2025年11月17日月曜日

第2回大株主対談の動画公開

  皆様、こんばんは。IRヘッドの都築です。

本日、当社の株主様である五味大輔様との対談動画をアップしました(動画)。2025年7月の第1回のJICベンチャー・グロース・インベストメントのベンチャーキャピタリスト浅井義晴様との対談に続く2回目の実施となります。

公式Youtubeから過去の動画含めてご覧いただけます。




本動画では5つのテーマに関してディスカッションを行いました。

全編動画(47分)に加えて、テーマ毎(各10分程度)の動画もYoutubeに公開しております。

また公式Xでも五味様からの当社へのメッセージ動画を投稿しております。

1. バイオ企業に関わらず、一般的にどのような点に着目し投資されているか 

2. バイオベンチャーやネクセラファーマに五味様が投資されている背景

3. ネクセラファーマの特に何に期待しているのか

4. 現在のネクセラファーマをどう評価しているか(事業、経営など)

5. 五味様の考えるネクセラファーマの将来の姿


最後に対談を受け入れてくださった五味様に心より感謝申し上げます。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

黒字化に向けた事業再構築の発表

  みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。


本日11月17日(月)に黒字化に向けた事業再構築に関する発表を行いました(プレスリリース)。

事業価値最大化に資する、創薬プラットフォーム、開発品、製品に投資・リソースを集中させる事業再構築(リストラクチャリング)を実施し、優先度の高いプログラムに経営資源を集中させ、営業費用の削減に向けた施策を実行いたします。これらの施策は、2030年ビジョン(連結売上高500億円以上、営業利益率30%以上)の達成を後押しするものです。

2025年11月18日17時からR&D説明会も開催予定(登録はこちら)です。本日のリリース発表含めてパイプラインの進捗をお示しさせて頂きます。


本日リリースの要点は以下の3点です。

1)R&D戦略再構築とプログラムの優先順位付け

2)執行体制と人員の最適化

3)強固な財務基盤の維持とコストの最適化(日本・英国)


費用・数値面での変化

・英国の創薬・開発拠点において2026年度の現金R&D支出 を約35億円削減

・日本および英国拠点で約15%の人員削減を計画

・2025年度の経営陣の業績連動型報酬(賞与)は大幅な減額(最終的な金額は2026年1月の報酬委員会により決定)

・経営資源の選択と集中、R&Dの戦略再構築、効率化・デジタル化施策により、黒字化への道筋を強化する迅速なコスト削減施策として、2026年度は前年対比で少なくとも10億円の削減

・今回の事業再構築に伴う、一時的な構造改革費用約5億円を2025年度に計上予定(ノンコア費用)



1)R&D戦略再構築とプログラムの優先順位付け

当社に蓄積された、膨大なGタンパク質共役受容体(GPCR)に対するデータを活用し、開発リスクを低減させたベストインクラス創薬に戦略的重点を置きます。費用面での施策としては、2026年度の現金R&D支出 を約35億円削減いたします。

・自社開発では、2025年8月に発表した肥満・代謝性疾患・内分泌疾患に対する次世代治療薬の開発に重点を置きます。提携品では複数の臨床開発が着実に進展しており、2026年に複数のマイルストン達成を見込んでおります。

・AIによる効率化を「NxWave™」プラットフォーム全体に展開します。業界最大級の当社独自のGPCR構造—リガンド・データセットを蓄積・学習したAIと、GPCR志向の厳選ケモゲノミクス化合物ライブラリを組み合わせます。

・新たな研究開発方針に沿って、英国の創薬・開発拠点において、2026年度の現金R&D支出 を約35億円削減します。



2)執行体制と人員の最適化

執行体制を従来の10名からスリム化し、2026年3月の株主総会後に7名体制に変更する予定。2025年10月3日付で、パトリック・フォルシュ氏が、マシュー・バーンズ氏の後任としてCSO(チーフ・サイエンティフィック・オフィサー)兼Nxera Pharma UK社長に就任しました。

・日本および英国拠点で約15%の人員削減を計画し、より収益性の高い体制構築を目指してまいります。スイスおよび韓国事業への影響はありません

・フォルシュ氏は免疫・腫瘍・神経科学領域で優れた実績を持ち、英国バイオ企業のPeptoneおよびSitryx、欧州製薬企業のUCBで責任ある役職を歴任しております。



3)強固な財務基盤の維持とコストの最適化(日本・英国)

2025年度の経営陣の業績連動型報酬(賞与)は大幅な減額を予定しており、2026年度以降は経営資源の選択と集中、R&Dの戦略再構築、効率化・デジタル化施策により、黒字化への道筋を強化する迅速なコスト削減を実現します。現在、現金を含む流動性資産は309億円であり、戦略実行のための十分な柔軟性があります。今回の事業再構築に伴う、一時的な構造改革費用約5億円を2025年度に計上予定です(ノンコア費用)。

・2025年度の経営陣の業績連動型報酬(賞与)は大幅な減額を見込んでおります(最終的な金額は2026年1月の報酬委員会により決定)。

・2026年度以降は経営資源の選択と集中、R&Dの戦略再構築、効率化・デジタル化施策により、黒字化への道筋を強化する迅速なコスト削減を実現します。2026年度は前年対比で、少なくとも10億円の削減を見込んでおります。



黒字化に向けた地盤をより強固にするため今後も前進してまいります。
引き続き宜しくお願い申し上げます。

2025年11月13日木曜日

CentessaのORX750の競合薬ALKS2680のP2試験結果が発表されました

皆様こんにちは、IRヘッドの都築です。

米国時間11月12日にCentessaのオレキシン2受容体(OX2)作動薬プログラムで競合する企業AlkermesのOX2作動薬ALKS2680のP2試験(Vibrance-2)結果が発表されました。発表されたデータはナルコレプシー2型(NT2)に対する試験結果であり、先日、Centessaが決算時に公開したデータの一部と同じ適応です。

直接的なデータ比較は控えますが、発表後Centessaの株価は前日比18.4%上昇、Alkermesの株価は前日比7.1%下落しました。CentessaもAlkermesも安全性データに関する続報が待たれますが、有効性の指標である覚醒維持検査(MWT)、ESS(エプワース眠気尺度)に関しては下記からデータが読み取れます。


ORX750のNT2に対する試験結果(決算発表時に公開)

MWTは10min以上の改善(p値は0.0193)

ESSはPbo群と比較して7.8pt改善(p値は0.0023)

※いずれも用量漸増中の途中結果であり、最終的なデータ発表が待たれます


AlkermesのALKS2680のNT2に対する試験結果(米国時間11月12日公開)



MWTは14mg、18mgで統計学的有意差を示す。改善幅は上図1枚目の通り。
ESSは18mgで統計学的有意差を示す。改善幅は上図2枚目の通り。

Centessaの決算発表時(11月5日)のP2a試験結果は、用量漸増中の途中結果でした。同社はその後の11月11日に約2.5億ドル(約380億円)の公募増資を発表しており、これらの資金は臨床試験等に投資される予定です。今後の注目は、P2a試験の最終解析とその後の展開かと思います。

我々はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。既にORX750は2026年1QにもRegistrational program(承認申請を目的とした試験)を開始予定、ORX142は2026年1Qにも患者対象(対象疾患は未公表)の臨床試験を開始予定、ORX489は2026年1QにもP1試験を開始予定であることが発表されております。前回発表データにご興味のある方は先日のブログをご参考ください。


11月18日開催予定のR&D説明会に関してもご参加お待ちしております。
引き続きよろしくお願い申し上げます。

2025年11月6日木曜日

提携先CentessaがOX2作動薬ORX750のP2a試験で良好な結果を報告

  皆様こんにちは、IRヘッドの都築です。

米国時間11月5日にCentessa社が当社が導出しているオレキシン2受容体作動薬プログラムに関して進捗を報告しました。最も先行するORX750のP2a試験ではナルコレプシー1型(NT1)、ナルコレプシー2型(NT2)、特発性過眠症(IH)においてベスト・イン・クラスとなりうるプロファイルを示しました。IHにおいてはOX2作動薬で初めて覚醒維持検査(MWT)を含む複数指標で統計学的有意な臨床効果を示した薬剤となりました。当社はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。全てのプログラムが進捗していることを嬉しく思います。

  • Centessa社の決算はこちら
  • Centessa社のコーポレートプレゼン資料はこちら

要点は以下の3点です。

  • ORX750はP2a試験においてNT1、NT2、IHの3疾患全てでベスト・イン・クラスとなりうるプロファイルを示す。2026年1QにもRegistrational program(承認申請を目的とした試験)を開始予定
  • ORX142はP1試験結果から差別化されたプロファイルを報告。2026年1Qにも患者対象(対象疾患は未公表)の臨床試験を開始予定
  • ORX489はIND申請前試験が進行中。2026年1QにもP1試験を開始予定


P2a試験結果(安全性)


ORX750は2025年9月23日のデータカットオフ時点で計55名のデータが報告されました。副作用は軽度から中等度であり、心機能、視機能、肝腎機能における変化は認められなかったと報告されました。OX2作動薬に関しては視機能に関する副作用が競合薬のデータから危惧されておりましたが、ORX750に関しては確認されなかったことはよかったと思います。
詳細結果が出てきた際に競合薬との比較ができると思いますが、先行する武田薬品工業のTAK-861はP3試験(3001試験)において副作用は1日2回2mg/2mg群で軽度51.5%、中等度34.8%、頻尿54.5%、不眠57.6%等でした。AlkermesのAKLS2680はP2試験において副作用は1日1回8mg群で軽度46%、中等度33%、頻尿50%、霧視29%等でした。




P2a試験結果(対象:NT1)


ORX750のNT1対象の試験では覚醒維持検査(MWT)においてプラセボ群と比較して20min以上の改善効果を報告しました。
またカタプレキシー発現率(WCR)はIncidence Rate Ratio[IRR]0.13、プラセボ比87%改善を示し(IRR:0に近いほど有効性高い)、エプワース眠気尺度(ESS)も統計学的有意な差を示しました。
競合薬と比較することは難しいもののORX750は以下の表のとおり、ベスト・イン・クラスを訴求できる可能性が示されました。


P2a試験結果(対象:NT2/IH



ORX750のNT2対象の試験では覚醒維持検査(MWT)においてプラセボ群と比較して10min以上の改善効果を報告し、エプワース眠気尺度(ESS)も統計学的有意な差を示しました。
IH対象ではOX2作動薬で初めてMWTを含む複数指標で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。引き続き用量漸増試験が実施中であり今後の臨床結果に注目となります。

OX2作動薬の対象患者数と市場規模



Centessaの説明会資料では市場規模はORX750で50億米ドル以上、ORX142で100億米ドル以上と報告されております。OX2受容体作動薬の各開発品に関するEvaluate Pharmaによる売上予測(2025年11月6日時点)ではORX750は2032年に計1,573百万米ドル(約2,400億円)と推定されております。

当社はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。全てのプログラムがアクティブに進行していることをうれしく思っております。


用語・略語
  • プラセボ対照ランダム化二重盲検試験:治療薬とプラセボを投与する群をランダムに振り分け(ランダム化)、治療薬・プラセボどちらが投与されているか被験者・医療従事者ともにわからなくする(「二重」に盲検)。これにより、被験者・評価者の主観的なバイアスを取り除くことが可能。新薬の臨床試験において一般的に用いられる手法。
  • クロスオーバー試験:被験者を2つに分け、別々のものを投与(今回は治療薬・プラセボ)して有効性等を評価したのち、投与するものを入れ替えて再度有効性等を評価する手法。被験者の人数を少なくできるが、試験期間が長くなること、前の治療が残るリスク、などのデメリットもある。
  • バスケット試験:ある治療法(今回はOX2R作動薬)を、異なる疾患の被験者(今回はNT1、NT2、IH)に対して同じ試験のもとで評価する手法。同じ遺伝子変異を持つがん(例:肺がん、胃がん、乳がんなど)に対する抗がん剤の臨床試験で良く用いられる手法。
  • MWT:覚醒維持検査
  • ESS:エプワース眠気尺度
  • NSS:ナルコレプシー重症度尺度

引き続きよろしくお願い申し上げます。