2023年2月15日水曜日

2022年12月期決算を発表しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


2月14日(火)に2022年12月期決算を発表し、決算説明会を開催しました。決算説明会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。詳細はリンクをご覧いただければと思いますが、以下でポイントを絞って解説させていただきます。


決算短信

決算説明資料

決算説明会動画 (WEBCASTのマークをクリック)


●業績の概要

売上高は155億円で前年度から12%減少しました。これは主に、21年にニューロクライン社からの大型の契約一時金114億円がありましたが、22年はアッヴィ社とイーライリリー社からの契約一時金が46億円に留まったためです。アッヴィ社とイーライリリー社からは、既に77百万ドル(22/12期の平均レート換算で約101億円)の契約一時金を受領していますが、これまでにもご案内の通りIFRSの会計基準に従い、22年に計上された46億円以外の部分は、23年以降に順次、売上げとして計上される見込みです。一方、マイルストンは約73億円となり、21年の32億円から増加し、契約一時金の減少分の一部を補いました。また、当社は売上高の90%以上を米ドルで受け取っていますので、期中のドル円の平均為替レートが、21年の110円から22年は131円に円安に振れたことも、円ベースでの売上高の下支えとなりました。


【主要決算数値(説明会資料:P6)




23年の費用見込みについて、研究開発費は80~100億円(22年は74億円)、販管費は42.5~47.5億円(22年は43億円)としています。為替前提は決算短信P6とP10をご覧いただきたいのですが、為替の影響を除くと研究開発費が約15%増、販管費はフラットとなっています(いずれもレンジ中央値)。23年には、将来のより大きなライセンスを目指し、最低2品目の自社開発品の臨床試験を開始する予定ですので、研究開発費の増加が見込まれますが、過度な費用増にはならないよう、これまで通りコントロールを図っていきます。


【23年12月期の費用見込み(説明会資料:P7)




●開発パイプライン

個別の進展はリリースでも開示していますが、主要パイプラインとその進捗を決算説明会資料P16-18に整理しています。個別アップデートの詳細は以下の通りです。


Verily社 - 22年1月にアルファベット社の子会社のVerily社と提携を開始しましたが、Verily社の免疫機能(細胞)に関する膨大なデータベースとAIを駆使し(参考)、既にファースト・イン・クラスになりうる複数の創薬ターゲット(GPCR)を特定しました。期待通りの成果が得られたことに一同とても喜んでおり、また、免疫分野に残るGPCRをターゲットとした創薬機会の多さにも、改めて驚いています。

ジェネンテック社 - 提携を開始した2019年からちょうど3年が経過しました。この3年間でジェネンテック社との間で5つの初期段階のマイルストーンを達成しており、順調にプログラムが進んでします。ターゲットには低分子を使うもの、高分子(抗体など)を使うものなど、モダリティも多様で今後の開発進展に期待しています。

アッヴィ社 - 22年8月に契約一時金40百万ドル、総額マイルストン12億ドルの、新たな創薬提携を結びました(参考)。アッヴィ社とは2019年にも炎症性疾患をターゲットに創薬提携を結んでいますが、今回は神経疾患がターゲットになります。1つ目の提携での信頼関係が2つ目の創薬提携に繋がったのは、我々の仕事が高く評価されていることでもあり、とても嬉しく思います。1つ目の提携でも、12月に新たな進展に伴い10百万ドルのマイルストーン受領を発表しました(参考)。

ファイザー社 - 当社との提携から生み出された経口GLP-1作動薬(PF-070815732)から非常に強力なフェーズ1試験のデータが発表されました(参考)。ファイザー社もコメントしている通り、先行薬のリベルサスに対して、大きく差別化が期待できる可能性があるベスト・イン・クラスの医薬品候補で、12月のファイザー社の説明会でも大きく取り上げられています(参考)。同じく12月に、ファイザー社のフェーズ2試験の開始(糖尿病/肥満)により、当社は10百万ドルを受領しました(参考)。

ニューロクライン社 - 当社が導出しているM4作動薬(NBI-1117568)のフェーズ2試験の開始の目途が立ち(参考)、さらに先行する米カルナ社から良好なデータが発表されました(参考)。米カルナ社のKarXTは、副作用を抑えるため作動薬と拮抗薬を合剤にしていることに加え、1日2回の投与が必要です。薬自体を精密にデザインすることで副作用を抑え、かつ1日1回の投与でよい我々の化合物はベスト・イン・クラスとなる可能性があると考えています。8月にはフェーズ2試験のINDがFDAに受領されたことで30百万ドルのマイルストンを受領し(参考)、その後、10月にフェーズ2試験が開始されました(参考)。

イーライリリー社 - 22年12月に契約一時金37百万ドル、総額マイルストン7億ドルの、新たな創薬提携を結びました(参考)。イーライリリー社が最も得意とする、糖尿病・代謝性疾患の複数ターゲットを対象とし、今後、新規の新規の低分子ヒット化合物の創出を進めていきます。


【主要パイプラインと進捗(決算説明会資料:P16-18)






●その他

22年度は8月までは発表できる進展は多くありませんでしたが、1年が終わってみれば2つの新規の創薬提携(アッヴィ社、イーライリリー社)、2つのフェーズ2試験の開始(M4作動薬、GLP-1作動薬)を含む、多くの進捗がありました。医薬品の研究開発では四半期ごとでは進捗が見えづらいことは今後もあり得えますが、研究開発自体は絶え間なく進めていきますので、温かく見守っていただければありがたいです。また、プラットフォームも引き続き高い生産性を維持しており、上記2社との創薬提携の原動力となっただけではなく、アーリーな段階ですが多くの自社開発品を生み出し続けています。

一方で、説明会資料のP32の通り、いくつかの開発品では優先度を下げたり、ポジションを変更しています。これには当社の判断、提携先の判断の両方がありました。医薬品の開発は残念ながら全ては成功はしません。ですので、アーリーな段階であっても、基礎のデータ、競争環境、そして、それによる将来の市場見通しの変化に合わせ、迅速に投資方針を切り替え、よりポテンシャルの高い開発品へ資金を振り分けることが、結果的に開発の成功率と投資効率を高め、企業として中長期で安定的に成長するために必須だと考えています。今後も主要パイプライン一覧(今回の説明会資料のP16)では、常にポテンシャルの高い、フレッシュな開発品をお示ししていきます。

最後に東証プライム市場への上場については、以前からご案内の通り、引き続きそれを目指して取り組みを進めています。プライム上場の可否は東京証券取引所の判断によりますので、我々からは確定的なことは申し上げられませんが、それにふさわしい企業となるよう改めて社内体制を総点検するとともに、当社の状況について説明を尽くしていきます。



今後とも、どうぞよろしくお願いします!