2024年2月16日金曜日

新社名を発表しました

みなさんおはようございます。CFOの野村です。


先ほど、来月の株主総会に付議される定款変更などを発表させていただきました。何といっても、一番大きなのは社名変更で、総会決議が前提ですが、我々は今年の4月1日から社名を ネクセラファーマ に変更する予定です。


とても驚かれた方もいるかもしれませんが、これは昨年のイドルシア買収以降、度々「ブランドの統合」「新ブランド」といってきたものです。新社名の由来は、次の時代のサイエンスおよびヘルスケアにおけるリーディング企業になるという決意を込め、「Next(次の)」「Era(時代)」からきています。従来の考え方にとらわれることなく、テクノロジーに根ざした製薬会社として、患者さまが待ち望むより良い治療法を追求していきます。またこれを機に、子会社を含めて以下のように社名を変更する予定です。


現行商号新商号
そーせいグループ株式会社ネクセラファーマ株式会社
(英文商号:Nxera Pharma Co., Ltd.)
イドルシアファーマシューティカルズ ジャパン株式会社ネクセラファーマジャパン株式会社
(英文商号:Nxera Pharma Japan Co., Ltd.)
Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.Nxera Pharma Korea Co., Ltd.
Heptares Therapeutics Ltd.Nxera Pharma UK Limited


これには、以下のような現実的ないくつかの理由もあります。

  • 日本・韓国の子会社名にある「イドルシア」は、スイスのIdorsia社が商号を持っており、いずれにせよ今年3月までしか使えないこと
  • 創業以来の「そーせい」、2015年から加わった「ヘプタレス」、そして昨年「イドルシア」が加わり、親会社・子会社間で商号が統一されていないことで、一見して別会社として認識され、事業上の混乱が生じやすかったこと
  • 特に2015年のへプタレス買収以降はグローバル製薬企業との事業が急増し、国内のみでなく、海外からも「分かりやすい」「発音しやすい」名前が求められていたこと
  • 複数のバックグラウンド、カルチャーを持つ会社間が、共に良い部分を持ち寄り、新しいカルチャーを作る最良のタイミングで、決意を新たにしていること


また、これらに加え、以下についても発表しています。

  • 統合加速、業務効率化、オフィス費用圧縮を目的に、現本社オフィスをイドルシアジャパンのオフィスに統合
  • 統合加速、業務効率化を目的に、イドルシアジャパンが株式会社そーせい(そーせいグループの日本子会社)を吸収合併
  • 将来の可能性に備え、取締役の員数の上限を2名増加


私は3年ちょっと前にそーせいグループに入社しており、創業者の田村が作り上げた「そーせい」のカルチャーに惹かれ、その思いは今も変わりません。一方で、新社名「ネクセラ」のコンセプトも素晴らしいものであり、今後とも我々が1つのグループとして、グローバルに向けて成長していくためには、最良・最善のタイミングと選択だと確信しています。


また、今後の成長に関連して、一点補足があります。13日の決算説明会資料で「国内トップ15に入る、次世代の製薬企業を目指していく」という部分がありますが、これが何を指しているかについてその後いくつかのご質問をいただきました。これはクリスが口頭でも多少補足させていただいていますが、時価総額を基準とし、日本国内の製薬企業の時価総額Top15位かそれ以上に入ることを目指すという意味になります。時期についてはできるだけ早くにですが、2030年のビジョンに同じ項目がある通り、遅くとも2030年までにはということになります。


正直に言えば、これはやや控えめな目標ではあります。今年は大きなものでも、年後半にはニューロクライン社にライセンスしているM4作動薬のフェーズ2試験の結果が発表され、またファイザー社にライセンスしている次世代のGLP-1作動薬のその後の開発動向も、どこかのタイミングで明らかになる可能性があります。株価は投資家の皆様のご評価によるものではありますが、これらが順調な進捗であれば、この目標は早々に達成されることも十分にあり得るでしょう。


しかしながら、今回の目標とタイムラインは、上記のようなパートナーの動向の如何に関わらず、仮にそれらがボトムケースであっても、あくまでも我々の自身の経営上の努力と戦略によって達成可能/目指すべき水準としてお示させていただいたものです。資料の説明がやや曖昧で申し訳ありませんでしたが、当然、この水準をできるだけ早く達成してまた次の目標へとシフトすべく、グループ一体となって取り組む所存です。


今後とも、どうぞよろしくお願いします!

2024年2月14日水曜日

2023年12月期決算を発表しました

みなさんおはようございます、CFOの野村です。


2月13日(火)に2023年12月期決算を発表し、決算説明会を開催いたしまいた。お忙しい中で決算説明会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。詳細はリンクをご覧いただければと思いますが、以下でポイントを絞って解説させていただきます。


決算短信

決算説明資料

決算説明会動画(WEBCASTのマークをクリック)


●2023年12期の業績
売上高は127億円で昨年の155億円から減少しました。2023年はマイルストンイベントが4件で2022年の5件と比較して少なく、新規提携もなかったためです。
また、営業利益は上記に加え買収関連費用もあり、IFRSベースで95億円の損失となりました。ただし、支出の多くが買収による一時的なものや、償却による非現金支出(実際に支払いは発生しない会計上の処理)によるものだったので、コア営業損失はそれよりも約65億円小さい30億円の損失に留まりました。

【主要決算数値・ブレークダウン(説明会資料:P6-7)】



●2024年の業績見通し
これまで我々はパートナーによる、ややコントロールしにくい(新規契約やマイルストン)売上が多かったため、売上げの見通しを公表していませんでしたが、自社製品ピヴラッツを獲得したことで、今年から以下の項目を公表させていただきます。

  • ピヴラッツの売上高(薬価ベース):160億円以上(23年は134億円)
  • 研究開発費:120~140億円(23年は100億円)
  • 販管費:180~200億円(23年は99億円)

費用面では、研究開発費、販管費共に23年は5.4か月分のみの寄与だったIPJ/IPKが通年の寄与となること、加えて研究開発費ではより価値の高い提携を目指した臨床試験の継続と新たな開始(2つの進行中のフェーズ1試験に加え、最低1つのフェーズ1試験の開始)を予定していること、また、販管費ではピヴラッツの販売促進、ダリドレキサントの上市準備などを見込んでいることが要因です。費用は買収もあって数字が大きく増えていますが、過度な費用増にならないようにこれまで通りコントロールしていきます。

【24年12月期のPIVLAZ®売上・費用ガイダンス(説明会資料:P8-9)】




●開発パイプライン
個別の進展はリリースでも開示をしていますが、主要パイプラインの進捗についてP11-13に整理しています。個別の詳細アップデートは以下の通りです。

自社開発 - 10月にダリドレキサントの国内販売承認申請を行ったことで、関連マイルストンを15億円受領しています。ダリドレキサントは2024年内での承認、上市を目指しており、今後国内販売の準備を加速していく予定です。また、12月にはピヴラッツについては韓国での製造販売承認を取得しました。今後2025年の上市に向けた準備を着々と行っていきます。さらに早期開発品では、GPR52作動薬のHTL0048149の第Ⅰ相試験を開始、8月にはEP4拮抗薬のHTL0039732の第Ⅰ/Ⅱa相試験を開始しました。

ジェネンテック社 - 2019年から開始した創薬提携において、10月に進捗があったことで3.75百万円(約562百万円)のマイルストンを受領しました。ターゲットのGPCRは競争環境に鑑み現状は非開示としています。

ファイザー社 - 6月に経口GLP-1作動薬(PF-070815732)の開発中止が発表されました。ただし、8月には同じく経口GLP-1作動薬のPF-06954522の開発を開始し、2024年2月には第Ⅰ相試験を完了する見込みとなっています。2023年は開発マイルストンは発生しませんでしたが、各パイプラインは順調に進捗をしています。

ニューロクライン社 - 当社と提携しているムスカリンポートフォリオで多くの進捗がありました。9月にM1/M4デュアル作動薬であるNBI-1117570の第Ⅰ相試験を開始し、12月には新たにM4作動薬(NBI-1117569)の第Ⅰ相試験開始と、M1作動薬(NBI-1117567)の第Ⅰ相試験開始見込みを発表しました。決算発表資料のP14にも記載の通り、2023年はムスカリン系を開発する企業が立て続けに巨額買収をされた年でもあり、注目度が高まっています。その中でもニューロクライン社は多様なポートフォリオを持っています。契約の取り決め上2023年はマイルストンが発生しませんでしたが、2024年はM4作動薬の第Ⅱ相試験が完了予定であり、今後数年で大きなイベントが発生することが期待されます。

Verily社 - 10月にAlphabet社傘下のVerily社との提携において、炎症性腸疾患に関するGPCRターゲットの検証・選定に成功しました。AI創薬については自社の技術だけでなく、他社との提携を積極的に活用することで引き続き創薬のスピードを加速していきます。

PharmEnable社 - Verily社と同様にAIや計算化学に強みを持つPharmEnable社との提携を10月に拡大し、神経疾患をターゲットと2番目のリード化合物創出を進めることを発表しました。Druggableな化合物のデータをもとに、より薬として理想的なリード化合物の創出を目指していきます。

Kallyope社 - 腸脳軸の分析に強みを持つKallyopeとの提携について、11月に最初のターゲット選定を発表しました。彼らのプラットフォーム技術と当社のGPCR創薬の技術を組み合わせることで、新たなターゲットを選定できたことは腸脳軸による治療可能性を示すものであり、大きな進展だと考えています。

【主要パイプラインと進捗(説明会資料:P11-13)】





●その他
23年は東証プライムへの上場、IPJ/IPKの買収、JICからの資金提供など、会社の成長に必要な多くのコーポレートイベントがあり、グループにとって変革の年となりました。最初のGLP-1作動薬のように開発が失敗したものもありましたが、自社・提携パイプライン共に数多くの進捗が見られ、GLP-1もその後すぐにファイザーによるバックアップ開発が始まるなど、開発品の進捗にも多い年でした。

その反面、収益につながるマイルストンイベントが少なかったこと、また、特に契約一時金がゼロであったこともあり、コア営業利益を含めて赤字となりました。提携先があることとはいえ、期初目標の新規契約が達成できなかったことは申し訳ない限りです。クリスのコメントにもあった通りこれまでとは違うタイプの提携で、交渉と文章作成に時間がかかっていますが、3月までを目途に発表できるよう現在鋭意、最終化を進めています。

一方で、相手のある新提提携は常に一定の不確実性があり、時期の遅れがどうしても発生しやすいものですので、会社としてはグローバルでの大手製薬企業との提携と並行して、今年の会社目標(説明会資料P24)にもある通り、製品販売、承認獲得、新たなインライセンス品の獲得などを重視し、日本・中国除くAPACで製品売上を着実に伸ばすことにも力点を置き、そこで得られる安定した収益基盤を、さらなる成長に向けた研究開発投資に向ける予定です。

「世界をリードするサイエンスで人生を変える医薬品を届ける」という会社目標を達成し、製薬・バイオ業界で一段と存在感を発揮すべく、邁進したく思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!