米国のKaruna
Therapeutics社が、先日、統合失調症患者の急性精神症状に対する治療薬として開発中のムスカリン受容体活性化剤KarXT(キサノメリンとトロスピウムとの組み合わせ)が、第II相試験において主要評価目標を達成し、来年2020年末までに第III相試験を開始する予定であると発表しました。
キサノメリンはかつて米製薬会社イーライリリーが開発していたM1受容体作動薬で、その臨床試験において脳のムスカリン性アセチルコリン1(M1)受容体の活性が認知機能の改善につながることが科学的に立証されたものの、M1以外の他のムスカリン受容体も同時に活性化してしまい、さまざまな副作用を引き起こすため治療薬としての開発は中止されていました。
しかし、この度のKaruna
Therapeautics社の発表はムスカリン受容体をターゲットにした新たな治療法の可能性を証明するものであり、選択的にM1、M4両方に作用する当社提携先のアラガン社が開発中のM1・M4作動薬による治療効果への期待を高める結果と考えています。
また、11月19日付のInformaPharmaの記事では、現在、臨床開発段階にある中枢神経障害を対象としたムスカリン作動薬はまだ非常に少なく、そのうちの一つとしてアラガン社が開発中のM1・M4が紹介されています。