2023年12月31日日曜日

2023 R&D dayのQ&A

みなさんこんにちは、CFOの野村です。

ご報告が年の瀬になってしまい大変申し訳ない限りですが、1110日(金)に2023年のR&D説明会を実施させていただきました。お忙しい中にも関わらず、334名という多くの方にご参加いただきありがとうございました!

説明会中やその前後も含めて、口頭、テキスト、メールなどでいただいていた合計36件のご質問、ご意見、激励などのうち、重複を整理した以下の24件についてお答えします(カッコ内の数字は同様の主旨の質問の件数です)。



●提携先の開発品について(11)

Q1:PF-06954522とLotiglipronの違いや、PF-06954522が新たに開発された背景は?(3)
A1:申し訳ありませんがファイザー社の化合物であるため、当社から詳細を申し上げることができません。ファイザー社がダヌグリプロンの1日2回投与製剤の開発を12月に断念しましたが、特にGLP-1作動薬のように大きな市場が見込まれる領域では、大手企業は開発品の失敗に備え、複数品目を開発することはよくあります。Lotiglipronが肝臓の検査値の上昇が原因で開発を中止したこと踏まえれば(参考)、PF-06954522では同様の轍を踏むことのない化合物が選ばれていると考えるのが、一般的と考えられます

Q2:Genentechのパイプラインは現在どの段階にあり、どの段階から詳細がオープンになるのか?(2)
A2:現在は前臨床試験の前の段階にあり、ターゲットは基本的には前臨床試験が開始された段階で開示を予定しています。但し、多くの製薬企業では臨床試験に入った段階、もしくは臨床試験入りの目途が立った段階でターゲットが開示されることが多いため、Genentech社の強い希望があれば、ターゲットの開示は臨床入り後となる可能性もあります。これらは、将来的な競合が現れる期間をできるだけ遅らせるためですので、ご理解いただければと思います。

Q3:ファイザー社が新しいGLP-1作動薬の開発を開始するときには、どのタイミングで通知されるのか?(1)
A3:基本的にはマイルストンの受領や、重要な進展があった場合はファイザー社から報告を受け、我々として皆様にお知らせすべき場合にはリリースを出すことになります。「重要」の程度については大手製薬企業と、我々のようなベンチャーで認識の相違が出やすい部分ですので、密なコミュニケーションに努めていきます。

Q4:Pfizer社のCGRP拮抗薬の進捗はどうなっているのか?(1)
A4:申し訳ありませんが、情報公開については提携先の判断となるため当社からコメントはできません。今後、ファイザー社から情報のアップデートがあればお知らせいたします。

Q5:Neurocrine社のパイプラインはさらに増える可能性はあるのか?(1)
A5:12月6日にご報告した通り、ニューロクライン社は新たにM4-preferring作動薬(NBI-1117569)とM1-preferring作動薬(NBI-1117567)の新たに2つの開発品を臨床に進めることを発表し、これで開発が進む品目は4品目になりました(参考。この「preferring作動薬」は、一般的にはその受容体への選択性を高めているものを指しますので、例えばですが、M4-preferring作動薬はM4とM1に対して9:1で作用するような作動薬を指していると思われます。中枢領域では、例えば既存の統合失調症治療薬(エビリファイなど)がそうであるように、このように受容体の間のバランスを整えることが薬効につながることは一般的です。

Q6:Formosa社のAPP13007のロイヤリティは何パーセントもらえるのか?(1)
A6:ロイヤリティ率は開示できませんが、市場規模も踏まえれば金額としては莫大にはならないとみています。なお、APP13007は2024年第1四半期の製造販売承認を予定しており、Formosa社はEyenovia社とライセンス契約を締結してマーケティングを行う予定となっています。(参考

Q7:技術提携でのリード化合物の選定、開発などはどのように進めていくのか?早い段階で導出することや、合弁会社設立等オプションは考えているのか?(1)
A7:化合物ごとに最適な戦略を検討しており、早期の導出や合弁会社設立もオプションになります。提携先が疾患領域や開発機能に強みがあれば提携先が開発を主導する可能性もあり、そこに我々の強みも活かせる場合には、合弁会社設立なども選択肢となります。対象疾患やそこまで得られているデータ、契約条件によってこれらは異なりますので、幅広い選択肢を常に検討していきます。

Q8:新規提携の話の進捗はどのような状況か?(1)
A8:新規提携の交渉は最終段階にあります。結果的に2023年に目標としていた1件以上の大型提携が達成できなかったことは大変に心苦しい限りですが、交渉自体は大詰めを迎えています。相手先がいるため100%の保証はできませんが、新年のできるだけ早い時期にみなさんに良い報告をお届けできるよう、チーム一同、邁進いたします。



●戦略・目標について(9)

Q9:業績予想や中期計画は出せないのか?イドルシア社の予想は出せるのではないか?(3)
A9:提携先に左右される契約一時金やマイルストンが売上げの多くを占める状況では、全社での、蓋然性の高い業績予想や中計はお示しが難しいと考えています。一方、従来のコスト面(研究開発費や販管費のレンジ)に加え、ピヴラッツなどの製品売上については予想をお出しできますし、またそうすべきではないかと考えています。

Q10:今期の着地はどうなりそうか?(2)
A10:既に今期については最終日を迎えてしまいましたので、申し訳ないですが明言は避けさせていただきます。第3四半期までの営業損益は約80億円、コア営業損益は約40億円のそれぞれ赤字であり、これに対して第4四半期では既に発表済のダリドレキサントとGenentech社のマイルストン収入が約20億円と、ピヴラッツの比較的強い売上高(約44億円)が見込まれます。

Q11:パイプラインの拡大ではなく、まずは成功するものに対して集中すべきではないのか?(2)
A11:残念ながら創薬は個別の開発品では一定の確率で失敗するため、ファイザー社のLotiglipronの例の通り、その成功可否を事前に見極めることは困難です。我々は幸いにも、GPCRに対する強力な創薬プラットフォームを持っていますので、これを最大限活用し、40程度のパイプラインをパートナー含めて手掛けることで少数のパイプラインに依存せず、事業全体としての成功確率を高めるアプローチを目指しています。

Q12:スイスのイドルシア社の資金難によるマイナスの影響はあるか?(1)
A12:影響は軽微だと考えています。ピヴラッツやダリドレキサントは日本/APAC(中国を除く)における権利を既に獲得しており、安定的な供給網の確保に努めています。オプション権については契約上多くは言えませんが、影響を最小限に留めるよう留意しています。イドルシア社が日本/APACの事業を売却したのは正に資金的なニーズからであり、我々は買収交渉時からこの点について非常に慎重に対応しています。

Q13:資料P.12の「デザインによる医薬品創出により30以上のパイプラインを追加し、毎年新しいプログラムの追加やパートナーと提携していく」について詳しく教えてほしい。(1)
A13:これまで同様に「プログラムの追加・提携を拡大していく」とご理解いただければと思います。当社の強みとするGPCRをはじめとする構造解析をベースとした精密創薬を引き続き行っていくことで魅力的なパイプラインを創り出し、大手製薬と提携して価値を最大化していくことを目指していきます。



●自社の製品・開発品について(9)

Q14:ピヴラッツの韓国での製造販売承認のタイミングは?(2)
A14:すでにリリースの通りですが、12月7日に韓国での製造販売承認を取得しました。韓国では制度上、承認取得から販売開始までに12-15か月かかることから、2025年前半の販売開始を予定しています(参考)。

Q15:ダリドレキサントの韓国での臨床試験はいつ開始するのか?(2)
A15:2024年を予定しています。当局やパートナー候補との交渉が必要なため、当初予定していた2023年下期開始からずれ込みますが、その後の開発でキャッチアップしていきたいと考えています。

Q16:P.7にある「複数のインクレチン/その上流の標的」と書かれていたものは、ファイザーとの契約があっても開発する権利があるのか?(2)
A16:ファイザー社との契約はGLP-1受容体に対する作動薬に限定されており、それ以外のターゲットは開発できます。糖尿病・肥満関連のシグナル伝達には多くのGPCRの関わりが示唆されており、リリー社との提携や自社で、GLP-1以外のターゲットについて研究開発を行っています。

Q17:GPR52の適応疾患は具体的には何か?(1)
A17:明確なご回答はできませんが、GPR52は一般的に統合失調症の陽性・陰性症状や認知症状に効果があるとされています(参考これらを含め、幅広い精神疾患への可能性を検討する予定です。

Q18:R&D day資料のP7にある「複数のインクレチン/その上流の標的」はEli Lilly社との提携のターゲットと同じなのか?(1)
A18:Eli Lilly社との提携とは別のものです。GLP-1関連領域において、当社は①Pfizer社のPF-06954522(GLP-1)、②Eli Lilly社との共同研究、③自社研究(複数のインクレチン/その上流の標的)の大きく3つの方向からアプローチをしています。なお、基礎研究段階ですので、具体的なターゲットへの言及は控えさせていただきます。

Q19:トランスポーター・イオンチャネルの研究開発の進捗はどうなっているのか?(1)
A19:Metrion社との提携からは思ったほどの進捗が得られておらず、現在は優先度を下げています。トランスポーターについては、自社内での取り組みを加速しています。2018年以降、我々は多くの技術提携を行いましたが、その大半についてどの程度の成果が見込めそうかが見えてきました。リリースやプレゼンテーション資料でもお示ししている通り、Verily社、Kallyope社、PharmEnable社、ペプチドリーム社との提携が、現在の技術提携の中核になります。



●その他のご質問(7)

Q20:11月のファイナンスで産業革新投資機構(JIC)に割当てを行った意図は?なぜ、株価7%ディスカウントでの割当てとなったのか?(2)
A20:JICは産業に深い知見を持つ長期投資家で、当社の株主基盤を安定させるために出資を受けました。株価ディスカウントは、同時実施の公募増資のディスカウント率と合わせる必要があるためです。公募増資でのディスカウントは、数値上の希薄化が起こる以上は避けがたいものですが、潜在も含めた希薄化14%に対して7%の割引は、2020年の調達等(8%のディスカウント)と比較しても適正な水準と考えています。

Q21:株価対策や経営責任をどう考えているのか?例えば自社株買いによる浮動株の解消などは選択肢として考えていないのか?(2)
A21:株価対策のみを目的としてはいませんが、投資家の皆様とのコミュニケーションについては以前のブログのA26をご参照下さい。Lotiglipronの開発中による株価下落は個人的にも大変残念ではありますが、成長戦略を着実に実行していくことが、事業の成長、ひいては企業価値の向上につながるものと考えています。尚、将来的な株価対策の可能性として自社株買いはありえますが現時点で積極的に検討していません。自社株買いは累積黒字でないと可能でなく、現時点では物理的にも出来かねます。

Q22:韓国における求人の意図は何か?(1)
A22:製造販売承認を取得したピヴラッツに加え、今後開発予定のダリドレキサントなど韓国における事業拡大の一環として求人を出しています。韓国法人(IPK)は現在数名の規模で、開発や販売の主導にはまだ人手が足りていない状況です。そのため、韓国における開発・販売の促進をして事業を拡大してく人材の採用を進めています。

Q23:もっとわかりやすくてインパクトのあるアピールのしかたは無いのか?(1)
A23:ご意見いただきありがとうございます。個人投資家の皆様に対する説明などは、今後も工夫を重ねながら、積極的に実施していきたいと思います

Q24:田村会長の目指すバイオテック像はどこなのか?(1)
A24:日本から世界に冠たるバイオ企業を生み出すことを目指しています。「世界に冠たる」というのはやや定性的ではありますが、企業価値、事業規模、サイエンス、患者さまへの貢献、リピテーションといった複合的な要素を、すべて満たす必要があると考えます。ヘプタレス社の強力なサイエンスから生まれた化合物は数多くの大手製薬に導出されており、いくつかの開発失敗もあるものの、一つが成功すれば大きく会社が成長する可能性があります。イドルシアジャパンが販売するピヴラッツは、正に致死性の高い適応症に対して唯一無二の薬として存在感を発揮しています。今後も田村の目指すゴールを達成すべく邁進して参ります。

2023年12月16日土曜日

資金調達が完了しました

皆さんこんばんは、CFOの野村です。


昨日のリリースの通り、11月28日に発表した資金調達が金曜日に完了しました。4つのアクションが組み合わさったやや複雑なスキームでしたが、できるだけ分かりやすく概要・目的・使途などを金曜日のリリースに整理しましたので、ご参考いただければと思います。

今回の資金調達は我々の財務基盤をさらに安定化させ、成長加速のための資金をできるだけ低い影響で確保するためのものです。その中でも、中長期目線の政府系ファンドである産業革新投資機構傘下のJIC VGIにも資金を拠出いただけたことは大変心強く、新たに加わった日本・APACでの成長シナリオにも合致するものです。詳細は、同日に発表されたJIC VGIからのリリースもご覧ください。



【資金調達の概要】

今回の資金調達による実質的な希薄化は8.6%ですが、JIC VGIは中長期目線ですので、ただちに取引に影響するのは1.8%のみだと考えています。

発行価格株数株式の希薄化(潜在含)*
1. 海外新株発行約21億円1,500千株1.80%
2. 第三者割当増資約80億円5,610千株6.80%
3. 新発CBの発行約320億円約17,957千株(潜在)21.8%(潜在)
買入金額株数株式の希薄化(潜在含)
4. 既発CBの買入消却約313億円約-13,356千株(潜在)-16.2%(潜在)
正味調達額株数株式の希薄化(潜在含)
本資金調達合計約104億円実質的増加:7,110千株
潜在的増加:約4,601千株
実質的な希薄化:8.6%
潜在的な希薄化:5.6%



【本資金調達の目的】

資金調達の目的は主に以下のA~Cの3点です。詳細はリリースの1ページ目をご参考下さい。

  A) 既発CBの返済期限延長

  B) 成長加速のための資金確保

    1. 開発品・製品の導入
      イドルシア社からの後期開発品のオプション行使に加え、海外で上市している製品や後期開発品などの導入
    2. 後期開発品の開発・販売 
      1. で獲得した製品・開発品や自社品の適用拡大など、幅広いオプションを検討
    3. 創薬機能の強化
      GPCRの創薬プラットフォームの強化に加え、自社での初期臨床試験を加速させ、より高い経済条件での提携機会を模索

  C) 知見の深い長期投資家からの出資受け入れ



【JIC VGIからの投資】

JIC VGIは産業革新投資機構傘下の政府系ファンドで、これまでも数多くのヘルスケア企業への投資実績があります。(参考)。JIC VGI20239月に立ち上げた新ファンド(OPF1)は、政府のスタートアップ育成5か年計画に盛り込まれている取り組みで(参考)、上場後のスタートアップの飛躍的成長支援が、大きな目的の一つになります。OPF1は総額400億円のうち300億円を上市済みのスタートアップに投資することになっていますが、今回そのうち80億円を第一号案件として投資いただきました。

技術・経営など各要素について数か月の分析・審査(デューデリジェンスと呼びます)をクリアし80億円の出資を受けられたことは、当社の成長性や日本のヘルスケア産業における重要性を評価いただけた結果だと考えています。さらなる成長に向けて、一同、一層頑張っていきます。


(2023年12月、JIC VGIオフィスにて撮影)


また、ファイナンス期間中はブログは最低限の内容にとどめていましたが、それも金曜日に終了しましたので、今後は通常通りの情報発信をしていきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年12月8日金曜日

ピヴラッツが韓国で承認

みなさんおはようございます、CFOの野村です。


昨日のリリースの通り、ピヴラッツが韓国で承認されました。


ピヴラッツはくも膜下出血術後の合併症の発症予防を抑制する薬で、日本では2022年から販売をしていますが、韓国は日本と同じく世界の平均よりくも膜下出血の発症リスクが高く、ピヴラッツのニーズが大きい国の一つです。今回の承認取得によって、韓国の患者さまにもピヴラッツをお届けできるようになることをとても嬉しく思います。


韓国では日本や欧米よりも、承認取得から販売開始までのプロセスがやや複雑(保険適応可否の判断→NHISとの薬価交渉→MHWの承認)ですので、一般的に販売まで12~15か月程度がかりますが(参考)、2025年初まで粛々とそのプロセスを進めていきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

(ファイナンス期間中のため、ブログは最小限の情報提供に留めています)

2023年12月7日木曜日

ニューロクライン社との提携が進捗

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


日本時間の6日(水)の早朝に提携先のニューロクライン社が「2023 Analyst Day」を開催し、我々からライセンスしている以下の4つのムスカリン作動薬についても発表がありました(資料)。またこれを受けて、昨日、我々からもリリースを出しています。


  ● NBI-1117568:M4作動薬Phase2試験中(24年後半データ発表予定)
  ● NBI-1117570:M1/M4作動薬Phase1試験中
  ● NBI-1117569:M4作動薬(M4-Preferring)Phase1試験中
  ● NBI-1117567:M1作動薬(M1-Preferring)Phase1試験開始(2024年開始予定)




特に、NBI-1117569(M4作動薬)とNBI-1117567(M1作動薬)の進展は、新しく発表されたものですね。また、NBI-1117567について、我々は日本での開発販売権を持っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

(ファイナンス期間中のため、ブログは最小限の情報提供に留めています)

2023年12月4日月曜日

ファイザー社がダヌグリプロンの開発を中止

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

日本時間の金曜日の夜にファイザー社が、GLP-1作動薬(ダヌグリプロン・1日2回投与)のフェーズ2b試験の結果と今後の開発中止を発表しました。ダヌグリプロンは2015年の我々との提携とは関係なく、ファイザー社が自社で開発したものです。(https://investors.pfizer.com/Investors/News/news-details/2023/Pfizer-Announces-Topline-Phase-2b-Results-of-Oral-GLP-1R-Agonist-Danuglipron-in-Adults-with-Obesity/default.aspx)

今年の6月末には、我々との提携から生まれたロティグリプロンのフェーズ2b試験も中止していました。(https://soseiheptares.blogspot.com/2023/06/blog-post_27.html)

これでファイザー社が開発するGLP-1作動薬は、ダヌグリプロンの改良製剤(1日1回投与型)と、我々との提携から生まれたPF-06954522だけになりました。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!
(ファイナンス期間中のため、ブログは最小限の情報提供に留めています)

2023年11月28日火曜日

資金調達を発表しました

みなさんこんにちは。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り資金調達を発表しました。資金調達関連のニュースは規制上の問題から、リリースに記載の内容以外には残念ながら一切言及できませんので、基本的には以下のリンクをご参照いただければと思います。(11/29:アップデート)


●リリースからの抜粋ですが今回は3つの資金調達と1つの買入消却を発表しています。

金額(発行価格)株数備考
Ⅰ.海外募集新株式の発行
(海外募集による新株式の発行)
約21億円1,500,000株発行済株式数に対する割合
1,500,000/ 82,336,777 = 1.8%
(詳細はリリース参照)
Ⅱ.新株予約権付社債の発行
(海外募集による2028年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行)
320億円-潜在株式数の比率は19.8%になる見込み
(詳細はリリース参照)
Ⅲ.第三者割当新株式の発行
(JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当による新株式の発行)
80億円5,610,000 株発行済株式数に対する割合
5,610,000/ 82,336,777 = 6.8%
(詳細はリリース参照)
買入金額株数備考
参考:買入消却
(2026 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の買入消却に関するお知らせ)
約314億円-潜在株式数の比率は16.5%になる見込み(発行時点)
(詳細はリリース1リリース2参照)


●資金使途は以下の2つになります。資金使途の(1)に関連して同時に発表した買入消却のリリースもご参照いただければと思います。


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海外募集及び本新株予約権付社債の発行並びに並行第三者割当による手取金約417億円につきましては、以下の使途に充当する予定です。

(1)最大320億円を、2023年12月末までに、2026年満期新株予約権付社債(既発)の買入資金として充当します。なお、本買入れに応じる当該社債の社債権者の数、買入れの対象となる当該社債の金額及び当該社債の株式への転換の状況等によっては、買入資金の総額が上記の金額に達しない可能性があります。

(2)約97億円を、2026年12月末までに、開発品及び製品の導入、日本における後期開発品の開発及び商業活動、創薬プラットフォームを含む創薬・早期開発基盤の拡充を中心とした戦略的成長投資及び運転資金に順次充当する予定です。また、上記①に充当されなかった金額の全額については、2026年12月末までに、これまでに資金を振り向けられていなかった新規パイプラインの研究開発及び運転資金に順次充当する予定です。
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どうぞよろしくお願いします。

2023年11月24日金曜日

GSK社のGPR35作動薬の権利再取得について

みなさんこんばんは。CFOの野村です。


先ほどのリリースの通り、2020年12月にGSK社にライセンスしていたGPR35作動薬(GSK4381406)について(参考)、当社が全権利の再取得するための協議をGSK社との間で開始しました。GPR35作動薬は、すでにフェーズ1試験開始の準備が完了し、その情報が今年8月には公的なデータベース(NCT05999798)にも登録されるなど順調に開発が進んできましたが、直近の9月に行われたGSK社の研究開発体制の刷新と、その中での研究開発戦略の変更に伴い(参考1/参考2)、GSK社での現在の開発は打ち切られることになりました。


我々は、GSK社の決定を尊重しつつも、既にフェーズ1試験の準備が完了しており、これまで有望なデータが積みあがっているGPR35作動薬の権利を獲得できるまたとないチャンスでもあり、我々の自社創薬を強化する方針とも一致しますので、直ちに権利の再取得に向けGSK社との協議を開始しました。権利の再取得完了後は、自社でフェーズ1試験を行って価値を高め、日本・APAC以外の地域についてはこれまで同様、大手製薬企業への導出を行うことを計画しています。これまで受領した一時金やマイルストンの返還は必要なく、また、当社からGSK社への一時金の支払いもありません。一方で、将来的にGSK4381406が上市された場合には、当社はGSK社に1桁台前半のロイヤルティを支払うことになります。


これまで当社も何度か経験しているように、開発が順調にもかかわらず、大手企業はしばしばこのような戦略変更に伴ってこれまで注力してきた開発品の優先順位を下げたり、開発を中止することがあります。一方で我々は、これらをチャンスととらえ、例えばニューロクライン社への再導出(リリースブログ)などをはじめ、そのような場合には権利を再取得し、時に開発品の価値を高めつつ新たなパートナーに導出することを何度も経験してきました。


今後、進捗があった際にはまたお知らせします。


今後ともどうぞよろしくお願いします!

2023年11月12日日曜日

3Q決算発表とR&D day

みなさんこんばんは。CFOの野村です。

●3Q決算

金曜日に3Q決算を発表しました。詳細な数字は決算短信(参考)をご覧いただきたいのですが、売上高55億円(前年同期は86億円)、コア営業赤字39億円(前年同期は13億円の黒字)となりました。今年はここまで、大きなマイルストン収入や新規契約に伴う進捗はありませんでしたので、短信P9の内訳の通り医薬品売上とロイヤルティが売上の3/4以上の約43億を占めており、例年と異なり安定収益が売上の中心となりました。

また、これまでの短信にもありましたが、今回の3Q決算からは1ページ目にも「コア営業利益」を記載しています。これは7/20のイドルシアファーマジャパン等(IPJ/IPK)の買収に伴い、会計上、一時的な費用や非現金費用などが多くなっており、これらを除いたより本業・キャッシュベースに近い利益をお示しするためです。R&D Dayの資料のP29にこれらを整理し、コア営業利益ベースの「そーせいグループ(旧)」と「IPJ/IPK」の損益計算書のサマリーを示していますのでご参考下さい。IPJ/IPKは買収後の2.4カ月で6億円超のコア営業利益となっていますが、ここには10月末のダリドレキサントの申請に伴う15億円のマイルストン収入はまだ含まれていません。




説明会でもお話しの通り、年末に向けより事業を前進させるべく、そーせいグループ(旧)、IPJ/IPKとも、一同全力で取り組んでいきます。



●R&D Day

R&D dayでは主にヘプタレス社のパイプライン進捗とIPJ/IPKのピヴラッツ、ダリドレキサントの開発・販売動向を説明させていただきました(資料)。今年も多くの研究開発で進展がありましたが、特にGLP-1やGIP、さらにはその先のターゲットは、糖尿病・肥満症さらにはそのさらに先の疾患への拡大の可能性が広がるにつれて、注目の高まりを我々もひしひしと感じています。

我々は、ファーザー社との間で新たなGLP-1作動薬としてPF-06954522の臨床試験を開始したのは月初にご報告の通りですが(参考)、当領域のトップ企業であるイーライリリーとの間ではその次のターゲットを目指した提携を昨年から開始しており(参考)、加えて自社ではさらに次世代のターゲットに焦点を当てて、研究開発を進めています。これらは代謝性疾患周りのターゲットはこれまでのところGPCRが中心で、当社のテクノロジーが最大限活用できる可能性がある分野です。引き続き、全力で研究開発を進めていく所存です。






R&D dayの動画は質疑応答も含めて近日中にHPに公開されますので、そちらもご参考いただければと思いますが、前述したGLP-1以外でも、研究開発の着実な進捗や、それに対する質疑など、是非、雰囲気を感じ取っていただければと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

Kallyope社との提携が進捗

みなさんこんばんは、CFOの野村です。


先週金曜日にリリースの通り、昨年5月に発表したKallyope社との提携が進捗し、消化器疾患を対象とした最初のGPCRターゲットを選定しました。以前のブログでも少し紹介した通りKallyope社は2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞したRichard Axel氏を含め、アカデミア界で多数の実績を持つ研究者達が創業した、腸脳軸に特化した強いサイエンスを持つ企業で、主に以下の3つを含む技術を統合した「Klarity™技術」という創薬プラットフォームを軸に事業を展開しています。


①シングルセルシークエンス:細胞一つ一つの遺伝子発現を見ることで、どの細胞が腸脳軸にとって重要かを特定

②回路マッピング:脳と腸の細胞の間での情報伝達を特定し、どのような情報がそれぞれの機能に影響するかを分析

③光遺伝学・化学遺伝学:①で特定した個別の細胞について、光や化学物質の刺激を活用し生理機能を特定


このKlarity™技術と、我々のGPCRに特化したノウハウを組み合わせ、今回、非常にスピード感を持って、最初の創薬ターゲットが選定できたことを一同喜んでいます。今回は非常に初期の進展ではありますが、このような初期の進展なしにはどのような革新的な薬も生まれません。新たなメカニズム、ロジックに基づいた医薬品を早く患者さまにお届けできるよう、今後も一同、全力で開発を前に進めていきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年11月6日月曜日

ファイザー社と新たなGLP-1作動薬が進展

みなさんおはようございます。CFOの野村です。

先ほどリリースの通り、ファイザー社との提携から生まれた新たな経口GLP-1作動薬・PF-06954522のフェーズ1試験が始まりました。CEOのクリス・カーギルから以下のメッセージを預かっていますので、まずは皆様にご紹介させてください。


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ノボ・ノルディスクのセマグルチド(商品名:ウゴービ)や、イーライリリーのチルゼパチド(商品名:マンジャロ)などの週1回の注射で済むGLP-1製剤は、糖尿病・肥満に苦しむ世界中の患者さまの生活に革命をもたらしました。この2つの医薬品を合わせた売り上げは、まもなく1,000億ドル(15兆円)を超える見込みです。(参考

これらと同じく高い効果があり、注射ではなく1日1回の飲み薬が登場すれば、どれほど患者さまの生活を変えることができるかを想像してみてください。科学はこれまでも、そしてこれからも、不可能を可能にする力の源です!

ペプチドアゴニストと結合したGLP-1受容体の全長構造を世界で初めて解明したのは、実は当社の科学者たちだったこと(当社リリース論文)は世間では意外にも忘れられがちですが、私たちはこれを誇りに思い、そして一日たりとも忘れたことはありません。ファイザー社やイーライリリー社といった、同領域あるいは周辺領域で当社とパートナー関係にある提携先も、同じ想いでしょう。




我々のGLP-1受容体に関する知見を創薬提携を通じて活用し、ファイザー社は新たな経口低分子GLP-1受容体作動薬であるPF-06954522を生み出しました。今週末、当社はこの開発品がフェーズ1試験に入ったことを確認しました。

日本を代表するバイオテクノロジー企業であるそーせいヘプタレスは、これからも世界をリードするサイエンスによって人生を変える医薬品を生み出していきます。


代表執行役社長CEO クリス・カーギル

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ファイザー社との間では今年6月、同じく我々との提携から生まれたGLP-1作動薬のLotiglipronがフェーズ2試験段階で残念ながら開発を中断しましたが(参考)、今回、新たな経口GLP-1作動薬であるPF-06954522のフェーズ1試験がただちに開始されました。ファイザー社のGLP-1作動薬と代謝性疾患にかける意欲は、先日の3Q決算のコメント"We are building a platform around the GLP area"(参考)の通り全く衰えていません。PF-06954522のフェーズ1試験の情報は、こちらに既に登録されています。


PF-06954522はファイザーの化合物ですので明確には申し上げられませんが、一般的に我々のターゲットの構造をベースとした創薬プラットフォーム技術(StaR技術+SBDD)は、従来の半ばランダムに化合物を発見する創薬手法とは異なり、ターゲットの構造を特定して最適な化合物を設計することを強みとしています(参考)。この手法では、従来に比べて化合物の最適化を大きく効率化できますので、バックアップや次世代の化合物を作りやすく、1つの化合物が仮に失敗しても、狙ったターゲットに対して着実に創薬を進められるメリットがあります。


今回の進展では特にマイルストンは発生しませんが、我々は他の化合物に対するのと同様、PF-06954522に対する経済的な権利を持っていますので、開発が進捗した際にはまた報告させていただきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年11月1日水曜日

ファイザー社とニューロクライン社が3Q決算を発表

みなさんおはようございます。CFOの野村です。
昨晩遅くになりますが、我々の提携先であるファイザー、ニューロクラインの両社が3Q決算を発表しましたので、以下、ポイントを整理させていただきます。



●ニューロクライン社説明資料
2021年に始まったニューロクライン社とのムスカリン作動薬に関する包括的な提携では、既にM4作動薬(NBI-1117568)がフェーズ2試験段階にあり(参考)、今年の9月にはM1/M4作動薬(NBI-1117570)のフェーズ1試験も開始されています(参考)。説明会資料では、これらに加えてさらに複数のムスカリン作動薬が今後数カ月で臨床試験を始めるとされており、ニューロクライン社のムスカリン作動薬全体に対する本気度が伝わる内容でした。



説明会の中でも、M4作動薬の患者組入れを含めてプログラム全体が順調に進んでいることも含めて、以下のコメントがありました。尚、ニューロクライン社は12月5日に"R&D Strategy and Vision"を含めた説明会を予定しています。

"On the muscarinic front, our lead asset, NBI-1117568, continues to enroll very well in the Phase 2 study in schizophrenia. In addition, the clinical trial application for NBI-1117570, our dual M1/M4 agonist, was accepted and that program is currently dosing in a Phase 1 study. These two compounds represent just the first of several muscarinic compounds that we will be advancing into the clinic over the coming months."
(ムスカリン作動薬に関しては、最も進むNBI-1117568の統合失調症を対象としたフェーズ2試験の患者組入れが引き続き順調に進んでいます。加えて、M1/M4作動薬であるNBI-1117570の臨床試験開始が承認され、現在、フェーズ1試験を進めています。これらの2つのプログラムは、今後数カ月の間に臨床試験を開始する予定の複数のムスカリン作動薬のうちの最初の2つにすぎません。)



●ファイザー社説明資料パイプライン
大きなアップデートはありませんでしたが、当社との提携から生まれたMC4拮抗薬(PF-07258669/栄養失調)とCCR6拮抗薬(PF-07054894/炎症性腸疾患)について、引き続きファイザー社のパイプライン表上で開発状況が確認できます。尚、米国NIHの臨床試験登録サイトClinicalTrials.govでは、MC4拮抗薬(参考)は今年8月に現在の試験が既に完了、CCR6拮抗薬(参考)は現在の試験が来年10月に完了予定となっています。



今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年10月31日火曜日

ダリドレキサントの申請とGenentech社との提携が進捗

みなさんこんにちは。CFOの野村です。

本日2件のリリースを発表させていただきました。


1件目はダリドレキサントの製造販売承認申請です。

ダリドレキサントはアクテリオン社が創薬し、イドルシア社(スイス)が開発を行った不眠症治療薬で、欧米では既にQUVIVIQという商品名で販売されています。今回のこの申請に関連して、我々は15億円の一時金を受領しますが、今後さらなる進展があった時にはご報告します。


ダリドレキサントは、脳の覚醒を維持する働きがある「オレキシン」の受容体にくっつき、その働きを妨げることで、不眠症の患者さんが眠るのを助けます。オレキシンは1998年に2つの研究グループによって発見されましたが、うちの一つが日本人研究者の柳沢正史先生らのグループで(インタビュー記事リンク)、柳沢先生はこの発見の功績により20239月にイギリスの学術情報サービス会社「クラリベイト」が発表したノーベル賞受賞の有力候補にも挙げられ話題になりました(Citation Laureates 2023)。


不眠症治療薬はこれまで、GABA受容体に作用するベンゾジアゼピン系など多くの医薬品が出ていますが、オレキシン系は新しいタイプの薬としてベルソムラ(MSD社)、デエビゴ(エーザイ)が既に販売されており、ダリドレキサントは3剤目の薬になります。全体の売上高は日本全体で約570億円ですが、不眠症治療薬に占めるシェアはまだ19%ですので、今後の成長が期待されています。デイビゴの4-6月の売上高は前年同期比145%と、強い成長を続けています(参考)。なおオレキシン系の薬は、その作用メカニズムの頭文字をとってDORA(Dual Orexin Receptor Antagonist)と呼ばれています。


(出所:2023年7月20日当社資料)



2件目はジェネンテック社との提携の進捗です。

創薬段階の進展でターゲット等はお示しできないのが残念ですが、この進展に伴い我々は3.75百万ドル(約5.6億円)のマイルストンを受け取ります。ジェネンテック社とは2019年に複数ターゲット、低分子・バイオ医薬品の両方を対象にした総額で10億ドル(約1,499億円)の提携を結んでおり(参考)、主にファーストインクラスとなりうる革新的なターゲットを中心に創薬を進めています。今後も患者さまのお役に立つ革新的な医薬品候補を生み出すために、チーム一丸となって頑張っていきます。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2023年10月12日木曜日

2023Q2決算説明会のQ&A

みなさんこんにちは。CFOの野村です。


ご報告が大変遅くなりましたが、84日(金)に202312月期第2四半期(1-6月)決算説明会を実施させていただきました。お忙しい中にも関わらず、309名という多くの方にご参加いただきありがとうございました!

説明会中やその前後も含めて、口頭、テキスト、メールなどでいただいていた合計32件のご質問、ご意見、激励などのうち、重複を整理した以下の25件についてお答えします(カッコ内の数字は同様の主旨の質問の件数です)。回答までに長い時間をいただいてしまい、大変申し訳ございませんでした。


開発品の動向について15

Q1.   ニューロクライン社に導出しているM1作動薬の進捗は? 4

A1.     M1作動薬は多少の時期の前後はありますが、順調に開発が進んでいます。ニューロクライン社も8月の決算説明時に「We obviously do have other molecules behind that that we will intend to bring into the clinic in due course」と言及しており、当社としては日本開発に向け、Ph1試験からどのようにニューロクライン社と協業していくかの計画を正に作成中です。認知症は直近でも、日本での大きな社会課題であることが改めて認識されており、国も積極的な支援に舵を切っています。このような大きな社会課題との戦いに、当社のテクノロジーも是非貢献できればと思っています。

 

Q2.   TMP301の進捗について、今年1月の開始予定のアナウンス以降進捗がないが現在の状況は?(4

A2.     今年9月にClinicalTraials.govに登録されており、今年12月に終了予定となっています。詳細はこちらもご参照下さい。

 

Q3.   ニューロクラインの8月の決算説明資料でM1/M4デュアル作動薬のIND申請が承認されたと記載があったが、これに伴うマイルストンの受領はないのか?(2

A3.     M1/M4デュアル作動薬のIND申請に伴うマイルストンはありません。マイルストンの受領タイミングは正確には開示できませんが、M1/M4作動薬でもフェーズ1試験に関連するマイルストンは設定されています。詳細はこちらもご参照下さい。

 

Q4.   22年12月期決算後のQ&Aブログで、今期は45件の臨床試験開始、2件程度の前臨床試験開始見込みと記載があったが状況は変わらないか?(2

A4.     こちらの見込みに変更はありません。臨床試験について、今期はGPR52作動薬、EP4拮抗薬、M1/M4作動薬の3つが既に臨床試験を開始していますので、あと1件以上の臨床試験開始を見込んでいます。前臨床試験の進捗は都度の開示はしていませんが、例年通り、本決算時にアップデートさせていただく予定です。

 

Q5.   ファイザー社は肥満/2型糖尿病に対して、Lotiglipron以外のバックアップ化合物を水面下で進めることは可能か?

A5.     提携先の開発方針ですので明確にはご回答はできませんが、一般的には可能と考えられます。その際、当社の技術を使用している場合には、Lotiglipronと同様に当社にも経済的権利が発生することになります。

 

Q6.   決算資料17ページのEP4拮抗薬の臨床試験開始時期(7月)と発表(8月)に差があるのはなぜか?できるだけ早く開示できないのか?

A6.    我々は合理的なタイミングかつ過去と一貫性のある開示を心がけており、業界慣行も踏まえ、基本的には最初の投与時に発表をさせていただいております。ご理解いただければ幸いです。時期のずれは、臨床試験のデータベースへの登録時点と実際の投与時のものになります。

 

Q7.   CXCR4(サノフィへ導出)やGPR35GSKへ導出)の進捗については情報がないが、プログラムに何か問題があるのか?

A7.     特段の問題は発生しておりません。ニュースのタイミングによって進捗に乏しいように見えることもあるかと思いますが、P13のパイプライン一覧表のプログラムは全てアクティブなものになります。今後の発表をお待ちいただければと思います。

 

イドルシアジャパン(IPJ)について(7

Q8.   Ph3段階にある2品目(Cerenimod/Lucerastat)のオプション権を獲得したが、なぜこの2品目を選んだのか?権利行使のタイミング、導入した場合の費用、売上見込みは?(4

A8.     日本・APAC(中国を除くで十分な市場規模が見込めるCenerimodLuserastatの二品目を選択しました。今後、イドルシア社本体と開発の歩調を合わせるべきか、あるいはより日本・APAC(中国を除くに特化した最適な開発プラン(適応症、エンドポイント、スケジュールなど)があるかを検討した上でオプション行使の可否を判断します。遅くとも来年前半までに行使の可否を判断する予定ですが、基本的にはそれよりもできるだけ早いタイミングを目指しています。オプション権の行使に伴うオプション料は少額であり、また、開発もできるだけ少数例かつ迅速に行う予定です。

 

Q9.   IPJ社単独での今期の売上や利益の見込みは?連結決算のPLへの影響はどのように考えればよいか?(2

A9.     IPJ単体の予想はすでに発表した通りですが、ここから買収を実施した7/20以降の概ね6か月弱の期間分が合算されますので、当社の202312月期決算への影響はこれより小さくなる見込みです。加えて会計上の連結決算では、IPJ社単体の他に一過性の損失(M&A実行費用など)、中長期の損失(無形資産の償却など)、一過性の利益(繰延税金資産の増加など)を加味する必要があり、現在、3Q決算時でこれらをご説明することを目指して影響を精査しています。これまでにもご説明の通り、我々は買収1年目からキャッシュフローベースでのフラット~黒字と、IPJの事業成長に伴うその後の拡大を見込んでいます。

 

Q10. イドルシアの2Q決算では上期のピヴラッツの売上は32.4百万スイスフラン(約52億円)であり、買収資料の売上予想133億円の40%程度だが、下期にキャッチアップできるのか?

A10.  ピヴラッツの売上は4Qに偏る傾向があり、目標は達成可能と考えています。昨年のピヴラッツの売上高の40%以上は4Qに偏っており、年初から販売している今年と、2Qから販売を開始した昨年とは厳密に比較はできないものの、くも膜下出血の発生が冬季に多いことを踏まえれば、4Qに売上高が偏重する傾向は変わらないと考えています。尚、52億円は売上高ベースで、薬価ベースの133億円とは意味合いが多少異なります。ピヴラッツの売上高の2Qまでの進捗は、実際は40%以上になります。

 

技術・技術提携について(6

Q11. へプタレスの開発品はPh2試験でPoCが取得できず、特に安全性を理由として中止されるケースが多いように見受けられるが、プラットフォーム自体に問題はないのか?そもそも安全性については、Ph1試験時点で確認はできないのか?(3

A11.  プラットフォーム自体は引き続き強固です。一方で、Ph2試験(PoCの取得)は臨床試験の最難関ポイントなのも事実です。Lotiglipronはファイザー社のデザインした化合物であり、中止は残念ですが、中止と当社のプラットフォームとの関連はありません。価値の乏しい技術に対して複数の大手企業が大型の提携を行うことは常識的に考えにくく、StaR技術には引き続き高い優位性があると考えています。一方で、Ph2試験は医薬品開発の最難関のステップ(統計的な成功率:約30%)ですので、今後もPh2試験を突破できるように挑戦し続けていきます。3回のPh2試験(A2a拮抗薬、旧M1作動薬、GLP-1作動薬)の結果は残念であり、未だにPoCが取れていないというのは耳の痛いご指摘ですが、逆にPh2試験が成功してPoC(作用メカニズムの証明)が取得できれば、企業評価の大きな成長ドライバーになると考えています。Ph1試験での安全性の確認は勿論行っていますが、そもそもPh1試験は比較的短期間かつ限られた人数で実施されており、加えてPh2試験でのより高い有効性を追求した投与量の変更などを行うと、一般的にPh1試験では見られなかった問題が発生する可能性が高まります。

 

Q12. StaR技術はHeptaresを買収直後と比べてどの程度進化しているものなのか?

A12.  2015年の買収直後から大きく進化したと考えています。StaR技術は当社のコア技術として継続的に役割を果たしていますが、決算説明会やR&D説明会でもご説明させていただいているプロテインバインダーツールキット(mini-Gなど)やDELスクリーニング、ケモゲノミックライブラリー・スクリーニング(当社が構築したGPCRに特化した化合物ライブラリー)など常に新たな技術ツールが開発され、StaR技術と相乗的に使用されています(参考:P29)。また、我々はCryo-EMも日本企業の中では最も早くから採用しており、これらの技術ツールのいくつかはCryo-EMとの相乗効果もあり、我々がCryo-EMを使用した構造解析でも、優位性を発揮できる一因になっていると考えます。

 

Q13. Verily社との協業についてのアップデートと今後の見通しは?

A13.  Verily社との協業は順調に進展しており、10月にターゲットの選定を発表させていただきました。詳細はこちらをご参照下さい。

 

Q14. 15枚目のスライドで、Verily社とKallyope社のロゴにチェックが付いているが、これは何を意味しているのか?

A14.  資料に誤りがあり、直ちに訂正してウェブサイトに再掲いたしました。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。

 

 

目標や今後の戦略について(5

Q15. 資料に記載の通り今年中に新規提携を見込んでいるのか?原則Ph2aまで自社開発するなら創薬提携になるのか?(2

A15.  上期決算説明会でのクリスからの説明の通り、今年中に1つ以上の提携を見込んでいます。詳細はお示しできませんが、現在、異なるパターンの提携について相手先と協議しています。創薬提携に加えて、自社開発品についてもPh2aまで自社で開発を行いつつも、パートナーと協力関係を築くことは可能と考えています。一方で、これらは相手先のある交渉ですので、現時点で確約できない点についてご理解下さい。

 

Q16. ファイザーの治験中止以降の会社の経営方針に変更はあるか?

A16.  ファイザー社の開発も含め、特定の開発品の成功を前提には経営方針を立てていませんので、今後も戦略や方向性の変更はありません。GPCR創薬のイノベーションの強化と付加価値を高い提携」「日本・APAC(中国を除く)での卓越した開発/販売エンジン」を事業の2本柱とし、さらにこれらの間でのシナジーも追及していきます。

 

Q17. 買収により事業規模が拡大したが、今後の増員や再配置についての考えは?

A17.  外部を活用したコンパクトな運営体制を引き続き志向していく予定です。ただ、来年にダリドレキサントの承認と販売が実現した場合、来年~再来年にかけて人員がやや増える可能性があります。

 

Q18. 上期に予定されていた自社開発品2つのPh1試験開始が遅れた理由は何か?

A18.  Ph1試験開始のタイミングは医療機関の投与開始タイミングによるため、当社でコントロールできない一定の誤差が出てしまう点、ご容赦いただければと思います。一方、今後の情報発信では多少のバッファーをもって時期をアナウンスしたく考えています。

 

 

その他(10

Q19. 株主還元(配当・自社株買い)についてのどのような方針を持っているか?(3

A19.  配当等は、営業成績、財務状況、現金需要、今後の見通し、分配可能利益及びその時点において取締役会が必要と認める他の要素等を考慮して行います。IPJ社の買収はそれに向けた重要な第一歩であり、早くそのような状況を実現できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。

 

Q20. 保有現金や大手製薬との契約金額に比べて、アナリストの評価などがあまりにも低すぎるのでは?今後の株価対策は何を考えているか?(2

A20.  外部のアナリストの評価については、我々から積極的にコメントする立場にはありません。一方で、IPJ社の買収などに伴うものも含め、いくつかの事業進展をお示しすることが、アナリストも含め外部の皆様に当社事業の成長ポテンシャルをご理解いただく上で、最も重要だと考えています。

 

Q21. 今年はR&D説明会は開催しないのか?

A21.  今年のR&D説明会は現時点では11月の開催を予定しています。お待たせして恐縮ですが、詳細が決まりましたらお知らせいたしますので少々お待ちいただければと思います。

 

Q22. 上期にニュースが乏しく、年末に増加するサイクルを改善できないか?改善できないのであれば、自社プログラムについての進捗などの説明を上期にできないか?

A22.  新規契約や開発品進捗のタイミングはパートナー次第で如何ともしがたく、ご容赦下さい。今後の自社品も含めた開発品の増加で、そのようなサイクルは中長期的には緩和されると見込んでいます。自社開発品は上期・下期問わず、可能な限り進捗を開示してまいります。

 

Q23. Lotiglipron中断発表の直前の大量の空売りを把握しているか?インサイダー取引の可能性があるのでは?

A23.  取引自体は把握しておりますが、現時点においてはインサイダー取引は認識しておりません。仮にインサイダー取引が行われていた場合には、規制当局による厳正な対処が行われるものと理解しています。また、当社の株式はデルタヘッジなど、一般的に様々なテクニカルな取引の対象になる可能性があり、そのような取引が行われた可能性もあるのではないかと考えております。

 

Q24. 声が小さくて聞こえません。また、資料もHPにアップロードされていないように見えます。

A24.  音声が小さくて失礼いたしました。資料についてはHPへのアップロードを行っておりますが、プラウザにキャッシュが残っていると最新のページにならないことがありますので、何度か更新ボタンを押していただければと思います。

 

Q25. Webサイトが見づらいです。直近のニュース一覧がホームページにあった方が良いのでは?

A25.  ホームページについてはIPJ社との統合もあり、より見やすいものにアップデートする予定です。少々お待ちいただければと思います。