みなさんこんばんは。
IR&コーポレートストラテジー部長の野村です。
3/26に開催したオンライン説明会に関連して、いただいていた165件のご質問、ご意見、激励の重複などを整理した以下の85件のご質問ついて、簡単で恐縮ですがお答えします。ご質問いただいた皆様、本当にありがとうございました!! 質問としていただいていたものは全て網羅したつもりですが、もしご不明点があればIRのお問い合わせフォームに、ご質問いただければと思います。資料や当日の動画などは以下になります。
★印のものは、当日直接お答えしている部分もありますので詳しくは該当する部分の動画もご参照下さい。また、Qの後のカッコ内の数字は同じ主旨のご質問の件数です。尚、内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、考え方などについては現時点でのご回答であり、今後の状況に応じて変わる可能性がある点をご理解いただければと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いします!
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
●COPD治療薬プログラムについて(6)
Q1.
COPD治療薬プログラム(シーブリ、ウルティブロ、エナジア)の現在の特許期間と、それが延長される可能性は?(3)
A.
主要な特許の期限は2026年までになります。詳細は申し上げられませんが、共同ライセンサーとともに延長について検討しており、延長の可能性があります。
Q2.
エナジアは患者数の多い喘息が適応だが、足元でどの程度売れているのか?また今後の販売の見込みはどうか?(2)
A.
ノバルティス社の決算発表資料によれば、エナジアが含まれる”Other”のカテゴリーの売上は2020年に26百万ドルでした。この”Other”には我々の導出品でないアテキュラも含まれるため、エナジア単独の売上は開示されていません。見込みは残念ながらコメントできませんが、2020年3Q(7-9月)の販売開始後に地域を拡大しており、EvaluatePharmaでは2026年のエナジアの売上高は267百万ドルと予想されています。
Q3.
今年3月にMeiji Seikaファルマ社が国内の販売提携を終了したことの影響はあるか?この提携終了はエナジアと関連あるか?
A.
特段の影響は無く、また提携終了はエナジアとも関係ないと考えています。ノバルティス社はCOPD・喘息を含む呼吸器領域を得意とするメガファーマであり、常に最善な販売体制構築を模索していると認識しています。
●ムスカリン作動薬シリーズについて(22)
Q4.
ムスカリン作動薬シリーズのライセンスの時期、進捗、自信、金額の目途などは?(6)
A.
ライセンスは2021年内を目指しており、現在5社以上の製薬企業が強い興味を示しています。ライセンスに対しての自信は一定以上ありますが、相手のある話ですので保証はありません。また、現在交渉中ですので金額の目途は残念ながら申し上げられません。最も期待しているのは、統合失調症に向けたM4作動薬のHTL16878で、米国のKaruna
Therapeutics社が同様のメカニズムの古い化合物を使って順調に開発を進めていることから、我々の新しい化合物であるHTL16878にも期待が高まっています。次がM1作動薬のHTL18318で、2018年にカニクイザルでの毒性所見のため自主的に開発を中断していますが、毒性はサルだけに出ている可能性も十分にあると思っており、HTL18318の開発を継続するかバックアップに切り替えるか2021年中には決定する予定です。さらに、M1/M4デュアル作動薬も臨床入りの準備を進めています。(★29:14/45:43)
Q5.
M1作動薬のHTL18318の毒性調査の進捗度合いは?現時点でどの程度原因が解明されているか?(3)
A.
これまでの調査から、遺伝毒性ではないカニクイザルに種特異的な毒性の可能性が高そうだというところまで解明されています。毒性の問題が明らかになったのが2018年9月で、ライセンス先のアラガン社の意向に沿って毒性解析を進めましたが、アラガン社がアッヴィ社に買収されたこともあり、思ったように解明が進んできませんでした。今年1月にアッヴィ社から返還され、足元で我々の手で分析を進めています。2021年中には分析結果を踏まえ、HTL18318の開発を進めるか、バックアップに切り替えるかを決定する予定です。(★42:06)
Q6.
M4作動薬は2022年にPhase2試験開始予定とのことだが、Phase1b試験はそれ以前に自社で行うのか?(2)
A.
ご指摘の通り、それ以前にPhase1b試験を自社で行う予定で、現在その準備をしています。一方で、提携候補先との交渉も並行して行っていますので、契約に至れば、提携先と一緒に開発を行うことになります。その場合、契約の時点でPhase1b試験を既に開始していれば、その試験は我々で最後まで行い、その後のPhase2試験以降を提携先が担当することになると考えています。(★48:28)
Q7.
過去の増資の経緯からも、M1作動薬としてHTL18318を開発すると決定された場合、国内DLBは自社開発になるのか?(2)
A.
可能性はあります。旧ライセンス先のアラガン社との間でも、レビー小体型認知症(DLB)を対象としたHTL18318の日本での権利は当社グループが保有し、開発も当社グループで行う予定でした。再ライセンス先次第ですが、我々にとっては日本市場での将来の収益が期待できる製品候補ですので、日本のDLBの権利は残すための交渉も行います。ただし、それでライセンスフィーが極端に減るのは得策ではなく、全体のバランスを踏まえつつ最終的に決定します。(★1:12:03)
Q8.
HTL18318でのサルでの長期毒性試験について、HTL9936、HTL16878、あるいは他の開発品で確認しているか?問題はないのか?(2)
A.
長期毒性は他の開発品でも一定程度を確認しており、これまでに問題はありません。長期服用される医薬品候補を開発する際に、一般的に規制当局から求められる試験で、通常、ヒトでの試験期間の1~2倍の長さの動物試験を行います。我々の開発候補品は長期服用が前提となる疾患が多く、期間は開示できませんがHTL9936、HTL16878、あるいは他の開発品でも、前述の要領で実施されています。
Q9.
ムスカリン作動薬シリーズを一括でライセンスすることのメリットは?
A.
ムスカリンシリーズでは多数の特許が複雑に絡んでいるため、一括で導出した方が導出しやすいと考えています。逆にプログラムごとに導出すると、サブライセンスやクロスライセンスなど非常に複雑な交渉になります。したがって、すべてのプログラムを1社に導出できるのが望ましく、例えばその1社がどれかを開発しないなら、一括導出後にその1社から他社にサブライセンスするか、我々に一旦返還してもらい、それをさらに再ライセンスする(Diligent Development Clause)方が現実的です。現在、5社以上の製薬企業が強い興味を示しており、そのほとんどが一括で提携したいという感触なので、その方向で進めていきたいと思っています。(★45:28)
Q10.
M1作動薬のHTL18318の毒性調査の結果が出るまでは、ライセンスの合意は無いのではないか?
A.
提携先次第ですが、毒性調査の結果判明前にライセンスする可能性はあります。例えば、提携先がM1作動薬をバックアップ化合物で開発すると始めから決め、HTL18318の毒性調査が不要になる場合などです。一方、提携先によってはHTL18318の毒性をクリアにしたいというケースも考えられます。ただ、仮にHTL18318が毒性の問題で中止になってもM1作動薬が中止になるわけではありませんので、それを踏まえて一括で導出し、HTL18318の毒性も並行して分析する可能性が最も高いとみています。(★47:27)
Q11.
M1作動薬のHTL9936の開発はなぜ優先されないのか?
A.
我々が2016年にムスカリン作動薬シリーズを導出した時点ではHTL9936の開発が先行していましたが、アラガン社はHTL18318のプロファイルがよいと判断したため、結果的にHTL9936は優先されませんでした。新たなライセンス先次第で、再度HTL9936が優先して開発される可能性もあります。ただ重要なのは、例えばHTL18318など1つの化合物の開発が中止となっても、プログラム全体が遅延しないようにバックアップ化合物の開発を進めておくことです。(★49:23)
Q12.
HTL18318で長期毒性が見られた理由は、ヘプタレス社の創薬技術の特性がそもそもの要因である可能性は無いのか?
A.
その可能性は非常に低いと考えています。ヘプタレス社に特徴的なStaR技術は、創薬ターゲット側であるGPCRを安定化して正確に構造解析する技術で、投与する化合物側に使われる技術ではありません。投与する化合物はSBDD(IT創薬)で作られますが、正確な構造情報によるSBDDは世界的に使われる創薬手法の一つで信頼性が高く、この手法が長期毒性の要因とは考えていません。
Q13.
(M1作動薬について)バックアップ化合物とはどういう意味か?元の薬より優れているのか?
A.
医薬品開発では通常、万一、最初の化合物に問題があった場合に開発品を切り替えるため、多くのバックアップ化合物を用意します。この中で最初の化合物と同時期に作られたものは、後の追加試験で最初の化合物の特性を凌ぐこともありますが、基本的にその時点では最初の化合物に何らか劣ります(だからバックアップ)。一方、我々のM1作動薬のバックアップは、HTL18318でのサルでの毒性発生後に作った次世代品ですので、基礎研究では優れた性質を示しています。
Q14.
なぜ他社が興味を示しているのに、アッヴィ社はムスカリン作動薬シリーズを返還したのか?また、なぜ返還までの時間が長かったのか?
A.
明確な返還理由は、残念ながら当社からはお答えできません。ただ、アッヴィ社は元々、ムスカリン作動薬と違った仕組みのアルツハイマー病治療薬候補(疾患修飾薬)を自社開発しており、結果的にアラガン社買収後も自社プロジェクトが優先されました。この結果として、権利が返還されたと考えています。返還まで長かったのは、そもそもアッヴィ社のアラガン社買収手続きが約1年(発表:19年6月、完了:20年5月)かかったためと考えています。尚、一旦返還されたアセットがその後成功するというのは製薬業界では良くあることで、例えばアストラゼネカ社から返還されたトレドミン、サノフィ社から返還されたアイリーア、CSL Behringから返還されたエンブレルなど、枚挙にいとまがありません。
Q15.
M1/M4デュアル作動薬の進捗が遅い理由は?仮に再導出先された場合は、M1/M4デュアル作動薬の開発戦略が変わるのか?
A.
旧パートナーであったアラガン社がその他のプログラムの開発を優先させたため、進捗していませんでした。今後、再ライセンスされた場合には新たなパートナーが開発方針を決定するため、それ次第で開発戦略が変わる可能性はあります。
●パイプラインの進捗について(ムスカリン作動薬以外)(23)
Q16.
第一三共、リジェネロン、NIDA(OX1拮抗薬)との提携品やApelinなど、現在のパイプライン表にないものの進捗は?(3)
A.
現在、アクティブに投資しておらず、進捗していません。一方で、これらの権利は引き続き、我々あるいは我々とパートナーが保有しており、今後、新たな発見などでターゲットが再び注目されたり、パートナーの開発方針が変更されて再び投資が決定される場合には、再度進捗する可能性があります。足元でアクティブなプログラムのみをパイプライン表に記載する方針であり、ご理解いただければと思います。
Q17.
PAR2対象の開発品は自社品、ペプチドリーム社との共同品などがあるが、開発が進むのは1つだけか?抗体以外の進捗は?(2)
A.
PAR2対象の開発品は抗体(自社品/前臨床)、特殊環状ペプチド(ペプチドリーム社との共同品/基礎)の2つがあり、開発は並行していずれも順調に進捗しています。今後も並行して開発が進むかは将来的な開発パートナーの意向が優先されますので、現時点では明確なことは申し上げられない状況です。
Q18.
2021年に臨床入りするものはあるか?また、2021年の新規ライセンスは何件くらいを計画しているか?(2)
A.
新たな化合物の臨床入りは2-3個程度を予想しています。提携プログラムもありますので全ては申し上げられませんが、バイオヘイブン社にライセンスしたCGRP受容体拮抗薬については、バイオヘイブン社資料で2021年下半期(7-12月)の試験開始が予定されています。また、新規ライセンスの件数を含めた新規提携(ライセンス、共同出資、創薬提携)としても、2021年に2-3件を見込んでいます。
Q19.
アデノシンA2A拮抗薬のPhase2試験(NCT04089553)がPhase3試験に進む可能性はあるか?同試験は今年6月にPhase2試験が終了予定で、アストラゼネカ社の決算資料でもData Anticipated がH1 2021となっていることをどう解釈すればよいか?(2)
A.
提携プログラムですので詳細は申し上げられません。ただ、ご指摘のようにアストラゼネカ社の資料では最初のPhase2試験であるNCT04089553の結果は2021年上半期とされる一方で、開発パイプラインから削除されています。また、同時にある業界ニュースサイトでは、アストラゼネカ社が2剤併用のPhase2試験を中止し、新たに始めた3剤併用のPhase2試験に注力する旨の記事が書かれています。
Q20.
アデノシンA2A拮抗薬のPhase2試験開始から2年が経過し、通常であれば終了してもよい時期だが進捗はどうか?
A.
提携プログラムですので詳細は申し上げられません。ただ、アストラゼネカ社はアデノシンA2A拮抗薬ついてこれまでに2つPhase2試験(NCT04089553とNCT04495179)を行っており、早く始めた1つについては予定終了時期が近付いています。一方、Q19への回答の通り、最初のPhase2試験は既にアストラゼネカ社の開発パイプラインから削除され、後から始めたPhase2試験がパイプラインにある状況です。
Q21.
近い将来グローバルPhase2試験を自社で行う可能性はあるか?ある場合、今のパイプラインの中に候補はあるか?
A.
可能性は非常に低いと考えています。我々の強みは創薬技術ですので、Phase1試験終了前には開発品を他社にライセンスし、社内のリソースを得意分野に集中させています。一方、ムスカリンM4作動薬は2022年上半期(1-6月)にPhase2試験開始を予定しており、万一、その時点でパートナーと契約していなければ、競争状況、リスク/リターンを考慮の上、自社でのグローバル開発の可能性も全くゼロではありません。
Q22.
mGlu5 NAMを活用し、アルツハイマー病の疾患修飾薬を開発する予定はあるか?
A.
提携プログラムですので詳細は申し上げられませんが、提携時のリリースの通り、まずは物質使用障害(Substance Use Disorder:SUD)と不安障害を対象に開発される予定です。一方で、一般的にグルタミン酸受容体はアルツハイマー病を含む神経疾患との関係が指摘されているということがありますので、現時点で、今後も絶対に開発しないというものでもありません。
Q23.
2015年のファイザー社との最大10標的での戦略的提携で、3つ目が出てから時間が経ったが、今後いくつまで行けるか目途はあるか?
A.
提携プログラムですので詳細は申し上げられませんが、ご指摘の通り最大10個の標的を対象とした戦略的提携であり、現在開発が進んでいる3つ以外にも複数の候補品があります。一方で、それらの開発が進むか否かはファイザー社の決定によりますので、我々としては、現時点では明確なことは申し上げられない状況です。
Q24.
G7社の買収時に、G7社はMorphoSys社と抗GPCR抗体開発で提携していましたが、現在の開発状況、経済条件は?
A.
Q16でお答えしたように、足元でアクティブでないプログラムはパイプライン表から削除している点をご理解いただければと思います。ご指摘の通り、G7社は我々が買収した2016年より前の2015年に、MorphoSys社と抗GPCR抗体の研究開発で提携していました。また、経済条件については提携プログラムですので詳細は申し上げられません。
Q25.
Kymab社との提携品である抗CXCR4抗体の現状や展望、またKymab社がSanofiに買収されたことによる影響はあるか?
A.
共同研究開発による提携プログラムですので詳細は申し上げられませんが、既に当社の研究開発の担当部分は終了し、バトンをKymab社に引き継いでおります。そのため、抗CXCR4抗体の開発が今後どの程度のスピードで進むかはKymab社次第という状況ですが、Sanofi社に買収されたことで開発が加速することを、我々としては期待しています。一方で、我々はMorphoSys社やKymab社以外の会社とも、抗体技術での提携を協議しています。
Q26.
年初のJPモルガン・ヘルスケアカンファレンスでCFOのクリス氏は、ムスカリン作動薬シリーズの他に、提携品ではOX作動薬シリーズ、GLP-1作動薬、CCR6拮抗薬、アデノシンA2a拮抗薬、また自社品のH4拮抗薬と抗PAR2抗体に触れたが、その理由は?
A.
アデノシンA2a拮抗薬はヘプタレス社の開発品で開発が一番進んでいること、OX作動薬シリーズとCCR6拮抗薬は2020年に開発進展を発表したこと、GLP-1作動薬は他社製品で2型糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などへの市場拡大が注目されていること、H4拮抗薬と抗PAR2抗体は、現在、製薬業界で最も注目されているアトピー性皮膚炎が適応疾患の可能性があること、が理由です。
Q27.
Orexia社のCentessa社への統合でのデメリットは無いのか?また、経済条件に変更はなかったか?
A.
Centessa社への統合と資金調達によって潤沢な開発資金が得られたことを我々も喜ばしく思っており、当社としては特段のデメリットは無いと考えています。経済条件の変更は提携プログラムですので申し上げられませんが、オレキシン作動薬シリーズの開発が2020年にも順調に進捗していた背景(参考1、参考2)から、ご推察いただければと思います。
Q28.
Orexia社の株式が「相応の価値のCentessa社の株式」に置き換えられるというのは、相応の収益が1Qに計上されることを意味するか?
A.
共同研究開発による提携プログラムですので詳細は申し上げられませんが、オレキシン作動薬シリーズの開発が2020年にも順調に進捗していた背景(参考1、参考2)から、ご推察いただければと思います。
Q29.
GLP-1拮抗薬、GLP-2作動薬は前臨床試験が長いが、開発は止まっているのか?
A.
当社での前臨床開発は終了しており、現在ライセンス活動中のプログラムになります。ライセンス活動に比較的時間がかかっていることもあり、開発が止まっている印象になっているものと思います。
Q30.
SSTR5作動薬の治験や方針について、何か進捗はあるか?
A.
当社でのPhase1試験は終了しており、現在ライセンス活動中のプログラムになります。ライセンス活動に比較的時間がかかっていることもあり、開発が止まっている印象になっているものと思います。
Q31.
第一三共は、契約終了後の2020年2月にマイルストンを受領しているが何か理由はあるのか?
A.
第一三共社との契約は2020年2月に最後のマイルストンを受領し、一旦は終了しました。
Q32.
APP13007のロイヤルティはいつまで受け取れるか?条件付き対価の扱いになるか?
A.
特許有効期間中は受領することができ、受け取った場合はご指摘の通り条件付対価の扱いになります。
Q33.
乳がんについて、へプタレス社や提携先の技術で是非治療薬の開発に挑戦して下さい。
A.
ご意見ありがとうございます。当社の開発品には現在、乳がんを対象としたものはありませんが、がん領域では比較的幅広いがんに効果を期待できるがん免疫系の開発品を多数保有しています。このようなものの中から、将来的に乳がんも含め、がんに苦しむ患者様のお役に立つ薬が生まれることを心から願い、またそのための研究開発活動に日々尽力する所存です。
●新型コロナウイルス治療薬候補について(7)
Q34.
同様のプロテアーゼ阻害のメカニズムの経口薬でファイザーが治験開始したが、影響やそれと比べた強みはあるのか?(4)
A.
プロテアーゼを標的にするメカニズムの期待は高まりましたが、競合であり、我々も開発を加速させる必要があります。強みは現時点で不明ですが、プロテアーゼはStaR技術活用の必要がなく、創薬プロセス上の優位性はほぼ無いとみています。一方、例えばインフルエンザ治療薬でも同じ”ノイラミニダーゼ阻害剤”というメカニズムで4つの製品が販売されており、我々の開発候補品も差別化できる可能性があると考えています。幸いなことに、先日のACS Spring 2021で発表されたファイザー社の経口薬の構造からも、我々の化合物とはかなり異なるとの印象を受けています。(★51:09)
Q35.
新型コロナウイルス治療薬候補を導出・上市した場合に利益になるか?それとも完全に非営利か?(2)
A.
本プログラムの研究開始初期に得られた主な研究結果は共有されていますが、創出した化合物の特許は当社が所有し、導出や上市に伴ってマイルストンやロイヤルティを受け取り、将来的に利益計上される可能性はあります。「社会的責任を負う」という本プロジェクトのビジョンを共有できるパートナーと今後提携することで、プログラムを前進させていきたいと考えています。
Q36.
新型コロナウイルス治療薬候補のパートナー選定はどれくらい進んでいるか?大手でなくてもよいので提携を急ぐ選択はあるか?
A.
提携交渉中のプログラムですので詳細は申し上げられませんが、複数のパートナー候補先と提携に向けた交渉を行っており、現在、提携に必要な追加データの取得を急いでいる状況です。提携を急ぎたいと考えている一方、プログラムの開発成功率を高めるには感染症分野で十分な経験を持つパートナーと提携することが重要で、必然的に提携候補先としては大手企業が多くなっています。(★51:09)
●戦略的提携やM&Aについて(9)
Q37.
昨今の株式市場は過熱気味なので、オーガニックな成長でプライム市場に行けるなら、M&Aは相場が高い今年は避けるべきでは?(2)
A.
ご指摘の通りだと思っており、我々も慎重にタイミングを計りつつ高値掴みする気はありません。一方で、企業のタイプによってはそこまで過熱感が無いこと、マーケットも日々変化することから、あくまで現時点の目標としては今年中としています。また、オーガニックな成長でプライム市場の形式基準を満たす可能性もありますが、その場合でもM&Aは外部成長ドライバーとして並行して検討を進めます。
Q38.
どのようなジャンルの企業買収を検討しているか?抗体医薬品のプラットフォーム企業の提携/買収は考えられるか?(2)
A.
現時点で詳細は申し上げられませんが、1)売上高50億円以上で黒字、2)シナジーがある、が基本的な要件になります。ご存じの通り、当社はGPCRに対する創薬が事業の中心ですが、これとシナジーのあるジャンルは、比較的幅広いと理解しています。例えば、ご指摘いただいた抗体医薬品のプラットフォーム企業もシナジーを見込めますので、売上高が50億円以上であれば可能性自体はあり得ます。
Q39.
M&Aの資金調達は既に完了したとの発言があったが、今年はM&Aを目的とした再度の増資はないか?
A.
増資の有無やタイミングは性質上、申し上げることはできません。ただ、一般的に資本コストの点から銀行借入れが最も魅力的な資金調達方法と考えており、また、今回の買収先の要件「売上高50億円以上で黒字」に合致する買収先の場合、我々の借入れの他に買収先の信用力を担保にした借入れも可能と考えています。昨年の資金調達は資本を厚くし、このような借入れを行いやすくする目的もあります。一方で、買収額にもよりますが、対象が十分に魅力的で買収に値する企業であれば、それに応じた様々な資金調達の手段を検討していきます。
Q40.
株式市場が活況である点から、費用対効果を考えて非上場企業が主な買収対象になるのか?
A.
現時点で買収候補は上場・非上場のいずれかに絞って検討していません。非上場企業にとって、上場は一般的なEXIT方法の一つですので、現実的にその価格は、少なからず株式市場の動向の影響を受けます。他方で上場・非上場のいずれであったとしても、我々はQ37へのお答えの通り、高値掴みすることのないようにタイミングをはかっていきます。
Q41.
新モダリティに挑戦する背景は?例えば、コロナウイルス治療薬候補が短期間で手ごたえがあったことも関係あるか?
A.
我々の持つGPCRへの強みを最大限活かすには、モダリティを低分子に限定する必要は無く、2016年以降からKymab社(抗体)やペプチドリーム社(ペプチド)との提携を進めてきました。直近、Captor社(TPD)と提携を開始したのは、様々な研究からTPDがGPCRにも応用できる可能性が高まったと考えたためです。コロナウイルス治療薬候補の順調な進展で我々はSBDDへの自信を深めてはいますが、それが直接の要因ではありません。
Q42.
イオンチャネルに対する創薬でもStaR技術やSBDDは応用できるか?
A.
はい、我々はGPCRで行ったのと同じように、SBDDを応用してイオンチャネルに対して創薬を行う予定です。一方で、StaR技術がどの程度必要かは現時点では不透明ですが、必要に応じて活用していきます。また、イオンチャネルはタンパク質の発現量に課題があることが知られており、これまで同じ膜タンパクであるGPCRで培ったノウハウを用いて、課題を乗り越えたいと考えています。
Q43.
タンパク分解誘導薬(TPD)でにおいて、Arvinas, Kymera, CCCC, Nurixなどの先行企業ではなくCaptorを選んだ理由は?
A.
ご指摘の先行企業は既に大手と提携しているところも多く、我々のプロジェクトが埋没する可能性があります。これには、TPDという技術自体が、GPCRのような膜タンパクにこれまであまり応用されておらず、提携では新たな技術開発が必要かもしれないという背景もあります。一方、Captor社は新しい会社で、我々は彼らにとっての初の提携先として重要度が高く、TPDのGPCRへの応用に非常に熱心で、同じく欧州にあるため技術開発でも綿密に連携しやすい、という特徴があったため提携先として選びました。
●企業戦略/ビジネスモデルについて(4)
Q44.
将来のための投資も行いつつ、ライセンスによって黒字を維持していくここ2年のビジネスモデルは今後も継続するのか?
A.
今後、少なくとも数年の間は継続する予定です。一方で、米国などでは赤字でもライセンスせずに自社で開発を進めるビジネスモデルが投資家に好まれます。これは、成功した時のリターンが大きいためです。今後、我々が目指している市場変更なども関係し、日本の株式市場の環境が変われば、我々も将来的にビジネスモデルを変更する可能性があります。尚、我々の収益は新規ライセンスや既存プログラムの進展に左右されますので、黒字を維持する方針ではあるものの、現段階でそれが保証できない点はご理解いただければと思います。
Q45.
M1作動薬のDLBへの適応症のように、ヘプタレス社の化合物を国内で開発することは費用対効果に優れると思うがどうか?
A.
はい、我々もその可能性があると考えています。ただ一般的には、大手製薬企業は開発成功時を見据えて全世界・全疾患の権利の一括でのライセンスを希望しますので、我々は無理に日本の開発を自社で行うことでライセンス全体の価値を毀損しないように、国内開発の機会を検討しています。その意味で、DLBは日本で特に患者が多かったため、自社で国内開発を行うのに最適な特性だったといえます。Q7の回答もご参考いただければと思います。
Q46.
買収で安定収益が増えれば、赤字にならない範囲で自社開発にこれまでよりも投資する戦略はあり得るか?
A.
はい、将来的にはあり得ます。ご存じの通り自社開発への投資を増やしより開発を進めた後にライセンスすることで、ライセンスの価値を高めることができますので、我々にとってはより収益を増やす機会になり得ます。
Q47.
COPD治療薬プログラムの特許終了後の、収益ドライバーは何になるか?
A.
現在計画しているM&Aや、開発中のパイプラインの上市が新たな収益ドライバーと考えています。
●業績について(3)
Q48.
2021年1Qに大きな収入はなかったが1Qの業績はどうなるかか?上半期では大きな売上げを見込んでいるか?(2)
A.
業績予想を開示していませんので、明確には申し上げられません。一方で、我々の業績は安定的な収入(ロイヤルティ+その他収入:提携先からの研究開発支援金等)と一過性の収入(マイルストン収入及び契約一時金)で構成されており、前者には年間変動はほぼなく2020年は約35億円、後者は2020年に約53億円となっています。
Q49.
新型コロナウイルス流行による業績への影響はあるか?
A.
2020年時点から業績にある程度は影響が出ていたと考えています。これは想定していた新規契約や、臨床試験のタイミングが遅れる影響が主でした。2021年もやや影響がある可能性はありますが、世界全体がコロナウイルス流行下での事業遂行に慣れてきたこともあり、影響の程度は2020年よりは少なくなると考えています。
●人員体制や後継者について(7)
Q50.
そーせいグループの永続的な発展に向けて、田村社長の後継者の育成について教えて欲しい(4)
A.
これは常に考え、取締役会でも議論しています。私が2年前にCEOに復帰した時に、実はもっと若い人にやって欲しかったのですが、当時はビジネスモデルを大きく変えて米国市場に行くプランが頓挫し、日本市場に留まる必要があり、インデックス買いなどで株価のボラティリティを下げるために東証一部上場を目指す方針でした。日本で上場、日本が本社となれば、日本人の社長が自然ですが、若手の人材がいないということで引き受けました。しかし、いつまでもというのはおかしく、若い人にチャンスをあげたいと常々思っています。それには、OJT、社外の優秀な人材、今後買収する企業のCEOなど様々な可能性があり得ます。1人の候補者に絞ってはいませんが、社内でも十分対応できるような体制を時間をかけずに作っていきたいと思っており、それは私が常々気にかけていることの1つです。(★1:05:03)
Q51.
ライセンスに向け今後も重要となる事業開発部門について、HP上のバリー氏、ジェイムス氏以外の全体像も教えて欲しい。
A.
大手製薬企業の事業開発部門(BD: Business Development)での経験があり、博士号も保有しているマーカス・メッセンジャーが昨年チームに加わり、事業開発部門はバリー、ジェイムス、マーカスの3名体制になりました。また、事業開発ではサイエンスのディスカッションが非常に多く、プログラムごとに研究開発部門のメンバーも他社とのミーティングに参加しており、研究開発部門のメンバーも事業開発に積極的に係わっています。
Q52.
1年前に比べて人員が増加えているが、これによって現在、年平均2個の前臨床試験入りが加速する可能性はあるか?
A.
はい、ご指摘の通り今後加速する可能性はあります。一方、プロジェクトの開始から前臨床試験開始までは約2年間が必要であり、前臨床試験数の増加という形で、増員の効果が見え始めるには2年以上の時間がかかると見込まれます。
Q53.
M&Aによる増員は別にして、将来的にはどの程度の規模の人員が適正と考えているか?
A.
現時点では英国の創薬初期開発に従事する人員として最大200人と想定しており、これがイノベーションと生産性のバランスをとるのに最適な規模と考えています。ただ将来的には、事業の発展に伴いさらに増員する可能性もあります。
●企業ビジョン/ロールモデルについて(3)
Q54.
ロールモデルとしてジェネンテックがよく挙げられるが、その他に目標とする企業、超えたいと思う企業はあるか?
A.
グローバルで誰もが「ああ、これはすごいな」という印象を持ち、どこの市場で上場しようがしっかりと評価される企業を目指しています。ジェネンテックやアムジェンは正にそのような企業ですが、日本は急速な変化を促さないような社会構造なこともあり時間がかかります。しかし、決めた以上は時間がかかってもやるしかありません。GPCR創薬に限ってですが、そのやり方として1つ参考になるのはArena Pharmaceuticalsというサンディエゴにある会社です。以前は今のヘプタレス社と似て自社開発のリスクをあまり取らなかったのですが、その後に増資を重ね自社開発のリスクを取って非常に大きな会社になってきました。この例からも、米国で成功するためには自社製品を持つ必要があることが分かります。早くパートナーを組んで少々の黒字があってもグローバルでは相手にされないので、将来的には少々資金を投下しても大きな製品を出したいと思っています。ただし、我々は日本の会社ですので、赤字を掘って最初からそれを目指すと投資家から支えてもらうことが難しく、それが、まさに当社が2年、3年前に経験したことです。M1プログラムの躓きもありましたが、それはともかく赤字の垂れ流しは許されないという雰囲気が日本にはあります。そこは重視しながら、日本独特のバイオの進化を考えて日本独特の市場でどう成功するか考えなければいません。しかし、目指すは世界ということです。(★1:30:05)
Q55.
「日本発の世界的なバイオ企業」を目指すとのことだが、現在の研究拠点は英国なので、今後の買収先は日本企業という意味か?
A.
買収先は日本企業に限定しておらず、我々の要件(Q38)に合致するよい会社であることが重要で、日本も含めた世界のどの地域でも可能性があります。我々は日本で創業された日本発の会社で、M&Aや国内開発品の導入などを通じて国内での存在感を高める必要を感じていますが、世界的なバイオ企業という最終目標に向けて柔軟に戦略を構築していきます。
Q56.
現時点から5年程度先をイメージできる中期ビジョンの作成は予定しているか?
A.
中長期のビジョンを一言で表すと「創薬はSosei Heptaresに任せる」と言われる、世界に冠たる創薬企業になることです。一方で、現時点では個別のパイプラインの進捗や、計画中のM&Aによって中期的な業績の振れ幅は大きいため、例えば業績目標などをお出しすることは時期尚早と考えています。
●国内開発品について(3)
Q57.
対象疾患、開発規模、市場規模などはどの程度のイメージか?海外上市済ものが対象なのか?(2)
A.
昨年の資金調達の使途に記載した通り、ある程度の予算があればしかるべき品目が手に入りますので、そう遠くない将来に1つか2つは導入したいと思っています。規模も以前(ノルレボ/オラビ)よりは大きなポテンシャルがあるものを考えています。必ずしも上市済品には限りませんが、非常に早期でメカニズムの検証が進んでいないものを導入する予定はいまの所ありません。尚、ヘプタレス社の研究開発チームは創薬中心ですが、日本はある程度進んだものを開発して承認を獲得するところに強みがあり性質が違います。(★54:18)
Q58.
国内向けの後期臨床開発品の導入は、どの程度の導入費用及び開発費用を想定しているか?
A.
昨年6月に資金調達した209億円のうち、M&Aと国内向け後期開発品に約180億円を充てる予定です。どのような開発品かにもよりますが、基本的に180億円の中で言えばM&Aの割合が多く、後期開発品はごく一部とお考え下さい。我々は大手製薬企業ではありませんので、少なくとも最初の適応症としてはある程度特徴のある疾患を狙う可能性が高く、開発費用もそれほど大きくならない見込みです。
●創薬技術について(10)
Q59.
X線結晶構造解析技術は長期的にクライオ電顕などと競合すると思うが、競争優位が失われる可能性をどう考えているか?(3)
A.
ヘプタレス社の創業者の1人で、現在も当社グループの科学諮問委員会の委員であるリチャード・ヘンダーソン氏が2017年にクライオ電顕の研究でノーベル賞を受賞するなど、我々はクライオ電顕の世界最先端のレベルについていっており、高価なクライオ電顕も1台購入して社内で稼働、新しい知見も得られています。クライオ電顕は特許がないため誰も独占はできませんが、後述のクライオ電顕も含むTIVフレームワークなどターゲット同定・検証の取り組みや、クライオ電顕で要求されるより高純度なサンプルの調製技術にStaR技術のノウハウが活用できることなど、様々な面から引き続き優位性を保つことができると思っています。StaR技術自体は非常に強い特許とノウハウで守られていますので、こちらも特許が切れてもかなりの時間優位性が守れる自信はあります。一方で、どんな技術もいずれは陳腐化しますので、優位性を維持していくための絶え間ない努力が創薬では必須になります。(★1:13:30)
Q60.
GPCRの標的で難しいものが残っていると思うが、このままGPCRに注力していてよいのか?
A.
GPCRに限らずほとんどの創薬ターゲットは難化しており、その中で我々の強みを活かせるGPCRを核に、同じ膜タンパクであるイオンチャネル(Metrion社と提携)などにターゲットの幅を広げると同時に、他にも広げる準備をTIVフレームワークで開始しています。GPCRであれば難しさには「構造の難しさ」「機能の難しさ」の2つがあり、前者は前述のクライオ電顕なども使って進歩していますが、後者は難航しています。つまり、GPCRは数あれど、生体内で何の機能があるか分からないということです。TIVでも1つの遺伝子/タンパク質が関連している単一遺伝子疾患に加え、GPCRの機能を解明する過程で様々な因子が関連したカスケード全体の機能が明らかになれば、GPCRの下流の機能を阻害した方がよい場合も出てくると思いますので、そこからGPCR以外にも対象を広げていこうとしています。(★1:20:30)
Q61.
AI創薬は競合も多いが、そーせいは現在どの程度の位置づけにあると思っているか?
A.
AI創薬に関しては非常に注目しつつも時期尚早な面もあり、バランスを取りつつツールとしては最大限活用していく方針です。ディープマインドとの協業なども模索していますし、我々はケンブリッジに研究所があって世界的に最先端の知見や研究者と接しているため、他社に遅れを取らない自信はあります。一方、現状のAI創薬はヒット化合物獲得からリードの初期段階までに有用で我々も活用していますが、元々、約1年程度のプロセスを数か月縮めることが多く、10~15年かかる医薬品開発の全体像から見ればわずかで、創薬は人の手をわずらわせるwet labが必須な点は今後も変わらないでしょう。一方で人間の脳の構造とAIは大きく違い、お互いに優れたところがあると思いますので、人間がAIをうまく使って創薬していくようになっていくと考えています。(★1:13:30)
Q62.
クライオ電顕がX線結晶構造解析と同じレベルになる前に、StaR技術は全てのGPCRの構造解析を終えられるのか?
A.
現時点では何とも言えませんが、我々は全てのGPCRの構造解析はそもそも目指していません。構造解析にはクライオ電顕でもX線結晶構造解析でも多くの労力が必要ですので、全てではなく、創薬ターゲットとして有望なものからやることが肝心です。その意味で、他社に先んじてターゲットとして有望なGPCRに気づくことが一つの競争優位であり、Q67以降のTIVフレームワークに我々が取り組む理由でもあります。
Q63.
より早期の進行プログラム数を開示する、あるいは更新頻度を高めることなどは考えられないか?
A.
現在、基礎研究/探索段階のプログラム数を「20以上」と開示していますが、これ以上の開示は予定していません。基礎研究/探索段階から薬として上市される確率は統計的に約4%で、この中での進捗をさらに細分化/頻回お示しすることに、大きな意味は無いと考えています。前臨床試験以降のプログラムでは成功率も上がってきますし、ターゲットも開示していますので、こちらの進展に注目いただければありがたいです。
Q64.
従来の神経系、免疫系、炎症性疾患、希少疾患等に加え、消化器疾患の比率が25%と増えているがこの背景には何があるのか?
A.
免疫チェックポイント阻害剤の成功もあり、生体の免疫メカニズムの解明が進んでいることが背景にあります。GPCRはこの免疫システムの中で大きな役割を果たしている可能性があることが分かってきました。消化器疾患で代表的な炎症性腸疾患(IBD)がそうであるように、消化器疾患も免疫と関連が深く、これが消化器疾患の比率が大きいことの主な理由の一つです。
Q65.
ヒット化合物などについて、そーせいと他社では基準が違い、そーせいのヒット化合物が他社より優れていることはあるのか?
A.
ターゲットの構造情報からヒット化合物を作る点に特徴があり、他社よりもアドバンテージがある可能性はあります。構造情報があるためそもそも精確なヒット化合物が作りやすく、その後の最適化プロセスも早く正確に進むためです。一方で、ヒット化合物と一口に言っても基準は各社で同じではない可能性があり、Q63の成功率の観点からも、この段階での比較には大きな意味はないとも考えています。
Q66.
GPCRの解析技術を昆虫の行動制御(農業分野)などヒトの治療薬以外に応用することはできないか?
A.
GPCRの機能解明が進めば、農業分野も含めて多くの分野に応用できる可能性はあります。既に、我々のライセンス品ではありませんが、例えば動物薬などでGPCRをターゲットとしたものがいくつも知られています。一方、これらの市場規模は大きくてもヒトの医薬品の1/10以下であり、商業化の道筋が見えにくい現時点で、積極的に注力していくべき分野とは考えていません。
●TIVフレームワークについて(4)
Q67.
既に実用化されているのかこれから構築されるのか?適応症との関連があまり分かっていないGPR35にもTIVが使われたのか?(2)
A.
TIVフレームワークはこれから構築していきますので、GPR35には使われていません。一方で、我々は以前より恒常的にGPCRの新規ターゲットの発掘につながる活動を行っており、例えば2016年1月に開始したORBITもその一つで、順天堂大学とも提携しています。TIVはこれまでやや散発的だったこれら新規ターゲットの発掘を、他社との提携/ビックデータの活用も含めてより体系的に行う取組みです。
Q68.
ジェネンテックとの提携では、疾患に関わる新規ターゲットを同定していたが、これにはTIVが使われたのか?
A.
自社のTIVフレームワークはこれから構築していきますので、ジェネンテックとの提携には使われていません。また、大手製薬・バイオ企業との創薬提携は基本的にパートナー企業が提示したターゲット(GPCR)の構造を我々が解きますので、自社中心でターゲットの発掘を目指すTIVとは考え方が異なります。大手製薬企業は自社/アカデミアとの共同研究などから、一般にあまり知られていない有望な創薬ターゲットを温めており、それらを進めるために構造情報が必要な際に、我々と提携に至るケースが多いです。別の見方をすれば、大手製薬・バイオ企業は独自のTIVを使っている事になります。
Q69.
TIVの一環にmAbプラットフォームがあるが、MorphoSysやKymabとの提携以外に自社で抗体技術を抱えるのか?
A.
新たな戦略的提携、自社での構築、Q38のようにM&A先、などの様々な可能性はあり得ますが、mAb(モノクロナール抗体)プラットフォームを自社グループ内に抱える可能性はあります。GPCRへの創薬はこれまで低分子がほとんどですが、原理としてはmAbも選択肢となり得、特に我々も取り組むCGRP拮抗薬では抗体が先行するなど実績を挙げるつつあることが、背景にあります。
●株価・株主還元について(11)
Q70.
目標とする株価・時価総額はあるか?現在の株価・時価総額についてはどう考えているか?それを高める決意方策は?(7)
A.
私が約4年前に会長に退いた前後には、今の株価でピークに約6,000円、概ね4,000円以上でしたので、少なくともそのあたりまで戻すのは責任だと思っています。ただ、株価は様々な要因で変動し会社はコントロールできません。適切な株価形成のために、IRに元アナリストの野村を採用したり、証券会社にアナリストレポートを書いてもらえるように情報発信したり、本オンライン説明会も含めて株主の皆様と対話させていただいたりしていますが、このような地道な努力を続けることが大切です。また時々、株主様から株価形成の上で「海外だけでなく日本でのプレゼンスを考えては?」とのご意見もいただいており、前述の国内開発品もその1つになると期待しています。(★59:57)
Q71.
目標通りプライム市場に移行して株式市場の評価が高まった場合、さらにナスダック(ADRも含め)を目指す可能性はあるか?(2)
A.
将来的に可能性はありますが、市場の特性の違いを考える必要があります。ナスダックの評価では基本的に臨床後期(モダリティによるが一般的にはPhase2b以降)の有望な自社開発品が重要で、黒字・赤字など業績は問われません。日本での評価はプライム市場も含めて、一定の安定した業績が重要だと現時点では考えています。そのため、2つの市場間の企業評価が連動しにくく、例えばデュアルリスティングなどを想定した場合、どうタイミングを合わせるかが重要になります。
Q72.
株主還元については、どのように考えているか。株主保有年数に応じた株主優待など長期保有策を今後検討するか?(2)
A.
株主還元は安定的に利益を出せる会社になれば積極的に行うべきですし、行っていきたいと考えています。一方で現時点では当社の業績は新規提携やパイプラインの進捗による振れ幅が大きく、まだ株主還元を行う段階にありません。まずは有望な研究開発に投資し、安定後に還元を考えるのが重要で、逆だと企業の成長が止まってしまいます。株主優待なども、基本的には株主還元と同じ考え方になります。
●その他のご質問(31)
Q73.
特定の人物が掲示板に悪質な書き込みを行っているが、何か対応策はないか?(7)
A.
悪質な書き込みに対しては、掲示板管理者への削除依頼は勿論、社外の弁護士への相談を始めました。今後は弁護士が必要と判断した場合、相応の法的対応の依頼を検討します。一方で、これらの書き込みは巧妙に当社を陥れるものというよりは、一見して嘘と分かるレベルの低いものであり、我々としては事業を前進させることに注力したいと思っています。(★1:23:52)
Q74.
野村部長が転職した理由は?外からと中からでの見え方の違いは?ヘプタレス社に訪問していればその感想は?(5)
A.
日本のバイオ産業の発展にはバイオベンチャーの成功事例が重要と思いますが、自分の分析や多くの投資家とのディスカッションから、当社にその可能性があると感じました。外と中で見え方が変わらず逆に驚きましたが、強いて言えば非公開部分のパイプラインの強靭さ、パイプラインの入れ替えスピードの速さが入社後に印象的でした。ヘプタレス社には入社後はコロナの影響で訪問できていませんが、グランタパークの研究開発拠点開設時(2018年)には訪問しており、整った環境とサイエンスのレベルの高さを感じました。(★1:07:00)
Q75.
過去に注力していたMiNA社やJITSUBO社の現在と今後の位置づけは?追加投資や売却はあり得るのか?(4)
A.
4月7日に開示させていただいた通り、当社が保有するJITSUBO社全株式の売却契約を締結しました。MiNA社については現状で約20%を保有していますが、既に当社の主力事業ではない点ではJITSUBO社と同様の位置づけになります。
Q76.
そーせいポロシャツやマグカップなどのグッズを販売、株主優待、株主総会のお土産、などにできないか?(4)
A.
グッズ販売はいまの所は様々な事情から考えておりませんので、ご理解いただければと思います。株主優待は基本的に株主還元と同じ考え方で、将来的に実現するようまずは事業を進めて参ります。総会のお土産としては過去に実施しており、将来的に実施する可能性もあります。ただ、昨今のコロナの状況などから、株主総会へのご来場を推奨できない状況でもあり、直近の実施は難しい点をご理解いただきたく存じます。
Q77.
被買収を心配しているがここ2-3年で買収提案を受けたか?大手との提携数が増えると、(契約リスクなどから)買収されにくいか?(2)
A.
買収提案の有無については、残念ですが申し上げられません。ただ、バイオ業界の一般論として、被買収のリスクは常に一定あると考えています。弊社が被買収されるとすれば、一般的にはプラットフォーム技術か自社パイプラインを、相手方の社内に吸収することが主目的になると考えられます。従って、大手との提携数は被買収リスクには大きくは関係ないと考えています。
Q78.
月1くらいでこの会を開催してもらえないか?アーカイブを公開してもらえないか?(2)
A.
月1回の開催は現実的には難しいと思います。申し訳ありません。ただ、定期的には開催していきたいと思っています。アーカイブについてはHPに公開させていただきました。
Q79.
HPについてオートスライド等があり使いづらいのは直らないのか?
A.
時期はお約束できませんが、HPの改善は課題だと認識しています。一方で、海外投資家、あるいは主に海外の提携(候補)先からは今のままがよいとの意見もあり、悩ましく思っています。また、更新が反映されないというお問い合わせもよくありますが、キャッシュの問題であることが多く、更新ボタン(あるいは「F5キー」)を何度か押すと概ね解消するようです。
Q80.
投資家対応について機関投資家、海外投資家、個人投資家など、どの投資家を優先しているのか?
A.
機関、海外、個人等で優先度に差はありません。事業の特性をご理解いただいたうえで、長期目線で投資いただける株主様が最も重要だと思い、またその方々に向けた情報発信を心がけています。(★1:27:25)
Q81.
場中にIRを出すことも多いが、これにはどんな意図があるのか?
A.
何か意図があってIRの発表時間を決めることはありませんが、当社の場合には欧州・米国企業との契約発表などが多く、加えて相応の規模になると相手も同時にリリースを出すため、相手の時間の都合に左右されることがあります。
Q82.
田村社長は宇宙ビジネス等に個人的に投資しているとの話だが、将来宇宙旅行に行きたいのか?既に申し込んでいるか?
A.
宇宙ビジネスに投資しているのではなく、宇宙論学者などと一緒に立ち上げた宇宙論関連の財団に寄付をしています。今、物理学の最先端で最も深刻な未解決の問題は、量子力学と一般相対性理論の統一です。しかしながら、見返りが見えやすい応用物理学(宇宙ビジネスもその一つ)に研究資金の大半が流れており、最も重要な課題への挑戦が疎かになっていることに心を痛めています。見返りは統一理論の進歩ですが、理論の完成は数千年先になるかもしれません。人類全体の課題への挑戦に大いなるロマンを感じています。
Q83.
30周年記念誌に書かれていた田村社長が訪問していない最後の1カ国とはどこか?現時点では訪問済みなのか?
A.
現時点で未訪問です。場所について今は申し上げられないのですが、いつかご報告したいと思います。
Q84.
今日の参加者は何人か?
A.
最終的に353名にご参加いただきました。皆様ありがとうございました!
Q85.
説明会の時間が足りませんので延長してください!!
A.
延長ができずに申し訳ありませんでした。時間がかかってしまい恐縮ですが、Q&Aは本ブログで回答させていただきました。これでご理解いただければ幸いです。