2022年12月21日水曜日

ファイザー社のPh2b試験が開始されました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り、当社との共同研究から生み出されたファイザー社の次世代の経口GLP-1作動薬(PF-07081532)のPh2b試験について、最初の被験者への投与を開始され、当社は10百万ドル(約13億円)のマイルストーンを受領します(参考)。なお、本マイルストーンは2022年12月期の第4四半期の売上高として、一括で計上される予定です。

PF-07081532は2型糖尿病と肥満を対象として開発されており、今年7月のファイザー社の第2四半期決算説明会以降、ファイザー社の発表などに合わせて本ブログでも度々紹介してきました。詳しくは以下の記事もご参照下さい。Ph2b試験自体のデザインや患者組入れは11月の時点で発表されていましたが、今回、スクリーニング期間を経て最初の被験者に投与されたことで、本マイルストーンが発生しました。




ファイザー社はPF-07081532について現在780名のPh2b試験を実施中(NCT05579977)で、2024年の第1四半期(1-3月)にその結果が発表される予定です。GLP-1作動薬は糖尿病と肥満に対する最新の治療薬として注目されており、ファイザー社の予想では2030年までに市場全体は900億ドル(約12兆円)へと拡大、その中でファイザー社の次世代の経口GLP-1作動薬はシェア10%強の100億ドル(約1.4兆円)の売上高が期待されています。

PF-07081532は、2015年に開始された我々とファイザー社の戦略的提携から生み出されたもので、我々は開発や商業化の進展に伴って、1ターゲットあたり189百万ドルのマイルストーンの他、売上の一定%のロイヤルティを受領します(参考)。我々にとっては初期の契約であったため、今回のPh2b試験開始のマイルストーンは10百万ドルと巨額ではありませんが、上記のような大きなニーズのある領域で当社の創薬プラットフォーム技術(StaR技術)が活用可能であること、また、将来的なロイヤルティ収入の可能性からも、我々も開発進展を楽しみに見守っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Qアッヴィ社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル
12月13日(参考4Qアッヴィ社との創薬提携が進展しマイルストーンを受領マイルストン10百万ドル
12月16日(参考4Qイーライリリー社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金37百万ドルの一定割合
12月21日(参考4Qファイザー社のGLP-1作動薬のPh2試験が開始マイルストン10百万ドル

2022年12月16日金曜日

イーライリリー社と新たに創薬提携しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

先ほど、米イーライリリー社との間での、複数のターゲットを対象とした新たな創薬提携を発表しました(参考)。契約一時金の37百万ドル(約50億円)を受領することに加え、総額マイルストーンは694百万ドル(最大・約940億円)、さらに売上高に応じた段階的ロイヤルティを将来的に受領する可能性があります。ターゲットの数は開示できないのですが、イーライリリー社が得意とする糖尿病・代謝性疾患に関連する可能性のある、複数のGPCRが対象になります。

イーライリリー社は売上高で世界第12位の米国の大手製薬企業で、特に糖尿病領域では世界でTop3に入る企業です(参考:バイオセクター入門/P8)。直近では、糖尿病・肥満治療薬として成長が著しいGLP-1作動薬関連市場でも、MounjaroやTrulicityなどいずれも1兆円かそれ以上のピーク売上高が予想される製品群を持ち、よりその存在感が高まっています。このようなトッププレーヤーと、彼らが最も得意とする分野で、両社の強みを活かして革新的な薬を生み出すための研究開発ができることを、一同とても楽しみにしています。

なお、リリースにも記載の通り、契約一時金の37百万ドル(約50億円)は一括で受領しますが、これまでの創薬提携と同様にIFRS(国際財務報告基準)のルールに則り、損益計算書には今年の第4四半期と、それ以降の一定期間に分かれて計上される予定です。

創薬は今年の契約が、来年すぐに製品として花開くという世界ではありませんが、引き続き最先端のテクノロジーを患者さんのお役に立てるべく、着実に進んでいきたいと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Q米アッヴィ社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル
12月13日(参考4Qアッヴィ社との創薬提携が進展しマイルストーンを受領マイルストン10百万ドル
12月16日(参考4Q米イーライリリー社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金37百万ドルの一定割合

2022年12月13日火曜日

ファイザー社の説明会が開催されました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


先ほど日本時間の朝7時半過ぎに、ファイザー社の主要開発品を集めた5時間にわたる説明会「Pfizer Near-Term Launches + High-Value Pipeline Day」が終了しました(案内資料)。我々との提携から生み出された経口GLP-1作動薬のPF-07081532を含む開発品が紹介され、さらに後半のHigh-Value PipelineセッションのQ&Aでは、質問の約半分が経口GLP-1作動薬に集中し、数あるファイザー社の開発品の中でも非常に高い注目度がうかがえるものでした。プレゼンテーションやQ&Aで登場した新たなポイントは以下になります。




【新たに注目されるポイント】

  • 2030年までにGLP-1作動薬市場は900億ドル(約12兆円)に拡大し、その中で経口GLP-1作動薬は全体の約30%のシェアである270億ドル(約3.8兆円)の規模となる見通し
  • ファイザー社の経口GLP-1作動薬は、他の経口薬と比較しても優れた有効性、安全性、食事制限の無い飲みやすさを兼ね備えており、ピーク売上高は100億ドル(1.4兆円)を想定
  • (リリー社の経口GLP-1作動薬候補や営業力との競合という質問に対し)生体内でそもそも機能しているペプチドがフルアゴニストであることを考えると、フルアゴニストであることが望ましいと考えており、ファイザー社の経口GLP-1作動薬はそのプロファイルと合致している。GLP-1作動薬というカテゴリーは現在急成長中で、その中で確実にシェアを取っていく
  • (競合となりうる既存品・開発品を踏まえた開発スピードという質問に対し)経口GLP-1作動薬は、新型コロナウイルスワクチンと同じく光速プロジェクト(light-speed project)にファイザー社内で指定されており、ファイザー社として最速で開発を進めていく
  • 既に治療法が確立されている2型糖尿病と、特に市場が急成長している肥満症は異なる市場であり、異なる普及シナリオを想定している



ファイザー社からの説明、そして会場内からの質問も、販売後を見据えた市場規模や競争環境、実際の普及シナリオなどに焦点が当たったもので、これまでよりも一段踏み込んだディスカッションが行われている印象でした。我々も2024年の第1四半期(1-3月)に発表が予定されている現在のPh2b試験の結果に期待しつつ、その後の市場展開にも注目したいと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Q米アッヴィ社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル
12月13日(参考4Qアッヴィ社との創薬提携が進展しマイルストーンを受領マイルストン10百万ドル

アッヴィ社からマイルストーンを受領

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り、米アッヴィ社との提携が進んだことで、10百万ドル(約14億円)のマイルストーンを受領します(参考)。アッヴィ社とは2020年6月には炎症性疾患・自己免疫疾患について、2022年8月には神経疾患について、それぞれ創薬提携を結んでいますが、今回のマイルストーンは、2020年6月の提携の研究開発が前進したことによるのものです。なお、本マイルストーンは2022年12月期の第4四半期の売上高として、一括で計上される予定です。

具体的なマイルストーンの内容や、ターゲットとなっているGPCRは残念ながらお示しできませんが、研究段階ながら順調に開発が進んでいることを、一同とても喜んでいます。なお、2020年の提携時のリリースにある通り、新規で魅力的な炎症性疾患・自己免疫疾患の治療薬となる可能性のある開発候補品になります。

当社は2015年のファイザー社をスタートに、このような創薬提携を武田薬品(2019年)、ジェネンテック社(2019年)、アッヴィ社(2020年+2022年)と締結してきました。最初のファイザー社との提携からは、現在、GLP-1作動薬、CCR6拮抗薬、MC4拮抗薬の3つの開発品が臨床試験に進むなど極めて順調に開発が進んでおり、今後は他のパートナーからも進捗をご報告できればと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!


【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Q米アッヴィ社と新たな創薬提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル
12月13日(参考4Qアッヴィ社との創薬提携が進展しマイルストーンを受領マイルストン10百万ドル