みなさんこんにちは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
少し遅くなってしまいましたが、先週木曜日の8日に、我々の戦略的提携先であるポーランドのCaptor社がワルシャワ証券取引所に上場したと発表しました。詳細はCaptor社のリリースをご覧いただきたいのですが、Captor社が手掛ける標的タンパク質分解誘導薬(TPD:Targeted Protein Degradation)分野では欧州で初の上場、かつワルシャワ証券取引所に上場したバイオベンチャーでは最大規模の上場になったようです。尚、我々はCaptor社と提携していますが資本関係はありません。
TPDにあまり聞き馴染のない方もいらっしゃると思いますので少し解説します。TPDはモダリティ自体は低分子ですが、これまでの「阻害剤」や「拮抗薬」などと違い、創薬ターゲットを分解することで効果を発揮するため、新たな創薬分野と考えられています。現在、開催中のがん分野の代表的な学会の1つであるAACR ANNUAL MEETING 2021でも、TPDでトップを走るArvinas社からARV-471やARV-110の新たなデータなどについて発表され注目を集めています。TPDの詳細はCaptor社との提携時のブログ記事もご参考下さい。
尚、TPDの先行企業(主に米国)ではなく、Captor社と提携した理由を先日のオンライン説明会でもご質問いただいていており、ごもっともな質問と思います。回答はオンライン説明会のQ&AのQ43にも書きましたが、大きな理由の1つは、現在先行するTPDは可溶性タンパク質(Soluble Protein)への応用がほとんどで、我々がターゲットとしている膜タンパク質(Membrane protein)は苦手としており、どのみち一定以上の技術開発が必要になる可能性が高いと考えているためです。その点、同じ欧州にあり、TPDの膜タンパクへの応用に積極的で、意思疎通もしやすいCaptor社との提携に至りました。
長期目線ですが、Captor社との戦略的提携からこれまでTPDが苦手としていた膜タンパク質への有効なアプローチを確立できれば、将来的にTPDの応用の幅を大きく広げられる可能性もあるのではとの期待を持っています。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!