2025年7月2日水曜日

Jefferies Global Healthcare Conferenceでの発表

皆様、こんばんは。IRヘッドの都築です。

 

6月に開催されたJefferies Global Healthcare Conferenceの動画・資料・スクリプトを公開いたしました。動画が含まれるため公開が遅くなり申し訳ありませんでした。

スクリプトは英語ですが、下記にどのような質問が機関投資家から聞かれていたのか日本語で端的にご紹介させていただきます。

 

資料・スクリプト

動画

 

質問1

ORX750の第2相試験の成功確率をどう考えるか?また、ORX142ORX489といった後続のパイプラインの位置づけは?

Centessa社が試験中なので詳細には言及はできませんが、現状3(Centessa、武田薬品工業、Alkermes)が開発中であり、今後のCentessa社の結果公表で、差別化された薬物動態プロファイルが得られるかが注目です。

(IRからの追加コメント)

 Centessa社はORX750でナルコレプシー1(NT1)、ナルコレプシー2(NT2)、特発性過眠症(IH)ORX142で神経疾患・神経変性疾患、ORX489で精神神経疾患の開発を進める戦略を示しております。実験データではありますが各々の有効性(EC50:半数効果濃度)0.110nM0.069nM0.035nMと後続のパイプラインほど高い可能性があります。それゆえに後続のパイプラインほど幅広なターゲットに展開できる可能性があります。当面はORX750の患者対象のP2試験結果、ORX142の健常人対象のP1試験結果に注目となります。競合薬も先日の説明会でお話しさせていただいた通り、2025年中にデータが出揃ってくると思います。

 

質問2

主要な提携のマイルストンとロイヤリティの構造は?

→経済条件は契約先によって変わりますが、例えば例えばNeurocrine社との契約では、開発マイルストンとして15億米ドル、販売マイルストンとして11億米ドルの権利を有します。ロイヤリティ率は1桁台後半から10%台半ばです。ネクセラファーマのビジネスモデルの特徴としてコマーシャル事業は収益化しており、2030年までに日本・APAC地域でのこのコマーシャル事業での強化を示していきたいと思います。

(IRからの追加コメント)

プラットフォーム事業は収益の凸凹はあるものの、コマーシャル事業は安定収益のビジネスモデルとなっておりますし、さらにその収益力を上げていく考えです。2030年の売上高500億円達成を目指す上では、日本・アジア事業での導入も必要な要素であり、しっかりと進捗を示していきたいと思います。

 

質問3

低分子以外の抗体など、別のモダリティを考えていますか?

→開発したものの一覧に表示されているほとんどが低分子を基盤としたものです。当社のプラットフォームは、GPCRGタンパク質共役受容体)を対象とした薬物設計に焦点を当てたもので、依然として非常に魅力的なターゲットです。このプラットフォームを本格的に活用し低分子を生成してきました。一方で当社は他のモダリティにもオープンな考えを持っています。昨年末ごろ、私たちはAI駆動型の抗体プラットフォームを提供するAntiverse社との提携を発表しました。彼らが当社の保有するGPCR構造情報を活用し、抗体ライブラリーやナノボディライブラリー、VHHライブラリーの設計を進めることを期待しています。NxWaveプラットフォームの機能上、従来はGPCRに対する抗体を同定させるのは非常に困難でしたが、伝達する機能と阻害する機能を併せ持つ抗体を作製できるかもしれないと考えています。実現できるか、世界初になるかと、楽しみにしています。

 

質問4

統合失調症のGPR52作動薬やEP4拮抗薬など、興味深いパイプラインがあると思いますが、特に注目のパイプラインはどれだと思いますか?

→どれも興味深いパイプラインだと思います。 私たちはプロセスの最初からターゲットの選択に非常に注意を払っています。 目指しているのは、リスクプロファイルのバランスを取ることです。具体的には、臨床的な有効性が確認されているターゲットに焦点を当てたアプローチを採用しています。つまり、ベスト・イン・クラスのアプローチを追求し当社のプラットフォームを活用して、より優れた分子を特定するということです。実際、Neurocrine社とのコラボレーションは、その好例と言えます。

新たな標的の探索にも取り組んでおり、良い例の1つとしてGPR52作動薬があります。同剤は統合失調症を対象としており、当社はこの分野でP1試験段階のシーズを有する唯一の企業です。このプログラムの面白い点は新規性だけでなく陽性、陰性、認知の領域において有効性を示す可能性があり、特に陰性と認知の領域では非常に高いアンメットニーズが存在するため注目なパイプラインと考えます。早期臨床試験では極めて良好な結果を示し、薬物動態は11回投与のものと一致する非常に良好なものです。現在、メカニズム検証のための臨床試験にも進んでいます。

(IRからの追加コメント)

EP4拮抗薬に関しては先行企業として小野薬品工業がONO-4578を開発しております。EP4拮抗薬ではまだ上市薬は存在しませんが、当社のNXE732は先行薬よりも有効性・安全性で優れたデータを期待して開発を進めております。現在P1/2試験の中の、P1試験を進めております。患者対象のP1試験であり、年内に結果公表できると考えております。進捗をお待ちいただけたらと思います。

 

質問5

PfizerGLP-1の開発を前進させる可能性についてどう考えていますか?

→肥満領域は魅力的な分野であり、直近でEli Lillyも素晴らしい進捗を示しておりました。Pfizer社が進めている分子において問題があったことは事実ですが、GLP-1の分野において低分子のポジションを獲得していると思いますし進展があることを期待しています。clinicaltrials.govで現在公開されている情報では、肥満治療オプションを含むP1試験は既に完了しているはずです。そのため私たちは皆さんと同様に、データの内容を早く知りたいと考えており、Pfizer社のデータを公開を待っています。

(IRからの追加コメント)

当社のGLP-1作動薬PF’522に関しては進行する3つのP1試験のうち、2025624日に1つのP1試験結果がclinicaltrials.govに報告されております。同試験は健常人に対する試験結果であり、残りのP1試験の1つには患者も含まれておりますので、それらの結果もしくは開発進捗に注目したいと考えております(参考)。肥満領域では自社でも複数シーズの開発を進めております。

 

引き続きよろしくお願い申し上げます。