2025年10月31日金曜日

2025年期第3四半期の決算を発表いたしました

  みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。


本日10月31日(金)に2025年期第3四半期の決算を発表いたしました。

決算ハイライト

決算短信

最新版のコーポレートプレゼンテーション(10/31更新)


同日発表

クービビックの製造所追加に係る一部変更承認を取得

ジェフリーズ・ロンドン・ヘルスケア・カンファレンス2025に参加

以下ポイントを絞ってご説明します。

 

主要決算数値

詳細な数字は決算短信(リンク)をご覧いただければと思いますが、売上高218.5億円(昨年は219.8億円)、営業赤字59.1億円(昨年は28.5億円の赤字)、コア営業赤字は9.9億円(昨年は44.3億円の黒字)となりました。

ピヴラッツ・クービビックの売上貢献、アッヴィ社との創薬提携によるマイルストン(10百万米ドル)があったものの前年同期に対してマイルストン総額は減少したため売上収益は横ばい、費用面では肥満領域のプロジェクト推進により研究開発費が増加しました。研究開発費、販管費共に年間予想(各々120-140億円、150-170億円)は据え置いております。

【売上高、営業損益・コア営業損益(決算短信P5コーポレートプレゼンテーションP45)】


【決算のブレークダウン(コーポレートプレゼンテーションP46)】



コマーシャル事業(NPJ/NPK)はピヴラッツの堅調な売上(89.7億円)、クービビックの売上貢献(31.5億円)、1Qに続き販管費のコントロールによりコア営業利益は約43.8億円(前年同期比+31.3億円)と引き続き改善を示しております。

プラットフォーム事業(NPC/NPU)は販管費・研究開発費の増加が寄与しコア営業利益は約-53.7億円(前年同期比-85.4億円)となりました。販管費は昨期ノンコア費用であったIT関連投資のコア内への計上、バックオフィス人員のプラットフォーム事業への一部移行・統合、研究開発費は肥満領域プログラム推進により増加しました。全体として研究開発費の進捗率が高く見えますが、想定に変更はありません。販管費は順調な圧縮が進んでおります。


【ピヴラッツの売上状況(決算短信P8コーポレートプレゼンテーションP21)】



ピヴラッツは売上高89.7億円(前年同期比7.1%増加)と通期計画(130140億円)に対し順調な進捗を示しております。例年4Qに患者数が増える傾向にあり、通期計画達成に対する懸念はありません。

クービビックに関しても売上高31.5億円(前年同期売上なし)と通期計画(40-50億円)に対し順調な進捗を示しております。アジア地域では台湾における承認申請も完了しました。塩野義製薬の26/3期売上新予想25億円(修正前93億円)は我々としては保守的な数値と考えております。塩野義製薬の決算説明資料ではMRディテール数は3位以内を維持していると示し、決算説明会では“クービビックにつきましても、ちょうどベルソムラの2週間処方のときと同じような動きでございまして、デエビゴの最初の1年から見るとちょっと負けているかなと思いますが、これから12月1 日の2週間処方解禁に向けて動いていこうと思っております”とのコメントがありました。


2025年に見込まれるイベント

2025年に見込まれるイベント(コーポレートプレゼンテーションP14P17)】

 





3Q以降における開発進捗では、アッヴィ社と神経疾患における創薬提携でマイルストン達成、自社開発品EP4拮抗薬NXE'732のP2a試験開始、P1試験結果を発表しました。NXE'732は前日のブログで言及したように我々としては同メカニズムの薬剤の中でベスト・イン・クラスを目指すことができる薬剤であると考えております。9月にはWorldSleep2025が開催されOX2作動薬の競合企業のデータが報告されました。同学会発表以降、OX2作動薬ORX750を開発するCentessaの株価は上昇しました。年内にはP2a試験(NT1/NT2/IH)の結果が公表される予定であり、安全性・有効性ともに非常に注目となります。TemperoBio社の主導するTMP-301に関しては同社がプログラムの進行を一時停止し、今後の選択肢が検討中とアップデートされました。今後アップデートがあり次第ご報告させて頂きます。

ムスカリンプログラムではM4作動薬NBI'568に関して3本のP3試験(ピボタル、長期安全性)が開始されております。Neurocrineの説明会ではP3試験の患者登録が良好に進んでいるとコメントがありました。同社は米国時間12月16日にR&D説明会を開催予定で、ムスカリンプログラムに関する今後の展望が明らかとなるとみております。M4作動薬NBI'568は双極性障害に対するP2試験開始、M1/M4作動薬NBI'570は統合失調症に対するP2試験開始が予定されております。競合薬ではCobenfyのADEPT-2試験(アルツハイマー病に関連する精神病)の結果が2025年内に報告予定です。

本日発表したクービビックのアジアにおける第二原薬製造所の追加は、利益最大化のための原価低減施策として掲げる3プロジェクトのうち1つが完了した形です。製造原価の低減効果は2027年より段階的に寄与を開始する見込みで、残る2つのプロジェクトは2028年末までの完了を計画しております。コーポレートプレゼンテーション資料(P23)で示すビューに向けてしっかりと前進しております。当社は2030年ビジョン(売上高500億円以上、利益率30%以上)を掲げており、原価低減に関するこれらの施策は同ビジョン達成に貢献すると見込んでおります。


引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 

2025年10月27日月曜日

塩野義製薬が26/3期1H決算を発表しました

みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

塩野義製薬が決算を発表しておりますので、クービビックに関してコメントさせて頂きます。


塩野義製薬(決算説明会資料はこちら

決算説明資料ではクービビックの25年度1H実績が発表されました。予想売上高は93億円(上期12億円、下期81億円)から、通期売上予想が25億円(上期実績4億円、下期予想21億円)に下方修正されました。下方修正は残念ではありますが、引き続き2週間処方制限解除以降の中長期での浸透が重要な点に変わりはありません。塩野義製薬の25年度(25年4月~26年3月)と当社の25/12期(25年1月~25年12月)は完全に期間は一致していませんが、引き続き当社の25/12期の売上予想40-50億(製剤供給+ロイヤルティ収入)は大半が製品供給であり、達成可能と考えています。




弊社決算は10月31日引け後予定です。
引き続きよろしくお願いいたします。

2025年10月21日火曜日

EP4拮抗薬NXE'732のP1試験結果がESMO2025で発表

 皆様、こんばんはIRヘッドの都築です。


がん免疫療法候補薬HTL0039732/NXE0039732のP1試験に関する結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2025)で発表されました(参考)。

P1試験結果では2つの異なるがん種(腎細胞がん、大腸がん)において早期の治験段階ながら有効性を示しました(プレスリリース)。同メカニズムの薬剤の中でベスト・イン・クラスを訴求できる可能性が示唆されました。このようなデータを自社開発品から示すことができたことを嬉しく思います。

以下重要な点は2点に絞って報告させていただきます。


1)2つの異なるがん種(腎細胞がん、大腸がん)で部分奏功を確認

P1試験は標準治療がない又は治療抵抗性である進行性固形がん患者を対象に、NXE'732の単剤(n=13)及びチェックポイント阻害剤アテゾリズマブとの併用(n=22)による安全性・有効性を評価しました。結果は、2つの異なるがん種(腎細胞がん、大腸がん)での2例の部分奏効を含む早期の治験段階での有効性が確認されました。

腎細胞がんにおける全奏効率(ORR)は50%(2名中1名PR)と推定されました。大腸がんにおける全奏効率は9.1%(11名中1名PR)と推定されました。大腸がんのデータでは先行するONO-4578が全奏効率3.9%(51名中2名PR)の結果を示しております(参考)。間接比較ではありますが、NXE'732はベスト・イン・クラスの開発品となれる可能性が示唆されました。


2)安全性は同メカニズムの薬剤の中でベスト・イン・クラスの可能性

P1試験では良好な忍容性を示し、DLT(用量制限毒性)も確認されておらず、グレード4/5の治療関連有害事象は確認されませんでした。グレード3以上の有害事象は併用療法群で14%(22名中3名) であり、安全性が同メカニズムの薬剤の中で差別化要因となる可能性が示唆されました。間接比較とはなりますがONO-4578のONO-4578-01 PartD(大腸がん)ではグレード3以上の有害事象はオプジーボとの併用療法で45%(48名中23名)でした。併用療法が一般的な再発・難治性のがん患者にとって治療の継続において安全性は重要な要素であり、NXE'732が貢献できる可能性があることをうれしく思います。


P2a試験開始時のブログでも説明した通り、ESMOでの詳細結果により好条件の交渉となれば導出タイミングは早まる可能性はあり、学会発表以降の提携交渉にも注目です。P2a試験では、マイクロサテライト安定性(MSS)大腸がん(CRC)、胃または食道胃接合部腺がん(GOJ)、淡明細胞型腎細胞がん(RCC)、および転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象にした 4 つのコホートが実施されております。


競合薬の動向

EP4拮抗薬で先行するのは小野薬品工業のONO-4578となります。同剤は2025年10月に胃がんを対象としたP2試験結果において主要評価項目[無増悪生存期間(PFS)]を達成したと報告しました。詳細結果は学会発表されるとのことで、安全性面の比較でも我々は注目しております。一方で同じメカニズムの薬剤で有望な結果が示されたことから、同メカニズムががん領域で今後さらに注目を集める、つまりプログラムの価値が上がることに期待しています。



本来であればもっと早く結果を共有したかったですが、共同研究先との兼ね合いもあり遅れてしまい申し訳ありませんでした。しかしながら最大限今回の発表データの意義は伝えられたのではないかと思います。

引き続きよろしくお願い申し上げます。