2021年12月7日火曜日

経口コロナ治療薬開発の助成金を受領しました

みなさんこんばんは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。

 

先ほどリリースの通り、我々が研究開発中のSH-879を中心とした新型コロナウイルスの経口治療薬の開発を進めるための助成金を、Covid-19 Therapeutics Accelerator(以下、CTA)を通じてウェルカム財団から受領しました。CTAは世界的な慈善団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団とウェルカム財団、そしてマスターカードによって20203月に125百万ドルで立ち上げられたもので、その後も世界中の様々な財団などが資金を提供しています。今回、このような高名なプログラムからの資金援助を得られたことを、一同、大変ありがたく思っています。

 

我々が研究開発しているSH-879は、新型コロナウイルスの複製に関わるMプロテアーゼを阻害することで、ウイルスの複製を抑える治療薬候補になります。これは先日、ファイザー社が入院または死亡のリスクを89%低下させるという高い効果を発表し参考米国で緊急使用許可を申請したパクスロビドと同じメカニズムですので、比較的確度の高いアプローチだと考えています。我々はファイザー社よりは後発にはなりますが、そもそもコロナ治療薬は1種類では不十分なこと、また、パクスロビドに対しても以下のメリットを出せると考えており、今後の開発を進めていく所存です。

 

1)投与回数が11回でよい点

1日2回経口投与のパクスロビドに対し、SH-879をはじめとする我々の候補化合物はこれまでの研究成果からも基本的に11回の経口投与となる予定です。患者様にとっての利便性の向上、また飲み忘れなどに伴う症状の悪化や変異ウイルスの発生等のリスクを低減できる可能性があると考えています。

 

2)合剤ではなく単剤でよい点

パクスロビドは本体となる抗ウイルス薬(PF-07321332)が分解されやすいので、その分解酵素のCYP3Aを阻害するリトナビルとの合剤になっています。SH-879をはじめとする我々の候補化合物は、そのような併用を行わずに単剤のみで血中濃度を保てることが、これまでの研究成果から示唆されています。

 

3)そもそも抗ウイルス薬は同じメカニズムでも複数の薬が必要な点

ウイルス治療薬開発は変異との戦いでもあるので、1つの薬が出てもそれで終わるわけではありません。抗インフルエンザ薬でも主なもので5種類、抗HIV薬では今回と同じプロテアーゼ阻害剤という分野だけでも10種類の薬が承認され、そのうち3剤(Prezista, Kaletra, Reyataz)は売上高1,000億円以上のブロックバスターに成長しています。SH-879をはじめとする我々の候補化合物がコロナ治療薬の一翼を担えることを目指して、歩みを進めて参ります。

 

4)変異ウイルスや関連するヒトのウイルスにも有効な可能性がある点

SH-879をはじめとする我々の候補化合物がターゲットとしているMプロテアーゼは、多くのコロナウイルスで共通した構造であることに加え、現在主に変異が報告されているウイルス表面のSタンパク質と異なります。有効性は勿論、今後の臨床試験を通じて確認する必要がありますが、これらの背景から現在の変異ウイルスや将来的に誕生する可能性のある変異ウイルスなどへも、原理的には効果がある可能性が高いとみられ、また、我々もそれを念頭にターゲットを選定しています。

 

今回の助成金の金額は残念ながら開示できないのですが、リリースにもある通り概ね臨床開発を行う候補を選定するまでの資金となっており、損益計算書上は2022年以降に実際の使用した金額に応じて、その他収益に計上されていく予定です。

 

今後とも、どうぞよろしくお願いします!




【2021年12月期に発表した進捗(今期収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
5月19日(参考2Qファイザー社が臨床試験を開始マイルストン5百万ドル
6月23日(参考2Qバイオヘイブン社との開発品の臨床試験を開始マイルストン非開示
11月22日(参考4Qニューロクライン社にMシリーズを導出契約一時金100百万ドル