2025年12月17日水曜日

NeurocrineのR&D Dayにおけるムスカリンプログラムのアップデート

  皆様、こんにちは。IRヘッドの都築です。


ニューロクライン社は米国時間12月16日にR&D Dayを開催しました。
ムスカリンプログラムに関してアップデートされており、以下2点報告いたします。順調な進捗が示され、KOLインタビューでの質疑応答含めてニューロクライン社による同プログラム群への本気度がさらに理解される説明会であったと思います。最も先行するM4作動薬Direclidineに関しては改めて安全性・服薬における先行薬との差別化が説明されておりました。


1)M1/M4作動薬NBI’570の統合失調症に対するP2試験開始、M4作動薬Direclidineの双極性障害(躁病相)のP2試験開始が報告

M4作動薬Direclidineに関しては双極性障害(躁病相)に対するP2試験開始を報告しました(言及部分は“we started a bipolar mania study.”)。M1/M4作動薬NBI’570に関しては統合失調症に対するP2試験開始を報告しました(言及部分はjust started a Phase 2 study in schizophrenia.)。NBI’569は元々M4 Preferringという記載でしたが、M1/M4 Dual”の記載に変更されております。我々からマイルストンに関する詳細な言及はできませんが、一定の基準が達成され次第報告させて頂きます。もう少々お待ちいただけたらと思います。開発計画では、M4作動薬Direclidineは想定通り2027年にもP3試験結果公表、同時期に広範なムスカリンプログラムのP2試験結果公表が2027年にも期待されると言及しました。

Direclidineの双極性障害(躁病相)に関する言及
We have Direclidine, which I'll be speaking about a bit more. That's our M4 orthostatic Agonist, which is currently in phase 3 trials. I'll be showing you that phase 3 program as well as the phase 2 data that's a once daily drug. We're in schizophrenia right now, so we started a bipolar mania study. 

M1/M4作動薬NBI’570の統合失調症に関する言及
“Again, we're very interested in creating a psychosis franchise with this portfolio with NBI 570, we have the potential for long acting injectables that just started a Phase 2 study in schizophrenia.



2)各プログラムに関して半減期、対象疾患が開示

各プログラムに関して半減期及び対象疾患の詳細が公開されました。NBI’570に関しては長期作用型注射剤としての開発も言及されました。長期作用型注射剤は経口薬の服薬アドヒアランス維持が難しい統合失調症患者さんにとって重要であり、他剤とより差別化できる可能性があります。説明会資料では、Near-Term MilestonesとしてM1作動薬NBI'567、M1/M4作動薬NBI’569のP1試験結果公表が予定されていることも示されました。これらのP1試験結果に関してはR&D Dayでの公表が期待されましたが、後日の公表を期待する状況です。一方で説明会ではNBI’567に関して健常人・高齢者対象の単回投与(SAD)および反復投与(MAD)の試験結果はいずれも良好な忍容性が確認されていると言及しておりました。




KOLセッション・Q&Aセッションでの主な質疑応答
・M1作動薬NBI'567のP1試験結果は?
→健常人・高齢者対象の単回投与(SAD)および反復投与(MAD)の試験結果はいずれも良好な忍容性が確認されています。現時点で数値を細かくお示しするのは控えますが、来年以降学会等で開示する選択肢は十分あると考えています。

・アルツハイマー病に伴う精神症状におけるの臨床試験設計において先行薬(Cobenfy)から何が学べるか?
→時間経過と共にプラセボとの差が開いていくような適切なエンドポイントの選択、患者選択、臨床試験サイトの選択、試験運営の面でも多くの示唆が得られると考えています。

・競合薬Cobenfyが直面している課題は?
→患者が用法・用量を厳格に守ることを前提としています。患者は朝食を抜いて内服し、夕食後2時間空けてから夜の用量を服用する、といったスケジュールを維持する必要があります。食事とのタイミングまで厳密に合わせるとなると、現実的にはかなりハードルが高く、指示どおりに飲めず、満腹時に服用してしまうことで GI の副作用が強く出てしまうケースもあります。


引き続き宜しくお願い申し上げます。