2021年5月31日月曜日
Centessa社がNASDAQに上場
2021年5月19日水曜日
ファイザー社が新たに臨床試験を開始
みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
本日リリースの通り、ファイザー社が我々との提携から生まれた化合物の新たな臨床試験を開始しました。我々はこの進捗で5百万ドルのマイルストンを受領することになります。これで、2015年末にファイザー社との戦略的提携を開始して以降、合計3つ目の臨床試験が開始されたことになり、前臨床開発段階の化合物は全て臨床に進みました。提携開始から5年強でここまでの成果につながったことを、一同大変嬉しく思っております。尚、5百万ドルのマイルストン収入は全額2Qの売上高として計上されます。
さて、リリースにも記載した通り、本プログラムは拒食症を対象としたMC4(メラノコルチン4)受容体拮抗薬のPF-07258669になります。こちらは既にファイザー社が1Q決算時にアップデートしたパイプラインリストや臨床試験登録サイトにも記載されていますので、詳細や今後の進展などはこちらでもご確認ください。尚、これは2019年12月に臨床開発候補物質として特定され、3百万ドルを受領していたものです(参考)。一般論で言えばもう少し早い臨床試験開始を期待していましたが、新型コロナウイルス流行の影響も多分にあったものと思います。
尚、我々のStaR技術/SBDDから生まれて臨床試験に進んだプログラムはこれで9個目になりました。内訳と現在の開発状況は以下の通りです。
【当社のStaR技術/SBDDから臨床試験に進んだプログラム】
(開発品) (ターゲット) (対象疾患) (提携先) (開発段階)
1. AZD4635 アデノシンA2a 前立腺がん/複数の固形がん アストラゼネカ社 Phase2
2. PF-07081532 GLP-1 2型糖尿病/肥満 ファイザー社 Phase1
3. PF-07054894 CCR6 炎症性腸疾患 ファイザー社 Phase1
4. PF-07258669 MC4 拒食症 ファイザー社 Phase1(今回)
5. TMP301 mGlu5 物質使用障害/不安障害 Tempero
Bio社 Phase1
6. HTL0016878 ムスカリンM4 統合失調症 探索中/交渉中 Phase1
7. HTL0018318 ムスカリンM1 アルツハイマー病 探索中/交渉中 Phase1(自主中断中)
8. HTL0009936 ムスカリンM1 アルツハイマー病 探索中/交渉中 Phase1(18318と異なるプロファイル)
9. HTL0030310 SSTR5 内分泌障害 探索中/交渉中 Phase1
拒食症の薬物治療としては、一部の抗うつ剤での効果が約20年前に指摘されているものの、これまでのところ世界的に承認されている治療薬はなく、臨床試験中の開発品としても我々のMC4受容体拮抗薬以外にはめぼしい開発品がない領域です。個別の地域のみで承認されているおそらく唯一の例は、Apetrol(韓国のみ)で、2020年の売上高は10百万ドル程度(Evaluate Pharma)とされています。韓国の医薬品市場は世界の約1.6%です。また、拒食症以外の適応症においても、これまでMC4受容体拮抗薬で臨床試験までたどり着いたものは我々の化合物のみと思われ、一般的に、開発が順調に進めばファーストインクラスの治療薬となる可能性があります。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!
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【2021年12月期の進捗(主に今期収入と関連するものを抜粋)】
(発表日)
(内容)
(今期の売上高と関連する部分)
5月19日 (参考)/2Q
ファイザー社が臨床試験を開始
マイルストン:5百万ドル
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2021年5月12日水曜日
1Q決算を発表しました
みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
本日、1Q決算を発表しました。詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高12.1億円(前年同期は11.6億円)、営業赤字12.4億円(前年同期は4.5億円の赤字)となりました。売上高は前年並みでしたが、主に前年に比べて研究開発費が5.4億円、販管費が1.9億円増加したことで赤字拡大となりました。今年2月の本決算時にもご説明の通り、今年は主にムスカリン作動薬シリーズのライセンス契約に向けた開発投資を加速させる予定ですが、1Qでは特に新たに開始したMetrion(イオンチャネル)、PharmEnable(AI創薬)との戦略的提携開始による投資が先行した結果になります。売上高の内訳は以下の通りです。
【1Qの売上内訳(決算短信:P6)】
ロイヤリティ収入 5.85億円(ノバルティス社の3製品*の売上からの収入)
マイルストン収入及び契約一時金 4.22億円(主にジェネンテック社、アッヴィ社のアーリーな開発進展)
その他 2.00億円(主に提携先からの研究開発支援金)
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合計 12.07億円
*シーブリ、ウルティブロ、エナジア
マイルストン収入には、2019年に創薬提携したジェネンテック社の2つのプログラムの進展(StaRタンパク提供)による計4百万ドル(1Q計上は2.1百万ドル)と、2020年に創薬提携したアッヴィ社とのプログラム進展によるマイルストン(金額非開示)が含まれています。(決算短信:P6)
また、決算の数字以外の注目点として、今年の2月にご報告した我々のOX作動薬シリーズの新たな導出先であるCentessa社(旧Orexia社/Inexia社を吸収)が、4月21日にNASDAQへのIPOのためのForm S-1を提出しています(参考)。上場時期は現時点で未定ですが、100百万ドルの程度の公募が検討されており、NASDAQでも比較的大型のIPOになることが期待されます。以前のリリースやブログでもご報告の通り、我々の旧Orexia社/Inexia社の株式は一定のCentessa社の株式に置き換わっており、また、今後のCentessa社によるオレキシン作動薬シリーズの開発が進捗すれば、我々は将来的にマイルストンやロイヤルティ収入を受け取ることになります。
加えて本日、我々とペプチドリーム社と共同研究を行っていたPAR2 アンタゴニスト・ペプチドについて、順調に開発が進展している旨のリリースがペプチドリーム社から発表されております(参考)。ペプチドリーム社とは2017年6月に戦略的提携を締結(参考)して以降、2018年にも一度進展をご報告させていただいておりましたが(参考)、今回の前臨床試験に向けた進展を我々も大変嬉しく思っております。尚、本プロフラムは両社でコストと成果物を分担するもので、今回の進捗に伴う金銭の授受は発生しません。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!
2021年5月11日火曜日
MiNA社がリリー社との共同研究を発表
みなさんこんばんは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
先ほど、英国MiNA社と大手製薬企業リリー社が、MiNA社の持つsaRNA(small activating RNA)技術を使った、最大5つのターゲットに対する共同研究を発表しました(参考)。リリー社はMiNA社に契約一時金は25百万ドルを支払い、さらに開発・販売が進めば1ターゲット当たり総額245百万ドル(5ターゲットで最大1,225百万ドル)のマイルストンと最大2桁の段階的ロイヤリティを受け取る可能性があります。我々はMiNA社の約20%の株式を保有しており(持分法適用会社)、今回の進捗を大変嬉しく思っております。
MiNA社は2017年に我々が35百万ポンドを投資して25.6%の株式を取得した、saRNAという新たなモダリティの研究開発に強みを持つ会社です(参考)。当初我々がオプション権を保有していたMTL-CEBPA(進行肝がん治療等)については、臨床試験の結果を精査の上で2018年にオプションを行使しないことを決定していましたが(参考)、我々はその後も株式を保有し続け、2020年10月にaMoom社(イスラエルの大手VC)などからの30百万ドルの出資を受けた後も、約20%を持つ株主としてMiNA社の成長を見守ってきました。
MiNA社が扱うRNAを使った医薬品は、少しタイプは異なりますが新型コロナウイルスに対するPfizer社やModerna社のmRNAワクチン開発成功を受け、世界的に注目される分野になっています。今回のリリー社との契約はまだ非常にアーリー段階ですが、今後のMiNA社の成長に期待したいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!
2021年5月5日水曜日
提携・導出先企業の2021年度1Q決算が出揃いました
みなさんおはようございます。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
決算シーズンになりました。我々の2021年1Q決算は5/12(水)に発表予定ですが、本日のファイザー社の決算で臨床試験(ヒトでの試験)より先に進んでいるパートナー3社(ノバルティス社、アストラゼネカ社、ファイザー社)の1Q決算が出そろいましたので、ご報告させて下さい。
特に大きな変更はありませんでしたが、アストラゼネカ社がimaradenantについて、注力している3剤併用のPhase2試験以外の一部のデータの発表時期を、2021年の上半期から下半期に変更しました。また、今回はご報告に含みませんでしたが、先日のオンライン説明会のQ&Aでもご案内の通り、バイオヘイブン社は我々が導出したBHV-3100のPhase1試験を2021年下半期に開始すると今年2月に発表しており(決算説明会資料:P14)、今後は上記の3社にバイオヘイブンを足した4社分のご報告になる可能性があります。一応、バイオヘイブン社の1Q決算は大手よりもやや遅く、5/10(月)に発表予定です。
●ノバルティス社(1Q決算:2021年12月期)
関連品目:シーブリ(販売中)、ウルティブロ(販売中)、エナジア(販売中)
参考資料:Condensed
interim financial report – supplementary data(P10)
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決算関連資料にシーブリとウルティブロを含む売上高が「Ultibro Group」、エナジアを含むEnerzair Groupの売上高が「Other」で開示されています。主な数値は以下の通りです。尚、Ultibro Groupは競合と新型コロナウイルスの影響で売上高がやや減少したこと、Enerzair Groupはこれまでにドイツ、日本、英国、北欧を含む12の市場(今年2月の本決算時は7つ)で発売されたとコメントされました。
2021年1Q 2020年1Q 変化率
(百万ドル) (百万ドル) (ドル、現地通貨)
Ultibro Group
149
160 -7%、-13%
Other 9
4 +125%、+65%
Ultibro Group ・・・ Ultibro + Seebri + Onbrez
Other ・・・ Enerzair + Atectura
●アストラゼネカ社(1Q決算:2021年12月期)
関連品目:AZD4635/imaradenant(アデノシンA2a拮抗薬/Phase2試験中)
参考資料:Clinical
trials appendix(P3, P45)
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今年2月に発表された2020年本決算時点からパイプラインの変更はありませんが、前回からリストから消えた古いPhase2試験(NCT04089553)と、従来から進んでいたPhase1試験(NCT02740985)について、期待されるデータ(Data anticipated)の時期が2021年上半期から下半期に変更されています。なお、少し前ですが業界のニュースサイトでも、アストラゼネカ社がこれら2つの試験ではなく、新たに開始した3剤併用のPhase2試験(NCT04495179)に注力する旨の記事が書かれています。
●ファイザー社(1Q決算:2021年12月期)
関連品目:PF-07081532(GLP-1作動薬/Phase1試験中)、PF-07054894(CCR6拮抗薬/Phase1試験中)
参考資料:Pfizer
Pipeline(P6, P8)他
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昨年10月に発表された2020年3Q決算時点のパイプラインリストから主な進捗なし。PF-07081532は2型糖尿病と肥満を対象に、PF-07054894は炎症性腸疾患(IBD)を対象に、引き続きPhase1試験を実施中。