2025年5月30日金曜日

ニューロクライン社がM4作動薬NBI-1117568のP2試験結果をASCP2025で発表しました

みなさんこんにちは、IRヘッドの都築です。

 

米国時間528日に当社提携先のニューロクライン社が米国臨床精神薬理学会2025(ASCP2025)M4作動薬NBI-1117568P2試験の詳細結果を発表しました(Link)。

 

提携先のデータではありますが、ファクトベースで情報をお伝えします。

新たな有効性に関するデータとしてはCGI-S Scoreの経時的な変化であったと思います。

以前公表のデータ(Link,p20)では投与6週後に0.7pt改善(NBI’568群-1.2pt vs Placebo群-0.5pt)を示しておりました。今回の発表では投与2週後で有意差が確認できる経時的な変化も示されました。P3試験の主要評価項目であるPANSS Total Scoreのみならず、CGI-S Scoreでもしっかりと有意差のあるデータが再度認識された点はよかったと考えます。

ちなみにBMS社のCobemfyのP3試験(EMERGENT-3)のCGI-S Scoreは投与5週後で0.5pt改善(Cobemfy群-1.1pt vs Placebo群-0.6pt)を示しておりました(Link)。




本日コーポレートプレゼンテーション資料(Link,p23)も更新しております。

新たにQuviviqに関して弊社に寄与する利益イメージ図を作成しております。

これは2030年ビジョンの利益率30%以上を提示している上で重要な要素の一つです。




Quviviqの現状の売上構成は製品供給とロイヤリティですが、近い将来はさらに原価低減効果による利益も享受できると想定しております。

塩野義製薬は当面の売上目標が200億円と説明会で言及しておりますが、この金額感から踏まえた当社への利益イメージを持っていただけると2030年ビジョンの利益率(30%以上)に寄与することがわかっていただけるかと思います。




このような形でもアップデートあれば適宜お伝えさせていただきます。

 

今後とも、宜しくお願い申し上げます。

都築


2025年5月23日金曜日

Endpoints News主催のドラッグロス解消を目指すオンラインイベントに登壇しました

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

 

522日にEndpoints News主催のドラッグロス解消を目指すオンラインイベント第2弾で当社CEOクリス・カーギルとCOO前田敏宏が登壇しました。

演題は「Launching a specialty medicine in Japan successfully」で日本においてスペシャリティ医薬品の上市を成功裏に収めた秘訣に関して講演しました。

資料もアップしております。


前提として日本の医薬品市場は魅力的です。

日本市場の特徴として、

1)医薬品の承認から薬価収載までは3カ月以内と非常にスピーディーであり、上市後の成長が早い点、

2)国民皆保険制度により医療制度が整っており、世界で3番目に大きな市場である点、

3)海外とは異なる市販後ルールもある等、ステークホルダー(厚生労働省、PMDA、患者様、医師等)を深く理解することが重要である点、があります。

このような要素もあり、日本の中小製薬企業でも戦える地盤があるということです。


スペシャリティ医薬品の上市成功の要因として、我々は3点で整理しました。

    Functional Alignment:社内で連携の取れた包括的戦略の策定

    Channel Mix:治療ジャーニーを理解した最適なチャネルへの戦略的投資

    KPI Management:正確かつ厳格なKPI

我々は上記3点に関してPivlazを例に具体例を説明しました。

①では発売前後で全部門がマネジメント直下で管理され、徹底した情報共有に努め、戦略的に開発部門の人員をメディカル部門に異動させる業界では稀なことも実施しました。

②では現行既存薬との治療後の管理で差別化を見出し、メディカル部門にリソースを割きエビデンスを積み上げるなど、情報提供に努めました。

③ではリアルワールドデータの分析、学会での特別セッションの開催等、発売1年以内でガイドラインにも収載されることができました。

スペシャリティ医薬品では、その医薬品の治療ジャーニーを深く理解し、特化した戦略が必要となります。それをハンズオンで機動的に管理・変更できる体制こそが我々の強みであり、この成功を別の医薬品でも実施していけると考えております。

 

またEndpointsでの講演とは別件ですが、Pivlazに関して直近で2本の論文が公開されております。

名古屋大学からの報告(Publish date:2025516)RECOVER study: a multicenter retrospective cohort study and comparison of the efficacy and safety of clazosentan and fasudil in patients with aneurysmal subarachnoid hemorrhage in: Journal of Neurosurgery - Ahead of print Journals

広島大学からの報告(Publish date:2025514)Multicenter Validation of a Unified Evidence-Based Treatment Protocol Focusing on Clazosentan for Managing Subarachnoid Hemorrhage

 

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

都築

2025年5月12日月曜日

塩野義製薬の決算が発表されました

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日の株価は大きく動きましたので、それに関するコメント、また塩野義製薬が決算を発表しておりますので、クービビックに関してコメントさせて頂きます。

512日の医薬品セクターのパフォーマンスは約-6.5%(59日終値比)で、33業種の中で最も悪いパフォーマンスでした(日経平均は約+0.4%)。これは米国時間11日に米国大統領トランプ氏が医薬品の価格を30-80%引き下げると表明したことで、セクターへの不透明感が懸念されたのだと思います。この発表により大手製薬の株価は中外製薬が約-11.1%(59日終値比)、第一三共が約-8.2%(59日終値比)となっております。セクターとして、関税に対する方針含め、今後の続報に注視したいと思います。






















塩野義製薬(決算説明会資料はこちら

決算説明資料ではクービビックの25年度売上予想が発表されました。予想売上高は93億円(上期12億円、下期81億円)となりました。大変心強い数字でした。塩野義製薬の25年度(25年4月~26年3月)と当社の25/12期(25年1月~25年12月)は完全に期間は一致していませんが、当社の売上予想40-45億(製剤供給+ロイヤルティ収入)は十分達成可能と考えています。なお、クービビックは販売開始まもない製品であるため、予想売上高の大部分が塩野義製薬への製剤供給による売上で、2025年は塩野義製薬の予想製品売上高の上下による影響はもともと受けにくいですが、本日発表の塩野義製薬の予想売上高には大変心強く感じております。




引き続きよろしくお願いいたします。

2025年5月7日水曜日

1Q決算後の機関投資家との対話

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日の株価は大きく動きましたので、それに関するコメント、また我々と機関投資家との決算後の議論の中で話題となったQ&Aを一部整理しました。今後もフォローしていきます。

5月7日のバイオ・医薬品セクターは下記表の企業全体で-3.0%(5月2日終値比)でした。33業種の中でも医薬品セクターのパフォーマンスが最も悪い状況でした。これは米国時間5日に米国大統領トランプ氏が医薬品の品目別関税に関して、今後2週間以内に内容を発表すると言及したことから、不透明感から大きく売られた印象です。ただ、以下の質疑にもある通り、当社は現時点で米国との輸出入を行っている医薬品や医薬品原料はありませんので、関税のインパクトは現時点では無いと考えています。















●開発品の進捗について

Q1.   M4作動薬NBI’568のフェーズ3試験は、プラセボを抑えるためにどのような工夫がされる予定か?

A1.     実薬:プラセボが11のシンプルな試験デザインを組み、臨床試験サイトを厳格に管理する予定です。試験デザインの詳細が開示されましたら、またフォローさせていただきます。ニューロクライン社の説明会でも一般的な精神薬の臨床試験において施設数が20以上となるとプラセボ効果が出やすい可能性が言及されておりました。先日最初のP3試験が報告されましたが、今後数か月以内に2本のP3試験も開始される予定です。


Q2.   GLP-1作動薬PF-06954522の対象疾患が変更された背景は

A2.     慢性的な体重管理に変更されたことはプラスであると考えます。対象疾患が2025年2月時点の「2型糖尿病」の記載からアップデートされ、5月時点では「慢性的な体重管理」に変更されております。疾患の記載変更はアクティブな状態であることを示していると考えております。尚、「慢性的な体重管理」は、ファイザー社がフェーズ2試験を進めるPF-07976016(GIP受容体拮抗薬/ネクセラは権利なし)と同じ適応症になります。


Q3.   今後臨床結果が予定されているパイプラインは?

A3.     2025年は最大6本の患者対象の臨床結果を期待しております。 既存自社開発品EP4拮抗薬NXE0039732のP1/2試験結果、mGlu5 NAM TMP-301の2本の臨床試験(アルコール依存症、コカイン依存症)、OX2作動薬ORX750のP2試験結果は競合薬と間接的な比較もできる可能性はあり期待しております。


●通期業績について

Q4. 通期業績に対する対社内計画に対する進捗状況は?

A4. 対社内計画に対して順調な進捗です。特にコマーシャル事業(コーポレートプレゼンテーション資料p34)は対社内計画を上回る進捗であったと思います。製品別で研究開発費は進捗率は高めとお思いになるかもしれませんが、下期にかけてコントロールしてしていく予定です。仮に考え方に変更があれば、適宜決算でご報告させていただきます。


●全体・市場動向について

Q5. 米国の関税リスクに関してコメントはあるか

A5. ネクセラファーマの上市2製品(Pivlaz, Quviviq)は輸出入において米国が関与していないため、影響はございません。一方で製薬・バイオセクター全体の関税に対する不透明感から影響を受ける可能性はあります。現状の開発・提携パイプラインに関して我々が肌で感じている面では、米国の政策影響を受けて開発が中断・中止されるものは把握しておりません。引き続きアクティブに進捗している印象です。


●その他

Q6. 有価証券報告書における平均給与の額は海外も含まれた金額感か?

A6. 有価証券報告書に記載の平均給与には欧州(イギリス、スイス)の賃金も含まれております。他社では海外拠点を子会社としているケースが圧倒的に多く、海外は平均給与に含まれませんが、当社の場合は税制上の特殊な事情により海外拠点を支店としているため、平均給与に海外従業員分が含まれます。詳細な数字は開示できませんが、当社の日本拠点のみ絞った平均給与は、他の日系の大手製薬企業と同水準です。


引き続きよろしくお願いいたします。


ニューロクライン社、ファイザー社の決算が発表されました

皆様おはようございます。IRヘッドの都築です。

ニューロクライン社、ファイザー社の決算が発表されました。それぞれ当社に関わるところをご紹介します。


ニューロクライン社(ニュースリリースはこちら

決算発表から大きく2点、新しい話がありました。

  1. M4作動薬NBI-1117568(NBI'568)は3本のP3試験(統合失調症)を想定しており、先日最初のP3試験が開始した。トップライン結果は2027‐28年を計画。
  2. M4作動薬NBI-1117569、M1作動薬NBI-1117567に関してはP1試験終了後、今後の可能性(P2試験開始)含めて説明する

1.について、ニューロクライン社は先日報告した最初のP3試験は米国限定で実施すると説明しました。残りの2試験も今後数か月以内に開始予定で、全ての試験はプラセボ対象の二重盲検試験(20mg群:プラセボ群=1:1)、主要評価項目は投与5週目のPANSSスコアの変化量とした。3試験のトップライン結果は2027‐28年に報告予定としました。

2.について、ムスカリン作動薬ポートフォリオのNBI'568以外では、M1/M4作動薬NBI-1117570のP2試験の開始(25年2H)、M4作動薬NBI-1117569、M1作動薬NBI-1117567に関してはP1試験終了後、今後の可能性(P2試験開始)含めて説明すると報告しました。

また精神薬の臨床試験ではNBI'568とは別のパイプラインの質疑の際に実施施設数が20施設を超えるとプラセボ効果が高まる可能性に関して触れ、ニューロクライン社はNBI'568のP3試験に関して20施設程度で実施すると従前から言及しております。


ファイザー社(パイプラインリストはこちら

決算発表会では当社関連のアップデートはありませんでしたが、GLP-1作動薬PF-06954522に関しては対象疾患名が2型糖尿病(2025年2月時点資料)から慢性的な体重管理(2025年5月時点資料)へと更新されました。また肥満領域に関しては、引き続き主要領域に位置づけているとコメントされました。

なお、臨床開発段階にある当社との提携プログラムが引き続き掲載されています。

GLP-1作動薬(PF-06954522/慢性的な体重管理)
MC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)
CCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)


今後とも宜しくお願いいたします。

2025年5月2日金曜日

2025年12月期の第1四半期決算を発表しました

みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日52日(金)に2025年期第1四半期の決算を発表いたしました。

決算ハイライト

決算短信

最新版のコーポレートプレゼンテーション(5/2更新)

以下ポイントを絞ってご説明します。

 

主要決算数値

詳細な数字は決算短信(リンク)をご覧いただければと思いますが、売上高66.4億円(昨年は46.1億円)、営業赤字21.9億円(昨年は30.8億円の赤字)、コア営業利益は6.3億円の赤字(昨年は9.3億円の赤字)となりました。

クービビックの売上貢献開始、ヴィアトリス社へのCenerimodの日本・APAC権利の譲渡10百万米ドルなどにより収益は増加、費用面では研究開発費が増加しました。

【売上高、営業損益・コア営業損益(決算短信P4コーポレートプレゼンテーションP33)】


 

【決算のブレークダウン(コーポレートプレゼンテーションP34)】


コマーシャル事業(NPJ/NPK)はピヴラッツの堅調な売上、クービビックの売上寄与開始、ヴィアトリス社へのCenerimodの日本・APAC権利の譲渡に加え、販管費のコントロールによりコア営業利益は約20.3億円(前年同期比+19.4億円)と大きく改善しました。

プラットフォーム事業(NPC/NPU)は主に研究開発投資の増加が寄与しコア営業利益は約-26.6億円(前年同期比-16.4億円)となりました。

ノンコア費用はIPJ/IPK買収に伴う非現金もしくは一時的支出費用は改善し約15.7億円(前年同期比-5.8億円)となりました。全体として対社内計画比で順調な進捗を示した決算となり、特にコマーシャル事業の堅調さが際立った決算だったと思います。


【ピヴラッツの売上状況(決算短信P5コーポレートプレゼンテーションP21)】


ピヴラッツは売上高24.1億円(前年同期比5.5%増加)と通期計画(130140億円)に対する進捗率は低く見えますが、例年1Qは弱い傾向にあり、対社内計画通りの水準です。



2025年に見込まれるイベント

2025年に見込まれるイベント(コーポレートプレゼンテーションP14P17)】

 



202551日にはM4作動薬NBI-1117568NBI'568)のP3試験開始が報告されました。昨日のブログでも説明していますが、ムスカリンプログラムは複数の臨床試験開始も控えており、大きな進捗が見える1年となります。

また患者対象の臨床結果としては、自社開発品EP4拮抗薬NXE’732P1b試験含め最大6品目の結果公表が期待されます(コーポレートプレゼンテーション:P14)。

 

今後とも、どうぞよろしくお願いします!

 

 

2025年5月1日木曜日

個人投資家様向けサイトの新設

みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

51日より個人投資家様向けサイトを新設しました。

本日アップした動画では、簡単な私の自己紹介と市場動向、当社の強みを説明しております。

20分ほどの動画ですので、ご興味ある方はご視聴いただけたら幸いです。

 

今後、私が特にコミットしていきたいのは個人投資家様への情報提供になります。

アナリストの経験を活かし、当社に留まらない市場動向、パイプライン分析などを紹介していきます。

 

日本発の国際的なリーディングバイオ企業に向けた当社の成長に貢献できることを楽しみにしています。

今後ともよろしくお願いいたします。





ニューロクライン社がM4作動薬のP3試験開始を報告

みなさんおはようございます、

本日から新しくIRヘッドとなりました都築と申します。

アナリストの経験から情報提供の強化に努めてまいります。

宜しくお願いいたします。

 

先ほどのリリースの通り、日本時間の昨日夜に、ニューロクライン社がM4作動薬NBI-1117568NBI'568)のP3試験開始を発表しました。(参考リンク

NBI'568248月に統合失調症対象のP2試験に成功、その結果をもとに今回P3試験が開始されました。

現時点ではマイルストンは受領していませんが、近いうちに最初の被験者投与が行われ、その時にマイルストン15百万ドル(約21億円)を受領する予定です。

 

P3試験の登録患者数は約280名、主要評価項目は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化量であり、前回のStifel CNS Forumでのコメント(以前のブログで説明)から大きな変更はありません。

ニューロクライン社の説明の通り、1)試験サイトの厳格な管理、2)実薬とプラセボの比を1:1にすることで、プラセボ効果の影響を減少できる可能性があります。
またP2試験では計103(実薬20mg35名、プラセボ群68)で統計学的有意差を示しており、P3試験では計280名での実施となります。

  

ニューロクライン関連の今後のイベント

25年上期:M4作動薬NBI-1117568の患者投与開始(15百万ドル受領)

25年下期:M4作動薬NBI-1117568P2試験(双極性障害)の開始

25年下期:M1/M4作動薬NBI-1117570P2試験(統合失調症)の開始

25年:M4作動薬NBI-1117569M1作動薬NBI-1117567M1/M4作動薬NBI-1117570P1試験結果

 

 

NBI'568は、当社のNxWaveプラットフォームから生まれた開発品で、P3試験に入った初めての化合物になります!

今年はムスカリンプログラムから2本のP2試験開始も予定されており、来年・再来年と重要なデータも出てくる予定です。

また今年はCentessa社やTempero Bio社など、他のプログラムの患者データ取得も控えており、NxWaveプラットフォームの価値がより高まる年と期待しております。

 

今後とも、よろしくお願いします!