2025年7月3日木曜日

大株主様との対談動画の公開

 皆様、こんばんは。IRヘッドの都築です。

本日、当社の株主様であるJICベンチャー・グロース・インベストメント(24年12月末時点の株式保有率6.24%)のベンチャーキャピタリスト浅井義晴様との対談動画をアップしました(動画スクリプト)。

私の知る限り製薬・バイオ企業で大株主(保有比率5%以上)との対談を動画で公開するのは初の試みかと思います。


本動画では5つのテーマに関してディスカッションを行いました。

テーマ1:ネクセラファーマの投資に至った経緯

テーマ2:バリュエーションの考え方

テーマ3:プラットフォーム事業における注目のパイプライン

テーマ4:コマーシャル事業の注目点

テーマ5:経営陣の印象


機関投資家様の立場での当社への一つの見方、業界動向の考え方を知る上での一つの要素となれば良いなと思っております。

最後に対談を受け入れてくださった浅井様に心より感謝申し上げます。

2025年7月2日水曜日

Jefferies Global Healthcare Conferenceでの発表

皆様、こんばんは。IRヘッドの都築です。

 

6月に開催されたJefferies Global Healthcare Conferenceの動画・資料・スクリプトを公開いたしました。動画が含まれるため公開が遅くなり申し訳ありませんでした。

スクリプトは英語ですが、下記にどのような質問が機関投資家から聞かれていたのか日本語で端的にご紹介させていただきます。

 

資料・スクリプト

動画

 

質問1

ORX750の第2相試験の成功確率をどう考えるか?また、ORX142ORX489といった後続のパイプラインの位置づけは?

Centessa社が試験中なので詳細には言及はできませんが、現状3(Centessa、武田薬品工業、Alkermes)が開発中であり、今後のCentessa社の結果公表で、差別化された薬物動態プロファイルが得られるかが注目です。

(IRからの追加コメント)

 Centessa社はORX750でナルコレプシー1(NT1)、ナルコレプシー2(NT2)、特発性過眠症(IH)ORX142で神経疾患・神経変性疾患、ORX489で精神神経疾患の開発を進める戦略を示しております。実験データではありますが各々の有効性(EC50:半数効果濃度)0.110nM0.069nM0.035nMと後続のパイプラインほど高い可能性があります。それゆえに後続のパイプラインほど幅広なターゲットに展開できる可能性があります。当面はORX750の患者対象のP2試験結果、ORX142の健常人対象のP1試験結果に注目となります。競合薬も先日の説明会でお話しさせていただいた通り、2025年中にデータが出揃ってくると思います。

 

質問2

主要な提携のマイルストンとロイヤリティの構造は?

→経済条件は契約先によって変わりますが、例えば例えばNeurocrine社との契約では、開発マイルストンとして15億米ドル、販売マイルストンとして11億米ドルの権利を有します。ロイヤリティ率は1桁台後半から10%台半ばです。ネクセラファーマのビジネスモデルの特徴としてコマーシャル事業は収益化しており、2030年までに日本・APAC地域でのこのコマーシャル事業での強化を示していきたいと思います。

(IRからの追加コメント)

プラットフォーム事業は収益の凸凹はあるものの、コマーシャル事業は安定収益のビジネスモデルとなっておりますし、さらにその収益力を上げていく考えです。2030年の売上高500億円達成を目指す上では、日本・アジア事業での導入も必要な要素であり、しっかりと進捗を示していきたいと思います。

 

質問3

低分子以外の抗体など、別のモダリティを考えていますか?

→開発したものの一覧に表示されているほとんどが低分子を基盤としたものです。当社のプラットフォームは、GPCRGタンパク質共役受容体)を対象とした薬物設計に焦点を当てたもので、依然として非常に魅力的なターゲットです。このプラットフォームを本格的に活用し低分子を生成してきました。一方で当社は他のモダリティにもオープンな考えを持っています。昨年末ごろ、私たちはAI駆動型の抗体プラットフォームを提供するAntiverse社との提携を発表しました。彼らが当社の保有するGPCR構造情報を活用し、抗体ライブラリーやナノボディライブラリー、VHHライブラリーの設計を進めることを期待しています。NxWaveプラットフォームの機能上、従来はGPCRに対する抗体を同定させるのは非常に困難でしたが、伝達する機能と阻害する機能を併せ持つ抗体を作製できるかもしれないと考えています。実現できるか、世界初になるかと、楽しみにしています。

 

質問4

統合失調症のGPR52作動薬やEP4拮抗薬など、興味深いパイプラインがあると思いますが、特に注目のパイプラインはどれだと思いますか?

→どれも興味深いパイプラインだと思います。 私たちはプロセスの最初からターゲットの選択に非常に注意を払っています。 目指しているのは、リスクプロファイルのバランスを取ることです。具体的には、臨床的な有効性が確認されているターゲットに焦点を当てたアプローチを採用しています。つまり、ベスト・イン・クラスのアプローチを追求し当社のプラットフォームを活用して、より優れた分子を特定するということです。実際、Neurocrine社とのコラボレーションは、その好例と言えます。

新たな標的の探索にも取り組んでおり、良い例の1つとしてGPR52作動薬があります。同剤は統合失調症を対象としており、当社はこの分野でP1試験段階のシーズを有する唯一の企業です。このプログラムの面白い点は新規性だけでなく陽性、陰性、認知の領域において有効性を示す可能性があり、特に陰性と認知の領域では非常に高いアンメットニーズが存在するため注目なパイプラインと考えます。早期臨床試験では極めて良好な結果を示し、薬物動態は11回投与のものと一致する非常に良好なものです。現在、メカニズム検証のための臨床試験にも進んでいます。

(IRからの追加コメント)

EP4拮抗薬に関しては先行企業として小野薬品工業がONO-4578を開発しております。EP4拮抗薬ではまだ上市薬は存在しませんが、当社のNXE732は先行薬よりも有効性・安全性で優れたデータを期待して開発を進めております。現在P1/2試験の中の、P1試験を進めております。患者対象のP1試験であり、年内に結果公表できると考えております。進捗をお待ちいただけたらと思います。

 

質問5

PfizerGLP-1の開発を前進させる可能性についてどう考えていますか?

→肥満領域は魅力的な分野であり、直近でEli Lillyも素晴らしい進捗を示しておりました。Pfizer社が進めている分子において問題があったことは事実ですが、GLP-1の分野において低分子のポジションを獲得していると思いますし進展があることを期待しています。clinicaltrials.govで現在公開されている情報では、肥満治療オプションを含むP1試験は既に完了しているはずです。そのため私たちは皆さんと同様に、データの内容を早く知りたいと考えており、Pfizer社のデータを公開を待っています。

(IRからの追加コメント)

当社のGLP-1作動薬PF’522に関しては進行する3つのP1試験のうち、2025624日に1つのP1試験結果がclinicaltrials.govに報告されております。同試験は健常人に対する試験結果であり、残りのP1試験の1つには患者も含まれておりますので、それらの結果もしくは開発進捗に注目したいと考えております(参考)。肥満領域では自社でも複数シーズの開発を進めております。

 

引き続きよろしくお願い申し上げます。

2025年6月17日火曜日

Centessa社がORX142のPh1試験を開始

 皆様こんにちは、IRヘッドの都築です。

米国時間6月16日に当社が導出しているオレキシン2受容体作動薬であるORX142に関して、Centessa社がP1試験開始のIND申請を通過し、P1試験開始を発表しました。

我々の計画では2025年中に結果公表予定となるのはCentessa社ではORX750のP2a試験のみと思っていましたが、ORX142に関してもP1試験結果(有効性も含む)も年内に入手できる見通しとなりました。嬉しいサプライズです。

  • Centessa社のプレスリリースはこちら
  • Centessa社のコーポレートプレゼン資料はこちら

要点は以下の3点です。

  • ORX142は神経疾患、神経変性疾患を対象に開発
  • ORX142はORX750よりも有効性高く、選択性も高い可能性
  • ORX750のP2a試験結果は2025年中の結果公表に変更なし

ORX142はCentessa社の資料では特定の神経疾患、神経変性疾患を対象に開発されております。P1試験では、健康な被験者が対象ではあるものの、有効性の評価指標となる覚醒維持検査(MWT)、カロリンスカ眠気尺度(KSS)も評価されます。結果は2025年中に公表予定としております。

ORX142はコーポレートプレゼン資料でhOX2R、hOX1Rに対する有効性・選択性のデータも公開されており、ORX142はORX750よりもEC50は約1.6倍、hOX2Rの選択性も非常に高いことが示されております。なお、実験系が異なることから直接比較はできませんが、武田薬品工業が開発中のTAK-861はEC50が2.5 nM、選択性(対OX1R比)は3000倍というデータが公表されています。(リンク




ORX142の対象の市場規模はORX750が対象とする50億米ドル以上よりも大きな100億米ドル以上を対象にしていることが過去のCentessa社のプレゼン資料では示されておりました。



Centessa社のオレキシンポートフォリオで最も進んでいるのがORX750です。NT1、NT2、IHに対するPh2a試験は、有効性に加え安全性・忍容性・薬物動態を評価することを目的としたランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー バスケット試験です。初期投与量はNT1では1.0 mg、NT2・IHでは2.0 mgを予定しています。有効性は日中の過度の眠気(MWT, ESS, KSS)、脱力発作(NT1のみ)、全体的な症状改善(NSSおよびIHSS)で評価を予定しています。

各被験者は少なくとも4週間はORX750を投与することを予定しています。また、患者に対する有効性を検証するとともに、最適な投与量の検証を予定しています。これらのデータは2025年中に判明する予定です。当社はCentessa社のオレキシンプログラム全般(ORX750、ORX142、ORX489)に対し、進捗に応じたマイルストン、ロイヤルティを受領する権利があります。


【Centessa社プレゼン P17、Ph2a臨床試験デザイン】



用語・略語
  • プラセボ対照ランダム化二重盲検試験:治療薬とプラセボを投与する群をランダムに振り分け(ランダム化)、治療薬・プラセボどちらが投与されているか被験者・医療従事者ともにわからなくする(「二重」に盲検)。これにより、被験者・評価者の主観的なバイアスを取り除くことが可能。新薬の臨床試験において一般的に用いられる手法。
  • クロスオーバー試験:被験者を2つに分け、別々のものを投与(今回は治療薬・プラセボ)して有効性等を評価したのち、投与するものを入れ替えて再度有効性等を評価する手法。被験者の人数を少なくできるが、試験期間が長くなること、前の治療が残るリスク、などのデメリットもある。
  • バスケット試験:ある治療法(今回はOX2R作動薬)を、異なる疾患の被験者(今回はNT1、NT2、IH)に対して同じ試験のもとで評価する手法。同じ遺伝子変異を持つがん(例:肺がん、胃がん、乳がんなど)に対する抗がん剤の臨床試験で良く用いられる手法。
  • hOX2R EC50:ヒトのOX2受容体(hOX2R)に対して50%の活性を示す濃度(EC50)
  • MWT:覚醒維持検査
  • ESS:エプワース眠気尺度
  • KSS:カロリンスカ眠気尺度
  • NSS:ナルコレプシー重症度尺度
  • IHSS:特発性過眠症の重症度尺度

引き続きよろしくお願い申し上げます。

2025年6月2日月曜日

Eli Lillyとの代謝性疾患を対象とした提携において開発マイルストンを達成

 みなさんこんにちは、IRヘッドの都築です。

 

当社は、Eli Lilly社との糖尿病及び代謝性疾患における複数のターゲットを対象にした研究開発・商業化に関する提携(ターゲットは契約により非開示)において開発マイルストンを達成し、マイルストン受領(金額は契約により非開示)を発表しました(Link)。

Eli Lilly社とは2022年に複数のターゲットを対象にした研究開発・商業化に関する提携(契約一時金37百万米ドル、総額マイルストン最大694百万米ドル)を発表しておりました。

今回の提携により、代謝性疾患の開発進展ではPfizerに続きEli Lillyも着実な進展が確認された形です。

今後の進展にも期待しております。

 

代謝性疾患領域では特に肥満領域が注目領域となっており、

当社のInvester Relations部が公開資料を元に肥満領域の臨床段階の開発状況を下記に整理しました。



これらのターゲットは全て、当社が注力する「GPCR」になります。

特に赤枠で示した経口低分子の開発に当社は注力しており、国内の中で肥満領域を開発できる数少ない企業として、PfizerEli Lillyとの協業、そして自社開発にも力を入れております。

実際、本表にあるターゲットのほとんど全てに対し、足下で何らかの取り組みを行っています。

今後の進展にもご期待頂けたらと思います。

 

今後とも、宜しくお願い申し上げます。


2025年5月30日金曜日

ニューロクライン社がM4作動薬NBI-1117568のP2試験結果をASCP2025で発表しました

みなさんこんにちは、IRヘッドの都築です。

 

米国時間528日に当社提携先のニューロクライン社が米国臨床精神薬理学会2025(ASCP2025)M4作動薬NBI-1117568P2試験の詳細結果を発表しました(Link)。

 

提携先のデータではありますが、ファクトベースで情報をお伝えします。

新たな有効性に関するデータとしてはCGI-S Scoreの経時的な変化であったと思います。

以前公表のデータ(Link,p20)では投与6週後に0.7pt改善(NBI’568群-1.2pt vs Placebo群-0.5pt)を示しておりました。今回の発表では投与2週後で有意差が確認できる経時的な変化も示されました。P3試験の主要評価項目であるPANSS Total Scoreのみならず、CGI-S Scoreでもしっかりと有意差のあるデータが再度認識された点はよかったと考えます。

ちなみにBMS社のCobemfyのP3試験(EMERGENT-3)のCGI-S Scoreは投与5週後で0.5pt改善(Cobemfy群-1.1pt vs Placebo群-0.6pt)を示しておりました(Link)。




本日コーポレートプレゼンテーション資料(Link,p23)も更新しております。

新たにQuviviqに関して弊社に寄与する利益イメージ図を作成しております。

これは2030年ビジョンの利益率30%以上を提示している上で重要な要素の一つです。




Quviviqの現状の売上構成は製品供給とロイヤリティですが、近い将来はさらに原価低減効果による利益も享受できると想定しております。

塩野義製薬は当面の売上目標が200億円と説明会で言及しておりますが、この金額感から踏まえた当社への利益イメージを持っていただけると2030年ビジョンの利益率(30%以上)に寄与することがわかっていただけるかと思います。




このような形でもアップデートあれば適宜お伝えさせていただきます。

 

今後とも、宜しくお願い申し上げます。

都築


2025年5月23日金曜日

Endpoints News主催のドラッグロス解消を目指すオンラインイベントに登壇しました

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

 

522日にEndpoints News主催のドラッグロス解消を目指すオンラインイベント第2弾で当社CEOクリス・カーギルとCOO前田敏宏が登壇しました。

演題は「Launching a specialty medicine in Japan successfully」で日本においてスペシャリティ医薬品の上市を成功裏に収めた秘訣に関して講演しました。

資料もアップしております。


前提として日本の医薬品市場は魅力的です。

日本市場の特徴として、

1)医薬品の承認から薬価収載までは3カ月以内と非常にスピーディーであり、上市後の成長が早い点、

2)国民皆保険制度により医療制度が整っており、世界で3番目に大きな市場である点、

3)海外とは異なる市販後ルールもある等、ステークホルダー(厚生労働省、PMDA、患者様、医師等)を深く理解することが重要である点、があります。

このような要素もあり、日本の中小製薬企業でも戦える地盤があるということです。


スペシャリティ医薬品の上市成功の要因として、我々は3点で整理しました。

    Functional Alignment:社内で連携の取れた包括的戦略の策定

    Channel Mix:治療ジャーニーを理解した最適なチャネルへの戦略的投資

    KPI Management:正確かつ厳格なKPI

我々は上記3点に関してPivlazを例に具体例を説明しました。

①では発売前後で全部門がマネジメント直下で管理され、徹底した情報共有に努め、戦略的に開発部門の人員をメディカル部門に異動させる業界では稀なことも実施しました。

②では現行既存薬との治療後の管理で差別化を見出し、メディカル部門にリソースを割きエビデンスを積み上げるなど、情報提供に努めました。

③ではリアルワールドデータの分析、学会での特別セッションの開催等、発売1年以内でガイドラインにも収載されることができました。

スペシャリティ医薬品では、その医薬品の治療ジャーニーを深く理解し、特化した戦略が必要となります。それをハンズオンで機動的に管理・変更できる体制こそが我々の強みであり、この成功を別の医薬品でも実施していけると考えております。

 

またEndpointsでの講演とは別件ですが、Pivlazに関して直近で2本の論文が公開されております。

名古屋大学からの報告(Publish date:2025516)RECOVER study: a multicenter retrospective cohort study and comparison of the efficacy and safety of clazosentan and fasudil in patients with aneurysmal subarachnoid hemorrhage in: Journal of Neurosurgery - Ahead of print Journals

広島大学からの報告(Publish date:2025514)Multicenter Validation of a Unified Evidence-Based Treatment Protocol Focusing on Clazosentan for Managing Subarachnoid Hemorrhage

 

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

都築

2025年5月12日月曜日

塩野義製薬の決算が発表されました

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日の株価は大きく動きましたので、それに関するコメント、また塩野義製薬が決算を発表しておりますので、クービビックに関してコメントさせて頂きます。

512日の医薬品セクターのパフォーマンスは約-6.5%(59日終値比)で、33業種の中で最も悪いパフォーマンスでした(日経平均は約+0.4%)。これは米国時間11日に米国大統領トランプ氏が医薬品の価格を30-80%引き下げると表明したことで、セクターへの不透明感が懸念されたのだと思います。この発表により大手製薬の株価は中外製薬が約-11.1%(59日終値比)、第一三共が約-8.2%(59日終値比)となっております。セクターとして、関税に対する方針含め、今後の続報に注視したいと思います。






















塩野義製薬(決算説明会資料はこちら

決算説明資料ではクービビックの25年度売上予想が発表されました。予想売上高は93億円(上期12億円、下期81億円)となりました。大変心強い数字でした。塩野義製薬の25年度(25年4月~26年3月)と当社の25/12期(25年1月~25年12月)は完全に期間は一致していませんが、当社の売上予想40-45億(製剤供給+ロイヤルティ収入)は十分達成可能と考えています。なお、クービビックは販売開始まもない製品であるため、予想売上高の大部分が塩野義製薬への製剤供給による売上で、2025年は塩野義製薬の予想製品売上高の上下による影響はもともと受けにくいですが、本日発表の塩野義製薬の予想売上高には大変心強く感じております。




引き続きよろしくお願いいたします。

2025年5月7日水曜日

1Q決算後の機関投資家との対話

 みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日の株価は大きく動きましたので、それに関するコメント、また我々と機関投資家との決算後の議論の中で話題となったQ&Aを一部整理しました。今後もフォローしていきます。

5月7日のバイオ・医薬品セクターは下記表の企業全体で-3.0%(5月2日終値比)でした。33業種の中でも医薬品セクターのパフォーマンスが最も悪い状況でした。これは米国時間5日に米国大統領トランプ氏が医薬品の品目別関税に関して、今後2週間以内に内容を発表すると言及したことから、不透明感から大きく売られた印象です。ただ、以下の質疑にもある通り、当社は現時点で米国との輸出入を行っている医薬品や医薬品原料はありませんので、関税のインパクトは現時点では無いと考えています。















●開発品の進捗について

Q1.   M4作動薬NBI’568のフェーズ3試験は、プラセボを抑えるためにどのような工夫がされる予定か?

A1.     実薬:プラセボが11のシンプルな試験デザインを組み、臨床試験サイトを厳格に管理する予定です。試験デザインの詳細が開示されましたら、またフォローさせていただきます。ニューロクライン社の説明会でも一般的な精神薬の臨床試験において施設数が20以上となるとプラセボ効果が出やすい可能性が言及されておりました。先日最初のP3試験が報告されましたが、今後数か月以内に2本のP3試験も開始される予定です。


Q2.   GLP-1作動薬PF-06954522の対象疾患が変更された背景は

A2.     慢性的な体重管理に変更されたことはプラスであると考えます。対象疾患が2025年2月時点の「2型糖尿病」の記載からアップデートされ、5月時点では「慢性的な体重管理」に変更されております。疾患の記載変更はアクティブな状態であることを示していると考えております。尚、「慢性的な体重管理」は、ファイザー社がフェーズ2試験を進めるPF-07976016(GIP受容体拮抗薬/ネクセラは権利なし)と同じ適応症になります。


Q3.   今後臨床結果が予定されているパイプラインは?

A3.     2025年は最大6本の患者対象の臨床結果を期待しております。 既存自社開発品EP4拮抗薬NXE0039732のP1/2試験結果、mGlu5 NAM TMP-301の2本の臨床試験(アルコール依存症、コカイン依存症)、OX2作動薬ORX750のP2試験結果は競合薬と間接的な比較もできる可能性はあり期待しております。


●通期業績について

Q4. 通期業績に対する対社内計画に対する進捗状況は?

A4. 対社内計画に対して順調な進捗です。特にコマーシャル事業(コーポレートプレゼンテーション資料p34)は対社内計画を上回る進捗であったと思います。製品別で研究開発費は進捗率は高めとお思いになるかもしれませんが、下期にかけてコントロールしてしていく予定です。仮に考え方に変更があれば、適宜決算でご報告させていただきます。


●全体・市場動向について

Q5. 米国の関税リスクに関してコメントはあるか

A5. ネクセラファーマの上市2製品(Pivlaz, Quviviq)は輸出入において米国が関与していないため、影響はございません。一方で製薬・バイオセクター全体の関税に対する不透明感から影響を受ける可能性はあります。現状の開発・提携パイプラインに関して我々が肌で感じている面では、米国の政策影響を受けて開発が中断・中止されるものは把握しておりません。引き続きアクティブに進捗している印象です。


●その他

Q6. 有価証券報告書における平均給与の額は海外も含まれた金額感か?

A6. 有価証券報告書に記載の平均給与には欧州(イギリス、スイス)の賃金も含まれております。他社では海外拠点を子会社としているケースが圧倒的に多く、海外は平均給与に含まれませんが、当社の場合は税制上の特殊な事情により海外拠点を支店としているため、平均給与に海外従業員分が含まれます。詳細な数字は開示できませんが、当社の日本拠点のみ絞った平均給与は、他の日系の大手製薬企業と同水準です。


引き続きよろしくお願いいたします。


ニューロクライン社、ファイザー社の決算が発表されました

皆様おはようございます。IRヘッドの都築です。

ニューロクライン社、ファイザー社の決算が発表されました。それぞれ当社に関わるところをご紹介します。


ニューロクライン社(ニュースリリースはこちら

決算発表から大きく2点、新しい話がありました。

  1. M4作動薬NBI-1117568(NBI'568)は3本のP3試験(統合失調症)を想定しており、先日最初のP3試験が開始した。トップライン結果は2027‐28年を計画。
  2. M4作動薬NBI-1117569、M1作動薬NBI-1117567に関してはP1試験終了後、今後の可能性(P2試験開始)含めて説明する

1.について、ニューロクライン社は先日報告した最初のP3試験は米国限定で実施すると説明しました。残りの2試験も今後数か月以内に開始予定で、全ての試験はプラセボ対象の二重盲検試験(20mg群:プラセボ群=1:1)、主要評価項目は投与5週目のPANSSスコアの変化量とした。3試験のトップライン結果は2027‐28年に報告予定としました。

2.について、ムスカリン作動薬ポートフォリオのNBI'568以外では、M1/M4作動薬NBI-1117570のP2試験の開始(25年2H)、M4作動薬NBI-1117569、M1作動薬NBI-1117567に関してはP1試験終了後、今後の可能性(P2試験開始)含めて説明すると報告しました。

また精神薬の臨床試験ではNBI'568とは別のパイプラインの質疑の際に実施施設数が20施設を超えるとプラセボ効果が高まる可能性に関して触れ、ニューロクライン社はNBI'568のP3試験に関して20施設程度で実施すると従前から言及しております。


ファイザー社(パイプラインリストはこちら

決算発表会では当社関連のアップデートはありませんでしたが、GLP-1作動薬PF-06954522に関しては対象疾患名が2型糖尿病(2025年2月時点資料)から慢性的な体重管理(2025年5月時点資料)へと更新されました。また肥満領域に関しては、引き続き主要領域に位置づけているとコメントされました。

なお、臨床開発段階にある当社との提携プログラムが引き続き掲載されています。

GLP-1作動薬(PF-06954522/慢性的な体重管理)
MC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)
CCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)


今後とも宜しくお願いいたします。

2025年5月2日金曜日

2025年12月期の第1四半期決算を発表しました

みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

本日52日(金)に2025年期第1四半期の決算を発表いたしました。

決算ハイライト

決算短信

最新版のコーポレートプレゼンテーション(5/2更新)

以下ポイントを絞ってご説明します。

 

主要決算数値

詳細な数字は決算短信(リンク)をご覧いただければと思いますが、売上高66.4億円(昨年は46.1億円)、営業赤字21.9億円(昨年は30.8億円の赤字)、コア営業利益は6.3億円の赤字(昨年は9.3億円の赤字)となりました。

クービビックの売上貢献開始、ヴィアトリス社へのCenerimodの日本・APAC権利の譲渡10百万米ドルなどにより収益は増加、費用面では研究開発費が増加しました。

【売上高、営業損益・コア営業損益(決算短信P4コーポレートプレゼンテーションP33)】


 

【決算のブレークダウン(コーポレートプレゼンテーションP34)】


コマーシャル事業(NPJ/NPK)はピヴラッツの堅調な売上、クービビックの売上寄与開始、ヴィアトリス社へのCenerimodの日本・APAC権利の譲渡に加え、販管費のコントロールによりコア営業利益は約20.3億円(前年同期比+19.4億円)と大きく改善しました。

プラットフォーム事業(NPC/NPU)は主に研究開発投資の増加が寄与しコア営業利益は約-26.6億円(前年同期比-16.4億円)となりました。

ノンコア費用はIPJ/IPK買収に伴う非現金もしくは一時的支出費用は改善し約15.7億円(前年同期比-5.8億円)となりました。全体として対社内計画比で順調な進捗を示した決算となり、特にコマーシャル事業の堅調さが際立った決算だったと思います。


【ピヴラッツの売上状況(決算短信P5コーポレートプレゼンテーションP21)】


ピヴラッツは売上高24.1億円(前年同期比5.5%増加)と通期計画(130140億円)に対する進捗率は低く見えますが、例年1Qは弱い傾向にあり、対社内計画通りの水準です。



2025年に見込まれるイベント

2025年に見込まれるイベント(コーポレートプレゼンテーションP14P17)】

 



202551日にはM4作動薬NBI-1117568NBI'568)のP3試験開始が報告されました。昨日のブログでも説明していますが、ムスカリンプログラムは複数の臨床試験開始も控えており、大きな進捗が見える1年となります。

また患者対象の臨床結果としては、自社開発品EP4拮抗薬NXE’732P1b試験含め最大6品目の結果公表が期待されます(コーポレートプレゼンテーション:P14)。

 

今後とも、どうぞよろしくお願いします!

 

 

2025年5月1日木曜日

個人投資家様向けサイトの新設

みなさんこんばんは、IRヘッドの都築です。

51日より個人投資家様向けサイトを新設しました。

本日アップした動画では、簡単な私の自己紹介と市場動向、当社の強みを説明しております。

20分ほどの動画ですので、ご興味ある方はご視聴いただけたら幸いです。

 

今後、私が特にコミットしていきたいのは個人投資家様への情報提供になります。

アナリストの経験を活かし、当社に留まらない市場動向、パイプライン分析などを紹介していきます。

 

日本発の国際的なリーディングバイオ企業に向けた当社の成長に貢献できることを楽しみにしています。

今後ともよろしくお願いいたします。





ニューロクライン社がM4作動薬のP3試験開始を報告

みなさんおはようございます、

本日から新しくIRヘッドとなりました都築と申します。

アナリストの経験から情報提供の強化に努めてまいります。

宜しくお願いいたします。

 

先ほどのリリースの通り、日本時間の昨日夜に、ニューロクライン社がM4作動薬NBI-1117568NBI'568)のP3試験開始を発表しました。(参考リンク

NBI'568248月に統合失調症対象のP2試験に成功、その結果をもとに今回P3試験が開始されました。

現時点ではマイルストンは受領していませんが、近いうちに最初の被験者投与が行われ、その時にマイルストン15百万ドル(約21億円)を受領する予定です。

 

P3試験の登録患者数は約280名、主要評価項目は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化量であり、前回のStifel CNS Forumでのコメント(以前のブログで説明)から大きな変更はありません。

ニューロクライン社の説明の通り、1)試験サイトの厳格な管理、2)実薬とプラセボの比を1:1にすることで、プラセボ効果の影響を減少できる可能性があります。
またP2試験では計103(実薬20mg35名、プラセボ群68)で統計学的有意差を示しており、P3試験では計280名での実施となります。

  

ニューロクライン関連の今後のイベント

25年上期:M4作動薬NBI-1117568の患者投与開始(15百万ドル受領)

25年下期:M4作動薬NBI-1117568P2試験(双極性障害)の開始

25年下期:M1/M4作動薬NBI-1117570P2試験(統合失調症)の開始

25年:M4作動薬NBI-1117569M1作動薬NBI-1117567M1/M4作動薬NBI-1117570P1試験結果

 

 

NBI'568は、当社のNxWaveプラットフォームから生まれた開発品で、P3試験に入った初めての化合物になります!

今年はムスカリンプログラムから2本のP2試験開始も予定されており、来年・再来年と重要なデータも出てくる予定です。

また今年はCentessa社やTempero Bio社など、他のプログラムの患者データ取得も控えており、NxWaveプラットフォームの価値がより高まる年と期待しております。

 

今後とも、よろしくお願いします!


2025年4月15日火曜日

Pfizer社がDanuglipronの開発を中止しました

みなさんおはようございます、IR&コーポレートストラテジー部長の田原です。

日本時間の昨日夜に、Pfizer社がDanuglipronの開発中止を発表しました(リンク)。DanuglipronはPfizer社が自社で開発をしたGLP-1作動薬で、当社の提携とは関係ありません。

もともと1日2回投与で開発をしていたDanuglipronですが、消化器系の有害事象のせいで2023年に開発を中止しました。その後、1日1回投与に改良し開発をやり直していたのですが、今回は肝臓への有害事象が出てしまいました。今回の有害事象のデータ以外にも、これまでとってきたデータを総合的に判断し、Pfizer社はDanuglipronの開発中止を決定しました。

Danuglipronの開発中止により、Pfizer社が臨床試験を行っているGLP-1作動薬は、当社との提携から生まれたPF-06954522のみとなりました。

今後とも、よろしくお願いします!