13日に発表があり、目新しい情報は多くありませんでしたが、引き続き順調な開発進捗が見て取れる内容でした。当社との提携から生まれたLotiglipron(GLP-1作動薬/PF-07081532)については、既に予定より早めに投与が完了していましたが(参考)、年末までにデータが分かることがファイザー社のコメントでも再確認されました。尚、以下に出てくるDanuglipronはファイザー社が元々開発していた、当社との提携とは関係のないGLP-1作動薬ですが、1日1回投与でよい競合他社の経口薬やLotiglipronと違い、1日2回投与する必要があります。
【主なコメント】
- Lotiglipronについては今年の年末まで、Danuglipronは来年の早い段階にデータが分かると期待している("lotiglipron, we hope to have data by the end of this year and then danuglipron by early next year")
- Danuglipronが一日2回投与なのに対し、Lotiglipronは一日1回投与なのが最も大きな違い(”So the main differences, at a very high level, danuglipron is given twice a day, lotiglipron is given once a day.”)
- (現在のフェーズ2b試験では)月ベースでの用量の段階的増加(タイトレーション)を行っており、Phase3試験に進むのに適切な適切な投与量・投与スケジュールを見極める("now are looking at monthly titration and ultimately to pick the right dosing schedule to move forward to the Phase 3s")
- (GLP-1作動薬は)全体で900億ドルの市場だと予想しているが、より大きいと予想するアナリストもいる。市場調査からは、注射より経口が好まれている("we did put out there that it was $90 billion market, and even some analysts since then have gone even higher ~(中略)~ We do know from market research, for example, that many people would prefer an oral versus an injectable.")
なお、今回は用量の段階的増加(タイトレーション)についても、比較的多くコメントがありました。詳細は省きますが、これはGLP-1作動薬では避けられない副作用(吐き気)を抑えるためのものです。Lotiglipronのフェーズ1b試験でも、他製品と同等程度の副作用が確認されていましたが、現在のフェーズ2b試験のデザインでこれをどのくらい減らせるかも楽しみですね。
●ニューロクライン社
15日に発表があり、当社からライセンスしているムスカリン作動薬シリーズ全体、特にM4作動薬についてポジティブなコメントが多くありました。M4作動薬は、現在行われているフェーズ2b試験がとても順調に進んでおり、従来の予定(データベース上では来年12月)よりも早く終了するようです。今後の続報を期待しながら待ちたいと思います。
【主なコメント】
- (M4作動薬について)現在のフェーズ2b試験は非常にうまく進んでおり、医療関係者からも非常に高い期待の声が寄せられている("going extremely well in a Phase 2b study that we have ongoing right now ~(中略)~ enthusiasm for this molecule out in the clinical community has been very good")
- そのためこのペースでいけば、来年のより早い時期にデータが判明すると期待している(”So I'm hoping that with if enrollment stays the way that it has been, we're going to be able to pull that data readout sooner next year.”)
- (M4作動薬について)競合であるKaruna社やCerevel社よりも、より特異性が高いといった特徴を持つ("That's different from Cerevel. It's highly specific. That's different from Karuna.")
ニューロクライン社もコメントしている通り、M4作動薬の開発進捗が順調なのは医療関係者からの高い評価が背景にあるようです。これは、試験のスケジュールが早まるだけではなく、将来的な競合環境を考えてもとても心強いことです。何より、実際に患者さまに向き合われているドクターの方に期待頂ける、それだけのサイエンスのバックグラウンドがあるというのは、創薬に携わる者としては何にも代えがたい喜びですね。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!