2023年11月28日火曜日
資金調達を発表しました
2023年11月24日金曜日
GSK社のGPR35作動薬の権利再取得について
みなさんこんばんは。CFOの野村です。
先ほどのリリースの通り、2020年12月にGSK社にライセンスしていたGPR35作動薬(GSK4381406)について(参考)、当社が全権利の再取得するための協議をGSK社との間で開始しました。GPR35作動薬は、すでにフェーズ1試験開始の準備が完了し、その情報が今年8月には公的なデータベース(NCT05999798)にも登録されるなど順調に開発が進んできましたが、直近の9月に行われたGSK社の研究開発体制の刷新と、その中での研究開発戦略の変更に伴い(参考1/参考2)、GSK社での現在の開発は打ち切られることになりました。
我々は、GSK社の決定を尊重しつつも、既にフェーズ1試験の準備が完了しており、これまで有望なデータが積みあがっているGPR35作動薬の権利を獲得できるまたとないチャンスでもあり、我々の自社創薬を強化する方針とも一致しますので、直ちに権利の再取得に向けGSK社との協議を開始しました。権利の再取得完了後は、自社でフェーズ1試験を行って価値を高め、日本・APAC以外の地域についてはこれまで同様、大手製薬企業への導出を行うことを計画しています。これまで受領した一時金やマイルストンの返還は必要なく、また、当社からGSK社への一時金の支払いもありません。一方で、将来的にGSK4381406が上市された場合には、当社はGSK社に1桁台前半のロイヤルティを支払うことになります。
これまで当社も何度か経験しているように、開発が順調にもかかわらず、大手企業はしばしばこのような戦略変更に伴ってこれまで注力してきた開発品の優先順位を下げたり、開発を中止することがあります。一方で我々は、これらをチャンスととらえ、例えばニューロクライン社への再導出(リリース、ブログ)などをはじめ、そのような場合には権利を再取得し、時に開発品の価値を高めつつ新たなパートナーに導出することを何度も経験してきました。
今後、進捗があった際にはまたお知らせします。
2023年11月12日日曜日
3Q決算発表とR&D day
Kallyope社との提携が進捗
みなさんこんばんは、CFOの野村です。
先週金曜日にリリースの通り、昨年5月に発表したKallyope社との提携が進捗し、消化器疾患を対象とした最初のGPCRターゲットを選定しました。以前のブログでも少し紹介した通りKallyope社は2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞したRichard Axel氏を含め、アカデミア界で多数の実績を持つ研究者達が創業した、腸脳軸に特化した強いサイエンスを持つ企業で、主に以下の3つを含む技術を統合した「Klarity™技術」という創薬プラットフォームを軸に事業を展開しています。
①シングルセルシークエンス:細胞一つ一つの遺伝子発現を見ることで、どの細胞が腸脳軸にとって重要かを特定
②回路マッピング:脳と腸の細胞の間での情報伝達を特定し、どのような情報がそれぞれの機能に影響するかを分析
③光遺伝学・化学遺伝学:①で特定した個別の細胞について、光や化学物質の刺激を活用し生理機能を特定
このKlarity™技術と、我々のGPCRに特化したノウハウを組み合わせ、今回、非常にスピード感を持って、最初の創薬ターゲットが選定できたことを一同喜んでいます。今回は非常に初期の進展ではありますが、このような初期の進展なしにはどのような革新的な薬も生まれません。新たなメカニズム、ロジックに基づいた医薬品を早く患者さまにお届けできるよう、今後も一同、全力で開発を前に進めていきます。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!
2023年11月6日月曜日
ファイザー社と新たなGLP-1作動薬が進展
みなさんおはようございます。CFOの野村です。
先ほどリリースの通り、ファイザー社との提携から生まれた新たな経口GLP-1作動薬・PF-06954522のフェーズ1試験が始まりました。CEOのクリス・カーギルから以下のメッセージを預かっていますので、まずは皆様にご紹介させてください。
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ノボ・ノルディスクのセマグルチド(商品名:ウゴービ)や、イーライリリーのチルゼパチド(商品名:マンジャロ)などの週1回の注射で済むGLP-1製剤は、糖尿病・肥満に苦しむ世界中の患者さまの生活に革命をもたらしました。この2つの医薬品を合わせた売り上げは、まもなく1,000億ドル(15兆円)を超える見込みです。(参考)
これらと同じく高い効果があり、注射ではなく1日1回の飲み薬が登場すれば、どれほど患者さまの生活を変えることができるかを想像してみてください。科学はこれまでも、そしてこれからも、不可能を可能にする力の源です!
ペプチドアゴニストと結合したGLP-1受容体の全長構造を世界で初めて解明したのは、実は当社の科学者たちだったこと(当社リリース、論文)は世間では意外にも忘れられがちですが、私たちはこれを誇りに思い、そして一日たりとも忘れたことはありません。ファイザー社やイーライリリー社といった、同領域あるいは周辺領域で当社とパートナー関係にある提携先も、同じ想いでしょう。
我々のGLP-1受容体に関する知見を創薬提携を通じて活用し、ファイザー社は新たな経口低分子GLP-1受容体作動薬であるPF-06954522を生み出しました。今週末、当社はこの開発品がフェーズ1試験に入ったことを確認しました。
日本を代表するバイオテクノロジー企業であるそーせいヘプタレスは、これからも世界をリードするサイエンスによって人生を変える医薬品を生み出していきます。
代表執行役社長CEO クリス・カーギル
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ファイザー社との間では今年6月、同じく我々との提携から生まれたGLP-1作動薬のLotiglipronがフェーズ2試験段階で残念ながら開発を中断しましたが(参考)、今回、新たな経口GLP-1作動薬であるPF-06954522のフェーズ1試験がただちに開始されました。ファイザー社のGLP-1作動薬と代謝性疾患にかける意欲は、先日の3Q決算のコメント"We are building a platform around the GLP area"(参考)の通り全く衰えていません。PF-06954522のフェーズ1試験の情報は、こちらに既に登録されています。
PF-06954522はファイザーの化合物ですので明確には申し上げられませんが、一般的に我々のターゲットの構造をベースとした創薬プラットフォーム技術(StaR技術+SBDD)は、従来の半ばランダムに化合物を発見する創薬手法とは異なり、ターゲットの構造を特定して最適な化合物を設計することを強みとしています(参考)。この手法では、従来に比べて化合物の最適化を大きく効率化できますので、バックアップや次世代の化合物を作りやすく、1つの化合物が仮に失敗しても、狙ったターゲットに対して着実に創薬を進められるメリットがあります。
今回の進展では特にマイルストンは発生しませんが、我々は他の化合物に対するのと同様、PF-06954522に対する経済的な権利を持っていますので、開発が進捗した際にはまた報告させていただきます。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!