2022年2月1日火曜日

マネジメント体制の変更を発表しました

みなさんこんにちは。

IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。

 

先ほどリリースの通り、324日の株主総会での取締役の選任予定と、それに合わせた執行役の選任予定を発表しました。最も大きな変更としては、324日に現CEOの田村がCEOを退いて取締役会会長に専念し、現CFOのクリスをCEOとするチームになることです。また、新たに取締役として、新CEOのクリスと関美和氏の就任を予定しています。加えてこれに伴い、CFOCAO、ヘプタレス社の社長についても顔ぶれが変わります。

 

田村は1990年に当社を創業して以降、2016年~2018年を除いて当社のCEOとして経営を牽引し、そーせいはここまで大きな会社に成長することができたのは皆様ご存じの通りです。しかし、全ての企業がそうであるように、そもそも1人の人間が永久に経営を続けていくことはできませんし、創薬という時間がかかるビジネスであればなおのこと、中長期を見据えた経営判断とその責任を果たすのに最適なのは次世代の人材だと考え、今回、幅広いマネジメント体制の移行を行います。

 

我々はクリスを中心とした新しい執行体制に変わります。しかし、創業時からの「日本発の世界的なバイオ企業になる」というビジョンは全く変わりません。このビジョンを達成するため、私も含めてより一丸となって事業を進めていく所存です。また、田村も引き続き、業務執行における最高意思決定機関である取締役会の会長として、経営をしっかり監督していきます。324日以降の取締役、執行役の体制予定は以下になります。


【取締役】
取締役会会長田村眞一再任
取締役 代表執行役クリス・カーギル新任
取締役(社外)遠山友寛再任
取締役(社外)加賀邦明再任
取締役(社外)デビッド・ロブリン再任
取締役(社外)永井智亮再任
取締役(社外)ロルフ・ソダストロム再任
取締役(社外)関美和新任
【執行役】
代表執行役社長CEOクリス・カーギル新任
執行役CFO野村広之進新任
執行役CAOキーラン・ジョンソン新任
執行役CCO吉住和彦再任
執行役 Heptares Therapeutics Ltd. 社長マット・バーンズ新任
執行役株式会社そーせい 代表取締役社長安井忠良再任

CEO - Chief Executive Officer/最高経営責任者
CFO - Chief Financial Officer/最高財務責任者
CAO - Chief Accounting Officer/最高会計責任者
CCO - Chief Compliance Officer/最高コンプライアンス責任者



今回、CEOを退く田村、新たにCEOに就任するクリス、そして執行役に加わるキーラン・ジョンソン(Kieran Johnson)とマット・バーンズ(Matt Barnes)より、是非このブログを通じて株主の皆様にご挨拶させていただきたいということで、以下のコメントを預かってきました。

 

-         田村眞一

「私は2019年に代表執行役に復帰して以降、最初の1年間は事業の方向の舵を切り安定させることに、その後の2年間は後継体制を育てることに注力してきました。今回、新たなマネジメント体制が十分に整い、自信を持って皆様にご報告できることをとても嬉しく思います。クリスを中心としたチームはここ数年に亘り、CFOとしての役割に留まることなく、当社の事業全体の発展を牽引してきました。実際に昨年のニューロクライン社との提携に関しても、私自身はCEOとして進捗は見守っていましたが、ドアノックや交渉を含めた実際の進展にはほとんど関与することなく、あのような素晴らしいディールをチーム全体で成し遂げることができました。私は今後とも、取締役会会長としてクリスを中心とした新たなマネジメント体制を時に激励しつつ、見守っていきます。当社の「日本発の世界的なバイオ企業になる」というビジョンに共感いただいている株主の皆様にも、引き続き私と一緒に当社を見守っていただければ大変ありがたく思います。」

 

-         クリス・カーギル

「そーせいグループの32年間の歴史の中で、3番目のCEOとなることを非常に誇りに思います。当社の潜在力を最大限活かし、日本発の最も成功したバイオ企業の1社だと世界的に認められる成長を遂げるよう、全身全霊を尽くしてまいります。ヘプタレス社の買収後の7年間で、我々は英国の150名以上の科学者を中心に、世界トップレベルの創薬プラットフォームを構築しました。今後、これまで以上に成長を加速するべく、現CEOの田村が築いた戦略をさらに推し進め、様々なパートナーとの提携によって当社の創薬プラットフォームのポテンシャルを最大限引き出し、パートナーと共に当社のプログラムが世界中の患者様に貢献できることを証明していくことが、私に課せられた大きな責任と思っています。そのために、プラットフォームとそれを支えるチームの強みを結集してプログラムの開発を加速させ、特に高い医療ニーズがある疾患で確かな臨床効果を示すことにこれまでよりも力を入れていきます。適切な臨床データが出たタイミングで提携を行うことで、投資リスクを限定しつつも将来の成長を十二分に我々に残し、加えて我々の規模の会社であっても大手製薬と同等レベルに多様なパイプラインが構築することが可能になります。私は学生時代に、交換留学生としてしばらく日本に滞在、勉強させていただいていた経験があり、日本と日本文化にとても親近感があります。近いうちに再び日本を訪れ、これら今後数年間の当社の成長に向けた取り組みについてご報告できることを楽しみにしています。アーリーフェイズの創薬に留まらず、その成果を実際に患者様に役立てるための橋渡しができる企業へのそーせいグループの飛躍を、是非皆様と分かち合うことができれば嬉しく思います。」

 

-         キーラン・ジョンソン

「今回、新たに当社のCAOを担うことを誇りに思うのと同時に、現在の高いレベルでの財務管理を維持することに大きな責任も感じています。私は大手監査法人/コンサルティング企業であるKPMGからキャリアをスタートし、公認会計士の資格を取得して約10年間にわたって監査業務に従事しました。その間、様々な製薬企業の監査に携わり、製薬企業に強い関心を持つようになりました。その後、大手製薬企業のグラクソ・スミスクライン社に移り、財務計画の策定とその報告、財務コンプライアンス、M&Aに関連するファイナンス、など多くのプロジェクトを管理職として率いてきました。当社ではこの4年半の間、英国と日本の財務を統括し、事業の成長を支えるためのグループの財務プロセスの強化に努めてきました。日英両国で事業を展開するのは大変なことですが、優れたチームによって国際的な協力と協調を行うことは我々の強みの一つであり、今後さらにお互いの強みを活かして事業を成長させることができると確信しています。是非、今後とも当社の発展を見守っていただければありがたく思います。」

 

-         マット・バーンズ

「新たにヘプタレス社の社長を務めることになり、今後の事業展開に思いを馳せると共に、大きな責任も感じています。私はCelltechというバイオ企業(その後UCB社が買収)からキャリアをスタートさせ、その後10年以上は武田薬品の英国の研究所におり、バイオベンチャーと大手製薬企業の両方を経験してきました。武田に在籍していた際には研究チームとのディスカッションを深めるため、幾度となく日本を訪れたことは大変いい経験と思い出であり、当社に入社した後も、引き続き日本と様々な形で関われることをとても嬉しく思っています。ヘプタレス社は、現在GPCRに対する創薬分野において世界のリーダーになりましたが、革新的な創薬ターゲットの発掘、社内での研究開発の着実な進展、そして外部との連携を通じて、我々のポテンシャルを最大化することを常に目指していきたいと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いします。」

  

また、私、野村広之進もCFOを拝命する予定です。私は大学院の薬学研究科を卒業後、三菱総合研究所でのヘルスケア分野のコンサルタント、みずほ証券でのバイオベンチャーの株式アナリストを経験し、2020年に当社に入社しました。幸運にもこれまでのキャリアを通じて、全体政策と個社の両面から日本の製薬・バイオ分野を学ぶ機会に恵まれましたが、この分野が日本で発展していくためには、結局は米国のようにきちんと大成功したバイオ企業が最低1社は生まれることが必須だとの強い思いを持っています。当社はそのポテンシャルを持つ企業の1社だと確信しており、それを必ず達成したいとの思いです。今回の役割への重い責任を感じつつ、今後、皆様と様々な事業進展を共有できるであろうことを大変楽しみにしています。

 

尚、当然ですがCFOになっても本ブログも含め、これまでと同じかそれ以上に、日本の投資家の皆様への積極的な情報発信とコミュニケーションを続けていきます。

 

今後ともどうぞよろしくお願いします!

2022年1月6日木曜日

Verily社と戦略的提携を締結しました

みなさん明けましておめでとうございます。

IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。

 

先ほどリリースの通り、米グーグルなどを傘下に持つアルファベット社の子会社のVerily社と戦略的提携を結びました。Verily社は2015年にグーグルのライフサイエンス部門が独立して誕生したヘルスケア分野に特化した企業で、設立以来ファイザー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソンエンドジョンソン、武田薬品など、世界の名だたるヘルスケア企業と提携しています(参考)。戦略的提携ですので、契約一時金など短期の収入はありませんが、お互いが持つ先進的な技術を融合して革新的な創薬を行い、将来的に大手企業へのライセンスなどを行うことを目指します。我々は対等なパートナーとして権利を共有しますので、仮に将来の収益が上がった場合にはVerily社との間で50:50の割合で折半される予定です。今回の創薬ターゲットの具体的な数は開示できないのですが、後述の通り非常に膨大なデータを用いて大きな創薬分野をターゲットとしていますので、これまでの戦略的提携よりも一桁大きい規模だとご理解下さい。尚、これまでの提携も含めた、当社の戦略的な提携の位置づけとその概要を以下に整理します。


【戦略的な提携の位置づけの整理】
① 新しい薬のターゲットを探すための提携→ → →② ターゲットに対して実際に薬を作るための提携
人工知能・マシンラーニング等モダリティ
InveniAI社
Verily社
低分子抗体その他
ターゲット
GPCR
PharmEnable社
Kymab社
Twist社
ペプチドリーム社
Captor社
その他
Metrion社
※モダリティ - 「低分子」「抗体」といった治療薬の物理的な種類の別


【戦略的な提携先の概要】
提携の目的パートナー契約時期テーマ提携内容
①新しい薬のターゲットを探すための提携
標的GPCRの発掘InveniAI社2021年7月AI創薬
(基盤技術:AlphaMeld)
免疫疾患関連の複数のGPCRをターゲットとした、AIとML(マシンラーニング)による標的探索のための提携。
Verily社2022年1月AI創薬
(基盤技術:ImmuneProfiler)
免疫疾患関連の複数のGPCRをターゲットとした、膨大なデータベースに基づく標的探索のための提携。
②ターゲットに対して実際に薬を作るための提携
モダリティの拡大Kymab社2016年4月抗体がん免疫領域の複数のGPCRをターゲットとした提携。現在、KY1051が前臨床試験段階
ペプチドリーム社2017年6月特殊環状ペプチド炎症性疾患領域のGPCRをターゲットとした提携。現在、PAR2アンタゴニストペプチドが前臨床試験準備中
Captor社2020年12月TPD
(標的タンパク分解誘導)
消化器領域に関連することが明確に検証されているGPCRをターゲットとした提携。
PharmEnable社2021年1月AI創薬
(創薬困難な標的)
神経疾患に関連する創薬困難なペプチド作動性のGPCRをターゲットに対する化合物設計を目的とした提携。
Twist社2021年12月抗体特定のGPCRをターゲットとした、リード抗体の獲得を目的とした提携。
ターゲットの拡大Metrion社2021年2月イオンチャネル神経疾患に関連するイオンチャネルをターゲットとした提携。



Verily社はグーグルの持つ巨大なデータベース、データ収集能力、演算能力などを活用しつつ、前述のようなトップレベルの製薬企業や医療機器企業との提携によって、ヘルスケアのあらゆる部分を改善するためのサービスを生み出そうとしています。今回、我々が共同で進めるのは、膨大なヒト細胞のデータを、彼らが得意とする人工知能(以下、AI)、機械学習(マシンラーニング)、深層学習(ディープラーニング)などの手法で解析した、「Immune Profiler」という、Verily社が独自に開発した、ヒトの免疫機能に焦点を当てたプラットフォームをスタート地点とする新しい創薬です。

 

ヒトの免疫機能の詳細は未解明な部分が非常に大きいのですが、免疫細胞は外部からのシグナルをキャッチすることで、単独ではなく周囲の免疫細胞と協力して行動したり、がん細胞などの異物などを見分けたりしていることはよく知られています。我々が創薬のターゲットとしているGPCRGタンパク質共役受容体)は、体の中で正にそのようなシグナル伝達を担っているため、実際にCCR6 拮抗薬(ファイザー社に導出)やGPR35 作動薬(GSK社に導出)など既に多くの免疫関連の開発品があり(成長性資料P36)、今回のVerily社との戦略的提携を通じてより探索を深めていきます。

 

Verily社のImmune Profilerには膨大なヒト(健康な場合、疾患がある場合等)の免疫細胞での、遺伝子発現プロファイル(どの遺伝子がどれだけ発現しているか/していないか)やエピジェネティック(実際のタンパクの発現量や修飾等)のデータが蓄積されており、その中には多くのGPCRに関連するデータが含まれています。これらをAIやディープラーニングを用いて解析することで、様々な免疫機能とGPCRの結びつきを解明し、まずは創薬ターゲットとして有望な多数のGPCRを抽出し、その中での優先順位付けを行っていく予定です。尚、選ばれるのは主に、これまでに疾患との結びつきが解明されていないGPCRですので、そのほとんどがファーストインクラスの治療薬の候補になると考えられます。

 

がん分野で免疫に焦点を当てたオブジーボやキイトルーダは治療体系に革新を起こし、足元では2剤だけで合計3兆円という巨大な市場を瞬く間に形成しました。免疫機能を解明し、GPCRを通じてそこへアプローチを行うことは、直接的な免疫疾患は勿論、がんや消化器疾患など免疫と密接に関連するアンメットニーズの高い疾患分野に対して革新的な薬を生み出す可能性を秘めたもので、我々もそれに向かって歩みを進めていきます。

 

本年もどうぞよろしくお願いします!



【2021年12月期に発表した進捗(収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類21年の売上高
5月19日(参考2Qファイザー社がMC4拮抗薬の臨床試験を開始マイルストン5百万ドル
6月23日(参考2Qバイオヘイブン社がCGRP 拮抗薬の臨床試験を開始マイルストン非開示
11月22日(参考4Qニューロクライン社にMシリーズを導出契約一時金100百万ドル
12月20日(参考4QGSK社のGPR35作動薬が開発進展マイルストン5百万ポンド

2021年12月20日月曜日

GSK社からマイルストンを受領しました

みなさんこんにちは。

IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。

 

先ほどリリースの通り、英国グラクソ・スミスクライン社(以下、GSK社)からGPR35作動薬の開発進展に伴い、5百万ポンド(約7.6億円)のマイルストンを受領しました。このマイルストンは全額、202112月期4Qの売上高に計上されます。GPR35作動薬はちょうど1年前に、前臨床開始直後の開発段階でGSK社に導出していた開発品です(参考:リリースブログ)。今回、具体的に何の進捗かは契約上お示しできないのですが、リリースに記載が無い通り臨床試験の開始ではないこと、一方でマイルストンを受領している通り、当初の予定にしたがって開発自体が順調に進んでいることを、ご報告させていただきます。

 

GPR35G Protein-Coupled Receptor 35、別名:CXCR8)は、クローン病や潰瘍性大腸炎を含む、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel DiseaseIBD)と関係する可能性が指摘されている創薬ターゲットで、我々がGSK社に導出した昨年12月以降にも多くの研究成果が発表されていることに加え、先月に発表されたレビュー論文にもこれまでの動向や病態に応じた様々な作用メカニズムの仮説がまとめられていますので、よければご覧ください(参考)。また1年前とは状況が変わらず、GPR35をターゲットにIBDの治療を目指す開発品は我々のもの以外にはないため、一般的に、開発が順調に進めばファーストインクラスの治療薬となる可能性があります。

 

我々は年間2-3件(平均)という価値の高い提携・共同投資の目標以外にも、今回のように従来の提携が実際に順調に進捗していくことも、同じかそれ以上に重要だと考えています。結局、我々の研究成果は医薬品として世に出て、患者様に使われて初めて世の中に貢献するためです。医薬品という事業の特性上、実際の販売までには比較的時間がかかってしまいがちですが、是非、進展を見守っていただければと思います。

 

今後とも、どうぞよろしくお願いします!



【2021年12月期に発表した進捗(今期収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
5月19日(参考2Qファイザー社がMC4拮抗薬の臨床試験を開始マイルストン5百万ドル
6月23日(参考2Qバイオヘイブン社がCGRP 拮抗薬の臨床試験を開始マイルストン非開示
11月22日(参考4Qニューロクライン社にMシリーズを導出契約一時金100百万ドル
12月20日(参考4QGSK社のGPR35作動薬が開発進展マイルストン5百万ポンド