2021年2月15日月曜日

2020年本決算後の決算説明会を行いました

みなさんこんばんは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。


本日、2020年本決算後の機関投資家/アナリスト/メディア向けの決算説明会(電話会議)を行いましたので、以下にその概略を報告させていただきます。尚、録音はホームページに公開しておりますので、詳細はそちらをご参考下さい。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

 

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開催日時:2021215日 16:00-17:00
参考資料:決算説明資料決算短信
主な参加者:機関投資家・アナリスト・メディア
     要点のみを記載しています。また内容に応じてQ&Aの統合や順序の入れ替えをしています。


●パイプラインや提携の進展について

Q:再導出を含めたムスカリンプログラムの今後の展開について教えてください
A:返還後に複数の企業とコンタクトしており、現在、一部は秘密保持契約下で絞り込みを行っています

ムスカリンプログラムについては、J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスでも多くの企業とコンタクトを行い、大手製薬、大手バイオ企業、ベンチャーキャピタルとの間で、現在、いくつかの秘密保持契約を締結しています。M4作動薬はKaruna社やcerevel社など競合での開発が進んでいることからも、新たな作用メカニズムの統合失調症治療薬として注目されており、我々もムスカリンプログラムに対する投資の約50%M4作動薬に対して行い、残りの50%M1作動薬とM1/M4作動薬に約半々に投資する予定です。認知症に対するM1作動薬も引き続き注目して開発を進めており、疾患修飾薬(進行を遅らせる薬:Disease-modifying drug)の開発状況が明確になっておらず、さらに効果があっても認知症の初期段階と考えられる中で、アリセプトに対して上乗せ効果がある対症療法薬としてのM1作動薬は重要な位置づけとなると考えています。我々はM4作動薬、M1作動薬、M1/M4作動薬を、可能であれば1つのパートナーに導出したいと考えています。


Q:ファイザー社に導出している経口GLP-1作動薬の競争優位性を教えてください
A:現在の開発段階で言えることは少ないものの、製造コスト、用法、一日の投与回数に差があります

既に発売されているリベルサスは経口投与のペプチド製剤であるため、製造コストが比較的高く、吸収性が悪いため空腹時に服用かつ服用後最低30分は飲食できないという特性がありますが、低分子である我々の開発候補品は異なる特性を持つ可能性があります。また、ファイザー社は、我々から導出した以外の経口GLP-1作動薬がPhase2の開発段階にありますが、これらは12回投与の試験が組まれているのに対し、我々の導出した化合物は現時点で11回投与の試験を行っています。


Q:資料P39の第一三共の例を見ると、武田、アッヴィからも2021年に新たなマイルストンが得られると考えてよいですか?
A:個別提携先の進捗予想は申し上げられませんが、創薬提携では中長期的に安定的な収益の成長ドライバーを得たいと考えています

第一三共のケースでは構造解析の完了から1年でリード化合物を獲得していますが、これらの進捗は個別企業による部分が大きく、また提携先がありますので武田やアッヴィにもそれが当てはまるかは明確には申し上げられません。ただ、一般的に武田やアッヴィなどと進めている創薬提携は、複数の開発候補品が基礎研究段階の定期的な進捗(タンパク精製、構造解析、化合物の獲得や最適化、臨床開発など)から、さらに臨床試験に進むことで、安定的な収益の成長ドライバーを得ることを目標にしています。

 

Q:コロナ治療薬についてその後の進捗を教えてください
A:現在、大手製薬企業との提携を目指してプロジェクトを進めています

本プログラムは、元々はコロナウイルス流行に対する当社のESGとしての取り組みとして開始したものですが、現在は大手製薬企業との提携を模索する段階にあります。ベストなパートナーは、大手企業かつ抗ウイルス薬の開発に経験と関心のある企業だと考えています。直近ではワクチン開発が大きな話題となっていますが、変異株への対応も含めた抗ウイルス薬開発には引き続きニーズがあります。

 

Q:今期中、また今後の創薬提携のパートナー数の増加の見込みを教えてください
A:創薬提携も含めて、価値の高い提携を行うパートナー数を増やすため柔軟に取り組んでいきます

我々は常に様々な提携の機会を模索しており、それを通じて収入源を多様化させたいと考えています。直近でも創薬提携に加えて、バイオヘイブン社などとの通常の導出契約、Metrion社などとの戦略的提携、Tempero Bioなどとの共同出資(アセット特化型企業)を行っています。このように、どの開発段階でも提携の可能性があるため、創薬提携に限らず相手のニーズや、我々の付加価値に合わせて様々な提携の仕方を考えています。GPCRはまだまだ未開拓の創薬ターゲットが多く残されており、後述のTIVはこのような未開拓だったり生体内の機能が未解明なGPCRも発掘していくための取り組みです。我々としては、このようなターゲットを発掘し、付加価値を付けて導出し、トップクラスの創薬企業になることを目指しています。


●戦略的成長(特にM&A)について

Q:資料P20の戦略的成長プランについて、現在の進捗状況を教えてください
AMAや導入品候補を絞り込み中です。MAに関しては2021年内の実行を目標に動いています

M&Aについては様々な候補企業を現在検討しており、可能であれば遅くとも2021年内、できれば2021年の中ごろに実行したいと考えています。後期開発品の日本市場への導入に関しても、現在、絞り込みのプロセスの中にあります。一方で、いずれも相手企業がありますので、これらの交渉の進展は相手次第の側面があることもご理解いただければと思います。よい企業は中々、素早くかつ現実的な価格での買収が難しいというジレンマを抱えつつも、最適な選択をしていきます。


QM&Aに伴い、昨年6月に発表した資金調達以上のファイナンスはもうないのでしょうか
A:対象先企業が売上・利益を持つ会社であることも踏まえ、銀行借り入れなどを検討しております

金額に見合った価値がる買収対象であれば、昨年6月に調達させていただいた200億円以上の買収を目指していきたいと考えています。調達によってBSを強化されたこと、対象先企業が売上・利益のある企業であることなどを踏まえ、銀行借り入れなどを検討しております。


Q:買収対象先がどのようなイメージの企業になるのかお聞かせください
A:まずは収益の基盤を安定させる企業の買収を考えており、必要に応じてその後もシナジーをより高める買収戦略を描いていきます

売上高もシナジーも十分な企業を買収できれば申し分ないですが、そのような企業は買収しにくかったり価格が高いケースが多いので、まず今回の買収ではある程度のシナジーがありつつ、売上高50億円以上あって安定的な基盤をつくれる企業の買収を優先に考えています。シナジーが少なければ追加のM&Aなども検討し、世界で本当に輝くことができる大きな創薬エンジンを作り上げていきます。


●業績・業績予想・中長期のプランについて

Q:今回の2020年度決算では、「最近2年間の利益合計が25億円以上」という東証プライム上場の形式基準を満たしていますか?
A:形式基準の利益は税引前利益を指していますので、現状で形式基準は満たしません。

202012月期の決算をもって当期利益では2年間の利益合計は25億円以上になりましたが、東証プライム上場の基準となる税引前利益は約21億円ですので、東証プライム上場の形式基準は現状では満たしていません。ただ、2021年には収益性のある企業の買収を検討していることもあり、また、仮に買収が無かったとしても一定の収益を得られる可能性はあるため、202112月期を基準にしたプライム上場の可能性は十分あると考えています。

 

Q2021年の業績予想は非開示ですが、内訳について確度の高いもの低いものなどの考え方を整理いただけますか
A:ムスカリンプログラムを含めた自社品の導出に加え、既存提携先の開発品の前進やロイヤルティ収入が期待できます

自社開発品について、前述の通りムスカリンプログラムは価値を高めつつ、できるだけ早期の導出、具体的には今後12カ月を目標としています。また、前臨床段階の開発品として、例えばアトピー性皮膚炎を対象とする抗PAR2抗体やH4拮抗薬など、新規導出の候補品が複数あります。一方、提携プログラムの中でのロイヤルティ収入は、ノバルティス社の製品販売に伴うもので概ね予想いただけると考えています。その他、開発段階にある複数の提携プログラムについては、我々からの進捗や売上の予想の開示が難しいですが、勿論前進する可能性があります。これらを総合し、またここ数年の我々の実績を踏まえてご判断いただければと思います。


QP25-26の新たなTIVについて、これまでと異なる点を中心に教えていただけますか
A:これまでの創薬ターゲット探索を、より包括的かつ効率的に行うことを目的とした新たなプロジェクトです

従来、新たな創薬ターゲットとなるGPCRを探索するときには、特許、論文、KOLの意見などを参考に探索してきました。一方でTVItarget ID and validation)では、GPCRで我々が持つ世界最大規模のデータの蓄積を活用しつつ、各分野に特化した企業との提携を行うことで、これら新たな創薬ターゲットの探索をAIや蓄積データによって包括的かつ効率的に行うことを目的としています。我々は、魅力的な創薬ターゲットを次々と提供する大きな創薬エンジンを作りたいと思っており、戦略的提携の一部にもこの枠組みに含まれるものがあります。