2023年9月12日火曜日

M1/M4作動薬のフェーズ1試験が始まりました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

昨晩、提携先のニューロクライン社がM1/M4作動薬(NBI-1117568)のフェーズ1試験開始を発表し(参考)、当社からも今朝リリースを出しました。これで、2021年に締結したニューロクライン社との提携で進めている、ムスカリンシリーズ(M4作動薬、M1/M4作動薬、M1作動薬)のうち2つが臨床試験を開始したことになります(参考)。一般的に、M4は精神症状、M1は認知症状に効果があるとされており、ニューロクライン社のリリースにもある通り、M1/M4作動薬はこれらの症状が表れる幅広い疾患への効果が期待されています。

現在開発中の、主なムスカリン作動薬の競合状況を以下の通り整理しました。NBI-1117568と同じくM1/M4作動薬を含むKarXTは、統合失調症に加えアルツハイマー病の関連症状への適応でも現在フェーズ3試験が進んでいます。NBI-1117568がどのように適応を拡大していくかは競合も含めた今後の試験結果次第ですが、認知症状への効果があれば大きく適応範囲が広がる可能性もあり、今後の開発の進展や協業を楽しみにしています。


ニューロクライン社ニューロクライン社Karuna Theraputics社Cerevel社
パイプラインNBI-1117570NBI-1117568KarXTEmraclidine
開発段階フェーズ1フェーズ2フェーズ3フェーズ2
メカニズムM1/M4作動薬M4作動薬
M1/M4 作動薬
M2/M3 拮抗薬
の合剤
M4 PAM
適応疾患
精神症状と認知症状
に関連する疾患
統合失調症統合失調症
アルツハイマー病の行動・心理症状
統合失調症
投与間隔基本一日1回一日1回基本一日2回一日1回
特徴ターゲットとする受容体に正確に直接作用ターゲットとする受容体に正確に直接作用他の受容体にも作用するため、副作用を抑えるために拮抗薬と併用が必要直接作用ではなくPAMなので、患者の神経細胞にアセチルコリンが必要


ニューロクライン社との契約では、合計では最大1,500百万ドル(約2,100億円)の開発マイルストン(販売前に受領するマイルストン)が設定されており、M1/M4作動薬でもフェーズ1試験に関連するマイルストンは設定されていますが、今回のリリースに関連したマイルストンは発生しません。今後、マイルストンが発生する進展があった際には、改めてご報告できればと思います。

尚、コーポレート・プレゼンテーションも同時に更新していますので、こちらもご参照下さい。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!