2022年8月12日金曜日

2022年上期決算を発表しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


8月10日(水)に2022年の上期決算を発表し決算説明会を開催しました。決算説明会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。詳細はリンクをご覧いただければと思いますが、以下でポイントを絞って解説させていただきます。


決算短信

決算説明資料

決算説明会動画 (WEBCASTのマークをクリック)


●業績の概要

売上高は24億円で、前年度から21%減少しました。これは主に、前年同期には5件あったマイルストン収入が、上期(6月末)に限れば2件に留まったことが要因です。ただ、既に発表させていただいている通り、8月に入ってからアッヴィ社との新規提携による契約一時金(約50億円)、ニューロクライン社に導出しているM4作動薬のフェーズ2試験の開始準備完了によるマイルストーン(約40億円)がありました。これらは、今期の第3四半期以降の業績に反映される予定です。 

営業損失は38億円で、前年度の18億円から20億円増加(損失拡大)しました。これは上記の通り売上高が減少したこと、期初の予定通りに研究開発が進んでいることに加え、円安とインフレの進行が要因です。また、主にこの円安とインフレの進行により、2022年の研究開発費の見込みを67.5億円~77.5億円に修正しています(10億円の増加)。我々の売上高はほとんど米ドルで受け取っており、コストは主にポンドで支払っています。そのため業績は円・ドル・ポンドの3つの通貨の間の為替の影響を受けますが、円安は主には売上とコストの両方の増加要因になり、利益には対しては基本的に足元では大きな影響はありません。


●開発パイプライン

個別の進展はリリースでも開示していますが、主要パイプラインとその進捗を決算説明会資料P9-10に整理しています。個別のアップデートはP10の通りですが、以下にもう少し詳細に解説します。


Verily社 - 今年の1月にアルファベット社の子会社のVerily社と提携を開始しましたが、Verily社の免疫機能(細胞)に関する膨大なデータベースとAIを駆使し(参考)、既にファースト・イン・クラスになりうる複数の創薬ターゲット(GPCR)を特定しました。期待通りの成果が得られたことに一同とても喜んでおり、また、免疫分野に残るGPCRをターゲットとした創薬機会の多さにも、改めて驚いています。

ジェネンテック社 - 提携を開始した2019年からちょうど3年が経過しました。この3年間でジェネンテック社との間で5つの初期段階のマイルストーンを達成しており、非常に順調にプログラムが進んでします。ターゲットには低分子を使うもの、高分子(抗体など)を使うものなど、モダリティも多様で今後の開発進展に期待しています。

アッヴィ社 - これも既に発表の通りですが、8月2日に契約一時金40百万ドル、総額マイルストン12億ドルの、新たな戦略的提携を結びました(参考)。アッヴィ社とは2019年にも炎症性疾患をターゲットに戦略的提携を結んでいますが、今回は神経疾患がターゲットになります。1つ目の提携での信頼関係が2つ目の戦略的提携に繋がったのは、我々の仕事が高く評価されていることでもあり、とても嬉しく思います。

ファイザー社 - 当社が導出しているGLP-1作動薬(PF-070815732)から非常に強力なフェーズ1試験のデータが発表され、とてもワクワクしています(参考)。ファイザー社もコメントしている通り、先行薬のリベルサスに対して、大きく差別化が期待できる可能性がある、まさにベスト・イン・クラスの医薬品候補だと考えています。詳細なデータが発表される9月21日のEASD(参考)に注目するのと同時に、フェーズ2試験の開始にも期待しています。

ニューロクライン社 - 当社が導出しているM4作動薬(NBI-1117568)のフェーズ2試験の開始の目途が立ち(参考)、さらに先行する米カルナ社が良好なデータを発表したことで(参考)、こちらも期待が高まるプログラムになります。米カルナ社のKarXTは、副作用を抑えるため作動薬と拮抗薬を合剤にしていることに加え、1日2回の投与が必要です。薬自体を精密にデザインすることで副作用を抑え、かつ1日1回の投与でよい我々の化合物はベスト・イン・クラスとなる可能性があると考えています。


【主要パイプラインと進捗(決算説明会資料:P9-10)




●その他

2022年度上期は、6月末まででみればほとんど発表できる進捗が無くご心配をおかけしましたが、決算説明会の前にいくつかの大きな進捗をお示しできて一安心しています。足元で我々の事業はとても順調に成長しており、特に、我々が権利を持つ2つの大型の開発品が、それぞれ非常に力のあるパートナーの手でフェーズ2試験に進むであろうことは、創薬企業としての大きな喜びです。また、既にパイプライン一覧にある開発品はもとより、我々独自の創薬プラットフォームであるStaR技術によって、それに続くパイプラインも次々に生み出されてきています。是非、今後の進展に注目いただければありがたいです。

また、企業のステージが一段変わる可能性という意味では、引き続き東証プライムへの上場を目指して取り組みを進めています。以前からご説明の通り、プライム上場の可否は東京証券取引所の判断によりますので、我々からは確定的なことは申し上げられませんが、仮に無事に東証プライムに上場できるとすれば、その時期は2023年の第1四半期(1-3月)となることを見込んでいます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Qアッヴィ社と新たな戦略的提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル



2022年8月9日火曜日

米カルナ社がKarXTのP3試験結果を発表しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


日本時間の昨夜、米国のKaruna Therapeutics(米カルナ社)が、KarXTのP3試験結果(EMERGENT-2試験)を発表しました。詳細はこちらをご覧いただきたいのですが、主要評価項目及び主な副次評価項目を達成した非常に良好な結果で、陰性症状を含め、これまでのM4及びM1の中枢神経系への効果を裏付けるものになっています。米カルナ社は2023年の半ばにFDAへの承認申請を行う予定としており、統合失調症の治療で約70年間続いたドパミン/セロトニンをターゲットにした治療メカニズムに、新たなメカニズムの薬が加わることになるとみられます。


先日、P2試験の開始を発表した、我々からニューロクライン社に導出しているNBI-1117568は、米カルナ社のKarXTをこれまでもベンチマークの一つとし、同様の作用メカニズムでベストインクラスを目指して開発を進めてきました。詳細は過去のプレゼンテーション資料などをご覧いただきたいのですが、KarXTは狙っていない受容体(M2/M3)による副作用を抑えるため、作動薬と拮抗薬を合剤にした薬で、例えるならアクセルとブレーキを同時に踏んでいる薬です。勿論、米カルナ社の方法も一つのやり方ですが、我々の独自の創薬プラットフォームであるStaR技術を使った「精密な創薬」から生まれたNBI-1117568は、狙った受容体のみに作用するため合剤にする必要がなく、我々とニューロクライン社はベストインクラスの薬剤となることを目指して昨年の提携以降の開発を進めています。






日本時間の朝方に取引が終了した米国の株式市場では、米カルナ社の株価は前日比で+70%超上昇して時価総額は約1兆円となったほか、我々のパートナーのニューロクライン社、同じくM4をターゲットにしているcerevel社なども、株価が上昇しました。米カルナ社が先陣を切って、これらの新しい治療法の可能性を示したことで、ムスカリン受容体をターゲットとした統合失調症治療薬の開発がより現実味を帯び、これまで治療が難しかった患者さんのお役に立つ可能性が増したことは、我々にとっても大きな喜びです。是非、ニューロクライン社にょる、今後のNBI-1117568の臨床試験の進展を見守っていただければと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Qアッヴィ社と新たな戦略的提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日(参考3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験(IND)を開始マイルストン30百万ドル

2022年8月5日金曜日

ニューロクライン社がM4作動薬のP2試験を開始します

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


先ほどリリースの通り、昨年11月に我々からニューロクライン社に導出していたムスカリン作動薬シリーズの1つであるM4作動薬(NBI-1117568/HTL0016878、適応:統合失調症)の新薬臨床試験開始申請(IND)がFDAに受理され、試験開始の準備が整いました。我々はINDの受理に伴い、30百万ドル(約40億円)のマイルストーンを受け取ります。これは全額、2022年第3四半期の売上となる見込みです。また、つい先ほどですが、日本時間の5日(金)の早朝に、ニューロクライン社は2Qの決算発表と決算説明会を行い、以下の通り当社のM4作動薬が紹介されました(参考)。




先日のファイザー社のGLP-1作動薬に引けを取らず、統合失調症の市場も昨年は全世界で約1.3兆円、2028年には2兆円以上(EvaluatePharma)と、非常にニーズの大きい領域です。また、これまで70年間に亘って、ドパミン/セロトニンに作用する以外の新しいメカニズムが生まれておらず、有効性が高く、副作用も少ない薬の開発が待ち望まれている分野でもあります。リリースにもある通り、我々独自の創薬プラットフォームであるStaR技術の「精密な創薬」が、ベスト・イン・クラスの薬剤を生み出すことに、是非期待したいと思います。


尚、今回のマイルストーン受領のトリガーは上記の通りINDの受理でした。こうしたマイルストーンの受領タイミングは、契約ごとに細かく決まっていますので、一律ではありません。詳細は開示できませんが、今後を含めたマイルストーンの受領の考え方については、2021年度の決算説明会の以下のQ&Aをご参考いただければと思います(参考)。


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Q39:      HTL16878M4作動薬)のPh2試験の開始のマイルストンはアラガン時より大きいと考えてよいのか?

A39:      マイルストンの金額については、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。ただ、開発マイルストン総額は2016年のアラガン社との契約では665百万ドルだったのに対し、2021年のニューロクライン社との契約では1,500百万ドルへと倍増しています。従って一般的には、マイルストンの金額規模や受領する回数などが増えると、ご理解いただければと思います。

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尚、コーポレート・プレゼンテーションも同時に更新していますので、こちらもご参照いただければと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日(参考3Qアッヴィ社と新たな戦略的提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合
8月5日3Qニューロクライン社がM4作動薬のPh2試験を開始(IND)マイルストン30百万ドル

2022年8月2日火曜日

アッヴィ社と新たに戦略的提携しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


先ほどアッヴィ社との間での、新たな戦略的提携について発表しました。3つの神経疾患に関連するターゲットが対象で、契約一時金の40百万ドル(約53億円)に加え、初期マイルストーン40百万ドル(約53億円)、総額マイルストーン12億ドル(最大・約1,600億円)、売上高に応じた段階的ロイヤルティを将来的に受領する可能性があるものです。


アッヴィ社は2021年の売上世界3位の大手製薬企業で、我々とは2020年に炎症性疾患と自己免疫疾患を対象とした最初の戦略的提携を締結していました(参考)。今回のリリースでもコメントの通り、それ以来、我々独自の創薬プラットフォームであるStaR技術を活用し、非常に効果的に研究が進んできたことから、両社の間で信頼関係が醸成され、今回の新たな大型契約につながったことを一同とても喜んでいます。


また同時に、コーポレート・プレゼンテーションを更新していますので、こちらもご参照いただければと思います。今回のアッヴィ社との新規契約も含めて、既存のライセンスパートナーとの間のマイルストーン残高は、総額100億ドル超(約1.3兆円超)となりました(P10参照)。




ここに書かれているマイルストーン金額は、あくまでも開発の全てが順調に進んだ場合の最大値ですので、全額を受領することは現実的ではありません。一方で、全てが失敗することも考えにくく、足元~中長期にかけて一定割合は受領できる可能性が高いともみています。また、医薬品が販売されれば、いずれのパートナーとの契約でも、このマイルストーンに加えて、売上の一定%のロイヤルティを受領することになります(最大で10%中盤)。


尚、リリースにも記載の通り、契約一時金の40百万ドルは一括で受領しますが、IFRS(国際財務報告基準)のルールに則り、損益計算書には今年の第3四半期、第4四半期、またそれ以降の一定期間に分かれて計上される予定です。また、初期マイルストーンの40百万ドルは、概ね今後3年以内に進む可能性が高い基礎研究段階の進捗に応じて、受領することになります。


アッヴィ社は既存の提携先ですので、これまでも様々なオプションを継続的に話し合ってきました。今回、新たな提携の発表に至るまでには、個人的に思っていたよりも長い時間がかかりましたが、深い議論を通じて、お互いがやりたいことを納得いくまで契約に盛り込むことができましたので、今後のプロジェクト進展に大いに期待しています。


創薬は今年の契約が、来年すぐに製品として花開くという世界ではありませんが、引き続き最先端のテクノロジーを患者さんのお役に立てるべく、着実に進んでいきたいと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!




【2022年12月期に発表した進捗(一時金/マイルストン収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
8月2日3Qアッヴィ社と新たな戦略的提携を締結契約一時金契約一時金40百万ドルの一定割合

2022年7月29日金曜日

ファイザー社の第2四半期・決算説明会が開催されました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


昨夜遅くにファイザー社の第2四半期決算が発表され、決算説明会が開催されました。資料はこちらをご覧いただきたいのですが、コロナワクチンや治療薬などに次ぐ扱いで、我々との提携から生み出された経口GLP-1作動薬のPF-07081532の、Phase1試験結果が取り上げられています。口頭でのプレゼンテーションの内容と合わせ、ポイントは以下になります。




【口頭プレゼンテーションでのポイント】

  • 6週間という短期間の試験結果にも関わらず、血糖値と体重減少に非常に高い効果があった
  • 現在、Phase2試験を計画中であり、投与量の最適化も含めた検証を進める予定
  • 「2型糖尿病」「肥満」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」「2型糖尿病・肥満症における心血管リスクの低減」などの治療薬となる可能性がある
  • 注射剤、経口剤の全体で見ても、ベスト・イン・クラス(同一カテゴリーの既存薬に対して明確な優位性を持つ医薬品)の薬になりえる
  • 非糖尿病性肥満の被験者でも、同じような体重減少がみられた


また、質疑応答ではウェルズ・ファーゴ社のアナリストからの質問を受け、ファイザー社は以下のようにコメントしています。


【質疑応答でのポイント】

  • 既存薬(リベルサス)と比較すると、かなりの差別化が図れると思う。血糖値や体重減少でのより高い効果が期待でき、服用時に飲食の制限などもない
  • 次のPhase2b試験については、今後すぐに規制当局とコンタクトする予定。社内でも明らかに優先度が高く、「光速プロジェクト(light speed project)」に指定されている
  • 「光速プロジェクト」とはファイザー社内での定義で、患者さんにとって、そして経済的にも非常に重要なプロジェクトが指定される。この指定によって、プロジェクトを最速で動かし、リスクを回避のため過剰投資(over invest)もいとわず、トップ自らが隔週・隔月で進捗状況をレビューしていくことになる
  • 4~6週間という短い期間で、平均日血糖値がほぼ100mg/dL、体重が5kg減少という高い効果がみられたが、投与量はまだ最適化されておらず、増やせる余地がある
  • データの詳細は今後のEASDの発表(参考)を見てもらいたいが、HbA1c(糖尿病の最重要の検査値の一つ。過去1-2か月の血糖値を反映)についても、6週間という短期間の試験にも関わらず非常に有望な結果が確認できると思う
  • Phase2b試験を通じて、Phase3試験に最適な化合物やレジメン(薬の投与量など)を迅速に決定していく(Danuglipronも含め、検討されると考えられます


全体として非常に力強いコメントで、ファイザー社の本気度と、今後の進展がとても楽しみになる説明会でした。また、上に貼らせていただいているプレゼンテーション資料は、ファイザー社が2021年9月に完了したPhase1試験のデータですが、ファイザー社は同じくPF-07081532について最新のPhase1試験も今年の6月に完了しています。こちらの結果が今後、どういう形で公開されるかは現時点では分かりませんが、それもまた楽しみにしています。


ファイザー社が発表したこのPF-07081532は、2015年に契約された我々とファイザー社の戦略的提携から生み出されたもので、我々は開発や商業化の進展に伴って、1ターゲットあたり189百万ドルのマイルストーンの他、売上の一定%をロイヤルティを受領する権利があります(参考)。注射剤、経口剤を合わせたGLP-1作動薬の市場は、去年で約2.3兆円、2028年には4兆円以上(EvaluatePharma)とされる非常にニーズの大きな分野ですので、我々独自の創薬プラットフォームであるStaR技術の「精密な創薬」が、その中でのベスト・イン・クラスの薬剤を生み出すことに、是非、期待したいと思います。


尚、ファイザー社からの戦略的提携では、このPF-07081532も含めて現在3つの開発品が臨床試験が進行中です。決算と同時にアップデートされているパイプライン一覧からも、これまでのところ順調に開発が進んでいます。


PF-07081532 Phase1試験段階 適応症:2型糖尿病、肥満など
PF-07054894 Phase1試験段階 適応症:炎症性腸疾患
PF-07258669 Phase1試験段階 適応症:拒食症


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2022年7月25日月曜日

ファイザー社のGLP-1作動薬に関する学会発表

みなさんこんにちは。CFOの野村です。


2015年の我々とファイザー社からの提携から生まれ、先月に3回目のPh1試験終了がClinicalTrial.govに登録された経口GLP-1作動薬のPF-07081532について、欧州糖尿病学会年次学術集会(EASD2022:9月19日~23日@ストックホルム/オンライン)でデータが発表される見込みです。アブストラクト等は以下のリンクをご覧ください。空腹時血糖値や体重減少などについて、一部のデータが記載されています。


Once-daily oral small molecule GLP-1R agonist PF-07081532 robustly reduces glucose and body weight within 4-6 weeks in adults with type 2 diabetes and non-diabetic adults with obesity


経口GLP-1作動薬は、第一世代のリベルサス(ノボノルディスク社)が2019年から先行して販売を開始しており、2028年に世界で約8,000億円(EvaluatePharma社)の売上高になると予想されています。一方で、リベルサスは飲み方に制限が多く(起床後、最初の飲食の前にコップ半分以下の水で飲み、服用後最低30分~できれば2時間は飲食しない)、現在それらを改良した次世代の経口薬の開発が注目されています。開発では主にファイザー社(我々のPF-07081532を含む)とイーライリリー社が先行しています。


当社の行う学会発表や論文などは、これまで通り当社HPの「サイエンス・センター/知識」や「掲載論文」にアップロードしますが、このようなパートナーの開発進展についても、重要と思われるものは本ブログでもお知らせしていければと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2022年7月22日金曜日

英国王立がん研究基金(CRUK)と提携しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


先ほどリリースの通り、Cancer Research UK(CRUK:英国王立がん研究基金)との間で、我々の自社開発プログラムでがん免疫療法薬候補であるEP4拮抗薬(HTL0039732)の開発について提携しました。CRUKは、2023年上半期から開始が予定されているHTL0039732のPh1~Ph2a試験において、主に試験デザイン、試験実施、試験の費用負担を行います。これは、競争が激化し、専門性も高く、多くの併用療法が検討されているがん免疫療法薬の開発において、より豊富な経験と資金に基づいて迅速かつ効率的に開発を進めるための提携です。また、我々は以前に成長戦略としてご説明の通り、HTL0039732の一定の臨床試験が終了して付加価値が高まった段階で、製薬企業への導出を検討する予定です。今後の成長戦略については、以下のコーポレート・プレゼンテーション資料からの抜粋もご参照いただければと思います。






一部はリリースにも書かせていただきましたが、現在のがん免疫療法薬は、効果があるがんの種類と効果がないがんの種類に分かれており、さらに効果があるがんに対しても、単剤では2-3割程度の患者さんにしか効かないのが、残念ながら現実になります。EP4拮抗薬は、現在のがん免疫療法薬と併用することで、これらの有効な治療法に乏しい患者さんに対して有効な治療となることを期待しています。がんの治療薬の開発なので、一般的に初期の臨床試験から患者さんを対象とした試験になり、加えてHTL0039732では単剤療法に加えて併用療法での評価が行われる予定です。現在販売されているがん免疫療法のTop3製品(キイトルーダ、オプジーボ、テセントリク)の売上高だけでも、がん治療薬全体の2割弱である約3.8兆円(2021年/EvaluatePharma)と巨大ですが、例えばこのような既存製品との併用によって、少しでも効果が得られる患者さんが増えることを願っています。


また、今回パートナーとなったCRUKは世界最大の民間がん研究基金であり、これまで累計で140以上のがん治療薬の臨床試験を実施し、既に6製品の新薬の上市に成功しています(テモゾロミド、アビラテロン、ルカパリブ、ペメトレキセド、エトポシド、フォルメスタン)。直近の2020/2021会計年度では、合計で421百万ポンド(約700億円)の資金を提供しており、臨床試験への支援では今回の当社と同じくPh1~Ph2a試験を中心に23プログラムを支援しています。支援先はベンチャーのみならず、ロシュ社やリリー社などの大手製薬企業も含まれており、また、日本企業では小野薬品との間で2019年に戦略的提携を結んでいます。詳しくはCRUKのウェブページもご参照下さい。


本提携は今期の収入に直ちにつながるものではありませんが、当分野で高い専門性を持つCRUKから我々のEP4作動薬が高く評価されたこと、また、CRUKとの提携で迅速で効率的な臨床試験が行われることにより、今後の成長戦略に向けた第一歩が踏み出せたことを、一同とても喜んでいます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2022年5月19日木曜日

コーポレート・プレゼンテーションを更新しました

みなさんこんにちは。CFOの野村です。

先日のKallyope社との戦略的提携の進捗なども踏まえ、コーポレート・プレゼンテーションを更新しました。


今後も、最新の動きを出来るだけ更新していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします!

2022年5月17日火曜日

Kallyope社と戦略的提携を締結しました

みなさんこんにちは。CFOの野村です。

 

先ほどリリースの通り、米Kallyope社と消化器領域での戦略的提携を結びました。Kallyope社は最近注目が高まっている脳腸軸(後述)に特化した創薬プラットフォームを持つ未上場のバイオベンチャーで、自社品の開発や大手製薬企業との提携(ノボノルディスク社など)を通じて研究開発を進めています。研究開発のマネジメント・メンバーは大手製薬メルク社の出身者が多く、今年2月には236百万ドルのシリーズDのファイナンスを完了するなど、投資家からも高く評価されていることが窺える新進気鋭の企業です。


尚、当社の戦略的な提携の全体像と概要は以下の通りです。


【戦略的な提携の位置づけの整理】
① 新しい薬のターゲットを探すための提携→ → →② ターゲットに対して実際に薬を作るための提携
人工知能・マシンラーニング・DB等モダリティ
InveniAI社
Verily社
Kallyope社
低分子抗体その他
ターゲット
GPCR
PharmEnable社
Kymab社
Twist社
ペプチドリーム社
Captor社
その他
Metrion社
※モダリティ - 「低分子」「抗体」といった治療薬の物理的な種類の別


【戦略的な提携先の概要】
提携の目的パートナー契約時期テーマ提携内容
①新しい薬のターゲットを探すための提携
標的GPCRの発掘InveniAI社2021年7月AI創薬
(基盤技術:AlphaMeld)
免疫疾患関連の複数のGPCRをターゲットとした、AIとML(マシンラーニング)による標的探索のための提携。
Verily社2022年1月AI創薬
(基盤技術:ImmuneProfiler)
免疫疾患関連の複数のGPCRをターゲットとした、膨大なデータベースに基づく標的探索のための提携。
Kallyope社2022年5月脳腸軸消化器疾患の複数のGPCRをターゲットとした、脳腸軸プラットフォームに基づく標的探索のための提携。
②ターゲットに対して実際に薬を作るための提携
モダリティの拡大Kymab社2016年4月抗体がん免疫領域の複数のGPCRをターゲットとした提携。現在、KY1051が前臨床試験段階
ペプチドリーム社2017年6月特殊環状ペプチド炎症性疾患領域のGPCRをターゲットとした提携。現在、PAR2アンタゴニストペプチドが前臨床試験準備中
Captor社2020年12月TPD
(標的タンパク分解誘導)
消化器領域に関連することが明確に検証されているGPCRをターゲットとした提携。
PharmEnable社2021年1月AI創薬
(創薬困難な標的)
神経疾患に関連する創薬困難なペプチド作動性のGPCRをターゲットに対する化合物設計を目的とした提携。
Twist社2021年12月抗体特定のGPCRをターゲットとした、リード抗体の獲得を目的とした提携。
ターゲットの拡大Metrion社2021年2月イオンチャネル神経疾患に関連するイオンチャネルをターゲットとした提携。


脳腸軸とは、脳腸相関とも呼ばれる「脳」と「腸」の密接な連携のことです。脳と腸は自律神経やホルモン分泌などを通じてお互いの機能や生体全体に影響を与えており、例えばうつ症状によって腸の免疫物質が低下する一方で、この免疫物質を外から補うと逆にうつ症状自体が改善すること、また、腸内細菌の環境(腸内細菌叢や腸内フローラと呼びます)が、免疫チェックポイント阻害剤の効果を左右することなどが知られています。この脳腸軸が影響する可能性のある疾患は、報告されているだけでも、肥満、糖尿病、NASH、機能性胃腸障害、炎症性疾患、うつ病、自閉症、パーキンソン病など非常に幅広く、ポテンシャルの高さが注目されています。


今回、シングルセル解析、計算生物学、表現型スクリーニングなどを組み合わせたKallyope社の脳腸軸に特化した創薬プラットフォームと、我々のGPCRに対する創薬ノウハウを融合し、新しい消化器疾患の治療薬候補となる複数のGPCRの発掘、優先順位付け、検証を行い、これらのターゲットに作用する新規低分子化合物の開発を進めます。尚、これまでの多くの戦略的提携と同じく、双方の強みを持ちよって研究開発を進め、将来成果が得られた際には基本的にそれを折半することになります。短期的にはマイルストン収入等が期待できる契約ではありませんが、将来の大きな成果を目指して着実に歩みを進めていきますので、是非、今後の進展を見守っていただければと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2022年5月13日金曜日

1Q決算を発表しました

みなさんこんにちは。CFOの野村です。


本日、1Q決算を発表しました。詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高11.2億円(前年同期は12.1億円)、営業赤字22.1億円(前年同期は12.4億円の赤字)となりました。売上高がほぼ横ばいでの赤字拡大になりましたが、これは主に研究開発費が6億円増(12億円→18億円)、販管費が4億円増(10億円→14億円)とコスト部分が約10億円増加したためです。コスト増加は研究開発への投資の加速や円安の影響に加えて、一過性の構造改革費用5.3億円が1Qにまとめて先行計上されたためですが、2022年の通期では2月に発表した費用見込みからの変更はありません。


【セグメント別の売上高(決算短信:P5)】
(億円)
項目2021年1Q
(1-3月)
2022年1Q
(1-3月)
増減詳細(最新決算について)
マイルストン/契約一時金4.21.2-71%主に過去に受領済みのマイルストンの分割計上分
ロイヤルティ5.97.528%ノバルティス社の3製品*の売上からの収入(一部、円安が影響)
その他2.02.526%主に提携先からのFTE/研究開発支援金
合計12.111.2-7%
*シーブリ、ウルティブロ、エナジア


1QはVerily社との提携など研究開発においていくつかの重要な進捗があったものの、契約一時金やマイルストン収入のニュースが少なかったこともあり、売上高としても昨期をやや下回る結果となりましたが、引き続き、今期目標の達成に向けては着々と事業を進めて参ります。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!