2023年11月28日火曜日

資金調達を発表しました

みなさんこんにちは。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り資金調達を発表しました。資金調達関連のニュースは規制上の問題から、リリースに記載の内容以外には残念ながら一切言及できませんので、基本的には以下のリンクをご参照いただければと思います。(11/29:アップデート)


●リリースからの抜粋ですが今回は3つの資金調達と1つの買入消却を発表しています。

金額(発行価格)株数備考
Ⅰ.海外募集新株式の発行
(海外募集による新株式の発行)
約21億円1,500,000株発行済株式数に対する割合
1,500,000/ 82,336,777 = 1.8%
(詳細はリリース参照)
Ⅱ.新株予約権付社債の発行
(海外募集による2028年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行)
320億円-潜在株式数の比率は19.8%になる見込み
(詳細はリリース参照)
Ⅲ.第三者割当新株式の発行
(JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当による新株式の発行)
80億円5,610,000 株発行済株式数に対する割合
5,610,000/ 82,336,777 = 6.8%
(詳細はリリース参照)
買入金額株数備考
参考:買入消却
(2026 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の買入消却に関するお知らせ)
約314億円-潜在株式数の比率は16.5%になる見込み(発行時点)
(詳細はリリース1リリース2参照)


●資金使途は以下の2つになります。資金使途の(1)に関連して同時に発表した買入消却のリリースもご参照いただければと思います。


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海外募集及び本新株予約権付社債の発行並びに並行第三者割当による手取金約417億円につきましては、以下の使途に充当する予定です。

(1)最大320億円を、2023年12月末までに、2026年満期新株予約権付社債(既発)の買入資金として充当します。なお、本買入れに応じる当該社債の社債権者の数、買入れの対象となる当該社債の金額及び当該社債の株式への転換の状況等によっては、買入資金の総額が上記の金額に達しない可能性があります。

(2)約97億円を、2026年12月末までに、開発品及び製品の導入、日本における後期開発品の開発及び商業活動、創薬プラットフォームを含む創薬・早期開発基盤の拡充を中心とした戦略的成長投資及び運転資金に順次充当する予定です。また、上記①に充当されなかった金額の全額については、2026年12月末までに、これまでに資金を振り向けられていなかった新規パイプラインの研究開発及び運転資金に順次充当する予定です。
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どうぞよろしくお願いします。

2023年11月24日金曜日

GSK社のGPR35作動薬の権利再取得について

みなさんこんばんは。CFOの野村です。


先ほどのリリースの通り、2020年12月にGSK社にライセンスしていたGPR35作動薬(GSK4381406)について(参考)、当社が全権利の再取得するための協議をGSK社との間で開始しました。GPR35作動薬は、すでにフェーズ1試験開始の準備が完了し、その情報が今年8月には公的なデータベース(NCT05999798)にも登録されるなど順調に開発が進んできましたが、直近の9月に行われたGSK社の研究開発体制の刷新と、その中での研究開発戦略の変更に伴い(参考1/参考2)、GSK社での現在の開発は打ち切られることになりました。


我々は、GSK社の決定を尊重しつつも、既にフェーズ1試験の準備が完了しており、これまで有望なデータが積みあがっているGPR35作動薬の権利を獲得できるまたとないチャンスでもあり、我々の自社創薬を強化する方針とも一致しますので、直ちに権利の再取得に向けGSK社との協議を開始しました。権利の再取得完了後は、自社でフェーズ1試験を行って価値を高め、日本・APAC以外の地域についてはこれまで同様、大手製薬企業への導出を行うことを計画しています。これまで受領した一時金やマイルストンの返還は必要なく、また、当社からGSK社への一時金の支払いもありません。一方で、将来的にGSK4381406が上市された場合には、当社はGSK社に1桁台前半のロイヤルティを支払うことになります。


これまで当社も何度か経験しているように、開発が順調にもかかわらず、大手企業はしばしばこのような戦略変更に伴ってこれまで注力してきた開発品の優先順位を下げたり、開発を中止することがあります。一方で我々は、これらをチャンスととらえ、例えばニューロクライン社への再導出(リリースブログ)などをはじめ、そのような場合には権利を再取得し、時に開発品の価値を高めつつ新たなパートナーに導出することを何度も経験してきました。


今後、進捗があった際にはまたお知らせします。


今後ともどうぞよろしくお願いします!

2023年11月12日日曜日

3Q決算発表とR&D day

みなさんこんばんは。CFOの野村です。

●3Q決算

金曜日に3Q決算を発表しました。詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高55億円(前年同期は86億円)、コア営業赤字39億円(前年同期は13億円の黒字)となりました。今年はここまで、大きなマイルストン収入や新規契約に伴う進捗はありませんでしたので、短信P9の内訳の通り医薬品売上とロイヤルティが売上の3/4以上の約43億を占めており、例年と異なり安定収益が売上の中心となりました。

また、これまでの短信にもありましたが、今回の3Q決算からは1ページ目にも「コア営業利益」を記載しています。これは7/20のイドルシアファーマジャパン等(IPJ/IPK)の買収に伴い、会計上、一時的な費用や非現金費用などが多くなっており、これらを除いたより本業・キャッシュベースに近い利益をお示しするためです。R&D Dayの資料のP29にこれらを整理し、コア営業利益ベースの「そーせいグループ(旧)」と「IPJ/IPK」の損益計算書のサマリーを示していますのでご参考下さい。IPJ/IPKは買収後の2.4カ月で6億円超のコア営業利益となっていますが、ここには10月末のダリドレキサントの申請に伴う15億円のマイルストン収入はまだ含まれていません。




説明会でもお話しの通り、年末に向けより事業を前進させるべく、そーせいグループ(旧)、IPJ/IPKとも、一同全力で取り組んでいきます。



●R&D Day

R&D dayでは主にヘプタレス社のパイプライン進捗とIPJ/IPKのピヴラッツ、ダリドレキサントの開発・販売動向を説明させていただきました(資料)。今年も多くの研究開発で進展がありましたが、特にGLP-1やGIP、さらにはその先のターゲットは、糖尿病・肥満症さらにはそのさらに先の疾患への拡大の可能性が広がるにつれて、注目の高まりを我々もひしひしと感じています。

我々は、ファーザー社との間で新たなGLP-1作動薬としてPF-06954522の臨床試験を開始したのは月初にご報告の通りですが(参考)、当領域のトップ企業であるイーライリリーとの間ではその次のターゲットを目指した提携を昨年から開始しており(参考)、加えて自社ではさらに次世代のターゲットに焦点を当てて、研究開発を進めています。これらは代謝性疾患周りのターゲットはこれまでのところGPCRが中心で、当社のテクノロジーが最大限活用できる可能性がある分野です。引き続き、全力で研究開発を進めていく所存です。






R&D dayの動画は質疑応答も含めて近日中にHPに公開されますので、そちらもご参考いただければと思いますが、前述したGLP-1以外でも、研究開発の着実な進捗や、それに対する質疑など、是非、雰囲気を感じ取っていただければと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

Kallyope社との提携が進捗

みなさんこんばんは、CFOの野村です。


先週金曜日にリリースの通り、昨年5月に発表したKallyope社との提携が進捗し、消化器疾患を対象とした最初のGPCRターゲットを選定しました。以前のブログでも少し紹介した通りKallyope社は2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞したRichard Axel氏を含め、アカデミア界で多数の実績を持つ研究者達が創業した、腸脳軸に特化した強いサイエンスを持つ企業で、主に以下の3つを含む技術を統合した「Klarity™技術」という創薬プラットフォームを軸に事業を展開しています。


①シングルセルシークエンス:細胞一つ一つの遺伝子発現を見ることで、どの細胞が腸脳軸にとって重要かを特定

②回路マッピング:脳と腸の細胞の間での情報伝達を特定し、どのような情報がそれぞれの機能に影響するかを分析

③光遺伝学・化学遺伝学:①で特定した個別の細胞について、光や化学物質の刺激を活用し生理機能を特定


このKlarity™技術と、我々のGPCRに特化したノウハウを組み合わせ、今回、非常にスピード感を持って、最初の創薬ターゲットが選定できたことを一同喜んでいます。今回は非常に初期の進展ではありますが、このような初期の進展なしにはどのような革新的な薬も生まれません。新たなメカニズム、ロジックに基づいた医薬品を早く患者さまにお届けできるよう、今後も一同、全力で開発を前に進めていきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年11月6日月曜日

ファイザー社と新たなGLP-1作動薬が進展

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り、ファイザー社との提携から生まれた新たな経口GLP-1作動薬・PF-06954522のフェーズ1試験が始まりました。CEOのクリス・カーギルから以下のメッセージを預かっていますので、まずは皆様にご紹介させてください。


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ノボ・ノルディスクのセマグルチド(商品名:ウゴービ)や、イーライリリーのチルゼパチド(商品名:マンジャロ)などの週1回の注射で済むGLP-1製剤は、糖尿病・肥満に苦しむ世界中の患者さまの生活に革命をもたらしました。この2つの医薬品を合わせた売り上げは、まもなく1,000億ドル(15兆円)を超える見込みです。(参考

これらと同じく高い効果があり、注射ではなく1日1回の飲み薬が登場すれば、どれほど患者さまの生活を変えることができるかを想像してみてください。科学はこれまでも、そしてこれからも、不可能を可能にする力の源です!

ペプチドアゴニストと結合したGLP-1受容体の全長構造を世界で初めて解明したのは、実は当社の科学者たちだったこと(当社リリース論文)は世間では意外にも忘れられがちですが、私たちはこれを誇りに思い、そして一日たりとも忘れたことはありません。ファイザー社やイーライリリー社といった、同領域あるいは周辺領域で当社とパートナー関係にある提携先も、同じ想いでしょう。




我々のGLP-1受容体に関する知見を創薬提携を通じて活用し、ファイザー社は新たな経口低分子GLP-1受容体作動薬であるPF-06954522を生み出しました。今週末、当社はこの開発品がフェーズ1試験に入ったことを確認しました。

日本を代表するバイオテクノロジー企業であるそーせいヘプタレスは、これからも世界をリードするサイエンスによって人生を変える医薬品を生み出していきます。


代表執行役社長CEO クリス・カーギル

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ファイザー社との間では今年6月、同じく我々との提携から生まれたGLP-1作動薬のLotiglipronがフェーズ2試験段階で残念ながら開発を中断しましたが(参考)、今回、新たな経口GLP-1作動薬であるPF-06954522のフェーズ1試験がただちに開始されました。ファイザー社のGLP-1作動薬と代謝性疾患にかける意欲は、先日の3Q決算のコメント"We are building a platform around the GLP area"(参考)の通り全く衰えていません。PF-06954522のフェーズ1試験の情報は、こちらに既に登録されています。


PF-06954522はファイザーの化合物ですので明確には申し上げられませんが、一般的に我々のターゲットの構造をベースとした創薬プラットフォーム技術(StaR技術+SBDD)は、従来の半ばランダムに化合物を発見する創薬手法とは異なり、ターゲットの構造を特定して最適な化合物を設計することを強みとしています(参考)。この手法では、従来に比べて化合物の最適化を大きく効率化できますので、バックアップや次世代の化合物を作りやすく、1つの化合物が仮に失敗しても、狙ったターゲットに対して着実に創薬を進められるメリットがあります。


今回の進展では特にマイルストンは発生しませんが、我々は他の化合物に対するのと同様、PF-06954522に対する経済的な権利を持っていますので、開発が進捗した際にはまた報告させていただきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年11月1日水曜日

ファイザー社とニューロクライン社が3Q決算を発表

みなさんおはようございます。CFOの野村です。
昨晩遅くになりますが、我々の提携先であるファイザー、ニューロクラインの両社が3Q決算を発表しましたので、以下、ポイントを整理させていただきます。



●ニューロクライン社説明資料
2021年に始まったニューロクライン社とのムスカリン作動薬に関する包括的な提携では、既にM4作動薬(NBI-1117568)がフェーズ2試験段階にあり(参考)、今年の9月にはM1/M4作動薬(NBI-1117570)のフェーズ1試験も開始されています(参考)。説明会資料では、これらに加えてさらに複数のムスカリン作動薬が今後数カ月で臨床試験を始めるとされており、ニューロクライン社のムスカリン作動薬全体に対する本気度が伝わる内容でした。



説明会の中でも、M4作動薬の患者組入れを含めてプログラム全体が順調に進んでいることも含めて、以下のコメントがありました。尚、ニューロクライン社は12月5日に"R&D Strategy and Vision"を含めた説明会を予定しています。

"On the muscarinic front, our lead asset, NBI-1117568, continues to enroll very well in the Phase 2 study in schizophrenia. In addition, the clinical trial application for NBI-1117570, our dual M1/M4 agonist, was accepted and that program is currently dosing in a Phase 1 study. These two compounds represent just the first of several muscarinic compounds that we will be advancing into the clinic over the coming months."
(ムスカリン作動薬に関しては、最も進むNBI-1117568の統合失調症を対象としたフェーズ2試験の患者組入れが引き続き順調に進んでいます。加えて、M1/M4作動薬であるNBI-1117570の臨床試験開始が承認され、現在、フェーズ1試験を進めています。これらの2つのプログラムは、今後数カ月の間に臨床試験を開始する予定の複数のムスカリン作動薬のうちの最初の2つにすぎません。)



●ファイザー社説明資料パイプライン
大きなアップデートはありませんでしたが、当社との提携から生まれたMC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)とCCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)について、引き続きファイザー社のパイプライン表上で開発状況が確認できます。尚、米国NIHの臨床試験登録サイトClinicalTrials.govでは、MC4拮抗薬(参考)は今年8月に現在の試験が既に完了、CCR6拮抗薬(参考)は現在の試験が来年10月に完了予定となっています。



今後とも、どうぞよろしくお願いします!