日本時間の昨夜、米国のKaruna Therapeutics(米カルナ社)が、KarXTのP3試験結果(EMERGENT-2試験)を発表しました。詳細はこちらをご覧いただきたいのですが、主要評価項目及び主な副次評価項目を達成した非常に良好な結果で、陰性症状を含め、これまでのM4及びM1の中枢神経系への効果を裏付けるものになっています。米カルナ社は2023年の半ばにFDAへの承認申請を行う予定としており、統合失調症の治療で約70年間続いたドパミン/セロトニンをターゲットにした治療メカニズムに、新たなメカニズムの薬が加わることになるとみられます。
先日、P2試験の開始を発表した、我々からニューロクライン社に導出しているNBI-1117568は、米カルナ社のKarXTをこれまでもベンチマークの一つとし、同様の作用メカニズムでベストインクラスを目指して開発を進めてきました。詳細は過去のプレゼンテーション資料などをご覧いただきたいのですが、KarXTは狙っていない受容体(M2/M3)による副作用を抑えるため、作動薬と拮抗薬を合剤にした薬で、例えるならアクセルとブレーキを同時に踏んでいる薬です。勿論、米カルナ社の方法も一つのやり方ですが、我々の独自の創薬プラットフォームであるStaR技術を使った「精密な創薬」から生まれたNBI-1117568は、狙った受容体のみに作用するため合剤にする必要がなく、我々とニューロクライン社はベストインクラスの薬剤となることを目指して昨年の提携以降の開発を進めています。
日本時間の朝方に取引が終了した米国の株式市場では、米カルナ社の株価は前日比で+70%超上昇して時価総額は約1兆円となったほか、我々のパートナーのニューロクライン社、同じくM4をターゲットにしているcerevel社なども、株価が上昇しました。米カルナ社が先陣を切って、これらの新しい治療法の可能性を示したことで、ムスカリン受容体をターゲットとした統合失調症治療薬の開発がより現実味を帯び、これまで治療が難しかった患者さんのお役に立つ可能性が増したことは、我々にとっても大きな喜びです。是非、ニューロクライン社にょる、今後のNBI-1117568の臨床試験の進展を見守っていただければと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!