしました。これまでプライム上場の形式要件の中で唯一満たしていなかった要件は収益基盤であり、この点を2021年12月期の決算で満たすことができました(売上高100億円かつ時価総額1,000億円以上)。一方、時価総額については将来のある期間の株価を基準にしていますので、過度に評価が低迷することのないよう努めていきます。
Q33:
東証スタンダードへの鞍替えはあり得るのか?
A33:
現時点でその可能性はありません。我々はプライム市場への上場に向けて取り組みを進めていますが、求められる基準が違いますのでスタンダード市場への上場と並行して検討するのは困難です。また、プライム上場によるメリットの一つはTOPIXに組み入れられることによってTOPIXをベンチマークしている国内外の多くの投資家の投資対象になり得ることですが、現状ではスタンダード市場ではそのようはメリットはありませんので、やはり優先して取り組むことは考えていません。
●研究開発について(69)
- ムスカリン作動薬シリーズ(24)
Q34:
M1作動薬はどの候補化合物で開発を進めるのか?HTL18318だけ他社に導出する可能性はあるか?(6)
A34:
これまでM1作動薬(バックアップ)としていた、前臨床段階にある次世代の化合物を使用します。HTL18318のみを他社に導出する可能性はありません。次世代の化合物は、より高い有効性と安全性が期待できるのと同時に、HTL18318に比べて特許期間も長く、今後の開発を踏まえてもベストな選択だと考えています。HTL18318は既にニューロクライン社に導出されていますので、同社の合意が無い限り再び他社に導出することはありません。
Q35:
HTL18318(M1作動薬)で出た毒性の原因やFDAとの協議のアップデートは?導出したので開示できないというのは流石に不誠実では?(3)
A35:
毒性の原因を解明するための試験は予定通り2021年末に完了しましたが、結果は申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。我々は自社で医薬品を最後まで開発するのではなく製薬企業に導出するビジネスモデルを採用しており、ムスカリン作動薬シリーズについても例外ではなく、アッヴィ社からの返還直後からより良い経済条件での再導出を目指して、パートナー候補と交渉を進めてきたことはご承知の通りです。導出後には各種のデータを含めた権利は全て先方に移管されますので、残念ながら我々が勝手に発表することはできません。一方、これもご案内の通り、ニューロクライン社はこれらの試験結果を見た上で、最終的にHTL18318の開発は進めず、次世代のM1作動薬の開発は進めるということを決定しています。一般的にこれは、少なくとも次世代のM1作動薬は、HTL18318でみられた毒性とは無関係という判断と考えられます。
Q36:
HTL16878(M4作動薬)のPh2試験の開始はいつになるのか?今期だとすればその中でもいつごろか?(3)
A36:
ニューロクライン社が開示している通り、2022年にPh2試験を開始予定です。今期の中でのタイミングについては、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。
Q37:
日本はDLBを対象にHTL18318で独自に開発を進める可能性は?日本での開発方針が曖昧に感じたが、今後の具体的な開発方針は?(2)
A37:
日本は次世代のM1作動薬を使用して、先ずはDLBに対して開発を進める予定です。これらは、今後のニューロクライン社との詳細な協議次第ですが、1つの一般的な開発戦略は、まずは2023年に予定されているPh1試験(健常人対象)をニューロクライン社が、日本人を含むグローバルスタディとして実施し、その後、患者対象の試験に進む段階で、日本に関しては主にDLBを対象(DLBの患者は日本に圧倒的に多い)に我々が日本での試験を進め、グローバルではアルツハイマー型認知症など、より一般的なタイプの認知症や神経疾患を対象にニューロクライン社が開発を進めることだと、現時点では考えています。
Q38:
MapLight therapeuticsがM1/M4デュアル作動薬であるML-007を開発しているが見解はあるか?(2)
A38:
MapLight社の動向については把握していますが、Ph1試験を開始したばかりで現状でコメントできるようなデータは発表されていないと考えています。いずれにせよ、我々は不安定なGPCRの構造を解析した上で、SBDD(IT創薬)によって精密な化合物をデザインすることを強みとしており、その強みを活かした創薬で、より高い有効性と安全性を持った化合物の開発を進めていきます。
Q39:
HTL16878(M4作動薬)のPh2試験の開始のマイルストンはアラガン時より大きいと考えてよいのか?
A39:
マイルストンの金額については、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。ただ、開発マイルストン総額は2016年のアラガン社との契約では665百万ドルだったのに対し、2021年のニューロクライン社との契約では1,500百万ドルへと倍増しています。従って一般的には、マイルストンの金額規模や受領する回数などが増えると、ご理解いただければと思います。
Q40:
HTL16878(M4作動薬)の統合失調症に対するPh2試験の相の結果が良ければ、双極性障害やパーキンソン病に適応拡大するのか?
A40:
ニューロクライン社の判断次第になります。ただ、ある疾患に対して効果が確認された場合、類似した疾患に適応を広げることは製薬業界での一般的な戦略になりますので、試験が成功して適応疾患が拡大されることを我々も期待しています。
Q41:
ニューロクライン社と素晴らしい関係を築いているとの発言があったが、具体的にはどういうことを指しているのか?
A41:
通常の導出とは異なり、ニューロクライン社とは導出後も綿密に連携しながら業務を分担して研究開発を進めており、ムスカリン作動薬シリーズ全体の価値最大化という同じ方向に向け、深く連携していることを指しています。一般的にパートナーとの間で開発方針や開発品の中での重みづけなどが異なると、開発の遅れや最悪の場合には開発中止などにつながりかねませんが、我々は全てのムスカリン作動薬を最も効率良く開発する方針で一致しており、パートナーとしての結束を深めています。尚、ムスカリン作動薬シリーズについて当社が行った業務にかかるコストは、研究開発支援金としてニューロクライン社から当社に支払われます。
Q42:
HTL9936/18318(M1作動薬)の開発がなくなったことで、得られる開発マイルストンが減る可能性はあるのか?
A42:
マイルストンの内訳については、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。ただ、我々はM1作動薬について、HTL18318/9936が開発された場合でも、バックアップ化合物が開発された場合でも、どちらにしてもマイルストンを受領できるような契約としています。
Q43:
HTL18318の毒性の影響でM1/M4デュアル作動薬も作り直したのか?デュアル作動薬の開発の変遷の解説は?
A43:
M1/M4デュアル作動薬について、特に作り直しなどは行っていません。尚、M1作動薬バックアップもM1/M4デュアル作動薬も、HTL18318とは構造の骨格が異なっています。
Q44:
ムスカリン作動薬シリーズは、提携前に計画していた昨年内の進捗は全て完了してニューロクライン社に導出したのか?
A44:
はい、全て完了後にニューロクライン社に導出しています。一方で、臨床試験前までの開発に関しては、ニューロクライン社からの研究開発支援金に基づいて、引き続き我々が開発を実施しています。
Q45:
条件付対価の支払期限が2021年末までであれば、なぜ2022年に契約しなかったのか?遅らせないまでも前倒しの必要性はないのでは?
A45:
導出交渉は相手のある話であり、当社の都合で前倒しや後ろ倒しなどは行いません。お互いが最短での製品化を目指すパートナーとして、信頼関係を構築することが重要であり、その信頼関係が各種条件交渉などにも跳ね返ってきます。2021年初には12-18カ月の交渉期間が予想されたのは事実ですが、その後にご案内していた通り交渉が予想よりも順調に進み、2021年内の導出を目指していた通りです。
Q46:
ムスカリン作動薬シリーズは、2度目の導出でも旧株主の支払いが発生するのはなぜか?
A46:
旧株主との契約では導出の回数に関わらず主に2021年末までに行った導出について、支払いが発生する契約になっていたためです。一方でご案内の通り、旧株主との2015年の株式取得契約の大部分は2021年末で失効しており、今後は発生する条件付対価はかなり限定的なものとなります。
- その他の開発品(15)
Q47:
TMP301(mGlu5 NAM)は臨床試験の加速に向けたTrialSpark社との提携などにもかかわらず、1年以上進捗がないのは何が問題なのか?(8)
A47:
具体的な進捗はパートナーとの関係から開示できませんが、プロジェクトは順調に進んでいます。導出自体は2020年でしたが、我々が始めた2本のPh1試験(NCT03785054、NCT04462263)が完全に終了したのは2021年で、現在はそれを受けたPh2試験の準備を行っています。また、Ph2試験を始める前の段階で、将来的な商用生産に向けた効率的な製造方法を検証したり、臨床試験と並行して当局から求められる可能性のある動物データ等をあらかじめ取得しておくことは、比較的一般的な開発のプロセスになります。TrialSpark社は臨床試験開始後にその期間を短縮するのに有用ですので、今後、Ph2試験以降の試験期間の短縮に力を発揮してくれることを期待しています。
Q48:
AZD4635(A2a拮抗薬)の開発進捗状況はどうか?返還交渉は行っているのか?再導出の場合にはがん領域と神経領域のどちらになるか?(7)
A48:
現在は権利を再取得した場合の開発方針、ポテンシャル、潜在的な導出先を精査している段階です。再導出できる可能性が高いとなればAZ社に返還を求めますが、返還には手間や時間も必要ですので、再導出の可能性を見極めた上で判断したいと考えています。データにもよりますが、再導出する場合には、1) がん種の変更やバイオマーカーでの層別化した上でのがん領域、2) 開発初期に我々が想定していたADHDなど中枢領域、のいずれの可能性も、現時点ではありえると考えています。
- 戦略的提携/基礎研究(12)
Q49:
決算説明会資料P47に出てくる新たなGPCRはどのような位置づけのものか?Verily社との新規ターゲットか?(2)
A49:
各疾患領域で有望だと考えているターゲットの一部で、開示されていない自社開発プログラムでのターゲットも含まれています。Verily社との新規ターゲットは今後候補の洗い出しと絞り込みが行われますが、ここには含まれていません。Verily社との提携ではどのターゲットを選択するかが競争上非常に重要になりますので、一定段階以上に開発が進むまではターゲットをお示しすることは無いと考えます。
Q50:
足元ではVerily社など含め大規模な戦略的提携が増えている印象だが、人員は足りているのか?Verily社との提携の詳細は?(2)
A50:
現状で十分な人員を確保していますがプロジェクト数も増えているため、人員の補強を並行して行っています。Verily社との提携は、Verily社の持つImmune Profilerというデータベースに蓄えられた膨大なヒト(健康な場合、疾患がある場合等)の免疫細胞での、遺伝子発現プロファイル(どの遺伝子がどれだけ発現しているか/していないか)やエピジェネティック(実際のタンパクの発現量や修飾等)のデータを使い、これまでに病気との関りが解明されていないGPCRについて世界に先んじてそれを我々が解明することで、価値の高いファースト・イン・クラスの医薬品候補を生み出すことを目指しています。
Q51:
抗体プラットフォームの構築はM&Aと技術提携のどちらで行うのか?また、いつごろまでに行うのか?
A51:
いずれも考えられますが、既にTwist社と提携している通り技術提携は先行しており、今後も進めていきます。M&Aについては他の候補との比較、また相手先次第の部分もありますが、候補となりうる企業タイプの一つだと考えています。
Q52:
ペプチドリーム社との共同開発品も含む複数のアトピー性皮膚炎の候補品があるが、これらの差異は何か?
A52:
一般的にはPAR2(抗体、ペプチド)が炎症、H4は炎症と痒みの両方を抑えるターゲットだと期待されています。また、炎症についてもPAR2とH4では抑えるメカニズムが違いますので、将来的に重症度や症状などに応じた使い分けが考えられます。一方で、ペプチドリーム社との提携品については、現在は抗炎症作用を活かして炎症性腸疾患への適応を目指しています。
Q53:
Kymab(抗CXCR4抗体)やペプチドリーム(抗PAR2ペプチド)との提携は何年も進捗が無いように見えるが、続ける価値はあるのか?(2)
A53:
抗CXCR4抗体については既にKymab社にバトンを渡しており、当社として何らかの支払いや作業が発生しているということはありません。抗PAR2ペプチドについては昨年ペプチドリーム社から発表があった通り、前臨床に向けて順調に開発が進んでいます。尚、抗CXCR4抗体は開発段階が進展していないように見えますが、Kymab社が大手製薬企業のサノフィ社に買収されたことで、これまでよりも開発が加速することを期待しています。
Q54:
Kymab、武田、ジェネンテックと提携して抗体の開発を行っていると思うが、TWISTとの提携で作り直しということはありえるのか?
A54:
基本的には作り直すことはありません。Kymab、武田、ジェネンテックは既に抗体医薬に関するノウハウを多く持っており、それらを活用して抗体開発を進めています。TWIST社とは、また違うターゲットに対する抗体医薬の開発を進めています。
Q55:
Metrion社とのコラボレーションなど、イオンチャネルやトランスポーターなどGPCR以外の標的に対する創薬活動の進展は?
A55:
発表できる内容には至っていませんが、Metrion社との提携は順調に進展しています。トランスポーターに対してはこれまで特段の取り組みは行っていませんが、将来的にはリスクリターンを精査したいと思っています。
Q56:
MicroEDでGPCRを解析したことはあるか?今後その予定はあるか?
A56:
MicroEDについては弊社内でも新たな技術として注目していますが、現在の所は使用していません。引き続き、その有用性も含めて動向を注視しており、必要に応じて利用を検討していきます。
Q57:
CryoEMでAntagonist向けのGPCRの構造解析を行うのにMORのICL3とNb6が使用できるとの発表が昨年あったが、利用状況・利用予定は?
A57:
これらの技術は現在の所使用していませんが、論文等の動向は注視しています。GPCRに対して汎用的に活用可能な手法かについて、今後検証が必要だと考えています。
Q58:
EP4拮抗薬は1相から患者対象でのチェックポイント阻害薬との併用試験となる可能性が高いため、自社での臨床開発は難しいのでは?
A58:
とても鋭いご指摘かと思います。我々もそのように認識しており、自社での権利を確保しつつ効率的に臨床試験を進めるための解決策を用意しています。現在は開示できませんが、一定の目途が立った段階でお知らせできるとは思いますので、今後の発表をお待ちいただければと思います。
- コロナ治療薬候補(5)
Q59:
他社に比べて進捗が遅いと感じるがいつPh1試験を開始するのか?昨年末の寄付額は十分なのか?(3)
A59:
現在のところ2023年のPh1試験開始が見込まれます。寄付額は十分ですが競争も激化しているため、ベストインクラスを狙える化合物を慎重に選定している最中です。また、ある程度のデータが揃った段階で、導出を並行して検討していく予定です。
Q60:
塩野義のものと比較した際の優位性はあるのか?世界のMpro阻害薬の中で何番手くらいの立ち位置だと考えているか?(2)
A60:
我々も塩野義と同じく1日1回、併用なしでの治療薬を検討していますが、まだ前臨床段階であり安全性・有効性での明確な優位性は不透明です。Mpro阻害薬の中ではファイザー、塩野義に次ぐ3番手と認識していますが、実際には公開されずに進んでいる研究もある可能性があります。一方で、そもそもウイルスはワクチンや薬剤などが誕生すると、それが効きにくい変異株がどうしても生まれる可能性が上がりますので、同じメカニズムでも構造の違う複数の薬が必要になります。例えば抗HIVウイルスに対するプロテアーゼ阻害剤はこれまでに9種類の薬が販売されており、プロテアーゼ阻害剤同士の合剤も含めて、歴史的に複数のブロックバスターが市場に共存してきました。これをみても、コロナ治療薬でも同じメカニズムで複数の治療薬があることは、極めて重要になると考えています。
- その他(13)
Q61:
今後、最初にPOCが取れそうなパイプラインとその時期は?また最初の上市品の時期についての見通しは?(2)
A61:
現在Ph1試験段階にあるM4作動薬他、A10に記載した通りPh2試験が始まる可能性のある複数のパイプラインが候補になると思われます。導出済みの開発品であるため、具体的に個別の開発スケジュールは申し上げられませんが、平均的にはPh2は2.5年、Ph3試験は2.5年、承認申請は1.5年が必要とされていますので(NATURE REVIEWS Drug Discovery/MARCH 2010)、仮に開発がこの平均に沿って成功裏に進んだ場合、POCの獲得は2024~2025年、上市は2028~2029年と予想されます。一方で、これらはあくまで平均であり、疾患などによってもそもそも異なりますので、我々もパートナーも出来るだけ早い進展を目指して開発を進めていきます。
Q62:
武田薬品、ジェネンテックからはマイルストン収入がある一方で、アッヴィとの提携からは無いが順調に進展しているのか?
A62:
順調に進展しています。アッヴィ社との契約では、基礎研究部分のマイルストンは契約締結時に既に一括で受領しているため、研究開発の進捗に応じて「その他パートナー企業からの収入:15.1百万ドル(2021年)」に、マイルストンが計上されています。
Q63:
Ph1試験まで自社で行うのはSSTR5作動薬、mGlu5 NAMの進展の悪さと関係があるか?あるいは単に会社の体力と自信の問題か?
A63:
ディールサイズを大きくできる可能性が高いという戦略上のメリットと、それを支える現在の会社の体力の問題になります。SSTR5作動薬、mGlu5 NAMはいずれも自社でPh1試験を行っており、方針の変更とは無関係です。
Q64:
ペプチドの開発品を後退させた原因についてより詳細な理由は?
A64:
体内動態、製造方法、またPh1試験の結果から、十分な商業ポテンシャルが確認できなかったためです。以前もご案内の通り、モダリティは疾患/ターゲットで最適なものを選ぶべきなので、それ自体の優劣はありませんが、低分子や抗体が既に確立されているのに対し、ペプチドは発展途上のモダリティであるため、様々な側面を検討しなければならない難しさがありました。なお、これらは特定の機能を人工的に持たせようとした場合のペプチド医薬品についての一般論であり、生体内ペプチドの模倣(例:インスリン製剤など)や特殊なペプチド(例:特殊環状ペプチドなど)では、また違った議論になるかと考えられます。
Q65:
抗PAR2抗体は創薬段階に後退したが、今後もMorphosys社との提携で得られた抗体を元に開発を進めていくのか?
A65:
抗PAR2抗体については使用している抗体は変更されておらず、今後もMorphosys社との提携で得られた抗体で開発を進める予定です。詳細はA67もご参照ください。
Q66:
Pfizer社がGLP-1プログラムのデータの盗難で元社員に訴訟を起こしたが、提携とは関係あるのか?
A66:
当社とPfizer社との提携とは無関係であることを確認しています。
Q67:
前臨床以前の自社開発品について、抗PAR2抗体やEP4作動薬の開発段階の変化について解説してもらえないか?
A67:
EP4作動薬についてはこれまで基礎研究段階にありましたが、開発段階の進展に伴い位置づけを変更しています。抗PAR2抗体については、抗体自体は以前と同じものですが、より適切で戦略的な適応症を選ぶため前臨床試験を再度行う計画で、位置づけを前臨床研究前に戻しています。これは将来の提携に向けて重要な差別化のポイントになることを期待しています。
Q68:
BHV3100の臨床試験が進んでいない点について何か理由があるのか?
A68:
バイオヘイブン社が2月25日に発表の通り、現在のBHV3100のPh1試験を中止され、バックアップの開発に切り替わります。これ以上のコメントは当社からは出せずに心苦しいのですが、バイオヘイブン社がより優れた剤形、投与方法、特許期間が長い等、これまでの化合物のプロファイルを上回る可能性のある、新たな化合物の開発を今後も進めることを楽しみにしています。尚、この開発品の切り替えに関して、当社がバイオヘイブン社に何らかの支払いを行うこと、減損等の会計上の処理が発生することはありません。
Q69:
研究開発全体的に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による遅れが出ているのか?
A69:
足元で影響は出ていません。2020年のパンデミック初期には臨床試験や、研究のうち他社に外注している部分について若干の遅れが出ましたが、それでも自社での研究にはほぼ影響はありませんでした。2021年以降にはほぼ遅れはなく、全体として正常に戻っています。
Q70:
ヘプタレス社の開発品から未だにPOCが取れたパイプラインが出ていないが、StaR技術に優位性はあるのか?
A70:
大手製薬企業との提携動向からも明らかな通り、StaR技術には引き続き高い優位性があると考えています。価値の乏しい技術に対して、複数の大手企業が大型の提携を行うことは、常識的にみて考えにくいことだと思われます。一方で、A76にも記載の通りPOCを取れる確率は残念ながら高くないこともあり、未だにPOCが取れていないというのは耳の痛いご指摘ですが、幸いにも、我々には2022年も含めて複数のPh2試験が開始される可能性がありますので、それらの試験結果に期待いただければと思います。
Q71:
ファイザーとの提携では、既にPh1試験入りした3つのパイプライン以外は前臨床にも入っていないが、何か理由はあるのか?
A71:
開発の優先順位についてはパートナーが決定していますが、特別な理由はありません。当社でもそうであるように、医薬品開発では優先度の高いプログラムをまず先に進め、その他のプログラムは先行するプログラムなどの動向を踏まえて開発を進めるのは、一般的な開発方針になります。
Q72:
オレキシン作動薬の開発状況は?早ければ今年にフェーズ1のデータが出るとなっていたと記憶しているがどうか?
A72:
オレキシン作動薬は導出先のCentessa社が2022年のIND申請(臨床試験の開始)に向けて開発を進めていることを公表しています(参考)。通常のPh1試験は約1年ですので、Ph1試験の結果が出るのは2023~2024年と思われますが、その結果が発表されるか否かはCentessa社次第になります。
●株価について(20)
Q73:
株価の低迷によりM&Aされるリスクに対してどう考えているか?ここ一年間でM&A提案などは受けていないのか?何か対策はあるか?(7)
A73:
ここ1年での提案の有無はコメントできませんが、M&Aの提案やM&Aされる可能性は上場している以上、常にあると認識しています。事業自体は非常に順調に進展していますので、成長戦略を実現していき本質的な企業価値を高めること、またマーケットとコミュニケーションを深めることが、有効な対策だと考えています。
Q74:
現状の割安な株価のうちに自社株買いを行い、M&A時の株式交換に用いる自社株に充てるなど戦略的に活用する可能性はあるか?(5)
A74:
可能性はありえますが、現時点で積極的に検討していません。株式交換によるM&Aができるか否かはM&A相手先次第ですので、株式交換を前提としてしまうと、相手先次第でM&Aが成立しなくなる可能性があるためです。尚、自社株買いは累積黒字でないと可能でないので現時点では物理的にも出来かねます。
Q75:
技術や事業内容に対して、株価の低迷が顕著だが何か対策は考えているか?(4)
A75:
株価はコントロールできないまでも、実際の事業の進展と株価動向のギャップには呆然としています。事業自体は非常に順調に進展していますので、成長戦略を実現していき本質的な企業価値を高めること、またマーケットとコミュニケーションを深めることが、有効な対策だと考えています。
Q76:
先行する2つの開発品(AZD4635とHTL18318)がPh2試験前後で失敗したことが企業評価の重しと考えられるが、今後の対策はあるか?
A76:
Ph2試験は医薬品開発の最難関のステップ(統計的な成功率:約30%)ですので、今後もPh2試験を突破できるように挑戦し続けていきます。先行した2品目の結果は残念でしたが、逆にPh2試験が成功してPOC(作用メカニズムの証明)が取得できれば、企業評価の大きな成長ドライバーになると考えています。幸いにも、我々には2022年も含めて複数のPh2試験が開始される可能性がありますので、それらの試験結果に期待いただければと思います。
Q77:
プライム上場への形式要件である売上100億かつ時価総額1000億について、時価総額について基準を下回る可能性はないか?
A77:
株価はコントロールできないまでも、過度に評価が低迷することのないよう努めていきます。プライム上場の基準となる時価総額1,000億円については将来のある期間の株価を基準にしていますので、直近でプライム上場に対して何か問題が発生するということはありません。
Q78:
今後、時価総額が上がっても増資によって株価が下落するリスクを懸念しているが、どのように考えているか?
A78:
現状では増資については検討していません。我々は既に600億円の現預金を保有しており、直近の内部成長、戦略的成長に十分な資金を確保しています。将来的にも、希薄化のデメリットを上回る企業価値の向上が描ける場合を除いて、増資を行う予定はありません。
Q79:
株価が大きく低迷している現状において、現状の役員報酬などは適切だと考えているのか?
A79:
役員報酬については適切だと考えており、また一部は株価に連動していますので、報酬にも株価の影響が今後出ると考えられます。当社は指名委員会等設置会社であるため、取締役及び執行役の報酬については、各人の実績や職務内容を踏まえて報酬委員会の決議により定められますが、その概要を公表し透明性の確保に努めています。加えて、報酬委員会では直近で我々と同等の時価総額のバイオ企業をサンプリングし、それら企業の役員報酬の平均値に基づき決定していますので、基本的にグローバルでみて平均的な水準の報酬だと理解しています。
●その他(26)
Q80:
2021年12月期の現預金は約600億で1年前より200億円増えているがその要因は?これは条件対価の支払い後の金額か?(2)
A80:
増加の要因は、2021年7月に実施した社債の発行と、ニューロクラインの契約一時金を受領したことが現預金増加の主因です。条件付対価(約29億円)は2021年12月末時点では未払いですので、年末時点の600億円の現預金には加味されていませんが、2022年に支払う予定です。
Q81:
2022年2月に発表された武田薬品の提携の進捗について、21年度の売上と記載されていたが、これは22年の間違いか?(2)
A81:
2021年度の売上になります。我々と武田薬品の双方にとって適時開示には当たらないため、発表自体の有無や内容についての交渉にやや時間を要しましたが、今後はより迅速に公開していきたいと考えています。
Q82:
株式会社そーせいは治験も行っていないのに人件費が高すぎでは?実際には何をやっているのか?(2)
A82:
オラビ錠の製造販売業者としての管理、新開発品導入の検討、将来的なムスカリンM1作動薬の国内自社開発の準備、を主に行っています。業界内で豊富な経験を積んだチームであり、外部を活用しながら少数精鋭で事業を進めていると認識しています。今後、国内での新開発品を導入した際の開発や、ムスカリンM1作動薬の開発などが本格化してくると期待されます。
Q83:
Yahoo掲示板等で株主の利益、企業価値損失に直結するような悪質な書き込みについて、何らかの対処は出来ないのか?(2)
A83:
悪質な書込みと判断した場合は掲示板の管理者に対して違反報告、削除請求を行っています。ヤフー掲示板などは、その性質から特に根拠のない誹謗中傷は弊社に限らず広く行われているものと考え、当社としては一見して虚偽と分かるような内容については個別に対応することは考えておりませんが、刑事処分対象となるような悪質性の高い事案があれば、警察署への告発等を含む毅然とした対応をいたします。
Q84:
長期保有株主に対する優遇制度等に興味があるか?CEOの顔がプリントされたTシャツの優待について検討してもらえないか?(2)
A84:
株主優待については、事業をしっかり成長させた後に取り組みたいと考えています。長期保有株主様には優待制度という形ではまだお返しができる段階ではないことは心苦しい限りですが、今後、対面のイベントなどが開催できるようになりましたら、またグッズ等お配りすることなども含めて検討したいと思っています。
Q85:
今期の費用見込みは最大約110億円だが、早期の提携を控えるのであれば黒字化はしないのか?M&Aによる収益を見込んでいるのか?
A85:
A2の通り変動要因も大きいため不確実性があるのが実態ですが、その中でも黒字化を目指して事業を進めます。自社開発品のうち多くはPh1試験後に価値を高めて導出することを目指しますが、好条件であればそれ以前の段階で導出するプログラムが1~2本程度ある可能性もあります。また、創薬提携については引き続き積極的に進めていく予定で、短期的な新規契約の候補になると考えています。尚、現時点ではM&Aによる収益を見込まない状況での黒字化を目指しています。
Q86:
最近、大株主のファンドの保有株数が減少したが、ファンド(タイヨウを含む)との対話状況(株式取得)はどうか?
A86:
大株主の多くとは四半期に1度かそれ以上の頻度でコミュニケーションを取っています。大量保有報告書にある通り、キャピタルがやや持ち分を減らす一方で、タイヨウがやや持ち分を増やしています。
Q87:
ノバルティスに導出済みのCOPD/喘息薬の今後の動向をどう考えているか?漸減しており安定的な収益基盤と言えなくなっていないか?
A87:
発売から8年ほど経ち、競合環境も激しくなっている状況で、今後売り上げが増加する可能性は低いと考えています。一方で、現状では年間約23億前後の収益を確保できており、今後も数年間は当社の収益基盤となります。主要な特許は2026年まで(一部延長の可能性あり)ですので、これらに代わる安定的な収益基盤をM&Aや新開発品導入も含め模索しています。
Q88:
クリス新CEOには期待しているが、総会などは日本語で行われるため、進行は田村会長などに議場をお願いすることはできないか?
A88:
来年以降はクリス・カーギルが議長となります。法令上の定めはありませんが、株主総会の議長は一般的には定款において、「代表取締役」や「社長」が議長と定められていることが大半です。同時通訳により理解の齟齬がないよう、万全を期して対応いたします。
Q89:
決算説明会について、現在は2Qと4Qの年2回の開催だが、株主との貴重な対話機会であり毎四半期開催できないか?
A89:
決算説明会としては、現状では人員などの関係から年2回の開催が適正と考えております。一方で、株主の皆様との対話機会は大変貴重だと考えており、個人説明会や、R&D説明会などを企画し、機会を増やしていきたいと考えています。また、メールでの質問等は随時HPにて受け付けておりますので、ご活用いただければと思います。
Q90:
円相場の上下から為替変動の幅が大きくなっているが、今後も為替変動の影響を受ける状況は変わらないのか?
A90:
今後も当面は一定程度の為替影響を受けるものと考えられます。当社の売上高の大半は米ドル建てであり、研究開発費の多くが英ポンド建てで、決算書類ではそれらを日本円に換算して記載しているため、これら3通貨の為替が決算に影響を与えます。将来的には必要に応じ、為替ヘッジなどによって影響を緩和することも検討したいと考えています。
Q91:
今期のIR方針について、昨年までと異なる方針はあるか?
A91:
IRの方針はについて特段の変更はありませんが、例えば本Q&AのA5のように、頂いたご意見の中でもIR活動に反映できる部分、するべきと思われる部分は積極的に反映し、IRの質を向上していく方針です。また、方針の変更ではありませんが、ここ2年間は新型コロナウイルス流行の影響から、対面での株主様との対話がしにくい状況が続いていますが、感染状況が落ち着き対面での説明会などが開催可能になれば、是非、実施を検討していきたいと考えています。
Q92:
宇宙以外で田村CEOの趣味または興味は何か?
A92:
読書の他、無類の旅行好きで、ほぼすべての国を踏破しています。
Q93:
個人投資家向けの説明会開催は素晴らしいが、同内容を大口投資ファンドに向けにも開いているのか?
A93:
機関投資家のみに向けた小規模な説明会や大規模なイベントでの登壇などは積極的に行っており、昨年では合計8つの証券会社主催のイベントに登壇しました。また、1対1でのミーティングについても積極的に実施しています。
Q94:
田村CEOは株価を3000円(原文ママ)に戻すことが私の責任とかつて言っていたが、その責任はどうなったのか?
A94:
田村は代表執行役をクリスに引継ぎましたが、今後は取締役会長に専念し、まだ果し得ていない責任を全うできるよう当社の進む方向性を監督して参る所存です。ご理解いただければと思います。
Q95:
取締役の大半は社外取締役だが各人の役割は?具体的な取り組みが見えにくいが、それぞれの役割は機能しているのか?
A95:
社外取締役には、企業経営、技術・研究開発、事業戦略、財務会計、法律といった分野の高度な専門性を発揮していただくことを期待して選任しており、十二分に力を発揮いただいております。例年、株主総会で取締役選任を議案とし、招集通知に各人の「候補者とした理由」を記載しています。また、それぞれの専門性についても一覧表にしてお示ししていますのでご参考いただければと思います。
Q96:
MiNAについて改めてM&Aなどは検討していないのか?
A96:
現時点でM&Aは検討していません。リスクリターンを含めた様々な観点から考えて、MiNA社への戦略的投資は現時点で我々が注力すべき戦略ではないと考えています。株式の保有割合についても、当初の持ち分であった25.6%から同社が2020年にaMoon社からの約30億円の出資を受けたこともあり、18.6%に減らしています。一方で、引き続きMiNA社の大株主の1社ですので、リリー社との提携や新たな臨床試験の進展など、その事業の発展を喜ぶと同時に、大株主として引き続き事業進展を見守って参ります。
Q97:
「国際的なリーディングバイオ企業を目指す」とは、具体的にどうなれば達成したと言えるのか?
A97:
日本や米国など特定の地域だけではなく、世界のどの市場にあっても成功したバイオ企業だと認識される実績を残し、また市場からもそのように評価される企業になることです。古くはバイオ企業の先駆者であったジェネンテックやアムジェン、直近ではそれに加えてギリアド、リジェネロン、モデルナなどがバイオ企業の成功例として台頭していますが、日本をオリジンとしつつ、これらと並び称されるような企業となることを目標としています。
Q98:
決算の説明会では、業績などより治験の進捗などについて詳しく解説いただけないか?
A98:
ご意見を参考にさせていただきます。導出したプログラムについては既にパートナーのプログラムですので、契約上の制約により詳細な内容をお伝えすることが難しいですが、自社開発品についてはA5に記載させていただいた開発スケジュールを含めて、より詳細な解説が可能であると考えています。R&D説明会などの説明の機会について、今後、検討を進めていきたいと思います。
Q99:
事前の質問については後からではなく、説明会の時やその直後にすぐに回答を出すようにすることはできないか?
A99:
事前の質問の中で数の多いものについては、今後も説明会中に司会が代読することで当日にご回答できるようにしたいと考えております。一方で、事前はもとより、説明会中も含めまして数多くの質問を頂きますので、これらは重複を整理してからご回答するのが今の所はベストだと考えています。
Q100:
短信の当期利益が上方修正された原因は?
A100:
繰延税金資産の認識額について委託先の計算に誤りがあり、当社内部での確認プロセスもすり抜けてしまったため修正につながりました。今後は、より一層確認を徹底し、再発防止に努めていく所存です。申し訳ありませんでした。