2025年11月6日木曜日

提携先CentessaがOX2作動薬ORX750のP2a試験で良好な結果を報告

  皆様こんにちは、IRヘッドの都築です。

米国時間11月5日にCentessa社が当社が導出しているオレキシン2受容体作動薬プログラムに関して進捗を報告しました。最も先行するORX750のP2a試験ではナルコレプシー1型(NT1)、ナルコレプシー2型(NT2)、特発性過眠症(IH)においてベスト・イン・クラスとなりうるプロファイルを示しました。IHにおいてはOX2作動薬で初めて覚醒維持検査(MWT)を含む複数指標で統計学的有意な臨床効果を示した薬剤となりました。当社はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。全てのプログラムが進捗していることを嬉しく思います。

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要点は以下の3点です。

  • ORX750はP2a試験においてNT1、NT2、IHの3疾患全てでベスト・イン・クラスとなりうるプロファイルを示す。2026年1QにもRegistrational program(承認申請を目的とした試験)を開始予定
  • ORX142はP1試験結果から差別化されたプロファイルを報告。2026年1Qにも患者対象(対象疾患は未公表)の臨床試験を開始予定
  • ORX489はIND申請前試験が進行中。2026年1QにもP1試験を開始予定


P2a試験結果(安全性)


ORX750は2025年9月23日のデータカットオフ時点で計55名のデータが報告されました。副作用は軽度から中等度であり、心機能、視機能、肝腎機能における変化は認められなかったと報告されました。OX2作動薬に関しては視機能に関する副作用が競合薬のデータから危惧されておりましたが、ORX750に関しては確認されなかったことはよかったと思います。
詳細結果が出てきた際に競合薬との比較ができると思いますが、先行する武田薬品工業のTAK-861はP3試験(3001試験)において副作用は1日2回2mg/2mg群で軽度51.5%、中等度34.8%、頻尿54.5%、不眠57.6%等でした。AlkermesのAKLS2680はP2試験において副作用は1日1回8mg群で軽度46%、中等度33%、頻尿50%、霧視29%等でした。




P2a試験結果(対象:NT1)


ORX750のNT1対象の試験では覚醒維持検査(MWT)においてプラセボ群と比較して20min以上の改善効果を報告しました。
またカタプレキシー発現率(WCR)はIncidence Rate Ratio[IRR]0.13、プラセボ比87%改善を示し(IRR:0に近いほど有効性高い)、エプワース眠気尺度(ESS)も統計学的有意な差を示しました。
競合薬と比較することは難しいもののORX750は以下の表のとおり、ベスト・イン・クラスを訴求できる可能性が示されました。


P2a試験結果(対象:NT2/IH



ORX750のNT2対象の試験では覚醒維持検査(MWT)においてプラセボ群と比較して10min以上の改善効果を報告し、エプワース眠気尺度(ESS)も統計学的有意な差を示しました。
IH対象ではOX2作動薬で初めてMWTを含む複数指標で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。引き続き用量漸増試験が実施中であり今後の臨床結果に注目となります。

OX2作動薬の対象患者数と市場規模



Centessaの説明会資料では市場規模はORX750で50億米ドル以上、ORX142で100億米ドル以上と報告されております。OX2受容体作動薬の各開発品に関するEvaluate Pharmaによる売上予測(2025年11月6日時点)ではORX750は2032年に計1,573百万米ドル(約2,400億円)と推定されております。

当社はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。全てのプログラムがアクティブに進行していることをうれしく思っております。


用語・略語
  • プラセボ対照ランダム化二重盲検試験:治療薬とプラセボを投与する群をランダムに振り分け(ランダム化)、治療薬・プラセボどちらが投与されているか被験者・医療従事者ともにわからなくする(「二重」に盲検)。これにより、被験者・評価者の主観的なバイアスを取り除くことが可能。新薬の臨床試験において一般的に用いられる手法。
  • クロスオーバー試験:被験者を2つに分け、別々のものを投与(今回は治療薬・プラセボ)して有効性等を評価したのち、投与するものを入れ替えて再度有効性等を評価する手法。被験者の人数を少なくできるが、試験期間が長くなること、前の治療が残るリスク、などのデメリットもある。
  • バスケット試験:ある治療法(今回はOX2R作動薬)を、異なる疾患の被験者(今回はNT1、NT2、IH)に対して同じ試験のもとで評価する手法。同じ遺伝子変異を持つがん(例:肺がん、胃がん、乳がんなど)に対する抗がん剤の臨床試験で良く用いられる手法。
  • MWT:覚醒維持検査
  • ESS:エプワース眠気尺度
  • NSS:ナルコレプシー重症度尺度

引き続きよろしくお願い申し上げます。