みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
本日、3Q決算を発表しました。詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高35.9億円(前年同期は44.4億円)、営業赤字42.3億円(前年同期は12.2億円の赤字)となりました。赤字拡大になりましたが、これは別途リリースの通り売上高に5億円の戻入れ(3Qの売上から5億円がマイナスされ、うち4.5億円は4Qに再度、売上計上される)が発生したこと、さらに研究開発費が前年から約16.4億円増加していることが大きな要因です。研究開発費の増加はムスカリンプログラムの再導出と開発加速を反映したもので、2Q決算説明会時の目標通り、年内の導出に向けて順調に歩みを進めていますので、今しばらくお待ちいただければと思います。尚、これらの進展に伴い、研究開発費の通期の見通し(現金ベース)を従来の40-50億円から、50-57.5億円に引き上げています。
決算の数字以外の進展としては、コロナ治療薬候補(SH-879)の開発に向けた助成金獲得の協議の進展を短信のP10などに記載しています。こちらは確定後にまた別途リリースしたいと思いますが、先日のPfizer社の経口プロテアーゼ阻害剤(パクスロビド: PF-07321332とリトナビルの合剤)の素晴らしい臨床試験結果(死亡率89%減:参考)を受けて、同じメカニズムであるSH-879にも注目が高まっていると感じています。パクスロビドは素晴らしい薬になると思いますが、ウイルス治療薬開発は変異との戦いでもあるので1つの薬で問題が解決する訳ではありません。抗インフルエンザ薬でも主なもので5種類、抗HIV薬では今回と同じプロテアーゼ阻害剤という分野だけでも10種類の薬が承認され、そのうち3剤(Prezista, Kaletra, Reyataz)は売上高1,000億円以上のブロックバスターに成長しています。我々もSH-879がコロナ治療薬の一翼を担えることを目指して、歩みを進めて参ります。尚、SH-879はパクスロビドのようにリトナビル(PF-07321332の血中濃度を高くする目的で一緒に投与する抗HIV薬)との合剤にしなくても、有効性が発揮できることを目指しています。
また、我々からの発表ではありませんが、10月18日にオレキシン作動薬シリーズを導出している米センテッサ社(子会社のOrexia社含む)が、AI創薬のトッププレーヤーである米シュレーディンガー社との提携を発表しました(参考)。これは、センテッサ社がオレキシンをターゲットとした開発品をさらに拡大・補完するための提携ですが、リリースにもある通りAI創薬を行うための構造情報などは我々のStaR技術由来になります。仮に将来成功すれば、我々も一定のロイヤルティを受領する見込みです。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!