みなさんおはようございます、IR&コーポレートストラテジー部長の田原です。
先日の2024年第2四半期決算の説明会にご参加いただいた皆さまはありがとうございました。Q&Aについては後日当ブログでご回答させていただきます。
本日はダリドレキサントに関する最新情報をいくつかアップデートさせて下さい。
免責事項:本記事には、医薬品に関する情報が含まれています。ここに記載されている内容は、株主や投資家の皆さまのための情報開示を目的としており、一般の方への情報提供を目的としたものではなく、開発品を含むいかなる医療用医薬品の宣伝広告、医学的アドバイスを意図するものではありません。
厚労省の薬事審議会の議題に記載(参考リンク)
決算説明会でも野村や田中からご説明しましたが、厚労省の薬事審議会(医薬品第一部会)の議題にダリドレキサントが記載されました。
今回、8月の部会でダリドレキサントの「製造販売承認の可否」が議題に記載されましたが、部会で承認が認められればどこかのタイミングで承認となります。なお、医薬品の承認は通常3、6、9、12月の年4回のタイミングです。
また、承認から薬価収載までは「原則60日以内、遅くとも90日以内(参考)」となります。今後も、患者さまの為に一刻も早くお届けできるよう一同頑張ってまいります。
ダリドレキサントの臨床試験の論文公開
ダリドレキサントの日本での臨床試験結果に関する論文が3報公開されました。ダリドレキサントは、グローバル試験に基づいて海外では既に承認・販売されていますが、日本では独自の国内臨床試験を行いました。今回はその国内臨床試験のPh1、2試験の論文1報、Ph3試験の論文2報が公開されましたので、その概要をご紹介します。
タイトル:Pharmacokinetics, safety, and efficacy of daridorexant in Japanese subjects: Results from phase 1 and 2 studies(リンク)
- ダリドレキサントの薬物動態試験結果(Ph1)、および少人数(47名)での有効性確認試験結果(Ph2)
- ダリドレキサントは、夜間における睡眠をカバーし、かつ残留効果を最小限に抑えられる最適な半減期を目指して設計されました。本試験の結果、ダリドレキサントの半減期は約8時間であることがわかり、FDAに承認されている3つのDORAの中で最も短かいと考察されています。
- 試験を行った全用量(10 mg、25 mg、50 mg)で良好な忍容性が確認され、翌朝への効果の持ち越しも見られませんでした。また、反復投与による蓄積はほとんど、もしくは全くありませんでした
- また、用量依存的な有効性が確認されました
- 双方の試験で最もよく見られた治験関連の有害事象(TEAE)は傾眠でした。朝に投与を行ったPh1試験では、10mg, 25mg, 50mg, プラセボでそれぞれ50%, 91.7%, 91.7%, 16.7%の割合で傾眠が見られました。また、Ph2では5-10%の被験者で傾眠が見られました
- 全体的に、試験結果は外国人を対象とした試験から得られる結果と合致していました
- 日本人の不眠症患者490名を対象とし、4週間投与による安全性・有効性を確認した国内Ph3の試験結果
- 投与開始28日目(4週時点)において、プラセボと比較して、25mg、50mgともに主観的総睡眠時間(sTST)、主観的入眠潜時(sLSO)ともに有意に改善させました
- 最もよく見られた治験関連の有害事象は傾眠であり、その割合は用量依存的に増加しました(50mg: 6.8%, 25mg: 3.7%, プラセボ: 1.8%)
- 日本人の不眠症患者154名を対象とし、ダリドレキサントを1年間の投与した際の忍容性と安全性の確認試験(プラセボ投与はなし)
- 50mg(N=102)、25mg(N=52)を1年間投与したところ、治験関連の有害事象(TEAE)はそれぞれ24.5%、19.2%でした
- 特に注目すべき有害事象として、日中の過度な眠気(25mgで1例、50mgで2例)、睡眠麻痺(50mgで1例)、悪夢(25mgで1例)の計5件が報告されました
- 50mgよりも25mgの方がTEAEが少ない傾向にあり、とくに50mgで見られた倦怠感は25mgでは見られませんでした
- 結果的に、25mg、50mgともに52週間の良好な忍容性、安全性が確認されました