みなさんおはようございます。CFOの野村です。
先ほどリリースの通り、Cancer Research UK(CRUK:英国王立がん研究基金)との間で、我々の自社開発プログラムでがん免疫療法薬候補であるEP4拮抗薬(HTL0039732)の開発について提携しました。CRUKは、2023年上半期から開始が予定されているHTL0039732のPh1~Ph2a試験において、主に試験デザイン、試験実施、試験の費用負担を行います。これは、競争が激化し、専門性も高く、多くの併用療法が検討されているがん免疫療法薬の開発において、より豊富な経験と資金に基づいて迅速かつ効率的に開発を進めるための提携です。また、我々は以前に成長戦略としてご説明の通り、HTL0039732の一定の臨床試験が終了して付加価値が高まった段階で、製薬企業への導出を検討する予定です。今後の成長戦略については、以下のコーポレート・プレゼンテーション資料からの抜粋もご参照いただければと思います。
一部はリリースにも書かせていただきましたが、現在のがん免疫療法薬は、効果があるがんの種類と効果がないがんの種類に分かれており、さらに効果があるがんに対しても、単剤では2-3割程度の患者さんにしか効かないのが、残念ながら現実になります。EP4拮抗薬は、現在のがん免疫療法薬と併用することで、これらの有効な治療法に乏しい患者さんに対して有効な治療となることを期待しています。がんの治療薬の開発なので、一般的に初期の臨床試験から患者さんを対象とした試験になり、加えてHTL0039732では単剤療法に加えて併用療法での評価が行われる予定です。現在販売されているがん免疫療法のTop3製品(キイトルーダ、オプジーボ、テセントリク)の売上高だけでも、がん治療薬全体の2割弱である約3.8兆円(2021年/EvaluatePharma)と巨大ですが、例えばこのような既存製品との併用によって、少しでも効果が得られる患者さんが増えることを願っています。
また、今回パートナーとなったCRUKは世界最大の民間がん研究基金であり、これまで累計で140以上のがん治療薬の臨床試験を実施し、既に6製品の新薬の上市に成功しています(テモゾロミド、アビラテロン、ルカパリブ、ペメトレキセド、エトポシド、フォルメスタン)。直近の2020/2021会計年度では、合計で421百万ポンド(約700億円)の資金を提供しており、臨床試験への支援では今回の当社と同じくPh1~Ph2a試験を中心に23プログラムを支援しています。支援先はベンチャーのみならず、ロシュ社やリリー社などの大手製薬企業も含まれており、また、日本企業では小野薬品との間で2019年に戦略的提携を結んでいます。詳しくはCRUKのウェブページもご参照下さい。
本提携は今期の収入に直ちにつながるものではありませんが、当分野で高い専門性を持つCRUKから我々のEP4作動薬が高く評価されたこと、また、CRUKとの提携で迅速で効率的な臨床試験が行われることにより、今後の成長戦略に向けた第一歩が踏み出せたことを、一同とても喜んでいます。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!