みなさんこんにちは。CFOの野村です。
本日2件のリリースを発表させていただきました。
1件目はダリドレキサントの製造販売承認申請です。
ダリドレキサントはアクテリオン社が創薬し、イドルシア社(スイス)が開発を行った不眠症治療薬で、欧米では既にQUVIVIQという商品名で販売されています。今回のこの申請に関連して、我々は15億円の一時金を受領しますが、今後さらなる進展があった時にはご報告します。
ダリドレキサントは、脳の覚醒を維持する働きがある「オレキシン」の受容体にくっつき、その働きを妨げることで、不眠症の患者さんが眠るのを助けます。オレキシンは1998年に2つの研究グループによって発見されましたが、うちの一つが日本人研究者の柳沢正史先生らのグループで(インタビュー記事リンク)、柳沢先生はこの発見の功績により2023年9月にイギリスの学術情報サービス会社「クラリベイト」が発表したノーベル賞受賞の有力候補にも挙げられ話題になりました(Citation Laureates 2023)。
不眠症治療薬はこれまで、GABA受容体に作用するベンゾジアゼピン系など多くの医薬品が出ていますが、オレキシン系は新しいタイプの薬としてベルソムラ(MSD社)、デエビゴ(エーザイ)が既に販売されており、ダリドレキサントは3剤目の薬になります。全体の売上高は日本全体で約570億円ですが、不眠症治療薬に占めるシェアはまだ19%ですので、今後の成長が期待されています。デイビゴの4-6月の売上高は前年同期比145%と、強い成長を続けています(参考)。なおオレキシン系の薬は、その作用メカニズムの頭文字をとってDORA(Dual Orexin Receptor Antagonist)と呼ばれています。
2件目はジェネンテック社との提携の進捗です。
創薬段階の進展でターゲット等はお示しできないのが残念ですが、この進展に伴い我々は3.75百万ドル(約5.6億円)のマイルストンを受け取ります。ジェネンテック社とは2019年に複数ターゲット、低分子・バイオ医薬品の両方を対象にした総額で10億ドル(約1,499億円)の提携を結んでおり(参考)、主にファーストインクラスとなりうる革新的なターゲットを中心に創薬を進めています。今後も患者さまのお役に立つ革新的な医薬品候補を生み出すために、チーム一丸となって頑張っていきます。