2023年7月3日月曜日

GPR52作動薬のフェーズ1試験が始まりました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


我々の自社開発品のうちの1つ、GPR52作動薬について、日本時間の週末に最初の被験者への投与が完了し、フェーズ1試験が開始されました(参考)。今年の上期中に予定していた2つの臨床試験開始がやや遅れてしまい申し訳ありませんでしたが、GPR52作動薬の試験がこれで開始され、残るEP4拮抗薬も順調に試験準備が進んでいます。是非、今後の発表をお待ちいただければと思います。


GPR52受容体は、統合失調症の各種症状(陽性症状、陰性症状、認知障害)に効果を発揮する新たな創薬ターゲットとして、2014年に武田の研究者が発表を行って以降、注目を集めてきました(参考)。一方で、オーファン受容体(生体内のリガンドが特定されていない受容体。正確な生理機能が未解明)でもあり、これまでに少なくとも武田薬品とベーリンガーの2社が創薬の検討を行ったとみられますが、いずれも基礎段階に留まり、臨床試験まで進んだのは今回の我々のGPR52作動薬(HTL0048149)が初めてになります。チーム一同、進捗を喜ぶと同時に、今後の開発進展に大いに期待しています。


また、今回の臨床試験の開始は、昨年以降、戦略的に加速させている自社開発での初めての臨床試験の開始となりました。GPR52作動薬も含め、自社開発の主な目標は、初期の臨床試験(フェーズ1b/2a)を自社で行うことで、より高い経済条件で他社へのライセンスを行うことです。また、そのライセンスの際には、基本的に日本・APACの権利は自社で保持し、これらの地域では自社販売までを行うことで、さらに大きなアップサイドを狙っていきます。これは、2021年にニューロクライン社にムスカリン作動薬を導出した際に、M1作動薬(対象疾患:認知症)の日本の権利を保持したのと同じ考え方です。


統合失調症治療薬は、現在、多くの製品が世界中にありますが、残念なことにそのメカニズムは全てドパミン/セロトニンの機能調整に限られており、効果が無い患者さま、また錐体外路症状などの副作用で治療の継続が難しい患者さまが多くいらっしゃいます。我々がニューロクライン社にライセンスし、現在フェーズ2試験が進行中のM4作動薬もそうですが、新たな作用メカニズムの薬が患者様の助けになるよう、今後も全力で開発を進めていく所存です。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!