2022年9月22日木曜日

GLP-1作動薬のデータが発表されました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

昨晩、欧州糖尿病学会年次学術集会(EASD2022)にて、2015年の我々とファイザー社との提携から生まれたPF-07081532のP1b試験(NCT04305587)の、より詳細なデータが発表されました。また、ファイザー社はEASD2022での発表を中心に、経口GLP-1作動薬についての投資家向けのコール(参考)を開催しましたので、ここで内容を報告させていただきます。


【EASD2022での発表/Q&Aの内容】
  • MDG(平均血糖値)は用量依存的(10mg→180mg)かつ、すべての投与量でプラセボに対して統計学的に有意に減少した
  • HbA1c(糖尿病の最重要の検査値の一つ)は6週間という短期間にも関わらず1.61%減少した(最高用量の180mg)
  • 体重は4-6週間で5.1kg(被験者の体重の約5.5%)減少した(最高用量の180mg)
  • GLP-1作動薬で一般的な消化器系の副作用(吐き気など)がPF-07081532でも観察されたが、これは本試験がそもそも短期間のデザインで、用量を増加(タイトレーション)を数日ごとに行ったことによる部分も大きいと考えており、今後の試験では異なる結果になるとみている
  • また、最も体重減少がみられた被験者群と吐き気を訴えた被験者群は相関しておらず、副作用で体重が減少したわけではない
  • 既存の経口GLP-1作動薬(リベルサス)で必要な飲食の制限などは必要ない


【ファイザー社のコール/Q&Aの内容】
  • PF-07081532のPh2b試験は2022年4Qに開始し、トップラインデータは2024年1Qに得られる予定
  • 現在、Ph2b試験を実施中のDanuglipronとそれぞれの試験結果を比較したうえで、どちらか一方を選択して2024年にPh3試験を開始する予定
  • 全ての患者タイプ(糖尿病、糖尿病+肥満、肥満)で、「注射」や「経口で飲食制限あり」と比較して「経口かつ飲食制限が不要」なGLP-1作動薬が望まれており、ファイザー社の経口GLP-1作動薬がこのカテゴリーにある
  • 世界のGLP-1作動薬は現在250億ドル(約3.5兆円)の規模だが、今後10年で900億ドル(約12.6兆円)に拡大する可能性があり、その中でファイザー社の経口GLP-1作動薬が相当なシェア(sizable share)を獲得できると考えている





全体的に、ファイザー社が2Qの決算説明会以降、各種のカンファレンス(シティ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレー)で行ってきた力強い発表・ディスカッションと一致するもので今後の開発が楽しみになのと同時に、将来的な販売を見据えた市場分析資料なども発表され、改めてファイザー社の本気度が伝わる内容だったと考えています。


ファイザー社が発表したこのPF-07081532は、2015年に契約された我々とファイザー社の戦略的提携から生み出されたもので、我々は開発や商業化の進展に伴って、1ターゲットあたり189百万ドルのマイルストーンの他、売上の一定%をロイヤルティを受領する権利があります(参考)。我々独自の創薬プラットフォームであるStaR技術の「精密な創薬」が、GLP-1作動薬という大きな創薬カテゴリーの中でベスト・イン・クラスの薬剤を生み出すことに、是非、期待したいと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Qアッヴィ社と新たな戦略的提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル