2021年12月2日木曜日

ニューロクライン社との提携に関する説明会のQ&A

みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。

 

11/24(水)に開催したニューロクライン社へのムスカリン作動薬シリーズ(以下、Mシリーズ)導出のオンライン説明会について、最終的に464名という多くの皆様にご参加いただきました。朝のお忙しい中にも関わらず、本当にありがとうございました。説明会中やその前後も含めて、口頭、テキスト、メールなどでいただいていた合計97件のご質問、ご意見、激励などのうち、重複を整理した以下の50件についてお答え致します。

尚、システム上の問題で、視聴環境によっては音量不足やエコーなどの問題が生じてしまったこと、またその影響もあり特に海外スピーカーとの間で一部の質疑がかみ合わなかったことについて、大変に申し訳ありませんでした。こちら、今後の改善点とさせていただくと同時に、本ブログでのQ&Aの整理をもっていただいていたご質問へのお答えとさせていただければ幸いです。

 

事前説明動画

説明会資料

説明会動画

 

※カッコ内の数字は同様の主旨での質問の件数です

 

Mシリーズの今後のグローバル開発方針について(22

Q1HTL18318の毒性解析やFDAとの協議の進捗は?結果が発表されるとしたらいつ頃か?(8

A1:毒性解析は最終段階にありますが、その結果発表の有無や時期は導出先のニューロクライン社の判断となります。我々は、毒性解析の結果が出た後にニューロクライン社と最終的な協議を行い、今後の開発方針を決定する予定です。一方で、ニューロクライン社のような規模の会社にとって、一般的にはこのような毒性解析結果は個別の開示ではなく、今後の開発方針の発表や変更をもって代えさせていただくことが多いと認識しています。

 

2M1作動薬はHTL18318/9936を開発するのか?あるいはバックアップ化合物に切り替えるのか?(5

A2:毒性試験の結果をもって、ニューロクライン社との間で開発戦略を協議します。現状ではM1作動薬のPh1試験開始は2023年を予定しており、これは保守的にみてM1作動薬はバックアップ化合物を開発する可能性が高いと現時点で考えているためですが、協議の結果によっては変更される可能性もあります。

 

Q3:複数の候補の中からニューロクライン社との提携に至った背景は?よりよい経済条件はあったのか?(4

A3Mシリーズへの高い評価、中枢神経領域への高い専門性と開発力、これまでの実績を総合的に判断して決定しました。大企業との提携にはメリットもありますが、デメリットとしては開発品の数が多いため提携しても結果的に優先的に開発されず、契約一時金から後の進捗がないリスクが相対的に高い点などがあります。ニューロクライン社は中枢に特化したスペシャリティーファーマで規模的にもそのようなリスクが低いこと、またチームの高い専門性、熱意、コミットメントがあったことも重要なポイントになりました。より良い経済条件のオファーがあったかは個別には申し上げられませんが、少なくとも大きく違うオファーはありませんでした。また、見せかけだけの経済条件で判断しても実際に成功しなければ無意味ですので、それらを踏まえて総合的に判断しました。

 

Q4M1作動薬、M1/M4デュアル作動薬はいつ臨床試験に入るのか?臨床試験開始までに比較的時間がかかるのはなぜか?(3

A4:リリースの通り基本的に2023年に臨床試験に入る予定です。権利返還された本年1月以降に、アッヴィ社から受領したデータも精査しながら我々の開発を再開ましたので多少の時間がかかりましたが、一般的にとりわけ遅い進展ではないと考えています。尚、プレゼンテーション資料に24-36ヶ月との記載がありますがこれは不測の事態への備えとして幅を持たせて記載しているもので、我々は2023年のPh1試験開始に向けて開発を加速していく所存です。

 

Q5:競合であるKaruna社などの開発品が販売され、ある程度浸透したとしてもM4作動薬(HTL16878)の開発は続けるのか?

A5:ニューロクライン社の判断次第ですが、開発を進める可能性が非常に高いと考えています。説明会資料内でも記載の通り、HTL16878は現在開発されているM4作動薬の中でベストインクラス(同じ作用メカニズムの中で最も優れた薬)を目指していますので、既にPh3試験中のKaruna社のKarXTなどが先行して市場を獲得するのは、ある意味で想定内のストーリーです。ポイントは、HTL16878KarXTなどに比べより高い有効性・安全性を示せるか、また、12回投与のKarXTに対して11回のHTL16878参考)のメリットを十分訴求できるかといった点だと考えています。

 

Q6M4作動薬のバックアップ化合物の開発は進めるのか?

A6:ニューロクライン社次第ではありますが、現時点では積極的な開発を進める予定はありません。M4作動薬は、HTL16878Ph2試験開始に向けて、我々含めてリソースを集中させていく予定です。

 


Mシリーズ導出の経済条件について(13

Q7:開発マイルストン(最大1,500百万米ドル)の受領タイミングや各金額の詳細は?HTL16878Ph2試験開始時にマイルストンはあるのか?(4

A7:マイルストンの内訳は、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。一方、一般的にはマイルストンの受領タイミングは、臨床試験の開始、良好な試験結果、承認申請、承認取得など目立った進展に紐づいており、開発段階が進むほど受領金額は増える傾向があります。さらに今回のような複数の開発品の導出では、基本的に開発品ごとに個別のマイルストンの金額が、開発品ごとの期待値や開発段階を反映して設定されます。

 

Q82016年のアラガン社への導出時と比較して開発マイルストンが2倍強になった反面、販売マイルストンが減少した理由は? (2

A8:より現実的に受け取れる可能性の高い開発マイルストンを、販売マイルストンよりも重視して契約しました。業界ではディールの規模を大きく見せるために、実現可能性の低い販売マイルストンを設定する傾向(例えば、売上高5,000億円で販売マイルストンが数百億円といったような契約)も過去ありましたが、実際にはあまり意味のない金額ですので、我々はより確度の高い開発マイルストンを増やす交渉に努めました。また、販売時のリターンとしてより重要なのは販売マイルストンよりロイヤリティーですが、本提携のロイヤリティーはアラガン社との契約時よりも改善されており、それも含めて内容には非常に満足しています。

 

Q9:マイルストン総額にHTL18318/9936の開発マイルストンは含まれているのか?(2

A9:マイルストンの内訳は、申し訳ないですがパートナーとの契約上開示できません。ただ、我々はM1作動薬について、HTL18318/9936が開発された場合でもバックアップ化合物が開発された場合でも、どちらにしてもマイルストンを受領できるような契約としています。

 

Q10Mシリーズは2度の導出の合計が60億超のディール規模と中枢領域では2013年以降で最高額だが、その評価の背景は?

A10Mシリーズはメカニズムが明確で、適応疾患が広く大きいことに加え、我々のサイエンスのレベルの高さが評価されたと考えています。Mシリーズのメカニズム(選択的ムスカリン作動薬)は統合失調症や認知症(アルツハイマー型、レビー小体型)に加え、双極性障害、パーキンソン病など幅広い中枢神経疾患への応用可能性がこれまでも示唆されてきた、いわば信頼性の高いメカニズムになります。一方で、ムスカリン受容体のサブタイプ(M1M5)の中の特定のタイプのみに選択的に作用させることが長年の課題でした。先日のCell誌への論文でもお示しした通り(参考)、我々のStaR技術とSBDDIT創薬)を組み合わせることでこれら長年の課題への現実的な解が見えつつあり、それがパートナーとの交渉でも高く評価された要因だと考えています。

 

Q11:契約一時金の額はどのような背景から100百万ドルに決まったのか?将来的な市場規模などが影響するのか?

A11:交渉の詳細な背景などは開示できませんが、一般的にはご指摘の通り将来的な市場価値が契約一時金に大きく影響します。当然ですが導入側としては、将来的な売上高の見通しから、開発リスク、開発期間、必要投資金額などに加え、パートナーへの支払いを割引いた上で、それでも契約した方が自社にとって利益が出る可能性が高いと判断した場合にライセンス契約を締結します。

 

Q12:研究開発資金の金額は非開示だが今後の開発費用は十分なのか?

A12:金額の詳細は開示できませんが、複数の開発品に対する前臨床試験を今後23年進めるのに十分な金額となっています。また、当初の研究開発資金の50百万ドルが55百万ドルに増額されたアラガン社のとの契約のように、研究開発資金は事前にある程度の枠が決まってはいるものの、実際には研究開発の進捗状況に応じて変化する可能性があるものだとご理解いただければと思います。

 

Q13:契約一時金に初期マイルストンは含まれていないのか?

A13:今回の契約一時金には初期マイルストンなどは含まれておらず、純粋に契約一時金のみで100百万ドル(約114億円)になります。

 

Q14:物質特許が切れても、販売開始から10年間はマイルストン/ロイヤルティを受け取る権利があるのか?

A14:リリースの通り契約期間は以下の中のいずれか遅い日までなので、ご指摘の通りの理解です。

① 対象特許権等の特許期間満了日
② 法令上の独占期間の終了日
③ 市販開始から10年経過後

 

 

M1作動薬の国内での開発方針について(15

15:国内で開発するM1作動薬の化合物や適応は?仮にHTL18318/9936で進める場合はPh2試験からの開始になるのか?(5

15A2にもある通り、毒性試験の結果を受けた今後のニューロクライン社との協議で化合物を決める予定ですが、保守的にみてバックアップ化合物での開発を現時点では想定しています。仮にHTL18318/9936で開発を行う場合には、Ph2試験から開始される可能性もありますが、その可能性は現時点では高くないと考えています。

 

16M1作動薬以外の国内開発品の導入の検討は続けるのか?それともM1作動薬が導入品にあたるのか?(4

16:導入品の検討はM1作動薬以外にも今後も精力的に続けていきます。M1作動薬は国内での有力な開発品として期待していますが、国内の開発チームは2-3品目を同時に開発可能ですので、M1作動薬に留まらずアップサイドを追求していきます。

 

17:日本でM1作動薬を開発することになった背景は?そーせいが希望したのか?(2

17:日本での認知症治療薬への社会的ニーズやこれまで蓄積した日本での知見を踏まえ、我々が希望して日本の権利を保持しました。アラガン導出時から日本でのレビー小体型認知症の開発は我々が計画してきた背景もありますので、日本での開発は我々が行うことが最も効率的と考えています。尚、ニューロクライン社は日本におけるM1作動薬の共同開発、共同販売のオプション権を保有しており、どのM1作動薬をPh1試験に進めるかなども含めて、今後も密接に連携して開発を進める予定です。

 

18M1作動薬のバックアップ化合物の国内でのPh1試験の開始時期は2022年になるか?

18:国内のPh1試験もニューロクライン社のPh1試験と歩調を合わせ、現時点では2023年の開始を予定しています。Ph1試験のデザインをグローバルで統一する、あるいはグローバル試験の一環として日本の試験を行う方が、より効率的なためです。

 

Q19:国内のM1作動薬の自社開発費としてどの程度が見込まれるのか?

A19:我々だけでPh2試験までを行った後に、Ph3試験をニューロクライン社との共同で行うと想定した場合、概ね承認までに累計で約2桁億円の半ばを我々の研究開発費として見込んでいます。一方、ニューロクライン社のオプション行使の有無と行使する段階、また想定される薬効(Ph2で強い薬効が確認されれば、以降は比較的少ない人数での試験となる可能性)などによって開発費は影響を受けますので、あくまで現時点での参考程度の金額とお考え下さい。

 

Q20:国内での臨床試験はそーせいが単独で実施するのか?国内CROなどを買収して臨床試験を行う可能性はあるか?

A20CROの買収等の可能性が全く無い訳ではありませんが、現時点では基本的には我々が単独で実施していくことを想定しています。製薬業界は分業が進んでいますので、買収を行わなくてもCROへの業務委託によって臨床試験を進めていくことは、一般的かつ十分可能だと考えています。

 

Q21:大阪大学の寄付講座はまだ維持されているのか?国内開発に協力を得ることはできるのか?

A21:現在、寄付講座はありませんが、今後の状況に応じて円滑に臨床試験を進められるよう協力体制を構築していきたいと考えています。

 


Mシリーズのサイエンスについて(10

Q22M4作動薬の競争環境はどうなっているか?変化があるか?(2

A22Karuna社のKarXTCerevel社のCVL-231が引き続き競合とみていますが、我々はHTL16878にベストインクラスの可能性があると考えています。KarXTは選択性の低いムスカリン作動薬と、その中枢以外での副作用を抑えるムスカリン拮抗薬の合剤で、例えるならアクセルとブレーキを同時に踏むような、ベストとは言えない作用メカニズムになっています。CVL-231PAM(ポジティブ・アロステリック・モジュレーター)という間接的な作用メカニズムですので、患者様の状態によって効果が減弱する可能性があります。ただ、これらはいずれも作用メカニズムに基づいた現段階の推定ですので、我々のHTL16878も含めて今後の臨床試験の結果を注視する必要があると考えています。

 

Q23M1作動薬のバックアップ化合物にはブリストル大学との共同研究(参考)なども活かされているのか?そもそもHTL18318との違いは?(2

A23:個別の内容は開示できませんが、共同研究の成果なども踏まえた最先端の知見が反映されています。HTL18318とバックアップ化合物は構造の骨格が異なっており、これによってM1受容体への特異性などをより高めつつ、HTL18318で見られたような想定外の毒性所見も含めた、安全性への懸念が減らすことを目的としています。

 

Q24M4作動薬は現在の治療体系をどの程度変えうるポテンシャルがあるのか?

A24:統合失調症治療薬が誕生して以来(約70年)の変化になる可能性があると考えています。統合失調症には大きく分けて第1~第3世代の治療薬がありますが、それらは全て脳内のドパミンとセロトニンに関連するメカニズムでした。しかし依然として有効性や副作用の問題があり、Karuna社の資料()によれば、治療開始から18カ月以内に最大で約74%の患者様が薬を切り替えているのが実態です。M4作動薬は従来のメカニズムとは異なるアプローチでこれらの欠点を解消できる可能性があり、統合失調症の治療方法を大きく前進させる可能性があると考えています。

 

Q25M1作動薬のバックアップ化合物でも、適応疾患はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症などか?その他にも可能性があるのか?

A25M1作動薬はHTL18318/9936でもバックアップ化合物でも、想定される適応疾患は認知症(アルツハイマー型、レビー小体型)になります。これはいずれの化合物でもM1作動薬というメカニズム自体が変わらないためです。また、可能性という意味で言えば、例えば統合失調症における認知機能障害や脳血管性認知症など、他の疾患から発生する認知障害にも応用の可能性はありますが、当然ながらまずはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で有効性をしっかりと示すことが大前提であり、現時点ではあくまで一例としてお考えいただければと思います。

 

Q26グラスゴー大学からブラドレー教授が入社されているがM1作動薬を疾患修飾薬としても開発していく予定でもあるのか?

A26:確かにM1作動薬が疾患修飾薬(進行を遅らせる薬:Disease-modifying drug)になりうる可能性は近年示唆されていますが、基本的にはより開発のステップが明確な症候改善薬(対症療法:Symptomatic drug)として開発していく予定です。ブラドレー博士はグラスゴー大学でも、GPCRの機能解明と神経変性疾患(認知症など)に対する治療の可能性を研究しており、我々のMシリーズとの共通点も多いため、現在、我々の研究所にも籍を置いています。

 

Q27M4作動薬のPh1試験結果はいつ公表されるのか?

A27:結果発表の有無や時期はニューロクライン社の判断となります。一般的に安全性のみを目的としたPh1試験の結果は発表されるとしても、各種データを取りまとめたうえで企業からではなく、論文等で発表されるケースが多いと認識しています。

 

Q28:仮にHTL9936を今後開発する場合、販売までに特許が切れるのでは?HTL9936についての今後の取り扱いは?

A28:物質特許等は切れている可能性がありますが、概ね58年のデータ保護期間がありますので販売直後にジェネリック医薬品が出ることもありません。一方で、その場合にはジェネリック医薬品の登場までの期間が比較的短くなるのも事実ですので、これらの要素も踏まえた上で、どのM1作動薬を優先して開発するかを今後決定していきます。

 

Q29:国内での権利を持っているHTL9936の開発は進めないのか?

A29:国内でHTL9936の開発を進める可能性は低いと考えています。A28のような特許の残存期間、あるいは有効性・安全性などのプロファイルを分析した上で優先して開発するM1作動薬を選択する予定です。HTL99362013年に臨床試験を開始した最初の化合物ですが、我々はその後にHTL18318、さらに次世代のバックアップ化合物を創出しており、それらの開発に注力する方が将来的にも大きなポテンシャルとなると現時点で考えています。

 


●業績へのインパクト等について(7

Q30:契約一時金は今期業績に寄与するのか?100百万ドルの受領日は実際にはいつになるか?(3

A30:今期業績に寄与すると考えています。実際の受領日(入金日)はHSR(所謂、反トラスト法)の審査終了後間もなくの予定です。今回の導出は規模が大きく、また米国での事業展開が含まれますので形式上HSRの審査を受ける必要がありますが、その審査終了時点で契約一時金が売上計上されます。HSRの審査は我々が行うわけではないので断言は避けざるを得ないのですが、このプロセス自体はごく一般的なもので、今期中に審査が終了すると同時に契約一時金が計上される予定です。

 

Q31:契約一時金についてヘプタレス社の旧株主への条件付対価の支払いは発生するのか?また、条件付対価の支払いはいつまで発生するのか?(2

A31:条件付対価の支払いは発生します。条件付対価がいつまで発生するかは明確には申し上げられませんが、既にヘプタレス社の買収から丸6年以上が経過していますので、今後長い間発生することはありません。契約一時金は全額売上高に計上された後、条件付対価が金融費用(営業外費用)として損益計算書に計上される予定です。

 

Q32:研究開発支援金は売上に入るのか?

A32:一部が売上高として計上され、一部は研究開発費から控除される(支援金が引かれた後の研究開発費が我々の損益計算書に計上される)予定です。より詳細には、主に人件費に関連する部分が売上高の「その他」セグメントにFTEとして計上され、それ以外の部分(研究開発の外注費や器具・試薬の実費など)が研究開発費から控除されることになります。

 

Q33:為替変動が激しいが、契約一時金の為替ヘッジはどの段階で確定させるのか?

A33HSR(所謂、反トラスト法)の審査終了時点の為替レートに基づき売上計上されることになります。その後、実際の入金日までの期間の為替変動分は為替差損益として金融収益(費用)に計上されることになりますが、期間が短いこともあり為替のリスクヘッジは行っていません。

  


●東証プライムへの市場変更について(4

Q34:プライム市場移行の形式要件は満たされたか?プライム上場の申請/承認/確定などの時期や、IR発表の有無は?(3

A34A30とも関連しますが、2112月期の業績でプライム上場の形式基準が満たされる可能性が非常に高いと考えています。具体的な審査プロセスは公開できませんが、プライム市場への上場が確定した場合には、勿論発表させていただきます。一方で、東証プライム上場には形式基準の他に実質基準(参考)に基づく東証の審査があり、我々がプライム市場に上場できるか否かは東証の判断となります。また、2112月期の業績でプライム市場への上場を目指す場合、一般的にプライム上場の時期は各種準備や審査を経た22年末から23年頭頃が想定されますので、我々からの発表も同時期となる見込みです。

 

Q35:プライム市場移行の基準を考慮して、2022年に比較的大きな収入があるような導出契約としたのか?

A35:東証プライムを意識して、マイルストンの金額を調整するといったことはしていません。東証プライムへの移行に求められる利益の継続性については、既存の多くのパートナーとの契約により一定以上担保されていると考えていますが、最終的には東証の判断で我々ではコントロールできないため、そのために契約条件をいびつなものにすることはしていません。

 


●今後の成長戦略について(10

Q36Mシリーズへの自社での投資が減ることで、他のプログラムの開発加速や臨床開発を行うのか?どのプログラムに重点投資するのか?(3

A36:どのプログラムかは現時点で非開示ですが、前臨床の開発品のうち特に有望なものは早期に導出せずPh1試験後などさらに価値を高めたタイミングまで開発を進めたいと考えています。またA49にもある通り、戦略的提携などを通じて既存の強みを活かしつつ、新たな創薬領域への拡大を積極的に進めていきます。

 

Q37:今回の大型提携によって今後の会社の経営方針などに変化はあるか?(2

A37:財務基盤が安定しますので、より自社開発を進展させることなどを今後検討します。ニューロクライン社との契約による一時金や研究開発資金の負担、またマイルストンやロイヤルティ収入などで、短期から中長期に亘って我々の財務基盤が安定する可能性が高まりました。これらの資金をさらなる成長につなげるため、すぐにではありませんが将来的には、現在、自社ではPh1からPh2aまでで留めている臨床試験を臨床後期まで進め、より高い経済条件での導出を目指していくことを考えています。

 

Q38:企業買収を今年中に行う可能性はあるか?買収を行うという方針自体に変更はないか?(2

A38:既に12月ですので、今年中の企業買収の可能性は低いです。一方で、買収は我々の重要な成長ドライバーの一つですので、方針には全く変更はありません。A41にも記載の通り、時期を焦って理想的でないものを高値掴みすることを避けつつ、ベストパートナーを見極めたいと思っています。

 

Q39Mシリーズの導出が終了して他の導出活動に使える時間が増えることで、他の導出が加速するのか?

A39Mシリーズとは関係なく、引き続き各プログラムの価値を最大化できるタイミングでの導出を目指します。自社品を片っ端から導出することもできますが、それでは将来のリターンも低くなってしまいますので、リスク/リターンのバランスを見ながらある程度まで価値を上げた後での導出を常に意識しています。一方で、2112月期の決算資料にもある通り「23件の価値の高い提携・共同投資」を現在の平均した年間の目標の一つとしていますので、これまで1件に留まっている2021年の導出については、年内中に必ずとは申し上げられませんが、早い時期にご報告できるよう努めて参ります。

 

Q40:今回の契約一時金で増加するキャッシュの使い道は?

A40:特に今回の契約一時金には限りませんが、毎年のプラスのキャッシュはM&A、研究開発、小規模な提携(例:戦略的提携)など、成長に向けた投資に振り向ける予定です。現段階では一時的に現預金として積みあがりますが、適切なタイミング/パートナーを見極めて成長への投資を行いたいと考えています。一方で、将来的に安定的かつ十分な利益が出る状況になれば、株主還元なども当然検討したいと思っています。

 

Q41:今回の契約一時金収入によって、国内での後期開発品の導入やM&Aが早まりそうか?

A41:より十分なキャッシュを持つことで選択肢は広がりましたので、早いタイミングでの国内での後期開発品導入やM&Aにつなげていきたいと考えています。ただ、我々は時期を焦って理想的でないものを高値掴みすることは避けたいと思っていますので、焦らずに我々の将来的な成長にとってベストなパートナーを見極めていく予定です。

 


●その他(16

42:音声の調子が悪く、アナリストの質問などが聞こえない(6

A42:システムに問題が発生し、一部の視聴環境で音量やエコーなどの問題が生じてしまい大変に申し訳ありませんでした。またその影響もあり、特に海外スピーカーとの間で一部の質疑がかみ合わなかったこと重ねてお詫びします。機材や同時通訳に問題があったと認識しており、今後の改善点とさせていただくと同時に、本ブログでのQ&Aの整理をもってご質問へのお答えとさせていただきます。

 

Q43:コロナ治療薬候補であるSH-879の開発状況や今後の開発方針は?(2

A43:現在は前臨床試験手前の段階であり、慈善団体や各国政府の支援を活用してある程度まで開発した後、製薬企業への導出を検討します。SH-879は我々のSBDDが迅速な創薬につながった好例ですが、我々は感染症分野に強い会社ではありませんので、自社での投資を抑えつつ適切なパートナーへの導出を目指します。感染状況や他社の動向次第ですが、早ければ2022年にPh1試験の開始を目指しています。

 

Q44217月に発効したCBの転換はいつから可能か?今後転換される可能性があるのか?(2

A44CBは物理的にはいつでも転換可能ですが、満期(2026年)まで余裕のある現段階で転換される可能性は非常に低いと考えています。CB投資家は基本的に転換と同時に株式を売却しますので、投資家が損失を被る転換価格(2,235円)以下の株価で転換される可能性はまずありません。また、株価が2,235円を超えていても転換すると投資家は金利を得られませんので、まずは金利分を確保するために満期が近づくまでは基本的に転換しないというのが、業界の一般的な考え方になります。実際にどの程度のCBが転換されたかは我々の四半期報告書に記載されますので、事後的にはなりますがそちらでご確認いただければと思いますが、以上の理由からまだ満期までの余裕がある現段階・現株価水準で我々のCBの転換が進む可能性は非常に低いと考えています。

 

Q45:今回の導出契約発表後の適正時価総額はいくらだと考えているか?

A45:時価総額は市場が決めるものなので、申し訳ないですが我々から申し上げるのは差し控えさせていただきます。我々は創業以来、日本初の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることを目標に掲げており、今もそれを目指して事業を着実に前進させています。一方で、この目標に対してはまだまだスタートラインに立ったばかりの段階であり、今後より大きな飛躍を遂げるべく事業を成長させていく所存です。

 

Q46:田村会長には引退しないでいただきたいが、今後の経営体制の方針は?

A46:後を任せられる体制をしっかり整えてから経営のバトンを引き継ぎたいと考えていますので、ご安心いただければと思います。また、仮に将来的に代表執行役から退くことがあっても、取締役会からの要請があれば、引き続き取締役会の会長職として会社の成長を株主の皆様と共に見守っていきたいとも考えています。

 

Q47:中期経営計画を立てていると思うが今後それを公表する予定はあるか?

A47:振れ幅の少ない中計が策定できれば公表したいですが、現段階では数字を出すのは適切ではないと考えています。今回のニューロクライン社へのMシリーズの導出もそうでしたが、個別の導出契約などが業績に与える影響が大きいため、仮に数字をお示ししたとしても上振れ・下振れのリスクが常に付きまとうためです。

 

Q48Imaradenantのターゲット癌種はmCRPCと固形癌で今後も変わらないのか?

A48:こちらはアストラゼネカ社の開発方針次第になります。ターゲット癌種という意味では、ご質問の中にある固形癌は非常に多くの範囲を網羅していますので、癌に対して開発を継続されるなら今後も癌種は変わらないと考えています。一方で、Imaradenantの作用メカニズムであるA2a受容体拮抗薬はパーキンソン病で承認薬(ノウリアスト)がある他、複数の中枢疾患に対しても有効な可能性が示唆されています。Imaradenantもアストラゼネカ社に導出される前は、我々の説明資料(参考)でも中枢神経疾患での開発が検討されていたなど、一般的に癌以外へ応用可能性もある開発品になります。

 

Q49:戦略的提携先は今後も増えていくのか?各社とは何を目指して共同開発をやっているのか?

A49:戦略的提携は今後も拡大させていく予定で、提携の目的ごとに提携内容を以下の表にまとめましたのでご参照下さい。基本的に我々はStaR技術とSBDDIT創薬)を創薬エンジンの中心とし、GPCRをターゲットとした低分子医薬品の創薬では世界最先端を自負しています。一方で、主に以下の3点については、戦略的提携などを通じて外部パートナーと連携しながら、我々の強みを活かして効率的に進めていきたいと考えています。

1)   モダリティの拡大   - GPCRに対する一般的な低分子以外(例えば抗体やペプチドなど)での創薬への拡大
2)   標的GPCRの発掘       - これまで疾患との関係が解明されていないGPCRの機能解明による、ファースト・イン・クラスの創薬への挑戦
3)   ターゲットの拡大   - GPCR以外の膜タンパク質への創薬範囲の拡大 


【当社の戦略的提携の一覧】
提携の目的パートナー契約時期テーマ提携内容
モダリティの拡大Kymab社2016年4月抗体がん免疫領域の複数のGPCRをターゲットとした提携。現在、KY1051が前臨床試験段階
ペプチドリーム社2017年6月特殊環状ペプチド炎症性疾患領域のGPCRをターゲットとした提携。現在、PAR2アンタゴニストペプチドが前臨床試験準備中
Captor社2020年12月TPD
(標的タンパク分解誘導)
消化器領域に関連することが明確に検証されているGPCRをターゲットとした提携。
PharmEnable社2021年1月AIによる創薬困難な標的
に対する化合物設計
神経疾患に関連するペプチド作動性のGPCRをターゲットとした提携。
標的GPCRの発掘InveniAI社2021年7月AIとML(マシンラーニング)
による新規ターゲット特定
免疫疾患に関連する複数のGPCRをターゲットとした提携。
ターゲットの拡大Metrion社2021年2月イオンチャネル神経疾患に関連するイオンチャネルをターゲットとした提携。


Q507月に行った資金調達の使途について変更はあるか?

A50:資金使途について変更はありませんし、現時点でその予定もありません。仮に資金使途を変更する場合には速やかに開示する必要がありますので、アナウンスが無い間は変更が無いとお考えいただければと思います。



今後とも、どうぞよろしくお願いします!





【2021年12月期に発表した進捗(今期収入と関連するものに絞って整理)】
発表日四半期内容収入の種類今期の売上高
5月19日(参考2Qファイザー社が臨床試験を開始マイルストン5百万ドル
6月23日(参考2Qバイオヘイブン社との開発品の臨床試験を開始マイルストン非開示
11月22日(参考4Qニューロクライン社にMシリーズを導出契約一時金100百万ドル